メタルギアソリッドHDに見るコナミのHDの定義


今週Vita版も発売される、メタルギアソリッドHDをクリアした。制作はコナミでなくブルーポイントゲームス。ICOとかGOWとか移植したりZOEのHDも作る所だ。悲しいことにコナミ内製じゃあない。だけども移植の出来はと言うとかなり良い。

かなり良いんだけども「現代の技術でリメイク」というよりは、PS2のあの絵を徹底的に再現しようとしているのでいくつか最適化しきれていない所がある。ベタ移植としては大正解なので、これ以上を望むとなると「リメイク」という事になるのかな。

気になったところ

  • 人物以外のテクスチャが異様に粗い
  • ポリゴンモデルがそのまま使われているらしく、耳の造形やオモチャみたいなM16などディテールが欠けている箇所が目につく
  • バンプマップがそこまで利用されていないので、床や壁等が本当にテクスチャを貼っただけ。スネークのスーツもがっかり。
  • 影が無いので、伏せている雷電が凄く浮いて見える
  • 水の表現が今となってはちょっと辛い水面が適当に波打つだけな感じ
  • 2の無線のレスポンスが絶望的だ。呼び出し音の後5秒程度のロードが入る。これはストレスが溜まるので何とかしてほしい。お遊びで無線を聞きたくなくなる。
    ※3の無線は「無線メニューの呼び出し」が重いだけで、実際の通信はとても快適。但しメニューの呼び出しが重いので、コスチューム変更やインベントリ閲覧が面倒か。

リマスター、HDと聞いて想起されるのは「今の技術で色んなところリッチに作り直したけども、手触りは全く同じあのゲーム」といった所なのだから、単なるベタ移植ワイド対応なのはもったいなかったんじゃないかなあと思う所。
既にGCでMGS1のリメイクであるツインスネークを遊んだり、GCで作り直されたバイオハザード1を観ているからこそ頑張ってほしかった。もしかすると……「Vitaでもリリースされるのだから、テクスチャは拘らなくていいだろう」なんて思われてしまったのかもしれない。

つまり僕は、主観モードで金網を見た時に目が覚めるほど繊細であってほしかったのだ。床や扉の文字を読めるようにしてほしかったのだ。天井の明かりが単なる絵じゃなくちゃんと蛍光灯であってほしかったのだ。雷電の身体のバーコードやコンピュータの模様もハッキリしていてほしかったのだ。惜しい。どうにも惜しい。ベタ移植としては全く問題ないのだが、どうせやるならもっとやってほしかった。コナミの言うHDとは、つまり「PS2そのままの絵で高解像度・ワイド対応したもの」であり、リッチな描画エンジンを用いたり高解像度なテクスチャを貼るものではなかったのだ。

いろいろ書いてしまったが、UIもフォントも綺麗だし常時目に入るところは大丈夫なので「ベタ移植」としては完璧だ。僕が最初から高望みしすぎていたのが悪かったんだろう。

とは言え、セガのワイド非対応ソニックアドベンチャーや、文字もUIもボケボケのスペースチャンネル5という前例があるので、ブルーポイントはよくやったと思う。バーチャロンフォースやオラタンのチーム程とは言わないが、あの頃の絵が本当にそのままそっくり出てくるので思い出に浸りたい人にMGSHDはオススメ。カットシーンは黒帯付きのいつものスタイルか、フルスクリーンが選べる。内容は日本語音声なのにサブスタンス/サブシスタンス仕様。スケボーは入ってないけど、VR訓練なら全部入り。720p60fpsの安定動作で、メインテーマも2では贅沢に収録。3のエンディングでも勿論流れます。PS3版はMGS1のDLコード付きなのでそちらもどうぞ。Xbox360版はアバターアイテムとしてシャゴホッドとRAYが付きます。非売品。

ZOEHDはアニメを描き起こしたりテクスチャやシェーダやエフェクトに至るまで相当手を入れてるみたいなので、今度こそ「リマスター」を拝めるかな。