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ラブライブ!サンシャイン!!3話 side-A だから千歌は羽根を掴まなかった。

ラブライブ!サンシャイン!!(以下ラッシャイ)は、ラブライブ2!ではない。当たり前の話だが、とても大事なことだ。ラブライブ!の流れを汲めども、ラッシャイは続編ではなく新シリーズである。

君のこころは輝いてるかい?』(以下『君ここ』)のMVをご覧になったことがあるだろうか。なければ今すぐYoutubeで見ることを勧める。ある程度キャラの名前と顔を覚えた今ならば、その情報の洪水に流されることなくすべてを受け止められるだろう。
 
さて『君ここ』のMV冒頭、千歌が見送るのは一羽の鳥だ。その鳥は羽根を落としていくのだが、千歌はそれを掴まない。ただ微笑むだけである。
 
羽根。それはラブライブ!本編で夢や輝き、青春の象徴として幾度となく現れ、2期ではそれを手にして微笑む各メンバーが描かれたキーアイテムである。そしてμ'sは沢山の羽根を散らして、羽ばたいていった。「産毛の小鳥たちもいつか空に羽ばたく」と、歌った通りに。
 
話を戻そう。千歌は羽根を拾わなかった。その輝きに圧倒されながら、夢に恋い焦がれながら、いつか歩いていく彼方の夢としてスクールアイドルプロジェクトをスタートさせた彼女は、羽根を拾わなかったのだ。
 
普通、羽根は拾うだろう。そうして「受け継がれた」「続いた」と、湧き上がるのが視聴者だ。しかし千歌は羽根を拾わない。何故だろうか?μ'sの伝えたかった「スクールアイドルの素晴らしさ」は、届かなかったのだろうか?
 
それに対して、明確な答えを打ち出したのがラッシャイ3話「ファーストステップ」であったと思う。
 
暗闇と輝き
 
ファーストライブを迎えるのは、前作の0人よりも更に生々しくなった「数人」の観客であった。それでも彼女たちは臆する事なく、自分たちのステージを披露する。問題はその後。悪天候により照明が落ちてしまうのだ。
 
アイドル、ひいては演者というのは、自分と、観客と、そして舞台があってはじめて「演じる」ことが可能となる。そこから光を奪ってしまっては、観客は見えず、暗闇にただ一人となってしまう。
 
暗闇の中、誰に届いているかもわからないまま歌い続けられるほどの強さを少女に求めるのはあまりに酷だろう。自分も変われないし、誰かを変えられるかもわからない。歌声は嗚咽の中に消える。「こんな筈じゃなかった」と誰もが思ったとその時、光が戻る。
 
「誰か」が、そう望んだのだ。
「誰か」が、そうあれと望んだのだ。
そう在れ。「アイドル」よ、そう在れ。
 
彼女らは歌った。精一杯の声で歌った。満員の観客の前で歌った。その姿は例え拙かったとしても、誰かの輝きに足るには十分なステージであったと僕は思う。
 
暗闇と輝き。「スクールアイドル」を描くにあたり、これほど的確な描き方もなかなかないのではなかろうか。
 
輝きたい。
 
「(μ'sの)彼女達はいいました。スクールアイドルはこれからも広がっていく。どこまでだって行ける。どんな夢だって叶えられると」
 
それは、μ'sの言葉と、μ'sの夢だ。Aqoursだけでなく、全国の人々に光を与えた、μ'sの輝きだ。
 
それに対して黒澤ダイヤは言った。これは今までのスクールアイドルの努力と、街の人の善意による成功であると。
 
スクールアイドルの努力。それは作中で言うならばA-RISEやμ'sを始めとしたグループたちの活動そのものを指す。だが、少しカメラを引いてみればどうだろう。スクールアイドルの努力。大人気のスクールアイドル。東京では流行ってる。即ち、ラブライブ!の名を冠しているが故の成功だということにならないだろうか。μ'sの威光を借りた上での展開だろう?という問いかけにはならないだろうか。
 
街の人の善意。それは作中で言うならば沼津の人々の「おらが街のアイドルだから」とかけつけてくれた、地元愛を指す。別に彼女らじゃなくても、人々は沼津のスクールアイドルだったなら取り敢えずは来てくれただろう。そしてこれは、「ラブライブ!」の名を冠しているから……「μ'sの物語が良かったから」観ている視聴者の事にほかならない。
 
成功しているコンテンツだから成功している。成功しているコンテンツの新作だから見ている。それは別に彼女達でなくても成立してしまうし、それは彼女達の輝きそのものではないのだ。勘違いしないように。
 
しかし、Aqoursの3人は、それにこう応える。
「わかっています」、と。
 
「わかっています。でも、見ているだけじゃ始まらないって、上手く言えないけど、今しかない瞬間だから。」
 
「輝きたい。」
 
輝きたい。それは誰かの夢の続きではなく、彼女達が目覚めたばかりの「僕らの夢」だ。眩しい眩しい、気づいたらばかりの彼女たちの夢と青春だ。
 
だから千歌は羽根を拾わなかった。彼女達が向かっているのは、彼女達の夢に見る「彼女達の輝き」だからである。
 

 

青空Jumping Heart

青空Jumping Heart

 

 

 

 
まさかの「過去作と同じではなく、それに乗っかるだけの物語ではない」宣言をぶちかましたラッシャイ。今後も目が離せない作品にやりそうで、毎週土曜が待ち遠しい。