あなたがトラックボールを使うべき5つの理由

 

 

LOGICOOL ワイヤレストラックボール M570t

LOGICOOL ワイヤレストラックボール M570t

 

 

 

 

世の中には沢山のマウスがあり、そしてペンタブがある。ノートパソコンにはタッチパッドが搭載されており、人はそれを使ってマウスカーソルを動かすのだ。誰だってそうだろう。僕だってそうだった。へんてこな機械に逢うまでは。

トラックボールと呼ばれるデバイスがある。

Wireless Trackball M570
http://www.logicool.co.jp/ja-jp/mice-pointers/trackballs/devices/7365

観るのが初めての人もいるかも知れないが、実はこの変な機械はマウスと同じぐらい成り立ちが古く、人々と長い時を共に暮らしてきている。歴史のあるデバイスなのだ。

使うのは簡単。このボールを指で転がせば、カーソルが動く。上に転がせば上に。下に転がせば下に。ボールの回転をセンサーが読み取って、マウスと同じようにカーソルを動かしてくれる。おなじみのホイールだってついてるからスクロールもお手の物だ。

今回はこのトラックボールの魅力やマウスと比べた時の利点について述べる。



その1、手首が疲れない

マウスは手首を右に左に傾ける必要があり、長時間操作していると手首が段々痛くなってくる。マウス症候群なんて言葉も有るくらいだ。手首を酷使しすぎると、腱鞘炎と呼ばれる病気にかかってしまうことだって有る。

しかし、トラックボールなら手首を動かす必要はない。上にポンと手を置くだけ。あとは指でボールを撫でて回すだけなので、手に負担が殆どかからない。



指に負担がかかるんじゃないか?
と思う人もいるだろう。
その心配はご無用。ボールは、人工ルビーによって支持されるのだ。この窪みの壁全体に触れるわけではなく、この3点の作る枠に収まる。3点の球が支えるということは、曲面と曲面で接触するということであり、接触する面積は最小限に抑えられる。なのでボールは非常に軽快に動いてくれる。しかも金属ではなく工業用にも用いられる人工ルビーなので、摩耗して操作感が悪くなることはない。少なくとも、錆びた100円ライターのような負担は絶対にかからない、ということは保障しよう。

※但し、ボールに手垢が付着し、人工ルビーの周りに溜まって段々動きが悪くなるので月に1度の掃除が必要だ。トラックボールに限らず、何事も清潔に。


その2、いちいち持ちあげる必要がない

家庭用パソコンにも、20インチを超える大きな液晶モニタが付いてくる時代だ。画面解像度も画面サイズに比例して広くなるが、ここで問題になるのがカーソルの移動だ。

広い画面となると、一度マウスを手首の可動範囲ギリギリまで動かしては一度持ち上げてマウスパッドの中央に戻す作業が必要になる。カーソルの速度を上げればいいじゃないか、と思う人もいるかも知れないが、となるとリンクをクリックしたり精密な作業がやりにくくなるというデメリットがある。マウスカーソルの加速機能もあるが、手のスナップが必要となり、結局は手間がかかることになる。

だがトラックボールならボールを指で撫でて操作するので、持ち上げる必要は無い。持ち上げる必要のある距離も数回ボールを撫でてやればカーソルが到達する。もうマウスのカタンカタンという音を聞く必要も無くなるのだ。


その3、マウスパッドが不要で使う場所を選ばない

トラックボールの魅力は「動かさなくていい」という事に起因する省スペース性だけではない。本体を動かさなくていいということは、その動きを補助するマウスパッドが不要になるということである。もうマウスパッドの汚れに悩むこともない。

マウスパッドが必要ないということは、場所を選ばないということだ。
故に「布団の上」だろうが、「脚の上」だろうが、トラックボールは動作する。ごろ寝マウスという名前で販売されるほど、トラックボールは遊び用途との親和性が高いのだ。


その4、マウスジェスチャが格段に使いやすくなる

マウスジェスチャとは「戻る」とか「更新」とか「お気に入りに登録」とかをマウスの動きだけで行える機能のことである。詳しくはwikipediaを読もう。要するに「戻るボタンまでカーソルを運ぶのが面倒くさいから右クリック押しながら↑ってやったら戻れ」という事が出来るのだ。

右クリックを押しながら手首を右に左にマウスを動かして機能を呼び出すわけだが、トラックボールを使うと右クリックしながら指をちょっと動かすだけでOK。前の項目とか被っている感じがするが、動かす場所が「手首」から「指先」に変わるといろいろ便利なのだ。


その5、ゲームにも3DCGにも

マウスやトラックボールは、カーソルを動かすためだけに使われるわけではない。
時にはFPSやTPSの狙いを定める為に、時には3DCGを扱うときの拡大縮小回転にも使われる。ここで、先の「持ち上げる必要がない」という特長が生きてくるのだ。

ゲームでも3DCGでも、「ある方向にずっと動かし続ける」という動作が必要になったりする。背後から銃声がしたので振り返らなければならないとか、モデルをぐるりと見回したりだとか、そういう場面だ。マウスだと特殊キーを押しながら上に何度もマウス自体をを動かさなければいけない操作も、トラックボールなら指先を上にスッスッと動かすだけでいい。

もしこの項目で「あのいちいちマウスを持ち上げるのが無くなるのか!」と思った人は是非トラックボールを使うべきだ。現に、Amazonのレビューにはそういった人達の声が寄せられている。

 

利点づくめのトラックボールに見えるが、弱点もある。


トラックボールはなぞるのが苦手

例えば画像加工ソフトやお絵かきソフトで実際に線を引いて絵を描いたり、境界線にそってずーっとなぞるのはトラックボールは大の苦手だ。というのも、ボール操作は「今いる座標から目標とする座標への移動」というのは得意なのだが、「その軌道を何かに利用する」というのは非常に不得意なのだ。

「サッカーボールを転がして絵を描く」ぐらい難しいので、そこらへんは覚悟したほうがいい。ペンタブを買わず、マウスだけで絵を描いている猛者にはあまりオススメできないのがトラックボールだ。

なお、Illustratorのように図形とベジェ曲線の組み合わせでいろいろやったり、Photoshopでもそこまで積極的にブラシを使うわけでもないならやっぱりトラックボールも便利だよ、とフォローしておく。現にペンタブのお供にトラックボールという商品も出ていたりするのだ。

構造上に手をぺたりと被せて扱うことになるため、結構な高さがある。ノートパソコンと一緒に運ぶと嵩張るという欠点もある。持ち運び用に小さなマウスや平たいマウスを使っている人にはあまりオススメは出来無いかも知れない。

また、ホイールの無い機種の場合は「特定のボタンを押しながらボールを回転」という操作を迫られる事があるので注意しよう。ボールの周囲に回転するリングを配置した高級モデルなら、そのリングがホイールの役目を果たすので安心である。

マウスから移行するなら、初めは親指トラックボールがオススメだ。


マウス以外の選択肢もあるよ、という提案。

なお、ヘンテコな機械仲間に「3Dマウス」というものがある。

3Dconnexion : SpacePilot PRO
http://www.3dconnexion.jp/products/spacepilot-pro.html

真ん中のつまみは左右にねじることで回転を、押し込みとひっぱりで縮小や拡大を、そしてそれ自身を前後左右にカコカコと動かすことで移動などに使う事ができる。「一方向にずっと入力する」という点では、この3Dマウスが最適だ。

トラックボール、3Dマウス共に「両手対応」な形状が多いのも嬉しい。トップに掲載した「親指トラックボール」と呼ばれる物は右手用に作られているが、どちらの手でも使えるように左右対称となっている物が数多く存在する。

TrackmanR MarbleR
http://www.logicool.co.jp/ja-jp/mice-pointers/trackballs/devices/4680

Kensingtonトラックボール
http://www.nanayojapan.co.jp/products/tball/index.html

二千字余りに渡ってトラックボールの魅力を伝えてきた。トラックボールの魅力が伝わっただろうか。少しでもトラックボールへの興味を持っていただけたら幸いである。興味が湧いたら、是非トラックボールを手にとってみて欲しい。もしかしたらそれは、あなたの一生を変える出会いかも知れない。

最後に国内でのトラックボールレビューサイト第一人者である三猫様のサイトを引用してこの記事を終わろう。

猫のトラックボールルーム ~インデックス~
http://mineko.fc2web.com/box/tb-room/

トラックボール
確かにそれをあえて選ぶ理由は無い。
しかし繰球の快楽は私を捕らえ、
心優しき本末転倒は、
操作から「理由」を排除する。
故に、私はいつだって幸せなのだ。