で、艦これが「準備するゲーム」だって話をしたいのよ。

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駆逐艦は最高だぜ!

そういう話じゃなくて、艦これが何をやるゲームなのか。何をするゲームなのか。可愛らしいガワを引っぺがして考えた場合、そこにはどういうゲーム性が隠れているのかの話をしたい。

いや、ガワを引っぺがすって、だから、そう言う意味じゃないです。

 


「事前準備」特化型ゲーム

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艦これは何をやるゲームなのか。
それは、「準備」をするゲームである。

ロールプレイングゲームの街でああでもないこうでもないと武器や防具にアクセサリーをキャラに付けたり外したり、ブリーフィング画面でお気に入りユニットを強化して、ジョブチェンジして、タニタした覚えはないだろうか?

ボス戦の為の筈の「用意」が楽しくて、ただひたすらにアビリティポイントをためたり、「戦いの為の武器」を作るためにレアドロップする素材を集める「武器の為の戦い」をしたことは無いだろうか?

艦これはそういう、「準備」をして遊ぶゲームだ。

 

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ステージは大雑把に言って16枚。ステージが一つ進むたびに敵のレベルや構成も変化する。そして何より強くなり方がえげつない。何せ「やっとボスを倒せたぞ!」と思って先に進んだら、その時点での最強艦隊が次のステージの雑魚に実にあっさりと叩きのめされるのだ。

だからプレイヤーは準備する。次の為に。次の次の為に。
準備だけが勝敗を分ける。プレイヤーに出来るのは艦娘たちの準備だけだ。
編成を、レベルを、装備を、強化を、暁の水平線に勝利を刻むために準備する。


「リソース管理ゲーム」の中で踊る者

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艦娘が傷付けば修理に燃料と鋼材が飛び、出撃するだけでも燃料と弾薬が飛ぶ。連続出撃すれば疲労も溜まり、同じ艦娘ばかりは使えない。その為には遠征をさせて資源を稼ぎ、クエストをこなして資源を稼ぎ、無駄に鋼材を吸われない為に頭をひねる必要がある。

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「燃料が底をついた。タンカー護衛任務が終わるまで待とう。」「鋼材が底をついた。僕のミスで艦娘を大破させてしまったな」「ボーキサイトが無くなった。対空を疎かにして攻撃に走り過ぎたな」そんな感じで、提督は自らの失敗をリソースの枯渇から思い知る。

行動値を「LP」だの「スタミナ」だのと言わずに、「資源」即ち「リソース」としたのが艦これの特徴だ。リソースを消費して、遊び終わったらもう何もできないわけではない。むしろ逆で、遊べば遊ぶほど更に遊べるようになるのである。だから毎日でも触りたくなる。遊び続けるためにもっと考えて、どうしたらいいかを悩むことになる。


「確率」に踊らされる者。

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さて、このゲームは「攻略の褒賞」としてのドロップ艦娘を集めて自軍を充実させていくだけでなく、先の「リソース」を消費しての「建造・開発」もまた、遊びの要素の一つとなっている。もちろん、攻略の褒賞を得るために安定してSランクを獲れるよう悩むのも立派なゲーム要素の一つなのだが、艦これはそれだけじゃないのがミソだ。

 

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「勝つ為」には「強い艦娘」を手元に呼ぶ必要があるし、「強い艦娘」を伸ばすにしても、「お気に入りの艦娘」を底上げするにしても、やはり強力な装備が必要だ。「建築・建造」では、艦娘も装備も自分の意思で、リソースを消費する事で手に入れることができる。

もし「建造・開発」が無ければ、溜息をつきながら同じマップを回し続け、出て来る艦娘を黙々と解体するだけのゲームになっていただろう。もしこの「建造・開発」が只の「課金ガチャ」だったら、皆溜息をつくだけだっただろう。だが艦これは違う。艦これは自らの意思でもってリソースを費やし、ある程度結果を操作した上で、確率で遊べるのだ。

オンライン、オフラインを問わず「レアドロップアイテム」を手に入れるために同じ場所で何度も何度も戦い続けることを、俗にマラソンと言う。艦これはマラソンを走り切れる長距離ランナーだけを相手にしているわけじゃなく、それこそ溜めたコインを使って賭けに出るような遊びも提供しているというわけだ。

「準備をする」ゲームで、戦いに出なくても「準備」をする方法がある。これだけでもたのしい。やることはレベル上げだけじゃなく、沢山ある。戦いに出ても、帰って来ても、たくさんある。


「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」

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戦艦に主砲を撃たせておけばクリア、なんてゲームでは無い。このゲームには多種多様な武器と艦種があり、攻略法がある。確かにゴリ押しで突破出来る事だってあるだろう。だが多くの場合は、負ける。コテンパンに負ける。あと一歩届かず負ける。それは艦娘が悪いわけではなく、提督が編成や装備を誤ったためだ。

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勝てると思った戦いでも、艦娘がぼっこぼこにされて返ってくることなんて一度や二度じゃない。だから、正解を探すのが楽しい。ネットの海に記載された模範解答だけじゃなく、自分なりに修正を続け、最適化していく。その時、プレイヤーは正にゲームを「攻略」するのである。

艦これの底にあるのは、古くからあるシミュレーションゲームの流れである」とはこのことだ。「準備」は何時しか、「指揮」となる。艦娘を自分自身で操作せずとも、艦娘たちは「提督の決断」の元に戦う。これが艦これの面白さだ。


ダービースタリオンの血

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角川ゲームス、という言葉に聞き覚えの無い人々が「角川だからー」「またキャラ物か―」等と言っているが、私はちょっと違うんじゃないかなあと思っている。角川ゲームスは発足してからまだ若いが、元を辿れば「アスキー」の血も混じっている。

アスキー」と言えば、ダービースタリオンだろう。

プレイヤーのやることと言えば「事前準備オンリー」であり、積み重ねてきた準備の成果が出る「レース」自体はオートで進行するダービースタリオンダビスタは「レース中にどう鞭打つか」等のアクション要素が無くとも、調教を重ねてレースで結果を出すまでのその「育てゲー」の部分で既に面白かった。

実際の戦闘と言えば戻る・進むしか出来ないプレイヤー。それでもこんなに艦これを面白く感じ、ゲームをしている感触をたっぷりと味わえるのは「準備ゲーム」としてよく出来ているからだ。と私は思った。

 

艦隊これくしょん
これくしょんなんて名前は付いているが、これくしょんなんてのは艦これの序の口に過ぎない。集めるだけでも、強化するだけでも、暁の水平線に勝利なんて刻めない。

 

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Model Graphix (モデルグラフィックス) 2013年 09月号
こちらの雑誌で艦これの特集記事があるようです。まだまだ始まったばかりの「艦これ」を後押しするなら、ドック解放とまずは雑誌購入からどーぞ。魔法石も何もつかないけど、まあたまには本買ってもいいんじゃないかな。