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格闘ゲームが難しいと言われる理由をいろいろな所から考えてみた

Game

hira152645616

据え置き機で、過去の名作が復刻したり最新作がドンドン出たりと格闘ゲームの復興の流れが出来つつある。ゲームセンターに行かずとも友人とも、見知らぬ人ともオンライン対戦が出来るようになったのが大きい。ネットコミュニティの発達で、突発対戦会を開いたり、それを生放送したりという楽しみ方も出来るようになってきた。

しかし国内外を問わず、現在の対戦ゲームで人気なのは格闘ゲームよりもシューターと呼ばれるジャンルのゲーム。正確には「ファーストパーソンシューターFPS)」「サードパーソンシューター(TPS)」と言われ、多対多に分かれて陣地の取り合いやサバイバルゲームに講じるタイプのゲームだ。

格闘ゲームは難しい」という声をよく耳にする。確かにコンボ中のコマンド入力は複雑さもあるし、練習しないと出せない物だ。が、どうにも私は単に操作系が難しいだけがとっつきにくさを形作っているだけじゃないように思えたのだ。
ここで、格闘ゲームが難しいと言われてしまう理由を考えてみた。

ゲームを面白いと感じる為に

詰まる所ゲームってのは従来からあるパーツを組み合わせて、「何処をどうする瞬間が最高に面白いと感じてほしいか」を考えて作られるものであり、遊ぶ側をどうそこまで誘導するかが肝になる。

で、ゲーム上の”演出”というのは「イベントシーン」と誤解されつつあるけど実はそれだけじゃない。例えば「もうピンチなんだ!この一撃を放ったらダウンしてくれ!」って大技でちゃんとダウンしてくれるとか。体力がマジで足りなくて次無かったら死ぬ!ってところまでプレイヤーを追い込んで回復キットを出してあげるとか。自動生成の洞窟を掘り進んでいたら行き止まり、入念に隅を探したら次の空洞に見つかる薄い壁が見つかってブチ壊したら大空洞が広がっていたとか。この段差は今は登れないが絶対に後で登れるだろう!と思わせ、アイテムを得てからもう一度来たときにちゃんとご褒美の特殊なアイテムが転がっていたとか。

そういう意表を突きつつも「やっぱり予想した通りそうだった!俺の思い通りになった!」とプレイヤーと達成感・支配感を感じさせるというのは、凄い重要だと私は思う。「ここからどうやったら改善できるか分からない。どうしたらいいか分からない。ここまでの事は無駄だったのか」と、選択肢が余りに見えないと、プレイヤーは諦めてしまう。

確率が絡んだ場合「わざとらしい挙動」は即「萎え」につながるのでそこの調整は入念に行わなければならない。ネット対戦の麻雀が良い例だ。コンピュータ麻雀で配牌が明らかに偏っていた場合もはや個人個人で考え努力する必要など無くなってしまう。また、遊んでて何が面白いかわからないゲームはプレイヤーの想像も期待も煽れなかった「欠陥品のゲーム」って言うことになる。

ゲームというのはその不確定要素を程良く提示し、自分の思考・手腕で乗り切らせてそれを実現させた時「面白さ」を感じて貰えるわけだ。安定してしまい、それだけやっていればもうやることはないとなった場合、プレイヤーの思考は止まるので「ゲームクリア」となる。


初心者の為にシューターがやったこと

で、問題はここからだ。CPU相手ならそれは「開発者からの挑戦状」だのって話になるが対人の場合お話がガラっと変わってくる。ボードゲームパズルゲームじゃなく、対戦アクション。シューターや格闘ゲームの話だ。

シューターの場合「戦況がガラっと変わり、自分の属するチームが今まさに優勢となった瞬間」が面白さの1つとなる訳だが、これに分かりやすい視覚効果と戦況に与える影響でカタチにしたのがコールオブデューティシリーズのキルストリークシステムだ。劣勢だった自軍に誰かが呼んだ「援護」が来て、敵兵は倒されたり動けなくなったりして、「今が転換点だ!」とチーム自体の気力を上げることが出来る。これも”演出”の一つである。しかも、プレイヤーが自分たちで生み出すことの出来る演出だ。

キルストリークシステムには相手のプレイヤーをまとめて倒せるようなものもあるが、実際に倒せる敵というのはそんなに多くはない。腕のあるプレイヤーなら1分で平らげてしまうぐらいの数だ。しかし「迫撃砲が降ってきた」だの、「空爆が来た」だのというのは、明らかに「相手側の有利・膠着状態で安定しかけている戦況を思い切り変えてやるチャンス」という風に映る。

爆弾設置ルールにおける爆弾もそうだ。設置するまでは防御側は安心しきっているが、設置した瞬間に防御側は「劣勢」となる。仕掛ける瞬間の緊張感はプレイヤー達にとって最高の演出となる。家庭用バトルフィールドシリーズはこの爆弾設置ルールを「ラッシュ」と呼称しており、メインに据えて開発されている。面白さは言わずもがなだ。

この”演出”をプレイヤー個人ではなく、同じチームに属している他者も行える。そして誰か一人の動きがチーム全体の動きを変え恩恵を受け取れる。というのが非常に大きい。例え初心者が爆弾を設置できなくても、キルストリークを発動することが出来なくても、爆弾を設置できなくても、誰かがやってくれる。故に少々下手でシステムへの理解が浅い初心者でも「今この攻勢に自分も加わることが出来る」と楽しむことが出来るのだ。初心者でも「勝利を味わうことが出来る」というのがモチベーションの維持に貢献しているというのは想像に難くない。


技量差の拡散 初級者が一矢報いる為に

また、シューターの場合システム側で技量差を拡散・吸収し、「上級者と初級者の差」というのを出にくくしている。現在世界的規模で人気になっているFPSタイトル「コールオブデューティ」と「バトルフィールド」はまぐれでも4発当たれば敵を倒せる。敵を1撃で倒せるような強力な武器は発射するのに時間がかかったり、凄い反動で敵を見失ったりするので、「上級者が並み居る初級者を強力な武器で返り討ち。誰も歯が立ちませんでした」なんて状況をなるべく作らないようにしている。

そもそも「ガード」というシステムが無いので狙いすました4発だろうが、30発破れかぶれで撃ちまくったうちの4発だろうが、当たれば敵は死ぬのだ。家庭用に調整されたシューターはここに着目し、「出会ったら敵を画面の中心に捉える努力してとりあえずトリガーを引いておけ!」というシステムに仕上がっている。

この場合の中心というのは微細な調整の必要な「点」ではなく、大雑把に言ってしまえば「丸」である。大きな丸の中に敵を捉えてトリガーさえ引いていれば、敵にダメージを与えることが出来る。例え自分が倒れてしまっても、後続の誰かが倒したなら両チームに-1の損害が出ただけでイーブンになるのだから、攻撃する意欲も出よう。効果音付きで「アシスト!」という表示が出るので、自分が貢献できたかが分かりやすいのも良い。

一言で言ってしまえば、敵を倒すのに特別な練習なんて必要ないのである。


格闘ゲームは如何にして初級者を遠ざけたか

格闘ゲームにおいて、初級者は上級者に一矢報いる事が出来るだろうか。
とりあえずはジャンプも出来る。移動もできる。波動拳は出た。じゃあ対戦しようで、果たして初級者は上級者に一泡噴かせられるだろうか。マグレで1発パンチが当たった。じゃあここから起死回生できるのか? 答えはノーである。

まず劣勢からの立ち直りだ。相手から連続攻撃を受け、キャラクターがダウンした。起き上がってもまだまだ敵の攻撃は続く。ガード入力で捌き続けても「ガードブレイク」のあるゲームでは限度がある。ガードし続け避け続ける事によって受けるダメージが増えるゲームだってある。これらのシステムが悪いとは言わない。お互いに攻めの姿勢を強い、対戦を面白くする為だからだ。とは言え、「起き上がりに重ねます」と言われて初級者は何をどうすればいいか分かるだろうか?

また、何とかして攻撃しようと技を繰り出すも、ガードされては意味が無い。となるとそのガードを割るために何かをしなければいけない訳だが、手段が分からない。連続技は出ども、それが相手に届くことはなくこちらの攻撃の終わりと同時に相手からの割り込みが入る。では一体どうしたらよかったのだろうか?

冒頭にも描いたが、格闘ゲームにはコンボがある。「コンボの入力の難しさだけが理由ではない」とは言ったが、確実にコンボは一つの障壁である。まず、ある程度のコンボ入力が出来て初めてチャンスが生きるわけで、攻防の末ようやく掴んだパンチ一発もそこからどうすれば良いかということがわかっていない場合全くチャンスに成り得ない。

「何をどうしたらいいか」
つまりプレイヤーには、選択肢が提示されない。どうしたら良いかが分からない。まずこれが大きな障壁となる。「そんなの練習すれば良いじゃん」というのは確かに正論だ。じゃあゲーム本体についているコンボ練習モードで練習して、実践で出したとしてそれは「絶対に届く」のか。一発当たれば届くだろうが、その一発が届かないとしたら。技を出せはするが、出しても意味が無い。

ここで多くの初級者は挫折する。
格闘ゲームを楽しむには多くの練習と格闘ゲームというシステム自体への深い理解と実戦経験が必要不可欠だ。更には「今遊んでいるタイトルではどんなシステムがありどんな立ち回りを要求されるのか」まで出てくると、そうポンポンと手は出せなくなってくる。

一言で言ってしまえば、格闘ゲームは人に努力を強いるのである。

それはそうだ。格闘ゲームというのは経験と知識と指捌きをぶつけ合うスポーツの一種と言っても過言ではない。始めて一日二日の初級者が十年続けてきた上級者に勝てるようなシステムだったら格闘ゲームなんか遊んでいないよという人も多いだろう。それは当たり前の考えだ。だからこそヒリつくほど格闘ゲームは面白く、ストリートファイターシリーズは20年以上の長きに渡って人々を魅了し続けているし、10年以上ストリートファイターIII3rdを遊んでいる人が絶えないのだ。

だがしかし、格闘ゲームは選択肢が見えにくい。どうしたら良い、というのが掴み難い。知識を得れどどうやって生かせば良いか分からなかった場合はどうすれば良いのだろう。メーカーもトレーニングモードやプラクティスモードを用意はしてくれるが、それはHPの切れない殴り殴られ放題の特殊ルールで、CPUの操作するキャラクターと黙々と殴り合うモードだったり、確かに実践的ではあるが最初の一発(始動技と言われる)を決められない人にはまだ不要なコンボ集だったりする。

決定的に、「面白いと思って貰うところまでの誘導が足りない」のである。

基礎知識を得、実践練習を積み、キャラ対策を学び、起き攻めとその対策を覚え、差し合いを制し、相手を画面端に追い込み、始動技を決められるようになって、始めてコンボを使う時が来る。それも反復練習の末、咄嗟に出せなければいけない。そこまで行かないと勝負が楽しめない、というのが初級者にとっての敷居の高さであり、格闘ゲームというジャンル全体の敷居の高さなのだ。と私は考えている。

確かにシステムを使いこなせる人には「サイクバースト」や「セービングアタック」や「直ガ」や「ブラッドヒート」等等のシステムは”演出”足り得るだろう。しかしそれはシステムへの理解がかなり進んだ中級者以上の話であり、それは初級者には”演出”とは成り得ないのだ。下手をすればそのシステムを使えば以降コンボでハメられた時の脱出が出来無くなるだけでなく、相手からのダメージが増幅して不利になるだけと捉えられる訳で、何のために存在するのかと思われてしまうことだってある。


対戦格闘においての技量差を吸収したゲームとは

チーム戦の導入により1対1という「個人じゃどうにもならない」という状況を無くし、ランダムに発生するアイテムで一発逆転のチャンスを作り出し、尚且つ一つ一つの動作が攻撃に直結しており方向入力と3ボタンというシンプルな操作を実現したゲームである。
というかぶっちゃけて言うと「大乱闘スマッシュブラザーズ」の事である。

スマブラ格闘ゲームに含まれるか否かの議論は他所でやってもらうとして、勉強の要らない対戦格闘ゲームとしては相当高いレベルにあると思っているがどうだろうか。
なお「ステージは終点、アイテムブロックはなしにしよう」という人の話は聞いてないしここではやめよう。本当に。喧嘩になるから。


それでもファンが生まれる限り格闘ゲームは終わらない

運良くコミュニティで格闘ゲームを教えてくれる人を見つけられた人。自身の腕の向上を確信し、なにより悔しさをばねにして「勝ちたい」という気持ちがある人。何度負けてでもやっぱり格闘ゲームを楽しいと思う人がいる限り、格闘ゲームはこれからもずっと人々の間で楽しまれていくと思う。現にスーパーストリートファイター4だって、全世界で100万人以上のプレイヤーがいる。ネットのおかげで雑誌やゲーセンのコミュニティ以外のところでも知識を得ることが出来るようになってきた。

それでも本当の初級者、それこそ「格闘ゲームとはなんぞや」という人にはまだ敷居が高いというのが現状だ。コミュニティでの温かい支援もそうだが、メーカー側には「格闘ゲームの基礎の基礎」からきちんと学べるチュートリアルや、コンボに拘らない「捌き」や「起き攻め」、画面端に固められた所からの「切り返し」など差し合いや劣勢から試合の流れを取り戻す方法を初級者に教えるようなモードの搭載をお願いしたい。

確かにキャラ研究が進めば進むほどそのチュートリアルも通じなくなるかも知れないし。そもそもの動き方というのは開発側に押し付けられるものではなくプレイヤー側で切り開いていくものだと私も思う。しかし、ゲームシステムのアップデートと共にそういう「こんな時にどうしたらいいのか」という疑問に対し「例えばこうすることで道が拓けるかもよ」という例を初級者に示してあげて欲しいのだ。アーケードで無理なら、せめて家庭用でそれを搭載して欲しい。

幸運なことに2011年現在、ゲームはパッチのダウンロードで更新できるようになっている。リプレイ機能も「どの位置で何をやったのがマズかったのか」の指摘などがあるといいかもしれない。それこそ、「リプレイのこの時点から3秒だけやりなおしてみる」みたいな練習の機能とかあったら面白いだろう。ここらへんはメーカーの頑張りに期待したい。僕も是非学びたいので。

07/25/12追記

まさか初心者へのアシストを「ジェム」で行うとは思わなかった。アレは駄目だろう。「ゲームの状態としてはガード出来てたので自動ガードしました」なんて誰も幸せにならない。「オート投げ抜け」なんて、対戦相手に失礼とすら感じる。駆け引きもクソもへったくれもない。お祭りゲーと言いながらお祭り精神が一番欠けてるのがカプコンなんじゃないのか……