対戦ゲームは練習する物なんだからメーカーはこの状況をどうにかしてくれ!

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格闘ゲームを練習するとは? : TheBottom of ToyBox
http://blog.livedoor.jp/tbotb/archives/28143464.html

随分悲観的な記事だが、それが言わんとしている事は分かる。分かるだけに「プレイヤーがクズだからだ!」で済ませたくない引っ掛かりを感じた。

本記事はウチのブログで人気のエントリ、
格闘ゲームが難しいと言われる理由をいろいろな所から考えてみた 」の続編的な内容である。

cr.hatenablog.com

この話には、3つのポイントがある。

  1. 商業施設としてのゲームセンター
  2. e-sportsとして対戦ゲームを楽しむゲーマー
  3. 対戦ゲームをやってみたいけどそこまで熱意は無い素人

まず最初に言わせてほしい。この話については誰も悪くないんだ。本当に、誰も。
あと言っておくが格闘ゲームは斜陽でも何でもない。出す度に5万だの10万だの20万だの家庭用ソフトが売れてるし、アーケードスティックについてはHORI以外の業者も本格参戦して殴り合いが起きている。

 


全ては回転率の為に

どんなゲーセンだって金儲けの為にゲーセンを経営しているし、ゲームを置いている。そしてどんなゲームメーカーだって金儲けの為にゲームを作っている。全てのゲームは作品である以前に商品だ。

さて、2vs2で4台使って戦うゲームの話をしよう。

 

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このゲームは対戦する時、4台フルに使う。対戦ゲームなのだから当然だ。
ではこのゲームで「練習したい」と言った場合どうなるか。

 

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簡単な話だ。
1番の台が「乱入禁止・練習台」になった時点で2から4番の台も同時に死ぬことになる。4人対戦が売りのゲームを3人で遊ぶ場合どうしたって片側がCPUと組む=不利になって競技性を削いでしまう。

1番の台の人間が満足いくまで野郎とすればするほど、この「4人対戦をしに来た人」は不幸になる。対戦と違いCPU戦は1回で遊ぶ時間も長く、1人プレイはゲーセンにも、他のプレイヤーにも歓迎はされない。

ゲーム側の設定で、そりゃあいろいろ出来ることは出来る。だがそんな事はプレイヤーが許さない。渋々そんなゲーセンで遊ぶしかない人々からは文句を言われるし、他に遊ぶ場所のあるような都会のゲーマーはそちらに流れるだろう。

1vs1の格闘ゲームなら猶更である。練習は出来ない。
練習できる時間帯や店を選べ?いやいや、そういう事言うから荒れるんですって。


マッチョイズム。

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対戦を挑める環境にある時点で全力で戦うのは至極当たり前のことだ。初心者だからと言って手を抜くのは失礼に当たる。それが意図的なものであろうがなかろうが、「楽しくゲームとしてまずは遊んでみよう」と思った初心者をそう言う風に叩き潰した時点で、それは初心者にとっては雑魚狩り以外の何物でもない。もし読んでいるあなたにとっては数多の戦いの1つだったとしても、叩き潰された側には人生の一大事なのだ。

「この程度で折れるとか何なの?」
「勝てないのはやり込んでないんだから当然だ」
「皆こうやって戦ってきたんだ」

待て待て待て。そう言いたいのも分かる。いつだってゲーマーは50円や100円かけて殴り合ってきた。だけどもまだ「ゲーム自体の楽しさ」「勝つ楽しさ」も教えないで叩きつぶしてどうする。彼らは種籾だぞ。伸びて穂に立派な実を付ける前に毟って散らしてどうする。

そういうストイックな姿勢は悪くない。寧ろゲームに対して真摯だからこそ1戦1戦が全力なんだろう。ゲームを競技として楽しむその姿勢は、ゲーマーとして尊敬に値する。

だからこそ、そのマッチョ主義は初心者とは噛み合わない。何も全てのプレイヤーがそうだと言っているわけではない。だが「今ならアルカディアだけじゃなくwikiでも何でもあるだろ!甘えるな!」なんてのは自ら未来の対戦相手を減らしているだけなので止めた方が良いとは思う。

一番上で取り上げた記事には、その「既存プレイヤーのマッチョイズム批判」が書かれていた。


素人に残された道とは。

 

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さて、ゲーセンそのものとマッチョなプレイヤー双方から蹴り出されてしまった素人。彼らがこういうことになるのはゲームの最新作がゲーセンにしかない事に起因する。言い換えてみれば、ゲームが家庭用ゲーム機で出来れば、まずは心行くまで操作し、味わう事が可能となる。

つまり何が言いたいかと言うと、ゲームメーカーにはアーケード先行なんて阿漕な事をやらず、アーケード同発で家庭用もさっさと出して貰いたいのだ。

そんな事を言えばすぐさま飛んでくるのが「ゲーセンが過疎る」という意見だが、それはその程度で対戦を止められてしまうようなタイトルなら自業自得だろう。第一、家庭用ゲームの対戦モードはお世辞にもゲーセンに匹敵するリニア感があるとはとても言えないし、比較対象にはならないと私は思っている。

キャラを見て逃げられ階級を見て逃げられ回線にイラつき終われば暴言メール……と「家庭用のネット対戦には、ゲーセンを越えた快適さがある」とは必ずしも言えない。競技性を求めて戦いに来る猛者はそこにコミュニティがある時点でゲーセンには必ず来る。何故なら彼らは今のご時世にゲーセンにきてゲームをやるぐらい、ゲームが好きな人間だからだ

アーケードゲームもネット対応になり、筐体も今までの基板でなくパソコンのような形になった。今やゲーセンは、パソコンに100円入れて遊ぶ場所になった。ゲーム自体もリリースして終わりではなく、アップデートを見込んだ「対戦サービス」の一つとなった。家庭版だってアップデートが長い事行われるんが当たり前になった。

ならば、ゲーセンでも家庭用機でも、まずはゲームを触らせて欲しい。

「ゲーセン限定」なんてプレミア感をいつまでも持たせ続けるから、段々いろんなものが歪んで「ゲームが好きな人々」でこんな風に殴り合わなくちゃいけなくなる。「遊びたい人が遊びたいように遊べない」から、お互いにいがみ合わなくちゃいけなくなる。

ゲームソフト側の強力なサポートが必要だと言う事は以前の記事で書いた。それはペルソナ4で一つ答えが出たと思う。それなら、更に一歩進んでゲーセンとゲーム機で同じ内容が遊べる世界になったっていいじゃないかと私は思うのだ。

 

 


補足。

もしフルプライスパッケージで出すのが無理なら、ストーリーモードやキャラは別売のF2P形式で出したらどうかなあと思っている。週替わりのキャラ、フルボイスのストーリー、コスチュームなどなど、「ゲーセンで100円を入れる」だけじゃない遊ばせかたは今ならいろいろ出来るはず。決して斜陽ではない「対戦ゲーム」をもっと盛りあげたいのであれば、「ちょっとやってみたい人」をいかにして引っかけるかが重要だ。それを皆嫌と言うほどソーシャルゲームで思い知ったじゃないか。

「バージョンが同じ」で「心行くまでまず触れる」と言うのがどれだけ重要か、今時のゲーマーならご理解いただけるはずだ……と思いつつ今回の記事はここで御仕舞。