ダビングとかゲーム中古販売とか貸し借りってある点では違法DLと変わらないんじゃねえかとかずっと思ってる。

ゲームにも「セル落ち」とかあっていいのになあ。とか思いつつ。ゲームの話。
(06/02/2011 結びに「貸し借りについての個人的な意見とネットレンタル」を追記)まずは私自身と現状の説明。

Twitterでゆるいつながりを、云々。
就職留年が決まり、皆と疎遠になったり将来の話をするのが怖くなった日。僕はTwitterを始めた。幸運にも自分の好きなゲームつながりの友人が出来、顔も知らない人とアホな事を言い合ったり紅茶を送ってもらったりゲームを貸してもらったりしている。コンビニのカウンターに荷物と80円出せば全国何処へでも運んでくれるんだからいい時代になったものだ。

私は新品でも中古でもゲームを買うし、ゲームはどんどん売るタイプの人だ。遊ばなくなったゲームは昼食程度の金になるのであれば迷わず売却するし、相当心に響いたゲームでも無い限り手放して次のゲームを遊びたいと思う。そういうタイプの人間だ。特にシングルプレイヤーのゲームは日本のRPGも海外のFPS、更にはギャルゲーだって「一周して終わりのゲーム」なら週末にやりこんで、7日と経たずに売り逃げるような感じで遊んでいる。手元に残っているのは例えばFallout3とか、Steins;Gateとか、Call of Dutyシリーズとか、Battlefieldシリーズとか、そんな感じだ。Bioshockのような一本道シューターからGodfatherのようなオープンワールド物まで、最高難易度で一周したり一度サブクエスト含め全部を終えたらソフマップでの売価とヤフオクの相場を見比べ、はいさよなら。と言った具合。長年ゲーマーをやってて、正直この手放す部分がいろいろと面倒くさいと思っていた。人から借りられればもっと手間が省けるのに、と。

「学生時代のように気軽に貸し借りできねえかな」と言ってみたところ、なんと様々な人々にご好意で貸していただけることになり、私もソフトの返送時に相手方のご要望のゲームを入れて返す。なんてことをやっていたりする。オフ会……と言ってもかなりの近所に住んでいるのでもはや友人なのだが、そうやって実際に会って貸し借りをしたり、宅配や郵便でソフトのやりとりをしている。いや、本当にありがたい。

で、ここからが本題だ。
ニコニコ動画でアニメ「日常」の販売が期間限定で行われることになった。

日常 - ニコニコチャンネル

アニメ「日常」 配信動画の販売停止のお知らせ

いつもニコニコ動画をご利用頂き、誠にありがとうございます。

現在ニコニコチャンネルで配信中の「日常」について、諸事情により配信動画の販売を停止させていただくことになりました。

尚、販売停止および配信停止の日程は以下のとおりとなります。

【販売停止の予定】
第1話~第7話 2011年6月 5日(日)12:00 販売停止
2011年6月26日(日)12:00 配信停止

第8話以降~  配信開始から3週間後 販売停止
配信開始から6週間後 配信停止

これに対し「BDが売れないと思っているからだ!ネット販売が伸びるのが怖いんだ!」みたいなツイートやブログのコメントのを見かけたのだ。どうせVeohだのyouから始まる動画サービスに本編がまるっとアップロードされたりするんだし困らないんじゃねえの、とか思ったのは置いておこう。問題は物理的なパッケージでしか提供されなくなるという部分だ。僕達は光ファイバーの高速回線でAmazonにディスクメディアのパッケージを注文して、佐川急便がえっほえっほと持ってくるのを待つことになる。しかもネットでなら全話観るのに映画を一本程度の料金で済むのにも関わらず、1話3000円とかそういう価格設定で、だ。

無論この高額を支払わずに作品を観る手段なら合法非合法問わず沢山ある。合法での代表例が「ビデオソフトのレンタルサービス」だろう。別に豪華デジパック仕様だろうがサントラが付いてようが「一回だけ観たい」人にはそんな物は関係ない。そして、それは「レンタル用の内容だろうが気にしないし、ダビングしてしまえば良い」という人にも、関係のない話だ。大事なのは本編であり、それ以外はどうでもいい。人々がFMラジオのエアチェックをし、借りてきたCDをMDに落とし込んでいた頃から変わらない「コレクターではない人々」の当たり前のやり方だ。

CDV-NET - レンタルと著作権

Q1.レンタルしたCDやビデオを自宅でMDやビデオテープにコピーしたいけど、問題ありませんか。

A1.はい、コピーをすること自体は全く問題ありません。個人的に楽しむ目的で、レンタルしたCDやビデオを自宅でコピーすることは著作権法でも認められた行為です。

なお、ダビング自体は著作権法で認められているので押さえておきたい。リンク先の記事にはCDレンタルでの使用料も併記されている。

さて、ここで問題だ。

  • 自分で買ってきたDVDからPCに取り込んだアニメ
  • 借りてきたDVDからPCに取り込んだアニメ
  • インターネットで違法ダウンロードしPCに保存したアニメ

これらで得られる体験というものに、違いはあるだろうか。
細かい画質とか解像度とかそういう話ではなく、「アニメを観た」という話である。

私は「違いなど無い」と思う。どういう手段でその話が手元に来ようが魔法少女まどか☆マギカの3話でマミさんの頭はジオングよろしく分離することになるし、交響詩篇エウレカセブンの26話ではレントンビームス夫妻の元を離れてゲッコーステイトに帰還するのだ。そう、豪華デジパック仕様サントラ付き限定版であろうが通常版であろうがレンタルだろうが違法DLだろうが、最後にタチコマ達はバトーに別れを告げるし軽音部は卒業するのが物語だ。

では音楽ソフトやゲームソフト、映像ソフトを買った人々は何が出来るのかというと、レンタルで楽しんだ人々と違い物理的にずっと手元に置いておけるし、何より他人に貸すことができるのだ。ダラダラと書いてきたが、貸し借りというのは、借りる者がいて成立する。ここで買った人から物を借りた人は、権利者や開発者にお金を払うことがない。購入者の好意で、完全に無料で楽しむことができる。その無料で楽しめるという点では、違法DLと変わらないのではないか

TSUTAYAで借りてきた映像ソフトを取り込んだり、その取り込んだ映像をまたインスタントメッセンジャーSkypeを通じてやりとりしたり。友達の買ったCDを借りて取り込んだり。果てにはニコニコ動画にアップロードされた楽曲をにこ☆さうんど等を使ってPCに保存したり、それをiPodに転送したり。そういうカジュアルコピーは世の中に幾らでもある。それらと「正規品を買った人との貸し借り」って、実は本質的にはあんまり変わりは無いのではないか。ほら、だって「権利者にお金が渡っていない」し。

実に“素直”な最高裁判決!)!)中古TVゲーム裁判 - 記者の眼:ITpro

「権利者に金が行ってない」という点では中古ゲームを買うのだって同じだ。

私自身ゲームの貸し借りをやっているし、中古ゲームの売り買いだって日常茶飯事だ。どんどん貸し借りしたっていいと思う。作品の入り口が高額な映像ソフトの新品購入のみだけなんて、誰も決めていないし、なによりそこには後ろめたさが無い。誰もが最初から「俺達が買い支えなきゃな!」なんて熱狂的なファンではない訳であり、取っ掛かりのハードルは低く、金銭的負担は小さいほうが良いに決まっている。一度返却してから「やっぱりもう一度観たい!遊びたい!もういい買っちゃう!続編が楽しみ!」となれば、見事ファンの誕生となるわけだ。

見渡せば1話をインターネットで無料公開したり、ネットレンタルも盛んになってきた。ソフトの貸し借りには物の移動がつきものであり、ネットレンタルならばその面倒を取り払ってくれる。ショップに出かける必要だって無いし、返すために梱包する必要もない。探偵オペラ ミルキィホームズに至っては全巻をレンタルで借りてくるより安く楽しめるようになってきている。しかも最終話の収録されたDVDは記事の執筆時点ではまだリリースされていない。ネットの方が手間なく、しかもレンタルに行くより早く楽しめる。CDを買ってこなくたって、1クリックで主題歌だって買える。「貸し借りや違法DLで済ませていた層」を引き込むための動きは、数年前から始まっている。

なお、「日常」の配信停止だが、「ネット販売が怖い!」って話ではなく角川の公式チャンネルを設置する準備のため[PDF]、との噂である。トラフィックじゃね?という指摘が何故か大炎上してらっしゃるのだが、それは【本件撤回】ニコ厨落ち着け、「日常」の配信制限はBDが売れないからじゃない - 日記さん Reloaded でご自分の目で確かめていただきたい。しかしまあ、ちょっと突っ込んだ意見で「こうじゃねえの?」って書いたら「デマを広めたクズがいるぞ!!!」なんて突っ込んでくるんだから恐ろしい世の中である。5月28日時点で363万(再生数) × 23m40s(時間) ×2Mbps(ビットレート)=363万(再生数) × 346MB(1話辺り) =「日常」の転送量1,256TBなので確かにそれっぽいとは思うけれどもな。当然この計算は途中で再生をやめた人だのエコノミーだのは全く考慮してないのでこの数字で騒ぎまわるのはご遠慮いただきたい。

 

話が逸れたが、「ゲームなんて借りればいいだろカネを払うなんて馬鹿馬鹿しい」とか「高い金払ってブルーレイを買うなんてクズのやることだ」なんて考えは絶対にしたくない。ゲームは新品で買う人がいるから中古に流れるわけだし、借りることができるって当たり前のことは流石に忘れたくはない。一家に一台、映像ソフトや音楽ソフトの複製が誰でも簡単に行える高性能なコンピュータがあり、「収められたコンテンツの使い方」が多様化した今では忘れがちだ。

 

午後の蒐集 : ブログで「シュタインズ・ゲート」の割れ自慢をする厨房が登場

間違ってもこういう人間にはなりたくないものである。

 

余談ながら。
私は、派遣のアルバイトでポケットモンスターのイベントでミュウやルカリオを配るお兄さんをやったことがある。ふしぎなおくりものというシステムを使い、プレゼントコードをダウンロードしてもらうのだ。プレゼントコードのダウンロードの仕方の説明や、時間帯によってダウンロードできるポケモンが変わるのでそのアナウンスを行うという仕事だった。多くの子供達は既に映画館で利用したことがあるらしく、「ミュウきたよ!おにいちゃん!」と楽しそうな子供たちの話し相手をすることもあった。

そんな中、一人の男の子がやってきた。
「これでも、出来ますか?」
男の子のDSLiteには、白いカードとSDカードが入っていた。
少し離れたところには、苦笑いのご両親。
「できるよ。」
と、笑顔で言うことしか出来なかった。

レンタルサービス全盛世代の親としては、マジコンは便利な道具だろう。童謡やアニメの主題歌はMDやPCに取り込み、子どもに見せるアンパンマンは借りてきてダビングしたものを使えば良い。そういう感覚で、「ダビングしたゲーム」を使えば良い。どうせダビングしたものを使うんだ、誰がダビングしたものであろうと「遊べる」事にはかわりがない。そんな感じで、小学生なのにマジコンユーザーというのは生まれていく。

彼らが大人になった時の倫理観がほんのちょっとだけ楽しみだ。