今更Call of Duty 4のVeteranをクリアした訳で。

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僕はCoDをPCの頃から遊んでいて、CoD2なんかは国内のXbox360のラインナップも相まって海外版をわざわざ輸入して買うぐらいにはこの作品のファンである。が、CoD4からIW制作のシングルプレイヤーはなんだかしっくり来なかったので諦めてしまっていた。

BO2もリリースされることだし、今更ながらCoD4のシングルプレイヤーをベテランで一周した・ここに、発売から5年経ってCoD4を遊んだ人間としての感想を書こうと思う。

 

舞台は現代でも、中身は古風だった。

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さてCoD4というのは、CoD3までのゲームの作りと違って現代戦である。
これは純粋に時代が新しくなっただけでなく、使用する銃もM1カービンやKar98の様なセミオート・ボルトアクションからフルオートのアサルトライフルがメインになったという事である。その結果どうなったか。

CoD4は旧作までの「敵を撃つ感触」をさっぱり取り去ってしまったのである。

セミオートやボルトアクションの銃なら、射撃間隔が比較的長い。そして連続してマズルフラッシュが出ることも無い。よって一発撃って敵の死を確認できたのである。独特のオートエイムも相まって、敵の頭に合わせてビスッ、ビスッと撃ち込んで倒していくのがCoDの持ち味だった。

それがCoD4になって、妙な跳ね返りのAKやM4A1で、釈然としないバースト撃ちをするゲームになってしまったのである。撃っている感触はMP40そのままで、エフェクトばっかりは派手な武器を振り回すことになってしまった。敵はSVDを腹に食らってもケロリとした顔で撃ちなおしてくるし、長距離射撃をニュータイプよろしく決めてくるので参ってしまう。プレイヤーの使用武器は火花だけは派手なサブマシンガンのようなアサルトライフルばかりなのだ。何度スプリングフィールドかモシンナガンを寄越せと思った事か。

また、このゲームは基本的に死にゲーである。マリオも羽根帽子で逃げ出すほどの死にゲーだ。主人公は銃弾を3発食らった時点で地面に這いつくばることになる。前述の敵の精度問題もあるが、イベントフラグを成立させ味方を前進させたにも関わらず背後から撃たれて5分が無駄になるとなかなかゲンナリさせられる。遥か彼方から親の仇でもないのにRPGを撃ち込まれるのもしょっちゅうだ。

そしてこのゲームは「動くものの居なくなるまで撃ち合いをして味方の進軍を待つ」という作品でもある。ドラム缶などの遮蔽物に身をかくし、しゃがみと立ちを繰り返してヒョコヒョコと動きながら敵と戦う。敵は無尽蔵ではないにしろ相当な数が用意されており、シリアスサム顔負けの物量で攻めてくる。

時に「戦闘を行っているので奥の方に敵がいますよ。戦場はこちらですよ」というのを示す為に無尽蔵に敵の出現する家屋もあるのだが、そこから撃ってくる敵の弾にも十分すぎる殺傷能力がある。「いつ進んでいいんだよ」とボヤきながらだらだらと撃ち合いをさせられるのは気分の良いものではなかった。ボスの体力の無駄に多いコナミゲーに通ずるところがある。

今や錆び付いてしまった「核への恐怖」の表現

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反米主義者による軍事クーデターで揺れる中東某国への介入。それがゲーム前半のストーリーなわけだが、どうにも印象が薄い。海兵隊員としてやったことと言えばもぬけの殻のテレビ局を攻めたのと、沼地に足を取られ動けなくなった戦車を助けたぐらい。イスラムの人達との撃ち合いも飽きて来たかなあという時に、突然核爆発が起きる。

直前に攻撃ヘリパイロットのお姉さんを助けていた事もあり、本当に突然の出来事。主人公はきのこ雲を見つめながら息絶えるわけだ。この時、2007年にしては素晴らしい「大破壊後の灰色の街」が視覚的に表現されており、また「遠くで泣き叫ぶ人々の悲鳴」も聞こえるので相当ショックだったろう。この当時の人々には。

というのもアメリカ本土でEMPが炸裂したり、不発核弾頭をプレイヤー自ら爆破するゲームが出たり、「トリニティ」なるクリーンな大規模破壊兵器をチラつかせてアメリカに攻めてくる等、「アメリカ人が原子爆弾に倒れたり、その脅威に怯えるゲーム」が出過ぎたのだ。爆発が突然すぎるのも悪かった。エースコンバットのように「さあ、これから首都を奪還するぞ!民主主義万歳!」と盛り上げるならまだしも、退屈な砲台ミッション(この場合はヘリ備え付けのグレネードランチャーによる地上部隊掃討)の後なのも悪い。

死にゲー故に、プレイヤーを何度も何度も殺し、ストーリーを頭の隅に追いやるだけ追いやってからの核爆発だった。申し訳ないが、2012年にこのゲームを初めてプレイした私には微塵も「素晴らしい」とは思えなかったのである。

ゲーム終盤では「テロリストがロシアの核ミサイル基地を制圧し、アメリカに発射したのでなんとか基地に潜入して遠隔操作で爆破せよ」というミッションが科せられる。が、目の前でミサイルに飛ばれようと、既に弾頭は切り離されあとはアメリカへの着弾を待つのみといわれても、プレイヤーである私には何の感慨も湧かなかったのだ。

「首都攻めへの盛り上げが足りなかった」
「大破壊後に息絶える主人公にもっと悲惨で残酷な光景を見せるべきだった」
「プレイヤーに、敵への憎しみを植え付けることに失敗した」
理由はいろいろあるが、どうにもこうにもかみ合っていないゲームだった。

QTEではないが、QTEのような苦しみ。

Call of Duty 4 HD Game Over.mp4_snapshot_05.44_[2012.11.12_17.14.44]
砲台ミッションにしろ、スローモーションになって敵を撃つにしろ、このゲームには「状況をお前が変えろ」と「やらされる」箇所が沢山ある。もちろん開始時には「おっ、これが出来るのか」とは思うが、やり始めてから何度も殺されては引き金から指を離し座席からも降りたくなるのが人間という物だろう。

例えミニガンについても二、三回死んだ時点で「座席に座って敵を撃つ」でなく、「座席に座らされ」「敵を撃たされる」という、やらされる感触に変わる。これは勘弁してほしかった。「教会から敵がわらわら出てくるのでミニガンで掃討しろ」と命じられても、ニュータイプじみた精度でAKを撃ち込んでくるのだから座る方が馬鹿を観るのである。最高難易度であるVeteranだからしょうがないという意見もあろうが、ゲーム本来の難易度であり開発者のベストだと考えている難易度でステージのギミックがただのストレッサーになりさがるのはどうかと思う。

今作のラスボスの腕は15年前にプレイヤーが吹き飛ばした。という設定なのだが、この狙撃ミッションも無駄に風向きや距離を計算しなくてはならなく、何度も何度もコンティニューして撃つ羽目になった。この時逃した敵と改めて決着をつけるのがプレイヤーの胸を熱くするようなのだが、一発目がさして印象的でも無いのにそれを説かれてもいろいろと無理がある。

最後の最後に主人公は上官からピストルを受け取り、ラスボスに弾丸を撃ち込んで終幕となる。が、ここでボスの左右に敵がいるのがミソで、ボスを撃ち殺した後に左右の敵も殺さなきゃいけない。完全に初見だった私は「ああこれがかの有名なラストシューティングなのね」とボスに弾を叩きこんだのだが、スローモーションで崩れるボスを見送りながら側近に撃ち殺され、「感動の一撃」の「テイク2」をやらされるはめになった。これ、側近は必要だったんですかね。ボスを倒した後にプレイヤーが殺されそうになったところを上から仲間が助けてくれるとかじゃ駄目だったんですかね。

前に行けと言われたり、行ったら行ったで殺されて。

CoDはプレイヤーの動きに合わせて味方が動いたり爆発が起こったりと言う作りで、世間では「スクリプトゲームの最高峰」などと称されている。台本通りに進むゲーム、という意味だ。

故に味方が勝手に前に進むことはほぼ無いし、先陣を切るのはいつだってプレイヤーである。そして一番最初に撃たれるのはプレイヤーで、一番最初に死ぬのもプレイヤーである。遊んでるうちに、このゲームは「味方の進軍スイッチがあの壁にあるので、走ってボタンを押しに行くゲームなんだなあ」と思う程にコッテコテのスクリプトゲームだ。故に、敵との撃ち合いというのはスイッチを押すのを妨げるストレッサーでしかなく、3発当ててリスタートさせてくる障害でしかない。

先に書いたが、この敵、嫌に数が多い。殺しきらないと前に出た所で殺されてリスタートなのだから臆病になるのが当然なのだが、殺しても殺しても奥から敵が湧いてくる。足を止めて撃ち合いをせざるを得ない。だが場面としては「敵軍に追われての脱出」だったり「敵との追跡劇」だったりするわけで、ここでもシステムとストーリーの食い違いが起きている。

また、「ドアを開けたり角を曲がったりした味方が敵ともみ合いになったり、敵を華麗に倒したりする」というイベントの為に敵が配置されている事があり、先に進もうとした主人公をあっさり殺してくる。「今はお前が先に行くんじゃなく、味方が先に行って格好よく倒すところなんだよ。死ね」と言われているようであまり気分が良いものではなかった。

このゲームの難関とされる「灼熱」「ミサイル基地の十字路」は、前者を「10回呼べる空爆で蹴散らした隙にダッシュ」後者を「スタングレネードで片方の通路を潰した後に全力で脇道に滑り込む」という手段で回避することになるが、どちらも3発で倒れるお陰でなかなか苛々させられた。前述の「撃つ面白くなさ」「即死」と相まってうんざりしていたし、このイベントも面白いわけではない。味方の空爆など主人公の進軍に合わせて勝手に降ってくればいいだろうし、「十字路」は幾ら撃たれても死なない味方が前進さえしてくれればどうにでもなるのに味方が前に出ないが故にプレイヤーは何度も殺されるのである。

 

世界が望んだ「ロールプレイングゲーム

Call of duty 4 modern warfare preview
僕の感じていた面白くなさも多くのシューターをプレイしたが故のことであり、「HDリマスターから入った人には処理落ちが気にならない」のと同様、新鮮な気持ちで楽しめるとは思う。決して「良いゲーム」と手放しでは褒められないが、数多のゲテモノ飲料に対するコーラの立ち位置の様なもので、ある程度のレベルではまとまっていたのではないだろうか。

FPSというジャンルも初見で、低難易度で遊ぶ分には面白く感じられるだろう。潜入ミッションあり、狙撃戦あり、砲台ミッションあり、大追跡ありとシチュエーションはバラエティ豊かだし、AC130のミニゲームなんかは多くのフォロワーが産まれるほどに評価が高い。故にこれは「アクションゲーム」なのではなく、誰もが気軽に英雄になれる「ロールプレイングゲーム」なのだろう

これからMW2の初見Veteranを始める。悪くなければいいのだが。