ダウンロードしたゲームが売れればいいのに!

ダウンロード販売のゲームがもっと売れればいのに」ではなく、
「ダウンロードしたゲームを手放せればいいのに!」という話。

今時、PSPにだってフルプライスのソフトのDL版があったりする。

SCEJ、PSPパタポン 3」ダウンロード版の販売を開始。
追加ダウンロードクエストも無料で配信開始 - GAME Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110706_458719.html

で、完全にダウンロード販売しかないiOS市場、というかスマートフォン市場はそのPSPより市場規模がデカかったりする。今やゲームは店舗に足を運んで買うものではなく、光ファイバーが自宅まで運んでくれるものとなったわけだ。

iOSAndroid向けゲーム、ニンテンドーDSの覇権を脅かす――
米Flurry調査 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1104/18/news020.html

で、据置ゲーム機の王様であるPCゲーム市場でも、DLでの売上が過半数となった。

4Gamer.net ― Access Accepted第277回:
ダウンロード販売がついに“主流”に。2010年,PCゲーム市場は新たな時代へ
http://www.4gamer.net/games/036/G003691/20100924062/

だけどもやっぱりダウンロード販売の4000円5000円払えるかって言われたらやっぱり私にはまだ抵抗があるし、皆さんも多分そうだと思う。iPhoneのFF3の価格にドン引きしたりするぐらいだ。

じゃあ何で抵抗があるかって言われたら、そりゃ……「手放せないから」だろう。

パッケージで買う事の利点。

パッケージで買ったゲームは何が出来るかっていうと、「もう遊ばないなー」と思ったときに手放すことが出来る。

例えば定価で買ったゲームも触ってみて「うわっ、このゲームはクソだ!」となれば売却して浅い傷で済ませることが出来る。一回遊べば満足なRPGやアドベンチャーも、売ればまた別のゲームの資金にすることが可能だ。

しかしダウンロード販売のゲームはそうやって「売り抜ける」事が出来無い。どんなコンテンツだったとしても、販売する側がクソを押し付けて売り逃げることが出来てしまう。販売しているプラットフォーム(PlayStation Networkだとか、XBOX LIVEだとか、Steamだとかの事)が返金に対応していないのだからしょうがないと言われればそれまでだが、それにしたって消費者に不利過ぎる。

売る側もそれをわかってるのか、一部のパブリッシャ以外はスマートフォン市場で115円から450円ぐらいに抑えている。高くてもゴーストトリックが1500円ファイナルファンタジー3が1800円となっている。Xbox360向けダウンロード販売サービス「Game on Demand」も1980円から3980円といわゆる「廉価版」と同じ価格だ。

だがそれだって、割高と感じる人もいるだろう。また、中古市場で既に価格が落ちているのに、売れもしないゲームを4000円で買うかと言われたら答えはノーだ。

「中古がなくなればゲーム業界全体の売上が下がる」 ―
海外中古ショップがコメント | インサイド (ゲームビジネス、市場のニュース)
http://www.inside-games.jp/article/2010/11/08/45507.html

むしろ、今の新品のゲームの価格というのは「売り抜けること前提の価格」であるように思う。最初の人が8000円で買って店に6000円で売ってそれを7000円で誰かが買って、またそれを売って、というサイクルがあるからこそ先人はその新品の価格で飛び込むのだ。コレクターでも無い限り、売り抜ける事も出来無い新品のゲームに果たして8000円もいきなり払えるだろうか…?

遊ばなくなったゲームを、手放せるように。

例えば、こうしたらどうだろう。

「買ったゲームは起動出来なくなりますが、現在価格の30%をお返しします」

これなら配信日当日に高値で買った人が残念に思うことも無いし、「売れないなら買わない」という人もダウンロード販売に手を出すかもしれない。遊ばなくなったゲームを売却しポイントを掻き集め、新作1本を買うなんてことも出来る。もし新作をそうやって売りたくないのなら、「これは売却ポイントでは買えません」なんて風にすればいい。何にせよ、この「手放せる」という感覚がかなり重要だと思う。

また、ダウンロード販売でも「中古」と同じ事が出来たら良いなと思っている。

Aさんが持っててもう遊ばないゲームをもしBさんが欲しがっていた場合、BさんはAさんから「遊ぶ権利」を買えればいいのだが、現状ではそういう事ができない。パッケージでなら渡したり、売ったりすることが可能なのに、だ。

ここで、「フレンドへの譲渡機能」というものを用意したらどうだろう。例えば…

  • Aさんが「○○を遊ばなくなったので売りたい」という。
  • Bさんが「そのゲームを遊びたいので売ってください」という。
    この時点でAとBの間に売買が成立する。
  • Aさんがゲームを売却し、30%の売却ポイントと、『チケット』を得る。
  • Bさんが『チケット』を受け取り、ストアより安値(半額程度)で買う。
  • Aさんは売却ポイントを、Bさんは安く欲しかったゲームを手に入れる。

こういうようなシステムを作れば、結果的に「売れるのだからどんどん買おう」と購入が活発になるのではないか。と私は踏んでいる。4000円で陳列しておいて売れないよりは、5人とか6人とかどんどん譲渡システムで売れていった方が良いに決まっている。今まで小売で行われていたサイクルが、ダウンロード販売でも出来上がるわけだ。

もちろんこの譲渡システムで何か損があるようなら、現在の「中古対策」と同じ事をすればいい。例えば「800円払うとオンライン対戦で何十時間遊んでやっと手に入るアイテムが手に入る」とか、「追加マップや衣装は譲渡不可能にし、中古で手に入れた人からはそれでお金を払ってもらう」とか、そういう話だ。

今後、ゲームはもっともっとダウンロード販売が進んで行くだろう。その中でやがてゲームというのは「ディスクやカードを買う」というよりは、「遊べる権利を買う」というものになっていくと私は思っている。現にその手の最先端であるオンラインゲームでは「アイテムを使う権利」が売買されており、ユーザー間のトレードでは現金が絡むことだってある。

確かに「ゲームはGEOやらブックオフやらで売れるんだからDL版も売らせてよ!」という投稿になっている感は否めないが、今回の投稿の本旨は「要らない権利を売る」という事である。私達はダウンロードする過程で「データにお金を払っている」と思い込みがちであるが、本質は「そのデータを利用する権利」にある。

要するに「手元でその権利を遊ばせておくのは勿体ないので、その権利を利用しないなら他の何かに変換出来るようにしたほうが良い」という訳だ。買ったら買いっぱなし、というのは消費者に酷く不利だと私は思うのだ。

その中で「手放せる」というのは安心だし、コミュニティも盛り上がるというもの。
タンスの肥やしならぬ「ゲームライブラリの肥やし」を手放す方法の拡充を期待したい。

※商品を買った、という満足感や限定版を買ってやったという所持欲に付いては今回触れない。今回論じたかったのは「DL版には特典のテレカもマスコット付き携帯ストラップも紙の説明書も豪華128ページ設定資料集も付かないじゃないか!パッケージ最高!」とかそういう話では無いからだ。