さよなら、絶望のスクールアイドルフェスティバル

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モブライブ、これにて閉幕である。

 

と書くだけではなんなので、ゲームとして見た場合のスクフェスの浅さみたいなもんを書いて行こうと思う。いきなりこの記事を読むのはなんなので、私がスクフェスについてどう考えて来たかは関連記事を一度お読みいただきたい。

配信当初の雑感と「アニメ版ラブライブ!」、引いてはラブライブ!そのものとの噛み合わなさ

 

スクフェス自体のリリースされるに至るまでの考察とプレイヤーのモチベーションについて 

ゲームとして見たスクフェスのレビュー

 


ラブライブ!の楽曲に合わせて音ゲー出来ればそれでいい」

ふむ、一理ある。だが私の考えはこうだ。


アンロック報酬のススメ→

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モブ育成だが、モブ1人を育て上げるのに必要な経験値は約8000。
レベル1の同属性モブを食わせると120になる。最短で67枚。
キリが悪いので70枚必要という事にしよう。そして1プレイで手に入るカードは3枚。
70枚のカードを集めるのに24曲のプレイが必要。
24曲をハードで遊ぶと1曲1.5時間の待ち時間が発生するので合計36時間。

音ゲーとして遊ぶには苦痛なレベルのクソ譜面のイージーを回すならもっと短く済むが、正気を失いたくないのであればイージー回しをするのはお勧めしない

モブに経験値8000を与えLv40まで育てると、そのモブは他のキャラに経験値4000の餌として使える。2覚醒LvMAXキャラをモブに食わせれば、新たな1覚醒MAXキャラの誕生である。一度育て上げれば割とテンポよく(?)進めることができるのでお勧めだ。もし無課金でシコシコやりたいのであれば、キャラ育成はバラつかせずに1キャラを一気に育て上げることを勧める。

薄っぺらいモブ育成を乗り越えて、次にやる事はレアカードの育成である。育成しか無い。音ゲー部分にはやり込む要素が無いのだから、音ゲーは一瞬にして「経験値払い出しの為の儀式」となる。譜面も流石に100回の繰り返しプレイに耐え得るような出来ではないのだから、そうなる。フルコンボに価値がないのだから、そうなる。


音ゲーにおける禁じ手をやらかしたスクフェス

まずこちらのインタビューに目を通していただきたい。

インタビュー中に野村哲也氏が間プロデューサーを緊急呼び出し!?
シアトリズム ファイナルファンタジー』ロングインタビュー!(前編) - 電撃オンライン
http://news.dengeki.com/elem/000/000/452/452301/

大事な部分だけ引用する。

鈴井 『FF』らしさが感じられる要素の一例として、成長要素やコレクション要素といったやり込み要素を盛り込んでいきました。でも、キャラクターのレベルアップや、特殊な効果を持つアビリティを利用した戦術性が、音楽ゲームのファンにとってインチキに見えるようでは許されないと思ったんです。

 がんばって獲得したハイスコアは称えてあげたいじゃないですか。

鈴井 音楽ゲームが好きな方にとって、便利なアビリティを使って出したスコアと、アビリティやアイテムのサポートなしでやって出たスコアが同じ価値になるような要素は排除しなければならないと思いました。だから、ゲーム中のヒット判定がゆるくなったり、スコアに影響したりするような効果のアビリティやアイテムはありません。

何度も申し上げるが、音ゲーとは自らの腕と譜面との対話だ。非常に閉じた関係にある。スコアやコンボ数は自らの研鑽の証であり、誇りである。そこをスクフェスは間違えた。

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イージーでのフルコンボ。判定、A。

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ノーマルでのフルコンボ。判定、C。

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ハードでのフルコンボ。判定、C。

キャラの属性を揃えてフルコンボしても、得られる判定はこんなもんである。頑張ってフルコンボしてもC判定ならば、もうそこにやり込む余地はない。音ゲーをやり込む人間ほど、「スコアは金で買う物」なのが分かってしまうからだ。

それはランキングからも分かる。フルコンボで自分が叩き出したスコアと、ランキングに並んでいるスコアが2倍は違うんだからやってられない。なお私自身が身をもって確認した情報ではないが、Sランクは14万点あっても達成できず、覚醒レアカンストで揃えたフルコンボでも達成できないようだ。つまりハードのSランクはSRで固めなければ得られない。

このゲームのSランクは重課金兵のみに許された勲章であり、音ゲーマーへの勲章ではない。

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そしてまた褒賞も問題なのである。何万円も金を払い、何十時間をかけ、頭数をそろえたとしよう。それで貰えるのは「友情ポイント 1000pt」……重課金の褒賞が、無料ガチャ10回なわけだ。これを手に入れるような人間は無料ガチャのお世話になるようなもんでもないし、例え無料ガチャの世話になったとしてもこれで手に入るのは経験値1000ポイント少々(レアが出るともっと増える)だろう。これでやる気を出せという方がおかしい。

www.dotup.org4136510

極々稀にフルコンボの褒賞でレアが出る事もある。……レアが出たからどうだというのだ。レアだって27枚の中から同じのを2つ引かないとサイドストーリーすら見れないというのに。そもそもハードでフルコンボするよりイージーでその3倍遊んだ方がモブの数を揃えられる時点で間違いだろうに。


 

モブライブ!の失敗

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モブ子達は登場時こそどれも個性豊かなのだが、覚醒させると皆大人しくなってしまう。
手に持っていた笛を、望遠鏡を、絵筆を、全てを手放し
身に纏っていた水着を、スモックを、白衣を、修道服を、衣装に着替えてしまう。

ステレオタイプなトンデモキャラの個性を自ら潰しに来るので更にモブ化が進む。彼女達の台詞を見るためには彼女達全員をセンターにする必要があるし、そんな事をする気にはならない。テレビアニメ後に降って湧いた彼女達には、屋上で見せた花陽の涙ほどの印象は全く期待できない。

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前回の記事で書いたように、モブを育成しきるとサイドストーリーが発生する。全27種類あるのだが、例外なく薄っぺらい。最短3タップで終わるし、そこから彼女達に対して何か魅力を感じることはない。

これを見せられたからこそ嫌な予感がするもんである。
「まさかμ’sメンバーのサイドストーリーも、薄っぺらいのではあるまいな?」と。

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その嫌な予感。見事的中。ソロCDのモノローグにも満たない”サイドトーク”である。苦労の果てにたどり着いたレアがこれで、SRやURに誰が期待するというのか。

元より公野櫻子先生のブッとんだテキストがあるわけで、まずクオリティをそこに合わせてこないと従来キャラもモブキャラも引き立つものも引き立たない。本当にもったいない。


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ハ、ハラショー……

スクフェスの正体は30タップにも満たないボイスドラマを見るために何万円もガチャらせようとする、ただの集金装置であった。音ゲーのシステムは譜面やシステムの部分でお世辞にも出来がいいとは言い難いし、音ゲーとしてやり込む場合履歴の保存も無ければフルコンボに価値も無い。

スコアからカード要素を引きはがせば…・…例えば「チームスキル」で「下手な人でも最後までクリアできるようになる」という、サポートとしてのカード要素にしておけばまだ救いはあるのだろう。クリア後にキャラが喋れたりすれば、何か変わりようもあるのだろう。いやあもう、改善点を挙げればきりがない。

例え新しいイベントが来たところでSランクが取れないと分かり切っているなら「それぞれが好きな事で頑張っても意味が無い」となるわけだ。、結局「カード集めが好きでしょうがない人が課金ガチャを行うためのプラットフォーム」として、このスクフェスは生まれ、今後も利用されていくと思われる。

 

数年前、Xbox360で「アイドルマスター ライブフォーユー」と呼ばれるソフトが発売された。音ゲーと簡易なステージプロデュースが可能と、前評判は上々であった……が、ふたを開けてみればそれは実に粗末な音ゲーと「ダンスビューア」でしかなく、ライブフォーユーの正体は只の「ダウンロードコンテンツ販売のためのソフト」だったのである。

ライブフォーユーの時は限定版で1万円もボっておいてこれだが、スクフェスはまだ基本無料なので幾分か良心的ではある。とは言えこのスクフェスは値段相応の体験しか提供しない。スクフェスは、動かない。スクフェスには輝くステージが存在しないのである。

 

これなら600円ぐらいの音ゲーアプリとしてのリリースと、DLCで楽曲販売してくれたほうが、どれだけ幸せだったか。ガチャを楽しんでいる人、そのままどうぞ楽しみ続けてほしい。ゲーム要素について何か文句を言う人がいようが、気にせず気持ちよくガチャリ続けていてくれ。そうやって話題を提供し続けてくれ。

 

僕にはもう、限界だ。