提督の咆哮 その二。あるいは「イベント海域への進撃を止められなかった理由」について。

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画像に意味は無い。

いやあ、BF4面白いですよBF4。パソコン版なんですけどね。やっぱり64人でのコンクエストは最高ですよ。めまぐるしく変わる戦場の中でどの地点を狙うかという短期目標の設定。そして突如現れる敵兵や戦車をいかに短時間で撃破し、時に撃破に失敗しどうたて直すかという短期目標の再設定。「勝利」という大きなものに向かって32人がうぞうぞ動いて行くのは楽しいですよほんと。

というわけで今回は散々引っ張った「先行実装って言ってんのに人々が止められなかった理由」について書きます。短いです。多分。

 

cr.hatenablog.com

その1はこっち。


理由その1、この機を逃すと酷い目に遭うから

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「たかが先行実装」というからには後から入手が可能となるわけだが、その実装のされ方や時期が問題だ。画像は建造では激レア、ドロップもボス撃破ドロップ限定の代表格の瑞鳳ちゃんである。まさぐりたい。冬だし。

前のイベント、つまり大和イベントで追加された艦娘と言えばイムヤとゴーヤの二人だが、特にゴーヤは「正式実装」と言いながらも建造は激レア、ドロップは高難度海域のボス撃破に限定されている。ハッキリ言って出ない部類に入る。

前のイベントを経験した人間からすれば、伊58一人見ても「この機会に伊8だけでも入手しなければ、後々血の滲むような努力が必要になる」と思って当然だ。最早イベント艦娘は「褒美」でなく、得られなかった場合は苦行が待っているという罰ゲームの様相を呈していたのである。

そして何よりも8月から三ヶ月経っても大和は建造落ちしなかった。結果論から言えば四ヶ月経ってやっと大型艦建造で実装されたものの、それまでは100日経った所で後日配信は無いという事態が発生していた。

 

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初風、という艦娘をご存知だろうか。

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三隈でも良い。

この二人に代表される「ボスドロップ限定艦娘」の存在は、建造システムを形骸化させた。「デイリー建造やった所で出ないものは出ない」の時点で、「いつかは手に入る」の「いつか」は気楽なものでは無くなったのだ。カイジ』の利根川の台詞を借りるとこれである。

「この利根川幸雄、こと金に限り虚偽は一切言わぬ。 出す……!出すが……今回、まだその時と場所の指定まではしていない。そのことをどうか諸君らも思い出していただきたい。つまり……我々がその気になれば金の受け渡しは10年20年後ということも可能だろう……ということ……!」

イベントに限らず、艦これというゲームは「キャラグッズで儲けるよ」と言っておきながらゲームデザインがそういう風な作りになってしまっていた。建造システムすら形骸化し、新キャラが出てもボスドロップ限定なんてことを平気でやってしまうゲームなのだから、「今やらないとエラいめに遭う」……だから「やめられなかった」のだ。

 

ボス撃破とその先のドロップだけを目的とした出撃。それは艦これの「イベント海域」における作業と苦行そのものである。ぶっちゃけた話をすれば、艦これはイベント海域が面白く無いのではなく「ボス撃破だけを目的とした出撃」「ボス撃破以外は無駄でしかない出撃」「撃破した所で艦娘が出ない出撃」そのものが面白く無い。これが脳筋提督側の「艦これなんて最初っからそんなもんじゃん」発言の意味である。

艦これに於ける「エンドコンテンツ」である初風掘りすら物ともせず行える人間は、とっくにその作業に慣れていた。どころかこれを「やりがいがある」「やりごたえがある」と言うのだから、廃人とそうでないものの間にはマリアナよりも深い溝があるし、11月のイベントは良く燃えたのである。

キツい言い方をすると、「先行配信」「後日あらためて配信」という運営の言葉には既に信用が無いのである。艦娘以外にも「ランカー向け配布装備の開発落ちの無さ」だってそうだ。


理由そのニ、待ちに待った新要素だから

 

艦これにクリアは無いが、過去記事で「艦これにクリアはある」と書いた。レベルが上がり、装備が揃うと「準備ゲー」としての艦これは終りを迎えるのだ。準備は終わったのである。

ゲームデータの成熟を迎えたとしても、プレイヤー側のモチベーションが尽きることはない。艦これは面白いゲームであり、まだ他の人もやってるのに終わるだなんて勿体無い事だ。何より「まだゲーム遊びたい」という欲求を誰が否定できるだろうか?

 

もし艦これCall of Dutyなら、プレステージすれば良い話だ。
もし艦これがMOやMMOなら、サブキャラを作ったり転生したりすれば良い話だ。
もし艦これが普通のゲームなら、データを消して二周目を始めれば良い話だ。

 

が、艦これはまあそんな風には行かないのでアップデートを待つことになる。ずっと遊びたかった艦これの新要素と新キャラが詰まったのが「イベント」だった訳で、たとえその内容が残念だろうがなんだろうが「遊べるもんは遊ぶ」のである。納得も理解もできないかも知れないが。

 

艦これは廃人向けの「増築」と全プレイヤー共通の「刷新」ならば、大型艦建造による「刷新」まで実に「増築」だらけのゲームであった。5-3までのステージ追加。高難度海域ボスドロップ限定艦娘の大量追加。遅々として進まない建造・開発テーブルの刷新も相まり、アイアンボトムサウンドという「待ちに待ったイベント」はよくも悪くも賑わった。

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というのも、アイアンボトムサウンドは「潜水艦の3隻目と4隻目」が手に入るのである。前の記事で「魅力的な艦娘で走らせた」と書いたが、これはキャラゲーとして見た場合の「伊19とイクイクしたい」だの「はっちゃんと朝からアハトアハトしたい」だのという話よりもよっぽど重要だ。イクちゃんといくいくしたい。分かる。僕もそうだ。とりあえずあの大変可愛らしい潜水艦じたいの話じゃなく戦力としての潜水艦の話だけしよう。それにしてもいいお腹とおっぱいだ。素晴らしい。

どんなレア駆逐や運営お気に入りの軽巡だろうが、戦力としてみれば「代替可能」でしか無い。それどころか翔鶴瑞鶴だって赤城と加賀が入れば事足りる。だが潜水艦となると話が変わってくる。平時のオリョールクルーズによる燃料採掘の効率アップや潜水艦メイン編成などプレイそのものの質が変化するのだ。これは明らかに「増築」であり、そして「刷新」でもある。

そして何より、「そこに未だクリアしてないマップがあったから」で進軍するのは、ゲームをプレイする上で至極当然な行いであるということを忘れてはいけない。艦これにイベントアップデートが来て、新マップが来たから遊んだ。それだけの話だったのだ。

だから、やめられなかったのだ。


寄り道:艦娘に見る「増築」と「刷新」

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艦娘が廃人向けの「増築」に使われる一方、全プレイヤー共通の「刷新」として行われたのがキャラクター能力の底上げやイラストの更新が行われる「改二」の追加であった。

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これは見て楽しいのもそうだが、何より「レアキャラクターを用いずともコモンキャラクターの育成によりレアに匹敵する能力を手に入れることができる」という刷新である。「戦力面で新鮮味が生まれる」と言い換えてもいい。育てることにより構成の幅が生まれる訳で、プレイヤーは嬉々として「改二になる艦娘の育成」に励む事となる。

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が、アイアンボトムサウンドで起きたのは金剛と比叡の長門型を超える燃料ドカ食い女化であった。もう食いしん坊キャラが赤城だなんて悪い冗談でしか無くなってしまった。艦これが兵站のゲームであるかぎり、基本は「節約」である。イベント海域に出撃するにしてもやはり「節約」であり、そこでドカ食い化というのはハッキリ言って劣化でしか無い。

しかもそのドカ食い燃費もやり過ぎだと思ったのかほんのちょっとだけ消費量が下方修正された。修理や出撃で減り行くだけの数字にピリピリしているプレイヤーに対し「何も考えてませんでした」「下げました」で許されれば警察も運営も要らないのは言うまでもないだろう。というか下方修正されても長門型より燃料食ってるの自体が問題なわけで。

コレも相まってアイアンボトムサウンドは燃えたのである。


任務にも裏打ちされた「やめられなさ」

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極めつけが潜水艦4隻を用いた「潜水艦派遣作戦」の任務の存在だ。

日頃からデイリーやウィークリーの任務を消化するためのルーチンワークをしている人だろうが、「クリア出来ればいいかな」ぐらいのプレイの人だろうが、この手の「編成任務」「遠征任務」を見過ごすのは難しい。

というのも、このゲーム序盤の天龍・龍田といい、川内型といい、金剛型といい、南雲機動艦隊といい、第五航空戦隊といい、ゲームを遊ぶための「短期目標」として任務が立派に機能しているのである。○○が出たらこの任務がクリアできるから○○が欲しい。××を育てないとこの任務がクリアできないからこのキャラを育てる。艦これの作りはそういうゲームである。

任務をクリアしたい。ゲームを遊びたい。でもあんなことはもうやりたくない。今やらないと酷い目に遭う。そういう欲求に対し「先行実装なんだから」が通用するわけが無いのだ。ポジティブな「もっと遊びたい」とネガティブな「あんな遊び方はもうさせられたくない」の2つの車輪が、艦娘をアイアンボトムサウンドへ突撃させた。それが武蔵イベントの一つの面であったことは否定でき無いと私は思う。

 


余談:イベント3回目なのに今更イベントで荒れるって何なの?について

今回のイベントが夜戦だったりE-4がクソマップだったりああだこうだなのは置いといて、心を無にして出撃するしか無いのは前々から同じだし、通常海域も同じである。では何故いまさら?という話についてだ。

簡単な話だ。前回の大和イベントから70万人増えてる上に大和イベントの奥の奥まで行けた漢字鯖の人口を考えてみるといい。「3回目だからー」で済む話じゃない事ぐらいすぐに分かるはずだ。呉鎮守府の人間ですらやれて潜水艦削りだった大和イベントと、それから何ヶ月もたった武蔵イベントでは挑戦権を持つ人間の数が違う。

「人口増加後の初イベントがこうだった」というのに対して、だからといって「人口が増えすぎたから本来の対象外の人間が増えすぎたんだ」と言うのは些か擁護が過ぎると思う。その理屈だと、「何時間も張り付いて何百回も出撃できる人間しか艦これを遊んじゃいけないし、運営はそういう人間しか相手にしていない」などというトンデモな事になってしまう。艦これってそういうゲームだったっけ?僕って遊んじゃいけない人間だったの?

 

というわけでもし次回があれば「キャラゲー」としての艦これとゆるさの本質とやらについて書こうと思います。ああ2013年のうちにこの記事がかけてよかった。screenshot.916

良いお年を。