龍が如く極と0やったんだけど世界一のオープンワールドでは?
Steamで『Yakuza』のタイトルで龍が如く0、極、極2が配信している。ここ最近のHumble Choiceでもらったのもあるが、何より直近のアウターワールドが非常に淡白だったので極→0の順で遊んでみた。
龍が如くはここまでサッパリ触れてきていなかったがめちゃめちゃ7の評判がいいのと、何より
推しが推してるから遊ぼうと思ったんですよね。
龍が如く極と神室町
さて、ストーリーの素晴らしさについては既に15年語られているのでそんなにガッツリ触れない。そして原作である『龍が如く1』は遊んでいないので極で追加された要素かどうかも分からん。昔からあることと極の追加要素をごっちゃにして書くので「今更ァ!」って事も書くだろう。寧ろ「今更ァ!」って事に感心するってことは、15年前から龍が如くって凄いんだなと思っていただきたい。
龍が如くのメインストーリーは「盗まれた100億円の鍵を握る少女の母親探し」であり、「歩きまわって手がかりを探す」が基本である。歩きまわると収集アイテムが落ちているし、誰かがチンピラに絡まれているし、サブクエスト(頼まれごと)が発生する。その「頼まれごと」はメインストーリーとリンクした「裏話」であったり、過去からの因縁であったり、何のことはない人助けだったりとバリエーション豊かだ。
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月26日
美女とラブホでムフフかと思ったら男でしかも足ガクガクにされて体力半減した上でそのオカマが下手なボスより強いとかいう流れでゲラゲラ笑ってる
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月25日
ぼったくりバーに連れ込まれる話、背景がダクト剥き出しなのもそうだけどパイプ椅子が雑に並べられていたり酒の色が違ったりしてるの凄い凝ってるなと思った。
桐生ちゃんの顔のボツボツはいいのにモブのテクスチャや髪メッシュ辛い。 pic.twitter.com/7dkWKwnqoO
「誰かのために歩き回っているとまたサブクエストが発生し…」とサブクエストが連鎖し、メインクエストも相まって「元ヤクザ探偵」の様相を呈していく。サブクエストはいちいちヒネってあり、読み物としても非常によろしい。作品世界への理解と共に、この「神室町で生きていく」ロールプレイとしては最上級の体験を提供している。
オープンワールドに必要なのは「ロケーションの数」や「広さ」でなく、ゲーム内でフレーバー面でもシステム面でも「生きている」ことだと思う。というのは過去の記事でも書いたことだ。舞台である神室町は道端の自転車(武器になる)や看板(武器になる)、道行く人々(バトル時に観客になる)まで含めてこの街は生きている。間違いなく。
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月28日
真島の兄さんから放免祝いつってショーパブ貸し切りしたから来いと言われて来てみた結果がこの極 pic.twitter.com/eQeoPQfRbq
中でも真島の兄さんが襲いかかってくる「どこでも真島」システムが良く出来ており、「10年前の全盛期の主人公の強さを取り戻し、更に強くなってもらうべく戦いを挑んでくる」のだがこれがシステム上の経験値、プレイヤー自身のスキルもガシガシ上げてくるのが楽しい。何より一般の敵とやりあっていても「お前は真島の兄さんより…弱い!!」となるのが良い。真島の兄さんを倒すと経験値が貯まり、更に強い真島の兄さんを倒せる。メインストーリーを滞らせても真島の兄さんを軸にサブクエストを潰せるので、停滞しにくく飽きにくいサイクルが出来ている。
また、経験値を使った「強化」は単にパラメータだけでなく各種アクションも増えるので戦闘にも飽きが来にくい。とは言え前述の「どこでも真島」がこの手の救済措置の部分も担っており、サブクエストと真島の兄さんさえやっていれば「雑魚戦に価値がない」という状態が容易に起きてしまう。これは後述する「龍が如く0」でも同じで、0ではより一層顕著になる。
しかし龍が如くが偉いのは「投げ技ありの喧嘩な所」で、銃であれば手榴弾とロケットランチャーで終わりな所に「強化」があるのでそれこそバットマンアーカムシリーズ以上に殴り合いが楽しく出来るところだ。マーベルスパイダーマンにも負けていない。超人オープンワールドでも無いのに戦闘部分が面白いのは貴重だ。いや、主人公の桐生ちゃんは超人な気がする。超人か?
が、もちろん良くないところもある。基本的に「回り込んで後ろから殴る」か「敵のラッシュを見届けてから殴る」作品なので、プラチナゲームズのタイトルやソウル系のゲームの「見切り」以後に遊ぶと横にズルっとスウェーが若干やぼったい。加えてスーパーアーマーの敵(ボスキャラだと嶋野が該当)が相手だとダルい事になる。
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月25日
ちょっとこのハゲ00年代の典型的クソ敵過ぎません???固くない????何????ノーマルだけど???? pic.twitter.com/xLfWvxAKU7
こいついいかげんにしろよ。
救済措置というかバトルの本命というか、古武術修行イベントで敵の動きに合わせたカウンター攻撃がようやく手に入ると刺し違えてでもブン殴れるようになる。これを早く欲しかった…!
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月29日
やはりプラチナゲーとソウルライクの後だとカウンターのキマり方が違う。そう、俺が龍が如くでやりたかったのはコレです。 pic.twitter.com/1hFJD70Hpd
「無双」の面でも「タイマン」の面でも本当にゲーム性が一変するため、堂島の龍スタイルは強化していきたい。本当に良い。最高。
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年2月28日
PS2の時の敵キャラ数知らないけど本当にこのまんまの数で襲いかかってきて本当にこのまんまの数全部ぶっ倒す桐生ちゃん最高なんだよな… pic.twitter.com/sdmN3WBJjh
#カエルの人vs龍が如く極
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年3月2日
遥ちゃんもすっかり「神室町の女」だからここで「やっつけて、おじさん」って言っちゃうんだよな。00年代のオタクは釘宮理恵ボイスの少女にそういう事言って背中押されると何でも倒せそうな気がしてきちゃうんだよな。いいゲームだよまったくさあ。 pic.twitter.com/njIatEnms9
そしてその喧嘩もメインストーリー上で死ぬほど盛り上げてくれる。文句なし。初代の頃がどうだったかは知らないが、画面上に敵が10人以上現れるのを全員ボコボコに出来るのは爽快の一言だ。
龍が如く0とリニアなストーリーとの乖離
さて、初代のリメイク作品の『極』を終えてから遊んだのが『極』から見て前作。そして『極』の時間軸から見ても17年前の『龍が如く0』である。
ストーリーは『極』の若干ゆったりとした探偵状態からガラリと変わり、非常にリニアな物になった。『0』はダブル主人公なのだが、どちらも殺人の濡れ衣を晴らすだの標的を殺せだの非常に物騒な事になっている。それは良いしメインストーリーは死ぬほど面白いのだが、そこから抜け落ちてしまったのがサブクエスト達だ。
「明日までにどうにかしろ」だとか、「誰かが呼んでる、早く行かなければ」という状態の時に他人をかまっている暇が無いのである。やれ新興宗教に娘が連れて行かれただの、彼女が下着売ってるからどうにかしてくれだの、話は非常に面白いんだ。ハッキリ言ってFallout4だのアウターワールドだのに勝るとも劣らない。その量が質を保ったまま膨大なので相当なボリュームとなっている。読みたい。が、状況がそれを許していない。
なので私は『0』をプレイする時に、様々な要素を置き去りにしてしまった。装備もそうだしなんなら強化も「師匠に挑んでの技解除イベント」をほぼやっていないし、ミニゲームの不動産やキャバクラも面白いとは思うがあまり触れていない。だって街中には堂島組がうろうろしてるし倉庫ではマコトが待っとるやないかい!マコトほっぽってそないなことしてられるかいな!
加えて、買い物も強化も何もかも「金」に一本化した弊害が出ている。『極』ではまだ序盤に敵を殴る価値があったのだが『0』ではもう序盤から殴る価値がない。なんならサブクエストでも経験値がもらえたから良かったが、『0』はそこも金にしてしまっているためサブクエストも読み物になってしまっている。一応、そのサブクエスト登場キャラクター達が前述の不動産やキャバクラに参戦してくれるのでフレーバーの面で盛り上げてくれるのだが、問題はシステムの方だ。
「カツアゲ君」という、非常に雑な金巻き上げキャラがいる。強さの面でもキャラの作りでも雑だ。こいつを倒せば金がバカスカ手に入る。しかもそのカネの量を増加させるアンロック要素まである。そして回復アイテムはインフレしている金の入手量に対して非常に安いため、ゴリ押しで済んでしまう。というかカツアゲ君の攻撃力も体力も異様に高すぎる上にスーパーアーマー付きのため、ボーナスキャラやご褒美という感じがなく、向こうがシステムをガン無視するならこちらも更にシステムをフル活用してさっさと潰す気にしかならない。
結果どうなのかは各種攻略情報なり動画なりを見てくれれば一発でわかることだが、カツアゲ君の行動をキャンセルし割り込んでボコる必殺技を回復アイテムガブ飲みで出して終わり。他にも良いボコリ方がたくさんである。
で、このゲームの最強は(隠しボスを除いて)カツアゲ君である。そして倒すと死ぬほど金が手に入る。倒す相手がカツアゲ君しか居ないのにカツアゲ君を倒して金を手に入れる。カツアゲ君との戦闘経験は別の敵にあんまり使い回せない。カツアゲ君の額を寄越さない敵とは戦う意味がない。
「バランスブレイカー」だとか「救済措置」だとかって言葉で終わらせるのは簡単だが、この雑なキャラのお陰で『0』は誰も倒す価値がなくなり、サブクエストもただ読むためだけに読む事になってしまった。シナリオクリア時の報酬ですらそうだ。
おそらくだが、このカツアゲ君の駄目さが次作である『極』でのどこでも真島に生きたのだろう。師匠による技のアンロックもそうだ。上限解放などもそうだ。ミニゲームも進めることでフレーバーであるストーリー進行と共にシステム面での報酬である金の有り難みがあるならやるが、残念なことに『0』は金銭感覚が時代抜きにしても狂ってしまっている。
#カエルの人vs龍が如く0
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年3月6日
誓って殺しはやってません!俺は殺しの濡れ衣を着せられただけ!一度殺したら後戻りできなくなるから!極道になりきれない半端者ですけど半端者の意地ってやつがありますから!風間の親っさんに迷惑かけたらいけないから!俺は誓って殺しをやってませんから!!! pic.twitter.com/blqiST6A6r
それはそうとして、話は死ぬほど面白い。登場する野郎が皆ギラギラしている。特に気に入ってるのはバイクで事故ってもまだ生きてる久瀬と、ラスボスを務めた渋澤だ。
#カエルの人vs龍が如く0
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年3月7日
「最新」の極道として生きてそれでも「看板」が最後に立ちはだかった男と、不器用で、不器用で、それでも「筋」を通したかった男のぶつかり合いを全力でやられてこのシーンで不覚にも泣いた。 pic.twitter.com/I00OAPDrO1
この龍を背負う者同士の決戦、死ぬほど好き。
#カエルの人vs龍が如く0
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年3月7日
ただ一つ言わせてほしいんだけど、これは極道の戦い方じゃなくてガンマ線のせいで怒ると緑色になる人の戦い方です。桐生ちゃん。 pic.twitter.com/9Z6wiI04ew
…惜しむらくは、壊し屋スタイルのこれさえなければ。
様々な男たちが駆け抜けそして死んで行く『0』の物語は、『極』にも勝るとも劣らぬ極上のものである。僕以外にそんな人がいるとは思わないが、もしやってないならはよやれ。こんな記事読んでる場合か。
既に多くの人々がストーリーを語っているので、今回はシステム面に絞って書いた。龍が如くシリーズは話が面白いとは聞いていたが、それ以上にシステム面も非常に良く出来ている。「アサシン」や「勇者」や「ギャング」に飽きたら是非遊んでいただきたい。神室町で「極道」が待っている。
ああでも、これだけは言わせてくれ。
#カエルの人vs龍が如く0
— アールグレイです。 (@Frozen_Frog_8) 2020年3月7日
ああ、わかったよ。わかったよ錦。お前は。お前は由美を守るために独りだけで「一線」を超えちまったんだ。桐生と極道やってた10年と、桐生が代わりにムショに入っちまって独りで戦って駄目だった10年じゃ違えよ。錦。お前は…お前はさ…
錦ィ…錦よォ…
錦よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!