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ゲームに「成長要素」が無いとやらないんじゃなくって、遊ぶ側にだっていろいろ言い分があると思うんだよね。

2015-01-19 18.08.55

 

//ゲームの「面白さ」の変化。10代?20代100人に聞いて思ったこと。 - iPhoneゲーマーな日々
http://www.gamecast-blog.com/archives/65818269.html

//iTunesApp Store で配信中の iPhoneiPod touchiPad 用 ドランシア
https://itunes.apple.com/jp/app/doranshia/id897845314?mt=8&ign-mpt=uo%3D4

//ドランシア - Google PlayAndroid アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.uraraworks.drancia

さて先日その結論ありきのアンケート結果やら大げさな言い方でちょいと議論の沸き起こったこの「ドランシア」というゲームにまつわるあれこれなのだが、これにはドランシア自体の話もちょっと混ざってると思ったので僕自身の考えをここに書いてみたいと思う。


ドランシア自体の話

今回の題材となった「ドランシア」だが、これがどういうゲームなのかをざっくりと説明したい。一番いいのは各々遊んでもらう事なのだが。

ドランシアは「アーケードライク」を謳うアクションゲームだ。操作は単純で「バーチャルパッドの左右キーで移動方向を指定し、自動で歩いてもらう」「キャラの進行方向に武器があり、これに触れると敵が倒れる」「ジャンプボタンがあり、これで遠距離攻撃を回避したり高いところの敵を倒す」というもの。イースとかゼルダのパワー溜めっぱなしとかいろいろ思い当たる物がある人もいるだろう。

で、このゲームはある程度敵を倒したらボスが出てくる。ボスを倒したら次のステージが始まる。障害物をジャンプして乗り越えたりする事が主眼なわけでは無いので、一般的な横スクロールアクションというよりはベルトアクションゲームに近い。つまり地形と敵の組み合わせではなく、敵の組み合わせのみをこなしていくゲームだ。

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敵を倒すとコインが入手でき、そのコインを使ってスキルボードのアイテムを購入=レベルアップする事が出来る。このスキルボードはランダム配置で、ゲームを開始するごとに内容が変化する。

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また、ゲームオーバーまでのプレイ内容に応じて「ジェム」という物が手に入り、このジェムはゲーム開始前にショップから装備の購入に使用可能。装備アイテムはキャラクターに装備して、そのプレイ一回こっきりではあるものの様々な恩恵を受けることが可能だ。

このジェムは装備以外にもキャラクターのアンロックにも使用可能。50を超えるキャラクターが使用可能な上、大量の実績(トロフィー)もご用意。やり込み要素がたくさんですね。といった所である。

なおキャラクターは多いが、それらの差異は「武器のあたり判定のデカさ」と「スキルボードのアイテム」によって生み出されている。

ざっとまとめると、「使い捨ての装備」を使い「ランダム生成の成長要素」で遊ぶ「スコア稼ぎ」を目的とするゲームである。

ドランシアはステージを一巡すると次の周回が始まる。敵がちょっと強くなってる、という所含め「アーケードライク」というのはまあ、間違いないだろう。


 

ドランシアの「成長要素が欲しくなる」とは

さて、ドランシアだが2通り…というか2段階の遊び方があると思う。一つは「一週目のクリアを目指す」というもの、もうひとつは「クリアが当然となった後、ハイスコアを狙う」というものだ。後者は熱中している人なので、もう放ってもいいだろう。多分。

クリアを目指している人はゲームの遊び方自体を模索しており、欲しくなるのが「補助」や「緩和」や「強化」である。ドランシアにはプレイするたび溜まるジェムがあるというのは先に書いたが、これは使い切りであるため「プレイするたび楽になる」とは言い難い。

当然と言えば当然だが、プレイヤーのモチベーションを保つのは「先に進めた」という実感や「楽になった」という実感、つまり何かしらの変化である。そしてこのゲームは一続きのステージクリア型ゲームであるため、「先に進めた」という実感は腕が向上すればするほど遠くなる。(例:ステージ5までが安定した人はステージ6をクリアする事で変化を実感できるが、ステージ1~5が安定してしまうため変化が無くなる)

「楽になった」は装備側で提供こそされているものの、これは使い切りである。これによってプレイヤーが得られるのは「装備のあった時は楽だったのに」という、逆の変化だ。もしこれが「プレイするたびに装備を手に入れ、キャラと装備の組み合わせでクリアを目指すゲーム」であったなら、挑むたびに装備を変更して試行錯誤が出来たであろう。今のドランシアはCall Of DutyBattlefieldのパークがスキル、銃につけるオプションが使い捨てみたいなものだ。

これはまさに、最初のゲームキャストさんの記事にあるアンケート Q2の答え「使い切りではなく、積み重ねでレベルアップする 永続的なパワーアップを買いたかった。 (Temple Runのように基本性能が上がる形式)」である。「成長要素」とは大仰な言い方であるが、これも立派な「永続的アップグレード」だ。確かに何も装備していない状態からすると「強化」であるが、「装備を交換する」となるとそれは「装備にバリエーションが生まれる」となり単純な強化でなく足し引きが生まれる。そこで悩む楽しさも生まれる。

 

「プレイする度に変わる」と言えばランダム構成のスキルボードなのだが、これはキャラで既に使われるパネル自体は決まっている事、途中で大きな変化を与えるショップや装備などの取捨選択が存在しない事、レベルアップも倒して溜まったコインをどんどん変換していくだけな事を考えると、ハッキリ言ってローグライクな「組み立てていく楽しさ」の提供には失敗していると言っていい。その代わりうじゃうじゃキャラがいるからそれで楽しんでねってな感じだし。

パワーアップの楽しみ自体を提供できているかはランダムであるかに限らないとすら思う。シューティングゲームならば敵をキャプチャーしたりオプションが付いたりロックオンできる回数が増えたり画面全てを覆わんばかりの弾が通常射撃で出せたり、それはそれは様々な「劇的」な強化を提供した。食べ物を取れば太るしゾンビになってもゲロビームで衝撃的なまでの破壊力を実現する事だってあった。

ドランシアの強化は地味である。強いて言うと全回復、魔法取得のタイミングは大事だが、攻撃、防御、回復あたりは。それこそ一々レベルアップ画面を開かず、オートで勝手にレベルが上がっても気付かないんじゃないかってぐらいだった。妖精ぐらい目に見えて変わる要素が、キャラ毎にあっても面白かったかもしれない。

今回の発端の記事は「アーケードライク」と謳われたドランシア一つだけを見て…そのアンケート一つだけを見て主語を大きくしてしまった結論ありきの記事が問題であったわけだが、その題材となったドランシア自体にも問題があったと言いたい。

どんなゲームだって完璧にパターンを構築してしまえばそこで変化は終了する。ゲームのクリアが訪れる。とは言え「パターンを構築しよう。遊んでみよう。試行錯誤してみよう」と向かわせる「モチベーションの維持のさせ方」だって、ゲームは洗練され続けてきたはずだ。


「ゼロ」

そもそも論としてそのアーケードゲームでも、「パワーアップ方式を選択・エディットする」だとか、ステージセレクトやコース選択による難度調整だとか、最初に繰り返し遊ばせる工夫事例の枚挙に暇が無い。「強くなる、成長させる」だけじゃなく、「どう強くなるのか、成長する過程でどう選ぶのが面白いのか」という事について、今一度考えてみるべきなんじゃないのか。「カードやキャラクターを共食いさせるゲームと農ゲーしか人はもう遊ばないんだ!」と結論付けるのはもったいない。

「ゼロ」になってしまうゲームがウケないのなら、パズルゲームのBlitzルールなんて誰も遊ばないだろう。「ゼロ」になってしまうゲームがウケないのなら、ローグライクゲームなんてとっくに死滅しているし誰も見向きもしない。「ゼロ」になってしまうゲームがウケないのなら「ゼロ」から育てあうMOBAみたいな対戦ゲームは一体どうなってしまうというのか。「ゼロ」からどう戦うかが面白いからCivはあんなに中毒者を生み出しているんじゃないのか。

「ゼロ」は「ゼロ」でも、どう「ゼロ」で、そこからどう「遊ぶたびに楽しんでもらう」のか、そこを無視して「強さが残らないと楽しくないんだな」とか「強さを保存してひたすらセーブデータを強くし続けるものが彼らの欲しいものなんだ」と言い切るってのは、遊ぶ側をナメすぎなんじゃあないかと僕は思う。

ドランシアの「アーケードライク」は、例えるなら「魔界村」のような「アーケード」だろう。だが「魔界村」のような「アーケードライク」に対して「成長要素、ないの?」と物言いが付いたからと言って、「もう若い人たちはパズドラとヘイデイしかやらない!!!ガンホーとスーパーセルの世界制覇は成った!!」と書いちゃう(最初に取り上げた記事では結論はボカしてあるが今更である)のは、流石にあんまりじゃないかと思うのだ。

 

余談:
「強くてニューゲーム」ってのは偉大だし、「チョコボの不思議なダンジョン」も「ポケモン不思議のダンジョン」もレベルは継続である。アーケード作品の家庭用ゲーム機への移植作は「苦手なボスやステージを遊ぶ」というステージセレクトや練習モードが搭載されているし、「ボスとだけ戦う」というボスラッシュモードも搭載されている。「ゼロ」にしない楽しみ方もあれば、一部を「ゼロ」じゃなくすることで楽しませるゲームもある。結局「腕前」しか残らないゲームだったとしても、その腕前の上昇をサポートするゲームもあれば、上がった腕の腕試しを別途用意するゲームもある。基本無料のドランシアにいろいろ注文を付けるのも酷ではあるのだが、いわゆる「アーケードモード」のみでは「良いゲームだと思うんだけど」と言われてもしょうがないのかもしれない。

余談2:
とにかく「ステージクリア」を主眼にしたゲームと言えばTrialsやHotline miami、スーパーミートボーイなど、やれば1分2分だけ集中すれば良いというゲームも最近は出てきている。これらのプレイを支えるのが僅か1~2秒でリスタート可能なシステムだ。「一続き」に限らなくても、アーケードライクなゲームは今でも愛されている。「成長要素」だけがゲームでもなければ、「周回」だけがゲームでもないということだ。

さらに余談:
ゲームキャストさんも冒頭で取り上げた記事……のコメントの所で書きかたが乱暴だったことはとっくに認めているし、わたくし(R-Gray)にわざわざSNS上で連絡まで頂いている。「悪のゲームキャストめ!叩き潰してやる!」と義憤に燃えてこの記事をしたためたわけでは無い事を追記しておく。

 

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怒ってたら、もっと痛烈な批判交えて書くしな!