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Hotline Miami 2を読み解くいくつかの鍵

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既に海外ではナゾ解明!が済んでいるのだが、国内で日本語にて発信されている記事ではHotline miami 2についての考察記事が無いです。が、私も私でちゃんと向かい合って書く時間がどうしても取れないので、いくつか「鍵」としてばら撒いておくことにしました。

//ピーッ。新しいメッセージは1件です??「衝撃の問題作『ホットライン マイアミ』の1作目と2作目がセットになって日本上陸! 『ホットライン マイアミ Collected Edition』が6月25日発売決定!!!!」【先出し週刊ファミ通】 - ファミ通.com
http://www.famitsu.com/news/201503/17074091.html

テラリアという良くも悪くも偉大な前例を作った、作りやがったスパチュンが国内ローカライズを行うという事もあり、今まで宗教上の理由でプレイできなかった人にもマイアミに是非訪れて欲しいですね。あとドバイも。

というわけでHotline miami 2についてのいくつかの「鍵」になるお話です

 


Hotline miamiシリーズの時系列を整理

1985年:
ハワイの米ソ戦争。ヒゲメガネ(Beard)含むゴーストウルヴス編
1989年:
1の本編全て。及び蛇マスクのJake編。及びネズミマスクのRichter編。
1990年:
Richterが50の祝福の工作員と接触し、刑務所の暴動に乗じて脱獄。
1991年:
2の自警団(Fans)編、刑事(Manny Pardo)編、記者(Evan)編、マフィアの若頭(Son)編、映画撮影(Pig Butcher)編

だいたいこのようになっています。

また、同時にデジタルコミックがリリースされており、全部で5つのエピソードを読む事が出来ます。内容をザックリ説明すると

#1:1のJacket編最終ステージShowdown直後の話。Jacketはロシアンマフィアを壊滅させた後、警察に逮捕される。これをテレビで見たFansは決起を決意する・

#2:Jakeの話。1開始直後。典型的WASPにてレッドネックのクソ右翼デブであるJakeが50の祝福を購読し、反ロシアデモに参加。「サンフランシスコを繰り返すな!」と叫びながら練り歩き、ロシア人に対して暴行を働く。最後に50の祝福のマスクが届く。

#3:映画編の話。91年。Jacketの行動とはかけ離れた「女子供を殺し一般家庭を襲うキチガイマスク」の映画が撮影されているという内容。

#4:The Fansの話。同じく91年。ゲーム開始前から自警活動=町のならず者を殺しまわっているという内容。シマウマ(Corey)と白鳥1号(Alex)が女性であるのが明らかになるエピソードでもある。

#5:ハワイ編の話。何故か1987年にセットされている。ミッドウェイ島までロシアに制圧されているアメリカ軍、という「現実世界とは異なる歴史を歩んだ世界である」という事が明かされる。特殊部隊「ゴーストウルヴス(幽霊狼)」がロシア軍相手に無双する内容。

また「正史」の話をするならば、JacketはBikerを殺さず、カノジョ(映画監督の家から助け出した娼婦)をRichterに殺され、警察署での殺し合いをするも、Richterは手にかけず(実際、1でRichterにトドメを刺さずにGo To Car出来ます)、ロシアンマフィアのアジトでボスも老人も殺した。その後Jacketは捕まり、1991年には裁判中……という世界がHotline miami の正史となっています。

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Bikerはどうなったかと言うと、Jacketには殺されず(顔の傷から半殺しになった事は容易に予想がつきます)、そのまま真相を究明しようとしていました。が、とある砂漠でこの「全米マスク殺人計画」の黒幕に出会うも「今まで感じたことも無い恐怖」を感じた後逃げ回る事しか出来ず、アル中のルンペンに成り果てています。

Biker「俺はロシア人を殺したんだ」
Evan「戦争で?」
Biker「戦争?んなわけがあるか!マイアミでやったんだ!」

まあ、話していることが支離滅裂なので記者にもちゃんと相手にされなかったんですけどね。200ドルももらえなくて散々です。


Jacketの過去。1985年のハワイで何が起こったのか。

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ハワイ編は作中の時間からすると一番古い時代です。ここではゴーストウルヴスのハワイでの戦いとして隊長、ヒゲメガネ、金髪の男、ドレッド黒人、スカーフデブの5人が主に登場します。

ヒゲメガネと金髪の男は正に「相棒」というべき絆で結ばれており、ハワイ編の冒頭で従軍記者に写真を撮ってもらう際にがっつり組んでいたりします。この従軍記者は見ての通り、1991年でも出てくるEvanですね。

で、この金髪の男。一言も喋りません。印象的なのはタバコを吸う事ぐらいでしょうか。しかしヒゲメガネはハワイ編最終ステージで負傷した金髪の男に肩を貸し、「相棒!」と声をかけ、そしてハワイ編の後日談でも彼に親しげに電話をかけています。「いっしょに撮ったポラロイド」という単語が出てくるので分かりやすいですね。

2015-03-14 22_21_11-Hotline Miami 2_ Wrong Number Digital Comic

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ここまで言えばそろそろ勘のいい人なら気付いていそうですが、この金髪の男とは1の主人公にして2で裁判の真っただ中にいるJacketその人です。PAYDAY2でもJacketに従軍経験があるらしいことは仄めかされていたわけですが、これで1での異常な戦闘能力も分かるというものです。

2015-03-17 23_48_30-Hotline Miami 2 - Wrong Number part 17 Act V 17th Scene First Blood - YouTube

さてハワイ編の1年後、ヒゲメガネは念願の「人を殺さなくて済む仕事」として店を経営していました。Jacketと電話していると、何だか店の前が騒がしい。「何か外であったみたいだ。見て来るよ。じゃあね!」と電話を切り、店の外に出てみると

 

2015-03-17 23_49_16-Hotline Miami 2 - Wrong Number part 17 Act V 17th Scene First Blood - YouTube

1986年、サンフランシスコはロシアの核攻撃により吹き飛びました。これによりヒゲメガネも死亡。この出来事はJacketの心に深い傷を残しました。

 

「気にすんなよ。俺のオゴリだからさ!」

1で度々出てきたこの店員の台詞。Jacketの回想の中で全ての店員が同じ顔だったのは、相棒であったヒゲメガネの事を忘れられない彼の心象を表わしていたのかもしれません。こうなるとJacketの行動の理由が変わってきます。つまり、「一般人が50の祝福の小包を機に殺しを始める」ではなく、「相棒を殺したロシアの復讐のために戦っていた」という事です。

人を殺すのが仕事なのが兵士とは言え、その兵士がPTSDを患うというのも良くある話。「正史」でBikerもRichterも殺さなかった理由も、1の開始時点でホームレスを殺して嘔吐した理由も、それが「50の祝福を購読するほどの極右であり、自分の行動の結果を何度も読み返すような人間であり、そしてアメリカという国を愛した兵士だったから」という事で説明がつきます。彼が「敵国の人間」以外で手にかけたのは、後にも先にもあのホームレスだけだったわけです。


刑事と記者、2人の「サイコパス」とFans

トイレでうだうだやってる始まり方の刑事さん。ですが「気晴らし」で街のならず者を皆殺しに行ったり、トランクに人をふん縛って詰めて人を殺して「連続殺人の自作自演」をやったりと警察のバッジ使ってやりたい放題。最後には自分のやっていることがバレるんじゃないかと恐怖し、家の中に椅子でバリゲードを作って閉じこもってしまいます。

刑事の殺人も言ってみれば「愛国心」から来ています。「このクソッタレなマイアミ」を浄化するため、コロンビアンマフィアとの死闘を繰り広げるというのは奇妙な事にFans……すなわち「Jacketの影響を受けた5人の自警団」と一致しています。

とは言えFansは「間違い電話」の通り、街のならず者……しかもギャングと戦っているだけで、実際に「マフィア」を相手に戦うのは最後の一回だけです。DEATH WISHで戦った、The Son率いるロシアンマフィアです。それも、”誰か”の電話に導かれる事が無ければ辿りつくことなど無かったでしょう。

 

さて記者ですが彼も彼で「真実に辿り着く」ため、人一人を殺めようが突撃取材を繰り返します。しかも彼の場合、ある程度の割り切りが出来てしまうのです。1度のミッションで2人殺せば、その後はもう何人殺そうが構いはしない。最早ためらいなどありません。すべては真実の探求のために。

従軍取材の経験もあるとは思いますが、彼も彼で立派なサイコパスです。50の祝福による一連の殺人事件の取材の為なら、ロシアンマフィアだろうが地下鉄駅を根城にするギャングだろうが皆殺しですから。……とは言え、彼にも不殺を貫く意思はあります。やろうと思えば殺したのはロシアンマフィア取材の1人だけで済みます。それを「殺した方が楽だな」と感じてタガを外すのは何よりプレイヤーの選択ですから。

記者も取材にのめり込むあまり、嫁さんに子供ごと逃げられたりしています。もしかしたらあの記者もそのために暴力を…いや、これ以上はやめておきましょう


今回はここまで

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今回は後半の鍵であるRichterや記者の取材で明らかになった事、そして50の祝福周りには触れませんでした。これについてはまた別の機会にしようと思います。

果たして「間違えた」のは誰だったのでしょうか?

しかし、これだけは覚えておいてください。Hotline miami 2はHotline miami の続編であると同時に、「凄く出来のいい後付」に過ぎません。ですから、真面目に受け取って考察しても、適当に受け取っても、また付き合わなくてもいいのです。