あの時ヒトカゲを選んだ子供たちはどうやってタケシに立ち向かうべきだったのか。
ポケットモンスター赤、緑、青、ピカチュウにおける最初のジムリーダーであるニビジムのタケシ。彼の繰り出してくるイシツブテとイワークはどちらもいわタイプのポケモンだ。
オーキド博士から貰えるポケモンは三種類。くさタイプのフシギダネ、みずタイプのゼニガメ、そしてほのおタイプのヒトカゲである。フシギダネを選んだトレーナーなら「つるのむち」、ゼニガメを選んだトレーナーなら「あわ」でタケシのポケモンを瞬殺できる。問題はヒトカゲを選んだ場合だ。
あの時、ポッポやコラッタ達を大量投入して人海戦術で押し切るのは決して正解とは言えないはずだ。きっと、どこかにヒトカゲを選んでもタケシを瞬殺できる手段が用意されていた筈だ。そうでなければ、死んでいったポッポやコラッタ達に申し訳が立たない。
というわけで、ヒトカゲを選んだトレーナーはどうすべきだったかを調査した。
ニビジム挑戦時に入手できそうなポケモンとは(通信含む)
大体こんなもんである。
これに、ニビジムを越えた先の3番道路とオツキミ山で手に入るポケモンを加えてみる。
これらのポケモンは、自力で捕まえることは出来ない。ニビジムをクリアしないで進むと、NPCの手によって通せんぼされてしまうのだ。よって「ちょっと先のポケモンをズルして借りる」ぐらいの考えである。レベル帯は同じだし。
いわタイプに効果が今一つなのはノーマル・ほのお・どく・ひこうの四種類。
このうちピカチュウはレアな上にでんきタイプであるから除外。
オニスズメのつつくはひこうタイプでいまひとつだから除外。
ポッポのかぜおこしは初代だとノーマルタイプなので除外。
コラッタも言わずもがな、ノーマルわざしかないので除外。
となると残りはキャタピー、ビードル、プリン、ズバット、パラス、ニドラン(♂・♀)の7種類ということになる。
ピカチュウバージョンであればこれにマンキーが加わり、またレベル9で格闘タイプの「けたぐり」が使えるのでニビジムの突破は容易となる。ニドラン♂・♀共にレベル10台前半で格闘タイプの「にどげり」を使えるので、これまたニビジムの突破は用意となる。……が、それはピカチュウバージョンならではの救済策である。赤、緑、青でポケモンを遊んでいた少年たちには関係の無い話だ。ニドランにどくばりで攻撃させても効果はいまひとつなのだ。
スピアーとバタフリー
とするとキャタピーとビードル…というかこの二種の進化形であるバタフリーとスピアーの能力が問題なる。スピアーが有力候補にみえるが、その必殺技となるダブルニードルの取得レベルが問題だ。なんとレベルが20も必要。レベル20と言えばニビジムを通り越してその次のハナダジム(カスミ戦)の適正レベルだ。そんなレベルまで上げなきゃならないとなると、少年の心は容易く折れてしまう。
かわってバタフリーだがレベル12でねんりきを覚える。ねんりきはエスパータイプなのでいわタイプ相手に効果がいまひとつになる事は無い。どうやら、ニビジムへ連れていくべきはトキワの森で出会ったキャタピー君のようだ。
だがしかし、キャタピーが当たり前のように出てくるのは緑と青の話。キャタピーは赤バージョンだとピカチュウと出現の確率が同じ、出現率5%のレアモンスターである。
トキワの森の出現率 - ポケモン赤緑青ピカチュウ攻略「ゲームの匠」
http://pokemon.g-takumi.com/appear5_1.html
つまりリザードンに惚れ赤バージョンを選び、ヒトカゲをオーキド博士から貰ったトレーナーは、ピカチュウと同レベルのレアモンスターのキャタピーを何とかして捕まえ、バタフリーまで育て上げ、ねんりきを覚えさせ、そこまでしてようやくあの糸目野郎を力押しでなく叩き潰せる。というわけだ。
何という……茨の道であろうか……!
効果は今一つだとしても
さてバタフリーという一つの正解が見つかったわけだが、その他にも通信が出来るならいろいろとやりようはある。ズバットのちょうおんぱによる混乱状態、パラスのしびれごなによる麻痺状態を引き起こす事が出来れば相手に行動させず削り殺す事が出来るし、ポッポのすなかけによる命中率低下も重ねれば攻撃に当たることなく倒す事も出来なくもない。プリンのうたうで眠らせる事が出来れば言うことなしだ。
……ここまで書きはしたが、上で書いた通り3番道路には「ニビジム終わらせてから来い」というキャラがいるので進めない。通信が出来ない場合ズバットもプリンもパラスも、ニビジム戦の前に入手は不可能だ。
誰かと協力する事が出来ない場合、ニビジムまでで用意できそうなポケモンで、1人プレイで使えそうなのはすなかけのポッポだけである。火傷状態も10%の確率でしか引き起こせないがヒトカゲのひのこも対抗手段として無くはない。無くはないんだ。うん。辛いけど。リザードまで育てて挑んだし。
そもそも「通信でプリンやパラスやズバットをもらえば楽だよ!」といい始めた時点で「最初からオーキド博士から貰えるポケモン3体揃えて戦えばいいじゃん」という話になってしまう。あの時の少年たちに残されていたのは、バタフリーのねんりきだけだったのだ。
開発側もこの問題は認識していたようで、ピカチュウバージョンでは露骨な救済策(マンキーの投入及びニドランへの格闘わざの導入)を取っている。ヒトカゲで苦しんだ人々とポッポやコラッタの死は無駄ではなかったのだ。
さらば少年の日々。バイバイ、バタフリー。