読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Assasin's Creed Revelationsプレイ後記。或いはシリーズを通して遊んでいるが故の不安と不満。

今やドラゴンクエストファイナルファンタジーの時代ではない。
大破壊後を舞台にしたポストアポカリプス物。銀河をまたにかけたり宇宙船でヒーコラ言いながらクリーチャーを相手にしたり、時には海底都市で元人間達と戦うSF。テロリストとロシアのスペツナヅを目の敵にしている特殊部隊。そして暗殺者<アサシン>の物語が、全世界で人気を集めている。

今回はAssasin's Creedシリーズ第4作『Assasin's Creed Revelations』をプレイし終えたので、一先ずこの作品単体でのプレイ後記をお届けする。2からの年刊アサシンクリード3作目の舞台はイスタンブール。エツィオはアサシン教団の開かずの間の鍵を求めて疾走する。

そう、疾走するのだが。ずっと追いかけてきたプレイヤーとキャラクター達の温度差が問題になるわけで。ネタバレありありで思う事を書いていきたい。

飛んでイスタンブール。かみ合わないシステム。

今作もエツィオはギルドのメンバーを育成し、アサシンの戦力を増強したりすることになる。新アクションとしてフックブレードが追加され、よじ登るたびにコツンコツンと心地よい音が鳴るのは嬉しい。年をとっても大ジャンプは相変わらず可能で、しかもフックを渡されたワイヤーにひっかけることによりぶら下がり移動も可能になった。最も大きな追加要素が「グレネード」の存在で、破片爆弾から煙幕まきびしクラッカーと何でも来い。グレネードは自作する必要があり、町中に工具箱が置いてあるのでそれを利用することになる。

これにフルシンクロが絡んでくると「見つからない」「殺さない」となってくるわけだが、今作はやたらその箇所が多い。ルートを探して一人ひとり確実に仕留めて進むわけでなく、グレネードで注意を逸らしたり視界を塞いで走れ、というのだ。今まで散々殺したり、兵士と遺跡の中でおいかけっこをしてきたのに、である。グレネードが必要な場所には必ず作業台が置いてあるのもなんだか残念だ。宝箱からは爆弾の材料ばかりがわんさか出てくる。

「武器変更画面の呼び出しの遅さや使い勝手の悪さ」「投擲距離の短さ」「効果範囲の狭さ」「影響持続時間の短さ」などが相まって、グレネードの使用を強制されるのは正直面白くなかった。音が鳴ったり煙が出ているのだからただ眺めず付近を捜索したり、周りの兵を呼んでもっと引き付けてくれれば使い勝手も良かったのだが。

フックブレードもアスレチックステージではフックの見た目の頼りなさからハラハラさせてくれるのに一役買ってはいるが、ワイヤーの使用となると別だ。ワイヤーは特定の高所から低所へしか移動できないわけで、フルシンクロにワイヤーの使用が組み込まれるといささか面倒である。火薬庫から逃げ出す際にワイヤーを使えというのがあるのだが、このワイヤーがまたプレイヤーの目のつくところに無くて苦労した。「脱出劇の最中にワイヤーからダイブして敵を殺すアサシン」という風にしたかったのだろうが、私の操作するエツィオは番兵に追われながら空を見てワイヤーの発着点を探して右往左往する羽目になった。

さらに、フルシンクロの条件に「ノーダメージ」「連続で5人殺す」なども加わるともうイライラしか出てこない。老エツィオが最強のアサシンとしてこの場をさらりとかわしたという事にしたいのだろうけれどもこれはゲームだ。もう安直に「こう設定したら難しくなるだろ」と条件が設定されたようにしか思えない。折角育成したギルドメンバーを呼ぶのも「見つからない」に抵触するので使えないし、明らかにステージのデザインが「ここで部下を呼んで颯爽と去れ」「アローレインで一網打尽にしろ」となっているのに「殺さない」に抵触するので使えない。フルシンクロが激しく没入感を殺いでいるのが残念で仕方ない。

また、今回も悪評システムがある。 ・店を買う ・人を殺す 等の行いで悪評はもりもり上がる。2のヴィラ復興が一ヶ所で行えた事を考えれば街中を走り回って看板を見つけるだけでもストレスだと言うのに、上がり切ると街の警戒レベルが引き上がり、突然ギルド防衛タワーディフェンスが始まる。このタワーディフェンスがまぁ面白くない。

まず高所のエツィオの肩越しにユニットを配置するので非常に見にくい。基本が弓矢・銃・ダイブして数を減らすアサシンぐらいで地味。死んだ敵にわざわざカーソルを合わせてBボタンを押し、クレジットを入手しなきゃいけないのが手間だ。味方が殺されるたびに事態はリアルタイムで進行しているにもかからわず味方が死ぬカットが挿入されるのもいただけない。エツィオは高所からバンバン銃を撃ったり大砲を撃つことが出来るのだが、これもバリゲード突破用の破城槌(丸太で門をボンボン突いて門を破壊する兵器)にはあまり効果が無い。ではこれの対処をどうするかと言うと、「バリゲードを大量に配置して時間稼ぎをし、銃兵に撃たせる」である。戦略もへったくれもない。悪評を溜めるとパトカーや戦車やヘリが出てきてゲームが派手になるならまだしも、出来の悪いRTSは金輪際遊ばせないでほしい。これなら植物の種を植えてゾンビを迎撃した方が有意義な時間を楽しめるからだ。

ギルドのメンバー育成も面倒だ。街の中を歩きながら獲得したメンバーをちょくちょく派遣するのが手間である。大量にある街を奪還せよ、という形らしいがどの街をどう攻略しても代わり映えが無い。一応爆弾の材料が定期的に貰えるようにはなるわけだが、「舞踏会に忍び込め」だの「テンプル騎士を暗殺しろ」だの言われてもその後の小話が無い。この手の派遣システムはFFTの「儲け話」がある以上、事件の顛末について書いてくれてもいいと思うのだが。

「俺はデズモンド・マイルズ。これは俺の物語だ」

アサシンクリードはデズモンドの記憶を探り、リンゴの居場所を明らかにしたりデズモンド自体を強化したりして、アブスターゴが発射しようとするエデンの果実入りシャトルを止める物語である。シャトルを発射させてしまった場合、リンゴによる全世界規模の洗脳が行われるので何としても止めなければならない。……ぶっちゃけこの現代編自体そんなに魅力的ではないと思うのは私だけだろうか。

デズモンドは1で「俺はただのバーテンダーだ」と言いながらアニムスに潜らされ、2でも同じように狭い部屋でアニムス漬けである。BHでは現代のヴィラに立ち寄り500年前と変わらぬ姿を見ることが出来たり、現代のコロセウムの地下に出向いたりして高まりこそしたが、今作では最後の最後まで寝っぱなしである。それも「アニムスに入りすぎて頭がグシャグシャになったので、エツィオの記憶を最後まで見てこい」という理由でだ。現代編は1ミリも進んじゃいない。強いて言うならアニムスごとデズモンドをアメリカへ運び、デズモンドの父親と合流できたぐらいだ。

アニムスの中でデズモンドは自分の過去を話すわけだが、その過去も「16歳になるまでアサシン教団の育成所に居たので逃げてきて9年ずっと働いていました。ぶっちゃけ孤独でしたさみしかったです」というもの。この回想を音声と壁に投影された映像で見せられながら、プレイヤーは無機質な「アニムスの生データ」とされる世界をトリガーを連打して足場を作りながら飛んだり跳ねたりさせられる。しかも落ちたりしたらやり直し。デズモンド自身のキャラクターを深めようとしているなら大失敗している。

過去への旅は楽しいものだが、この何のために潜るのか?という骨の部分がどうにも弱い。記憶の中でも、そして現代でも「かつて来たりし者」なる先史文明の人間と接触する機会があるわけだが、その彼らも「太陽フレアのせいで私たちの流線型でガラスのビルの立ち並ぶ文明はメタメタに破壊されました。あなたたちの使っているエデンの果実は元々私たちが作ったものです。もう一度私たちが復活するために力を貸しなさい。いろいろ聞きたいこともあるだろうけどいいから言われた事やれ。」と喚くばかりで話はちっとも前に進まない。

一応今作で先史文明の最重要なデータセンターがアメリカにある事が発覚したので3の舞台はアメリカである。更に3では「デズモンドの物語に決着がつく」というありがたーいお話もある。だが、アブスターゴがどれだけ強大な企業と言われようと、アサシン教団が壊滅状態だと言われようと、洗脳用衛星がシャトルで打ち上げられると煽られようと、どうにも高まらない。

ライバルであるテンプル騎士団は着々と兵員を増強している。取り出したテンプル騎士団の凄腕暗殺者たちの記憶を人々に見せ、夢の中で一流同士の殺し合いを演じさせているのだ。幾ら殺し合っても命を落とすことはないし、経験も技術も桁違いの効率で吸収できる。ここら辺の話はマルチプレイヤーで語られ、マルチプレイヤーではプレイヤーがアブスターゴのエージェントとして記憶にダイブする設定な訳だが、これが果たして本編にどう絡んでくるかが見ものだ。

二人の暗殺者の最期

今作は「マシャフ(本家アサシン教団の砦)の鍵が無かったのでイスタンブールに取りに来た」程度の話で、メインストーリーが味気ない。というのも1のテンプル騎士団、2のメディチ家を狙う敵やボルジア家、BHのチェーザレという魅力的な悪役たちと比べると今作はどうも浅いのだ。ゲームの舞台となる年代の60年前に滅びたビザンツ帝国残党のパレオロゴスがテンプル騎士団と手を組んでオスマン帝国の打倒を目論んでいる、という話である。そのテンプル騎士団に命を狙われるスレイマン1世の補佐を行うのがアサシン教団なわけだが、そもそもエツィオがしにきたのは「鍵の確保」であり、別にビザンツ帝国の再興を叩き潰してやろうだとか、圧政に苦しむ民衆を解放してやろうとか義憤にかられてのことではない。

リベレーション自体「ローマ解放以後淡々と任務をこなしてきたエツィオが最期に悟る」という物語だから仕方ないのかもしれない。なんやかんやあってビザンツ残党のアジトであるカッパドギアに潜入してパレオロゴスを殺害し、バヤズィト2世の後継者争いの中ビザンツ残党の支援を行っていたアフメト皇子を倒す訳だが、エツィオの心の中には何も残らないのだ。

その味気ないストーリーの唯一の救いが「アルタイルの記憶」だ。前々から「アルタイルはリンゴを手に入れ、テンプル騎士団長の影武者と結ばれました」という事は知られていたし、2ではアルタイルが手に入れたリンゴの扱いに悩みながら銃を発明したことが明かされている。だが、アルタイル自身の最期がどうなったかは知らされていなかった。デズモンドがエツィオに記憶に潜るように、エツィオはアルタイルの記憶に潜ってアサシン教団の再興とアルタイルの思いを見ることになった。

テンプル騎士団撃退後、アルタイルはリンゴの占有と今までの行いから不信感を抱かれ大規模な謀反を起こされる。妻と子を失いながら、腐敗したアサシン教団に仲間と立ち向かう様はマスターアサシンの名に相応しい雄姿。老いても尚その技は錆び付かず、切りかかるアサシンの剣をスルリと奪いその強さで改心させていくのはカウンターシステムのあるゲームならではの表現。「貴様は未来に殺される」と呟いて仕込み銃を放つシーンはシリーズ屈指の名場面だ。リンゴは利用されなくとも、誰がか所持しているというその情報だけで争いを引き起こす。故に鍵をかけた書物庫でリンゴを保管し、リンゴの伝承すら忘れ去られ、暗号を解く知恵を持つ者が来るまでマシャフで守り続けよう。と、リンゴを隠した椅子の前でひっそりと息を引き取るところでアルタイルの記憶は終わる。

マシャフの鍵を手に入れる為の暗号解読の過程で、エツィオはソフィアという女性と恋に落ちる。もう年なのに色恋沙汰には事欠かない男だ。50を過ぎて「私も自分の人生を生きてみよっかな♪」なんて女子力の高いことを言い始める主人公はなかなかいない。まあ、これにも一つ理由がある。エツィオがモテる理由ではなく、エツィオが老いて恋におちねばならなかった理由だ。アサシンの記憶は遺伝子記憶であり、その記憶は親から子へと受け継がれる。記憶が途絶するのは母体の中にいる10ヶ月ぐらいだ。エツィオが若くして子を授かった場合「子から見た父エツィオ」の物語になるし、子を授からなかった場合「何らかの先史文明の手段でエツィオ以後のアサシンが記憶を全て見た」という話しか出来ないからである。エツィオがエツィオ自身の物語の主人公として描かれる場合、エツィオは老いてから結ばれねばならなかった、という事だ。

「歴史は我々の遊び場」

2、ブラザーフッドの両作では記憶でなくアニムス内部に残された痕跡を調べることにより、テンプル騎士団とアサシン教団が史実の裏で何をやっていたかを調べることが出来る。例えば「アルタイルの林檎はエリサベス一世により回収され、その後ガンジーの手に渡り、アブスターゴが手に入れた後にアサシン教団の手によって爆破されている」とかケネディ暗殺はリンゴを奪取ためであり、その後殺害犯からリンドン・ジョンソン大統領へ手渡された」とかニコラ・テスラがリンゴで生み出した交流を気に入らないエジソンニコラ・テスラからリンゴを奪取。発明王となり、フォードに渡して従業員を安く扱き使わせた。その後ヒトラーの手に渡りリンゴで人々を洗脳してナチスを盛り上げ第二次世界大戦を勃発させた」だとか、そういう陰謀論の大好きな人の為の小話が用意されている。

「つまり全てはテンプル騎士団の陰謀だったんだよ!」
「な、なんだってー!!」

というトンデモを、神話、聖書の時代から、イラク戦争プーチンの大統領当選に至るまでネタにしてゲーム内に散らばせていたのだ。この歴史ミステリーがアサシンクリードの売りの一つである。

このトンデモはシンボルだけに限らず、ゲーム中にアサシン教団の成り立ちや英雄達について学んだり、英雄の墓を訪れる事でも語られる。曰くクレオパトラはアサシンの放ったコブラに殺されただとか、スターリンはアサシンに殺されただとか、カエサルを殺したブルータスは実はアサシンだったとか、そういう話だ。そんな彼らの墓が例えばフィレンツェサンタ・マリア・デル・フィオーレだとかヴェネツィアサン・マルコ大聖堂にある。なのでパズルを解いてアイテムを貰いに行こう。なんて言われたら好奇心を掻き立てられない訳がない。内部は高解像度のテクスチャを使用し壁画や天井画まで再現されているので観光ゲームとしても成立する程であった。

だが、今作にはそういったものが一つしかない。しかも隠しアイテムを全て集めきったら、という条件付きである。そのアヤソフィアを攻略しても、手に入るのはギルドで味方を育成して手に入れる防具の方が性能も見た目も良いのだからいろいろと肩すかしだ。歴史ミステリー要素を期待して遊んでいる人も多いのだろうから、ナンバリングタイトルである3では頑張ってほしい。

LOSTにならない為に。

こちらのコラムでも触れられている通り、既に人々は3年以上を引き延ばされる物語の結末を見るために費やしている。それを利用して「粗雑な商品」を売るのはこれっきりにして欲しい。エツィオやアルタイルという戦士の姿を世界はもう十分見届けたし、時計の針を前に進めるべきだ。今年の年末も新作が楽しめるのは嬉しいが、またスタッフロールの最中にババーンキャーなんて演出は勘弁してほしいもんだ。