バットマン アーカム・シティ。オープンワールドとクエストの報償。

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バットマン アーカム・アサイラムを終えたところでちょうど5ドルセールがあったので購入してクリアした。プレイ時間は16時間。Xbox360コントローラ完全対応。

さて今回の舞台はアーカム・シティ。ゴッサムシティの一角が巨大な刑務所になってしまった!しかも前作でタイタン化したジョーカーがその毒状態の血をバットマンに輸血して「そーらお前もタイタン毒で死ぬのだー薬取ってこーいウヒャヒャヒャ」とか言い出したからまあ大変。斯くしてバットマンの薬探しが始まった……という内容。

で、ふたを開けてみると、これがなかなか。


リニアな物語とオープンワールドの不整合

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バットマン、死にそう。めっちゃ死にそう。どれくらい死にそうかって言うとスーツからの情報を受け取ってるサポートチームが「死ぬって!!バットマン!!早くMr.フリーズから薬貰えって!!おい!!」ってブチ切れるぐらい死にそう。

死にそうなのにリドラーは「なぞなぞ解いてよなぞなぞ」って言ってくるしザズーの野郎はネチネチと電話してくるしデッドショットはばしばし人を殺すしでまずい。「事は一刻を争う」にも関わらず、サイドクエストがわらわら沸いてくるのだ。

マフィア物ならリスペクトを高めたり小金稼ぎを大仕事の合間にやるのも普通だし、革命家の主人公が正規軍相手に暴れるのもいいのだが、何せ今作は死にかけのバットマンが薬欲しさに走り回るゲームだ。そのあたりで、まるで日本のRPGのような不整合を起こしてるのが今作だ。うーん、もったいない。

次のアーカム・ナイトでは毒や爆弾のようなタイムリミットを無くせば、ここらへんの噛み合わなさも改修出来るかも知れない。


サブクエストの報償

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多くのオープンワールドゲームはサイドクエストをクリアすれば金が貰える。そうでなくとも便利なアイテムが貰える。が、バットマン アーカム・シティの場合貰えるのは経験値だ。それもわざわざキャットウーマンバットマンの成長ツリーは別扱い。

当然メインストーリーをクリアした後もゲームは続くわけだが、もうそこまで来ると正直倒す敵が居ないのだ。アクションゲームでレベルやスキル購入で短期目標を設定して、それの解除を目標に頑張ると全ロック解除した途端に達成感が先に来る現象がここにも同じように出てきてしまった。金も経験値も使う先が無くなったら終わりなのだ。

かといってその都度グラップル強化やガジェットを追加しても「サイドクエストをクリアしなきゃ手に入らない」という事になるし、実に難しい。これが火器や装備やアクセサリを扱えるゲームなら特殊な銃や防具という話にもなるのだが、いやいやこれはバットマンだ。バットマンは自前のスーツと拳で戦うのだ。

しかしながら400個も小さなチャレンジとアイテム収集をやって得られるのが実績となると、既にゲーム内での理由というのは無くなって、もう「フルコンプリートを目指す人」でないとやらなさそうだ。現に僕はリドラートロフィーの置かれ方(特にキャットウーマン向けの二度手間トロフィー)が気にくわなくて遊ばずに終わってしまった。


 

パイロットウィングスの幻影

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これは別にバットマン アーカム・シティに限らずオープンワールドゲームでこの手のミッションを見かける度に毎度毎度言っていることなのだが、「上手に車を運転する」とか「何所にも触らずに空を飛ぶ」とか「コンピューターとかけっこをする」だとかいうのはそれを目的としたゲームだけでやっていて欲しい。

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いや、何を言いたいのかは解る。「操縦技術を競うゲーム」として世に名を轟かせたパイロットウィングス。あれをゲーム内での「やりこみ要素」として組み込んだのだ。が、待って欲しい。バットマンを何度も何度も高所から落下させてはリングをくぐり上手に上手にダイブさせたりするのは本編を放り出して遊ぶほど面白いミニゲームなのか?

ダイブ以外にもリモートバットラングの操縦技術を試すような事もあったりして、なんだかなあと思ってしまう。タイムアタックがやりたければレースゲームでサーキットのコーナーを攻めるし、人間でおいかけっこをするならトマランナーでも遊ぶ方がよほど面白い。

拡張現実トレーニングとリドラートロフィーで俺の心はボドボドだ!


 

俺がバットマンだ。

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いろいろ書いたがそんなこと本筋には関係ない。グラップルとダイブを駆使して街中を飛び回り、助けを呼ぶ声があれば飛び込んで暴漢をボコボコにし、解毒剤探しついでにやっぱり暴漢をボコボコにする我らがバットマン無双2ここにあり。

さて戦闘だが今回距離を取って三連撃をカウンターする必要のある刃物持ち、スタンさせてビートダウン(オラオララッシュ)を発動する必要のあるアーマー持ち、ビリビリ棒を持ってるので背後に回り込む必要があるのスタンスティック持ち、一度スタンを決めてから上空攻撃を決める必要のあるドア持ちと前作から敵のバリエーションが増えた。

で、素晴らしいのはどれの相手をするにしてもアーカムアサイラムから別に操作するボタンが増えた訳でも無く、また特殊な対処方法が必要な訳でも無く……そして何より敵が増えてよりバットマンが格好良くなった事だ!

刃物持ちは斬りかかってきた所で1、2、3と避けてブン殴って刃物を吹っ飛ばせるし、スタンスティック持ちは殴りかかってきた敵の肩を使って回り込む時のマントが美しい。特に気に入っているのがアーマー持ちへのビートダウンだ。タダでさえモーションが格好良く効果音が気持ちいいのにドフ!ドフ!ドフ!ドフ!ドフ!ドドドドドズガァー(スローモーションになる)ァーーーン!がどこでも出来る!楽しい!ただただ楽しい!

これに拡張されたクイックショットが加わる。左トリガー2連打でバットラング。左トリガーとボタンの組み合わせでクロー、爆弾ジェル、エレキ弾。そして右トリガー2連打で氷爆弾だ。これらは特に発動モーションが必要なわけでは無く即座に使える。カウンターと相まって「次々にカウンターを決め、エレキ弾でシビレさせ、氷爆弾で別の奴を足止めし、銃を撃とうとした奴をクローで引っかけてダウン!そして床で寝てる奴ら全員にバットラングを投げておしまい!」とか出来ちゃうわけだ。簡単操作で。

もちろん操作の気持ちよさも前作を越えているので3Dアクションゲームが苦手な人も舌が肥えている人も安心して遊べると思う……が、10人以上に囲まれたときの操作の忙しさも随一なので初心者は無理せずまずはイージーモードで遊ぶべきだ。

何にせよ、この「やれること全部やって敵を全員黙らせる」ってのを本気でやると、ちゃんと映画やゲームのトレイラーに出てくる戦闘シーン顔負けの戦いが出来るんだから素晴らしい。これはバットマンに時に興味が無くても遊ぶべきタイトルだ。



そりゃあ笑えるジョークだ。

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今回のメインストーリーは前述の通りジョーカーとバットマンの治療薬探しだ。治療薬作成者のMr.フリーズや、フリーズ探しにペンギンが関わってきたり、アーカム・シティ建設の裏で暗躍する元アーカムアサイラム所長のシャープ所長にヒューゴーストレンジが絡んできたりと今回もバットマンのスーパーヴィランがオールスターである。

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今作では「リアルタイムデモ」への拘りが一段と増しており、特に光と影を使った演出には息を飲んだ。こんなことまでやられたらプリレンダリングムービーを垂れ流して「美麗なグラフィック」だなんて言っているメーカーの立つ瀬が無い。

 

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クライマックス。序盤から示唆される「プロトコル10」、即ちミサイル攻撃による囚人の”無力化”が始まり、バットマンが塔を登り始めた所なんか最高だ。悪人ですら不殺を貫くバットマンの前でこんな行いが許されるわけが無い。雪のアーカム・シティをバットマンが駆け、走り、飛ぶ!

 

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そして最後の刺客クレイフェイスを倒し、それでもなおナイフで自身を刺すジョーカーにバットマンはこう言った。「お前がどれだけの悪行を働こうと、俺はお前を救う」薬を飲み損ねたジョーカーは、最後に「そりゃあ笑えるねえ」と言い残し……

 

 

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多少ストーリーがとっちらかった感のあるものの、良いゲームでした。来年のアーカム・ナイトも面白そうで今から楽しみです。

 

 

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…ん?