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鉄拳とDoAが基本無料になった今一度Free to PlayとPay to winが何なのかを考えてみる

Game

 

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「基本無料」と言う言葉を見るだけで警戒されるような世の中に誰がした。
「基本無料」が何百回もクジを引かされるゲームだと勘違いされる世の中に誰がした。

さて、鉄拳の最新作「鉄拳revolution」とDoA最新作「DoA5 アルティメット」に「基本無料版」が用意される事になった。

基本プレイ無料のガチ鉄拳! 『鉄拳レボリューション』が発表、PS3で6月12日配信
http://www.famitsu.com/news/201306/09034627.html

『デッド オア アライブ 5 アルティメット』基本無料版の配信が決定!
――その狙いを早矢仕プロデューサーに直撃 - ファミ通.com
http://www.famitsu.com/news/201306/03034229.html

それぞれの作品の在り方はリンク先の記事を読んでもらうとして、基本無料について「カード集めてガチャって育てて戦えばいいんだろ」ぐらいの知識が無い人向けに書こうと思う。

キーワードは「Free to Play」と「Pay to Win」だ。


Pay to Win(勝ちたきゃ金を払え)

Free to Playは読んで字の如く「基本無料」という意味で、略して「F2P」ともいわれる。パッケージ料金も、月額料金もかからないゲームである。例えばファンタジーアース ゼロスカッとゴルフ パンヤ。例えばLeague of Legends、例えばアイドルマスターシンデレラガールズのようなゲームを指す言葉だ。

この中で今、良くも悪くも話題なっているのが「課金前提のゲームバランスのゲーム」「課金しなければ課金勢の餌になるだけのゲーム」たちだ。このようなゲーム達は「Pay to win」(勝つ為に支払う)ゲーム、と揶揄されている。

何が問題かと言うと、基本プレイ無料でもそこそこの装備を揃え、キャラを揃え、アイテムを揃えられるかもしれない。だがいざ他のプレイヤーと戦うとなると、有料消費回復アイテムや課金武器。装備等々が無くては話にならない、というもの。結局課金プレイヤーと渡り合うためには同等の課金が必要で、上位争いともなれば支払った金額イコールランキングでの順位となってしまう。

Pay to win型のゲームのユニットを揃えるためにガチャに金を注ぎ込み、スタミナの回復の為に金を注ぎ込む人々は俗に「重課金兵」だのと呼ばれることになる。金で武装し金で戦う彼らを的確に表現した言葉だと言えよう。

勝負を決めるのは腕の前にまず金。
Pay to win。
Pay to winゲームでの「力」とは……

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さて、「Pay to winではないFree to Play」とは、一体どういうゲームなのか。


Free to Play Is Not Pay to Win

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例として一つのゲームを挙げたい。Valve社のTeam Fortress 2という作品だ。
このゲームは9つのクラス(兵科)を選び、12対12の2チームに分かれて戦う作品である。

このゲームを楽しむ分には、全く金がかからない。隅々まで楽しむことができる。
にも関わらず、年間200万ドルの収益を叩き出すValveの稼ぎ頭の一つだ。

Team Fortress 2 - Mann Co. Store
http://store.teamfortress.com/

ゲーム内ストアはブラウザから覗く事も可能だ。

プレイヤー達が買っているのは大体以下の商品。

  1. ショートカット
    装備のセットである。このゲームは遊べば遊ぶほど武器が手に入る。無料の武器と有料の武器で性能の差は全くなく、また武器自体に成長要素も無い。なので始めたてのプレイヤーでも、無課金の長期プレイヤーどころか課金プレイヤー相手ですらプレイヤーの環境は平等だ

    季節ごとの大規模アップデートにより9つのクラスにアイテムが数個ずつ追加される。1つずつそろえるには時間がかかるので、それを金で解決しよう!というものである。武器は1個50円から250円。10個パックで2000円と言った感じ。
  2. 帽子
    このゲームは鎧や羽根などで他のプレイヤーとの差別化が出来ない。そこで出て来るのが帽子である。装備したところで何の効果があるわけでも無いが、これがなかなか好評なようだ。帽子は一つ500円が相場。

  3. プレイ中に手に入る宝箱は、有料の鍵を買って使用することで開封する事が出来る。レアアイテムが入っている事があり、特殊なエフェクトを見せびらかしたり使っている武器のキル回数を見せつける事が可能だ。……とは言え、それには武器の性能に全く関係は無い。

見ての通り、「使っている自分だけが楽しい」だけで、他のプレイヤーとゲーム上での差がつくわけではない。時間短縮と「アバターアイテム」しかない。無料で腹いっぱい遊ばせたうえで、金を払いたいプレイヤーが払う。というのがこのゲームの在り方だ。

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……良く考えても見てほしい。Team Fortress2はFPSだ。FPSと言えばこんな風に自分の画面に映るのは手と武器だけで、帽子なんて映るわけがない。当たり前だろう。FPSなんだから。自分の頭なんて見えるわけがない。

それでも人は、帽子に金を払うのだ。


成長要素の無い対戦ゲームでキャラを売るという発想

heroes-of-newerth-logo

Heroes of Newerth - Home - Index
http://www.heroesofnewerth.com/

もう一つ例を挙げたい。Heroes of NewerthというDotA(MOBA)系のゲームだ。
このゲームは5対5の2チームに分かれて戦うRTSゲームで、成長要素は無い。

このゲームの取っていた手法は「キャラ商法」である。と言っても只のキャラ商法ではない。
「キャラ利用権」の販売である。

ひとまず、40人ほどキャラのいる格闘ゲームを思い浮かべてほしい。無課金のプレイヤーは、「今週の無料キャラ」に選ばれた5キャラのみを使う事が出来る。その期間は「今週の無料キャラ」が対戦相手に多くなるが、まあ仕方ないだろう。一週間たち、ようやくキャラに慣れてきた頃にはまた「今週の無料キャラ」が更新されて別の5キャラになってしまう。

「折角慣れて来たのに!」「俺はもっとこのキャラを使ってみたいぞ!」となるだろう。そこで出て来るのが「キャラクター利用権」である。キャラクターに数百円払えば、お気に入りのキャラクターをずっと使い続けることが出来るのだ。このキャラクター利用権、ゲームを遊び続ければ結構な時間がかかるものの、ゲーム内コインでも購入できるのが美味しい。

これに加えて、「オルタナティブアバター」という商売があった。これはいわゆるコスチューム商法なのだが、技のエフェクトを含めキャラの形と音声が変化するという、日本の格闘ゲームと比べると中々に豪華仕様。

このゲームはキャラの単品販売だけでなく「期間限定全キャラ購入権1000円」というセールもやったりしていた。最終的には「全キャラ無料化」に踏み切ったのだが、それまでの課金者には後述する「プレミアムアカウント」の権限が与えられた。

このゲームは格闘ゲームやその他の対戦アクションの比でない勢いで、キャラクターが追加される。すぐにその追加キャラクターを遊ぶことは出来ず、「プレミアムアカウント」のみがそのキャラを使う事が出来た。無課金プレイヤーは「俺は課金しているから最新キャラを使えるんだぜー!」というのを目の当たりにするわけで、そりゃあ金も払いますよね。という感じ。なおこの「最新キャラ」は登場から一ヶ月すると無課金プレイヤーも使用可能となる。

他にも「ゲーム全体に響き渡るシステム音声」も買えて、自分の買った声で相手に「三人一気に倒したぞ!」と聞かせてやることもできる。そのシステム音声にも有名な人(具体的に言うとDuke nukemのDuke nukem役の人)を呼んでいたりして、他のゲームでもいろいろ出来そうな感じだ。人気のアニメや他のゲームとコラボして、「BloodBath(大虐殺)!ざまぁみなさい!」(CV:釘宮ルイズ)とか。

League-of-Legends-logo

読者の方にも遊んでいる人がいるかもしれないLeague of Legendsも大体同じようなシステムである。キャラ利用権とアバター(Skinと言うようだ)に金がかかるだけで、無課金だからと言ってプレイには制約はかからない。


これから目指すべきFree to Playの形

さて、紹介したゲームには共通点がある。どちらも無課金で課金プレイヤーと全く遜色なくプレイが楽しめて、「自分がやりたいこと」の為に金を支払う事になっているということだ。しかもその「自分のやりたいこと」の為に金を払っても、自分は全く有利にはならない。あくまで平等なのである。

やはり基本がアクションゲームで、どこかしらで互いの腕を競い合わせるような「競技性」の在るゲームなら、私はこの2本のようにあってほしい。「金を出さなきゃ勝負にならない」なんて、そんなものは携帯電話のあれそれと、錆びついた「無料オンラインゲーム」だけで十分だ。

鉄拳レボリューションの料金体系は現時点では不明だが、DOA5Uは先の「キャラ利用権」と同じ商法をやるようだ。最初からパッケージ版を買う人間は全キャラが使えるが、基本無料版は最初に4キャラしか居ない。他のキャラは1キャラ400円で、他にもコスチュームを販売する。流石パワーアップキット商法でいろいろやってきたコーエーテクモである。恐ろしい子

対戦ゲームはマッチングサーバーの運用や度重なるアップデートを考えると、最早「売りきりゲーム」ではなく「パッケージ販売型の対戦サービス」になったと言っていいだろう。「基本無料」というだけで騒がず慌てず、こういうやり方もあるんだよと言うのを知っていただければ幸いである。


追記:鉄拳レボリューションの課金制度について
(アイテムアンロック、アバター、キャラ利用権に次ぐ4つめの要素
「スタミナ課金」を選んだ鉄拳)

PLAY :: TEKKEN OFFICIAL :: TEKKEN REVOLUTION for PlayStation 3
http://tekken-revolution.bngames.net/play/

「ダウンロードゲーム」「パッケージゲーム」として考えずに、「最新作をゲーセン風に遊ぶ」と言う事を念頭に置いて読んでほしい。

  • トレーニングモードなし
    (ゲーセンの再現なので、遊ぶ中でキャラを知るという事らしい)
  • CPU戦コイン、対戦コインが時間によって溜まり、それを使って遊ぶ
  • CPU戦コインは1時間で1枚もらえて、2枚まで持てる。
    =時間をあけて起動した場合、CPU戦を2周は遊べる。
  • 対戦コインは30分で1枚もらえて、5枚まで持てる。
    =時間をあけて起動した場合、対戦を5クレ分遊べる。
  • コインを使い切ると遊べなくなるが、課金コインを使ってCPU戦や対戦にクレ投入
  • 課金コインは10枚300円。50枚1200円で購入可能。
  • 課金コイン利用者は、勝てばCPU戦・対戦どちらにも使えるチケットが貰える
    =金を使って戦った人間は連勝すれば遊び放題
    ≒ゲーセンでの連勝の再現
    (≒負ける奴は連コインも再現?)

格闘ゲームの最新作が1クレ24円から遊べる上、毎日……というか2時間半で5クレ追加されることを考えれば、かなり太っ腹に見える。熱くなったりやり込んだりする人間が払えばいいし、ちょろっと対戦してみたい人間はまず5クレだけやってみればいい。

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ただ気になるのが、キャラクターの成長要素だ。

課金コインを使うと成長が早まるらしい。格闘ゲームにも関わらず攻撃力や体力が増加するというのは競技としてどうなのだろう。果たして只のFree to Playなのだろうか。それとも「やり込んで強くしたキャラが無課金を蹂躙する」というPay to Winなのだろうか。

これからの展開を見守りたい。