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CoD:MW3を終えてゲームの今後について思った事

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マルチプレイが過去最悪の出来となったMW3は、「もうこのシリーズには発売日に60ドル払うだけの価値はない」と人々に思わせるに十分な作品だった。私はMW3自体を忌み嫌い、スペシャルオプスもシングルプレイヤーも遊ぶこともせずに本棚の奥へとしまい込む事を選んだのである。

BO2のリリースに伴い「せめてMWシリーズ全作Veteranでクリアしておこう」と謎の使命感が首をもたげてきた。何かに突き動かされるように、MWからMW3に至るまで三作を三日で終えた所である。

 



多くのプレイヤーにとっては2年ぶりの続編だったが、私にとっては1時間ぶりの続編という状況だ。初見プレイVeteran難易度でMW3に臨んで感じたことを書こうと思う。

 

Call of Duty : World Tour

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開幕早々私を出迎えたのは、長距離射撃を正確に叩き込んでくる敵の山だった。倒しても倒しても湧いてくるし、二階からも撃ってくるし、角に待っているのもたくさんいる。もちろん一瞬でこっちは死ぬので、溜息をつきながら「脱出劇」にも関わらず「物陰からちらちらと敵の頭を撃つ」他ないのである。何ら改善も改良もみられぬ、いつも通りのMWだったのだ。

もちろんスラム街のゴチャゴチャした所での戦い、はっきり言ってしまえばMW2のFavelaのようなステージも出てくる。しかも2ステージもだ。悪い点は悪い点のまま、とりあえず「今までのモダンウォーフェアの再現」を行ったのがMW3だと言える。

ただ、戦場はバラエティ豊かだ。ミサイルとヘリの飛び交うニューヨークからロンドンにパリ、ハンブルクからプラハまで欧米の主要都市が舞台となる。AC130だって出てくるし、キャプテン・プライスだって出てくる。それでも何か足りないと感じてしまうのは、「悪い所潰し」も出来ず、「ナンバリングタイトルにも関わらず、あまりにもそのまま過ぎた」からだろう。

上空支援があってタッチパネルデバイスで機銃を操作するなら、そろそろゴーストリコンのクロスコムやODSTのバイザーのような「情報共有」の面での近未来感の演出だってあってよかったはずだ。現にAC130の操作ステージでは動く敵の影が全て赤いマークで現れ、そのような情報共有が出来ていたのだから。

モダン・ウォーフェア3」というよりは、「CoD:ワールドツアー」とでもいうべき、2のシステムを使っての追加キャンペーン集というのがMW3の実情である。「収録されている楽曲やDLCに興味があるならいいが、追加楽曲集でしかないよ」というのは、同じアクティビジョン社から出ている「ギターヒーロー」で散々やってきた商法で、それが今回CoDでも行われたのかなあというところだ。

 

もうヘリは落とさなくても良いんじゃないか

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CoD2ではプライベート・ライアンのようにスローモーションの世界で生死の境をさまよい、CoD4では何度も死にかけながら最後にはプライスから貰ったM1911でザカエフとの決着をつける。まあここまでは良い。だが、CoDは余りにそのスローモーション演出を使いすぎた。

敵の勢力圏内で墜ちた航空機の乗組員の救出や、何とか味方に交信して回収地点までダッシュするのが盛り上がるのは分かる。だが、「ミニガンへ敵のヘリを撃て!」と散々撃っても実はダメージが通っておらず、時間経過で「自分たちのヘリにぶつかるぐらい近い位置」でようやく撃破可能となり、その結果ヘリがぶつかってきたうわあ落ちるなどと騒がれてもプレイヤーはグルグル回されて酔うだけである。

ヘリでグルグル回されたり回収地点にやってきたヘリがRPGで撃墜されるのは最早当たり前になってしまった。というかヘリが出てきたらもう落ちるものプレイヤーがもう考えてしまう。また、死の間際の様な暗転演出も安直に使われすぎて鼻についた。ビルが倒壊してその衝撃で死にかけるとか、イベントで撃たれて死にかけるならまだしも、車の横転やら戦車が駐車場のスロープ踏み抜いて落ちるとかエレベーターが落ちるとか1ステージに1回ぐらいそういうことをやられると流石に飽きてくる。流石に反省したのか、ドア爆破からの突撃は減ったようだが。それでも「乗り物に乗っての撃ち合い」も相当数ある。

何より、これを多用するという事は「CoD4の最後は凄く格好良かったのに」とシリーズ全体の評価を下げることになるのでやめてほしい。プライベート・ライアンだってやったのはオマハビーチと、ミラーが戦車に向かってピストルを撃った二回だけだ。

CoDの第三次世界大戦

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今作はロシアがテロリストと手を組み、バイオガスによる広域無差別殺人の後電撃戦を行うという筋書である。往年のドイツ占領下に於ける連合軍の様な雰囲気に加えてテロとの戦いも混ざった風になっている。崩れたバルコニーを歩いて下を覗き見た時には日の当たるカフェで何人もの人が死んでいるのを観ることになるし、何よりロンドンでのテロは「ホームビデオで子供を撮影していた父親が爆弾テロで娘が吹き飛ぶのを目の当たりにし、自分も毒ガスで息絶える」という衝撃的なシーンで始まる。細かい所の演出はさておき、CoDなりの第三次世界大戦の描写は成功したと言っていいだろう。

パリのど真ん中からエッフェル塔に向かっての脱出ミッションでは、大規模な市街戦あり、AC130による支援を受けながらの逃走有り、しまいには背景かと思われたエッフェル塔の倒壊有りとなかなか楽しませてもらった。パリの地下に広がるカタコンベにテロリストが潜伏しているという設定なのだが、不気味な墓場での銃撃戦というのはアサシンクリードに通じる「観光ゲーム」としての一面があるように思えた。

パリ以外にもニューヨークではミサイルがビルに命中し瓦礫が落下する所からスタート。2ステージ目ではニューヨーク港に押し寄せるロシア艦隊の潜水艦に潜入しハッキングを仕掛け、ロシア艦隊に向けてミサイルを発射させての大脱出となる。次々と爆発炎上するロシア艦隊からボートで逃げ出すシーンは圧巻の一言。お金のかかっているソフトだからこそのアトラクションとしてのCoDを体感できた。

いよいよ名に恥じないModern Warfare(現代戦)を描いてきた。と素直にここは褒めておきたい。

007化するCoD

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ただし、「悪の親玉の居るチェコの古城潜入」や「シベリア奥地のダイヤモンド鉱山の死闘」となると話は別で、どうにもそれは対テロ戦とかそういう話じゃなくアクション映画に寄り過ぎている気もする。元々が「アメリカのトップの陰謀を阻止するも国を追われたイギリスの特殊部隊」が主人公なのだからしょうがないとは思うが、大統領救出作戦はやはりモスクワでやってほしかったなあと思う。

また今回、複数の兵士の視点を切り替えて進めていく辺りCoD3までのCoDが戻ってきていて良かったのだが、結局は「老戦士プライス」を持ち上げるために2までの主人公であるソープや、ニューヒーローとなりえたユーリまで殺してしまった。マカロフがどこまでも上を行く人間なのは分かるし大ピンチなのも分かるが、そこは若干親しくなったぐらいの名有りキャラを殺すぐらいにしてほしかった。というのはCoDを追いかけてきた者のワガママだろうか。

また、気になるのが今後である。「強いロシアを取り戻そうとするザカエフ」「その右腕だった男マカロフ」「そのマカロフと共に世界を牛耳ろうとするテロ屋の皆さん」というのが成り立つと、今後はザカエフの左腕だの右足だのという連中がどんどん出てきてもおかしくないし、そのたびに民兵とギャングの皆様と楽しく撃ち合うことになりそうなのだ。そのうち北朝鮮だのダイヤだのと言い出さないかが心配である。

CoDも第9作。007ならそろそろ三つの乳首を持つ男が出てきたり、原爆ミサイルに対してボンドが悪戦苦闘したり、スペースシャトルに乗るころである。このままネチネチと潜入しては大脱出のゲームを続けるのであれば先は無いと思う。既にワシントン、ニューヨーク、ベルリン、ロンドン、パリ、ハンブルクプラハは出してしまったわけで、こうなると次はギザのピラミッドやアステカの遺跡を出すかヴェネツィアでも舞台にするかという感じなのでそこだけはしっかりしてほしい。アサシンクリードですら、ローマとイスタンブールはパンチに欠けていたのだから。

CoDファン向けの「ファンディスク」

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今作、CoDのファン向けの細かい演出が幾つも用意されている。
例えばプラハでの店で匍匐前進している時に窓に犬が現れて肝を冷やすのはWaWのロシア編のセルフパロディだし、ソマリアでのヘリパイロット救出はCoD4と同じだ。イギリスの地下鉄編で主人公を先導してくれるのは名前こそ直接出ないものの、CoD4に出てきたマクミランその人である。

どうやらこれを「手抜き」「使いまわし」と言う人もいるようだが、私は「ファンサービス」だと思う。ロシアから遠く離れたアフリカの地でもM14+サプレッサーでの狙撃も、マイルハイクラブの逆回しのような旅客機での警護ミッションも、ファンなら「これってアレだろ?」と楽しめること請け合いだ。

最終ステージではロシア大統領を助け、第三次世界大戦の終戦三か月後の戦いが描かれる。テロ組織のボスであるマカロフの居場所を突き止めたユーリとプライスは、たった二人でマカロフの私兵だらけのホテルに突撃する。もちろん二人は死にに行く訳ではない。今度こそプリピャチから始まったザカエフとの縁との断ち切る為に行くのだ。
その装備が、なんとジャガーノートなのである。

ジャガーノートはMW2の2人Coopモードに出てくる重装甲歩兵で、RPGを食らってもものともせず、片手で軽機関銃を乱射してくる強敵である。だがこれはおまけ的なCoopに出てくる敵なだけでストーリーには一切関係ないキャラであった。そのジャガーノート装備を、3の新主人公であるユーリと、1からのキャラであるプライスが着込んで最終決戦に挑むのだ。これで笑わないファンがいるだろうか?

 

アトラクション化するゲームたち

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スタッフが散り散りになり、TreyarchじゃないCoDなんて大丈夫かと心配されたMW3だったが、悪くないスタートを切れたのではないかと思う。だが、ストーリーモードをもう一度遊ぶか?と聞かれたら、私はNoと答えるだろう。悪い点はそのままで、相変わらず階段の上から突然撃ち殺してくるようなキャンペーンなど、新鮮な大爆発のカタルシスなしには遊べない。言い方は悪くなるが「ガワを取り換えただけ」の作品なのは否めないし、新しいショーとしては楽しめるが、それは何度も観るには値しない。季節限定のポテトチップスのような味わいなのだ。

据置ゲーム機やPCならではの処理能力を生かした表現・演出の一本槍でここまで生き延びてきたCoDではあるが、このシングルプレイヤーのみに7000円払えるかと言われると微妙である。それには「終わった後に6000円で売れて、差額1000円で遊べるなら」と返すだろう。シリアスサムやバイオショックロックマンメトロイドのような「次はこうやって遊んでみよう」と思わせる深みはそこにはない。

性懲りも無く周回特典を付けたり、最高難易度を最初から遊ばせないゲームが後を絶たない。そこにあるのは強いまま遊べるヌルさだったり、逆にパラメータをどんぶり勘定で増やしたやたら強いだけの敵であって、「もう一度遊びたい」と思わせる物ではないのが殆どだ。キャンペーンモードを一つ作るのに莫大な予算がかかっているのも分かる。だが、プレイ二回目には新鮮さも摩耗して退屈になるイベント頼りにゲームを作るのはやめてほしい。携帯ゲーム機やスマートフォン向けの「カジュアルゲーム」が繰り返し遊べて、それよりも単価も高く性能の高いマシンの上で動作する「コアゲーム」がアトラクションとして一周で使い捨てられていくのは観るに忍びない。

CoDはまだマルチエンディングじゃないので良いが、二周目の最高難易度限定のエンディングや、差分と呼んでも差し支えない程度のマルチエンディングというのは「二つの塔でボリューム二倍」を地で行くものだ、CoDには是非Coopやゾンビ以外にも、キャンペーンのゲームとしての作り込みを重視して貰い、これ以上狡い方向には進まないでほしいものだ。只でさえ、マルチプレイヤー周りで大不評を買っているのだから。