ラブライブ!サンシャイン!! 2話。梨子にとっての夢の扉と青春のプロローグについて。

キボウノユクエ 誰にも解らないね 確かめようと見つけようと走ってく

ラブライブ!サンシャイン!!2話である。概ね神。 以上。

 

 

あ、はい。書きます。記事を書きます。

詰め込みにつめこんで、チェックポイントを回る事にいっぱいいっぱいだった1話と比べると、2話は圧倒的なまでの熱量を叩きこんできた。正に「ラブライブ!」な回だった。1話の懸念は完全に払拭されたと言っていい。何よりμ'sが劇場版クライマックスで掲げた「スクールアイドルの素晴らしさ」は、様々な人たちに伝わっていたのだなあと世界がグッと広がった事を感じさせる回だった。

スクールアイドルとは。

何を思ったのか、テレビにおかっぱヘアーの俺達が出てきてしまった。

好きなのだ。μ'sが好きなのである。恐らく作品世界では数年前の存在であるμ'sが、たまらなく好きなのだ。それはダイヤも千歌も変わらない。μ'sに背中を押され、夢を見た筈なのだ。

その二人を分けているのは何か。

ダイヤの語るμ'sのそれは、正に「アイドル」への憧れそのものである。私は貴方よりずっと詳しく正しくμ'sが好き。だから貴方達のスクールアイドルは認められない。奇妙なことに、その姿はあのツインテールの妖怪によく似ていた。ポテトを盗み食いし、神社の境内で足首をつかむ女。そう、矢澤にこである。矢澤の叫びは、確かに届いていたんだ。

さて、千歌はどうだろう。彼女が語るのは「スクールアイドル」としてのμ'sである。梨子の「μ'sはなんていうか普通」という感想、もしもダイヤが聞いていたらカンカンにですわしていただろう。だが千歌はそうではない。

どこにでもいる、普通の女子高生。それなのに、あんなにキラキラと輝いている。自分もいつかそうなりたい。高校二年の春にやっと気付いたばかりの夢なのだ。「スノハレを作ったあの時の彼女たちはどうだったんだろう」と調べ、憧れを語る彼女はラッシャイに登場する誰よりも真剣に「スクールアイドル」になろうとしている。

千歌にとってμ'sは、自身で歩いていく彼方の存在だ。その輝きは憧れだとしても、彼女には決して「届かない夢」ではない。自分もそうなりたいと語る目標だ。

僕と君は同じだから。

梨子に対し「してほしい」を伝えるだけだった千歌。その千歌が「変わるよ、きっと」と、手を取るシーンは概ね神だった。自分に好意を向ける人の手をとって「変な人」って、百合なんだよな……

 

神という言葉で済ませられるなら私はブログなんぞやっていないので続ける。しかし言葉など、あの時彼女たちの聞いた海の音と比べてしまえばさして意味を持たないんじゃないだろうか。

光のささない海の暗闇では、何も見つけられない。だけども、不意に見た空があんなにも青かったなら。「僕も同じなんじゃないか」と思えるなら。きっと青春が、その瞬間に聞こえたんだ。

一人、その様子を遠巻きに見る果南。彼女にもその日が絶対来る。諦めちゃだめなんだ。

「わたしのすきなもの」

前回、自らのステージを見せるべきだと書いたわけだが、千歌はもっともっと基本的なことから始めた。つまり「スクールアイドルとはなんぞや?」というお話である。それも知識ではなく、「私はこういうところが好きです」と、目を輝かせながら白いノートにペンを走らせて。

その熱意に、梨子も動かされていく。「ユメノトビラ」。数年越しのμ'sからのメッセージと、千歌の温度にあてられて。

 

ユメノトビラ ずっと探し続けてた 君と僕とのつながりを探してた

ユメノトビラ 誰もが探してるよ 出会いの意味を見つけたいと願ってる

西木野真姫を覚えているだろうか。あのちょろツンデレを。あの恥ずかしがり屋を。あの自信家を。「決まっていた未来」、「終わっていた音楽」を倒し、勇気で未来を見せたスクールアイドルを。

彼女は「私の音楽はもう終わっている」と、決まっていた未来を憂いていた。ピアノの蓋を閉じたのは自分の意思ではなく、やがて訪れる誰かの望む未来の為であった。

さて、桜内梨子…彼女はどうだろうか?

彼女は自らの意思で蓋を閉じた。それは上達のしなさ、もっと言えば「変われなさ」から目を逸らすためだった。「どうやってもいずれ終わり」ではなく、「どうなるのか分からない」「どうすればいいのか分からない」から、ピアノから離れた。

 

先が見えない。それは先が決まり切っているのと同じぐらい、怖く辛いことと言っていいだろう。

 

ピアノを弾いている間はきらきらして、お星さまみたいに輝ける。ピアノの蓋は、桜内梨子にとっての夢の扉だった。閉じてからもずっと近くにあって、ずっと探し続けていた、ユメノトビラ

「今までの事を諦めるわけにはいかない」「本気でやっている人に失礼だ」と雁字搦めになっていた梨子に、千歌は手を差し伸べる。諦める事は無い。やってみて笑顔になれたらまた弾けばいい。やりたいこと、全部叶えていけばいい。

泣きながら変わりたいと願う梨子、皆を笑顔にするのがスクールアイドルだと手を伸ばす千歌。梨子が「流石に届かないね」と諦めかけたその時、届かない星だとしても千歌は手を伸ばす。触れられなかったら、もう二度とその熱さは戻らないかもしれない。身を乗り出して手を差し伸べる千歌。

「待って!駄目っ!」

今、その手を伸ばしたかった。ゼロからの一歩は勇気が必要。だから半歩ずつ彼女たちは歩み寄った。「変わりたい」から、「今、未来、変えてみたくなった」から。

傍から見ていれば、馬鹿げたやりとりだ。
だけど彼女達にとっては、これが青春のプロローグなんだ。
一生懸命になるのはきっと、とても素敵な事だから。

  

ラブライブ!サンシャイン!!は決してラブライブ!の二番煎じではない。μ'sの見せた輝きと温度を胸に、いずれAqoursになる9人の、新しい夢の物語だ。来週を楽しみに待ちたい。