DECO色の君に出会うまで。あるいは「例の色調」に辿り着く歌。

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こんなレトロ風なロゴを作ってみたら大反響。

さてこのグラデーション、MSワードのワードアートにもあるし、Photoshopにも「クロム」という名前で登録されているが、元ネタは何なのだろう?という事でネットの力を借りながら調べてみた。


最初は「1990年のPhotoshopの最初からのグラデーションだからじゃないの」ぐらいの軽い気持ちだったのだが、どうにもそれは違ったようだ。

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データイーストのロゴやアウトランのロゴのつもりで作ったのだが、どうにもこれよりもっともっと古い元ネタがあるらしい。というか、古く無くては困る。これは何かの「定番」なのだから。何か偉大な元ネタがあるに違いないのだ。

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スターウォーズのロゴでは無いか?
という声も頂いたのだが、どうやらそれは間違いらしい。
確かにこの色調なのだが、これは1990年代のフィギュアの時に使われた色調だ。

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スターウォーズのロゴは金か銀なのが標準である。
画像はエピソード6のもの。

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DECOゲーにはヘヴィメタルの香りがプンプンしているし、それ系のジャケットが元ネタか?と考えた。
画像は1990年のドッケンのアルバム「Up From the Ashes」のもの。
こういう風に使われるほどメジャーな何かの筈だ。

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1985年放映の初代トランスフォーマー。かなり近い。が色調は「青と赤」である。
下が茶色の元ネタがどこかにあるはずだ。

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というわけで色調が一番近いのは「マッドマックス2」である。
1981年の映画で、ロゴは青と茶色。特徴的なのが「斜め」である事。

はて、「上が青、下が茶色で、境界線が真横に引かれているもの」はどれか?

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で、出てきたのがこちらの絵である。
これは1980年に空山 基(そらやま はじめ)という方が描いた女性型ロボットの絵だ。

上にあるのがHEAVY METAL、というロゴである。
これはアメリカで出版された漫画雑誌HEAVY METALの表紙で、1980年11月に刊行されたものだ。

Heavy Metal (magazine) - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Heavy_Metal_(magazine)

氏のオフィシャルwebサイトでも確認できる。

Sorayama works
http://www.hajimesorayama.com/01works_robot_pop01C.html

 

heavy-metal-magazine-005

この「上が青、下が茶色」のロゴは1981年9月号の表紙でも使われており

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Amazon.com: Heavy Metal/Heavy Metal 2000 (Ws) 2-dvd set: Michael Ironside, Billy Idol Julie Strain: Movies & TV
http://www.amazon.com/dp/B00542MH8W/?tag=p?20

このように映像作品のロゴとしても使われるようになっている。

「上に空、下に茶色の荒野、境界線は横一線」の元ネタは1980年の雑誌の表紙まで遡れた。

 

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大変画質が悪いが、この画像は「マッドマックス1」のVHSのパッケージだ。
もし上映当初にこの二色が基調のグラデーションであればマッドマックス1が色調の上では元祖、という事になる。

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が、マッドマックス1の公開当初のポスターはこの二種類らしい。
どちらも「金属に映り込む空と荒野」のロゴではないのが気にかかる。

1979年の「マッドマックス」か1980年の「HEAVY METAL」この二つのどちらかが「金属に映り込む空と荒野」であるところの「上が青、下が茶色」の始祖に違いない。私にはこれ以上遡れなかった。何にせよ、このデザインは30年以上遡れるような由緒正しきSFのデザインとみて差支えないだろう。

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30年以上前のデザインが、2013年現在もこうやってパロディとして生きている。1970年代~80年代のSFのパロディ満載のFARCRY3:BLOOD DRAGONのロゴもこんな感じだ。

 

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このグラデーション一つとっても、歴史があるんですね。というお話でした。