HALO4のストーリーについて(ネタバレあり)

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cr.hatenablog.com

 前回記事が辛口になってしまったのは、「レジェンドにおける配置の難しさやナイトの対処」にばかり言及してしまったからだ。今回はシングルモードの演出やストーリーについて述べていく。

もちろんネタバレ満載なので、未プレイの人は覚悟してほしい。

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頼れる相棒、コルタナ

HALO1から長いこと、右も左もわからないチーフとプレイヤーに情報を教えたり話し相手になってくれたコルタナ。彼女達AIの寿命は7年と規定されている。HALO4時点でコルタナの稼働年数は8年。彼女は増えすぎた経験や思考回路で正常な状態を保つことが難しくなっており、今作では朦朧としたままチーフをサポートしてくれる。

情緒不安定になったり錯乱状態に陥る事もあるが、それは彼女も望まないことであり正気に戻るたびに謝ってばかりだ。コルタナの任務がチーフを守る事なら、チーフの任務はコルタナを守る事。懸命にサポートを続けるコルタナにチーフは約束する。「地球に帰ろう」コルタナはこう返す。「女の子に約束しちゃ駄目……出来ない約束はね」かつてHALO2で交わしたやりとりの再現だ。

ゲーム開始時の彼らの居場所は地球から遥か遠くの「レクイエム」だ。ワープ装置無しで地球になんて戻れっこない。それでもチーフは約束する。それは決してコルタナにかけた気休めの言葉ではない。

 

人類との再会

GT-Halo-4-Concept

レクイエムはHALO同様、植物の生い茂る世界だ。しかも今回の相手はフォアランナーの兵器プロメシアン。未知の惑星で未知の敵を相手に恐る恐る進んでいく感覚はHALO1と重なる。探索の末、チーフはレクイエムを目指し飛んで来た人類最大の戦艦「インフィニティ」の面々と合流。見事4年越しの「人類との再会」を果たすことに成功する。

E32012_halo4_campaign5新兵器、二足歩行パワードスーツ「マンティス」 5連装ロケットポッドとガトリングガンを備えたこのマシンで、インフィニティに取り付くコヴナントをなぎ倒すチャプターは最高に面白い。何せこのマンティス、「使用を許可する!」という通信の後、リフトからもうもうと白い煙を漂わせながら登場する。「コヴナントを蹴散らして上部デッキへあがれ!」とインフィニティの中をパワードアーマーが進撃していくのだ。面白くないはずがない。動きも妙にがっしょんがっしょんしている上にストンプ攻撃まで有るので、「メタルギアREX」を思い出す人も多いだろう。何にせよ、343渾身の「ロボットって格好いいよな!」を遊ばせてもらえたのは最高にクールな体験だと言えるだろう。

フォアランナー軍の長、ダイダクトという男

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このヴォルデモート卿のような奴が今作の敵、ダイダクトである。
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ヘルメットを被るとイケメンだ。

この男が寝ていた装置を通信ジャマーだと思って解除してしまったのが今回の事件の発端である。このダイダクト、今年の一月に海外で出版されたのHalo: Cryptumという小説に登場済みだからか殆ど説明が無い。プレイヤーと同じく何も知らないはずのチーフに対してコルタナが「ダイダクトに利用されたのよ!」としか言わないし、チーフもそれで納得してしまう。困った。ここら辺、「観客が知っているだけなのに何故か作中の人物も知った事になっている」というB級映画のような作りになっているのが気になった。

ダイダクトの過去の話はゲーム中の収集要素をクリアするとウェイポイントから見ることができる。それによると、ダイダクトはかつてフォアランナー軍の最高司令官として君臨しており、10万年以上前の先史人類との戦争やその直後のフラッドとの戦争も武力で解決しようとした人らしい。フラッドとの戦争の過程でフォアランナーの兵士や拉致してきた人類を改造し、プロメシアンナイトとして扱ってきた経緯がある。この「人類の拉致・改造」というのはスパルタン計画とそっくりだ。

フラッドは肉体をもつ者に寄生して増える。ならば精神をデータ化し、プロメシアンとなって戦えば勝てる……という筋書きだったが、そうもいかなかった。フラッドは余りに増えすぎたのだ。さらにダイダクトを元にしたAI メディカント・バイアスがあろうことかフラッドの甘言に乗り500万隻の船でもってフォアランナーを裏切ったのだ。武力では敵わないと知ったダイダクトはHALOを起動。その後、ダイダクトは妻であるライブラリアンに眠らされ、レクイエムで「いつか人類が宇宙へ進出した時に、人類を銀河の善き守護者となれるように導くため」に封印されることとなった。

だが10万年という長い時の中でダイダクトの出した答えは、「人類は例えやり直しても銀河の脅威にしかならない」であった。「フォアランナーこそが銀河の守護者であり、人類は戦火を広げる蛮族に過ぎない」……彼は人類をプロメシアン化させる兵器「コンポーザー」の位置を特定し、まんまと奪取。地球人類の総プロメシアン化のために動き出す。

10万年前の世界からの「侵略者」にして、10万年来の「人類の宿敵」。それがダイダクトだ。

Not yet.

Halo 4 Campaign Walkthrough - Mission 8 - Midnight [HD 720P].mp4_snapshot_38.48_[2012.11.23_19.09.24]
そのダイダクトの行う「人類のプロメシアン化」がなかなかエグい。赤いレーザーを照射されると、人間は皮膚から筋肉そして骨に至るまで生きながらに「分解」され、プロメシアンナイトに作り替えられる。マスターチーフはつい先ほどまで話していた人を、目の前で分解されてしまう。悲鳴と怒号の響き渡っていた廊下は最初からそうであったかのように静まりかえり、残されるのは塵の山だけだ。

多くの人間を目の前で失うチーフだが、レクイエムでライブラリアンの助力を受けていた為に分解されずに生き残る事が出来た。コンポーザーを奪われ、宇宙ステーション一つが滅び、ダイダクトの船は地球へ飛び立とうとしている。それでもチーフはこう言ったのだ。
Not yet.」
まだだ。まだ終わっちゃいない。僕達のマスターチーフは、諦めない。

 

英雄の帰還

Halo 4 _ Legendary Mission 8 - Midnight Walkthrough.mp4_snapshot_04.59_[2012.11.23_15.24.06]
HALO3から4年。そして我々が待ち続けて5年。チーフはダイダクトの船のワープに便乗し、地球圏へ帰還する。ダイタクトの船の表面をシールドに弾かれぬよう辿っていくチーフ。敵の対空砲火の猛攻を掻い潜って進む様はまるでスターウォーズだ。そしてチーフの乗る戦闘機「ブロードソード」のロックオンミサイルやバルカン、味方からの無線はエースコンバットスターフォックスのよう。流石HALOだ。このステージ一つだけ見ても面白い。

スリップスペース(ワープ空間)を抜け、急に頭上の構造体が無くなる。そこに浮かぶのは青い水の星「地球」だ。フォアランナーの船の表面を飛び、味方の無線を聞きながら目の前に現れた地球を見る。「チーフは一人ではない」 チーフはコルタナとの約束を果たし、地球に戻ってきた。

この地球への帰還をカットシーンでなく、シューティングステージの中に演出として取り込んだのが素晴らしい。BungieのHALOと、過去の名作への精一杯のラブソングだ。全てが「今、この時」に繋がっていたのだ。

 

残された謎

HALO3の時点でコヴナント内乱が起き、エリートが人間側の連合軍についたはずなのだが、レクイエムで攻撃を仕掛けてくるのはエリートだ。「4年もあればいろいろある」などとコルタナは説明していたが、このままでは「敵のバリエーションに乏しかったので足しました」という風に言われてもしょうがない。HALO5でHALO2のように内情が語られるのだろうか。一応、インタビューでは「HALO発動による大いなる旅立ちを目論む狂信者たち」という説明がなされてはいるようだが。

4の最後、コルタナはチーフを助けるためにダイダクトの船に残り別れを告げる。コルタナは果たして死んでしまったのか。また、「違うコルタナ」と次回作では旅するのかなど、コルタナについては次回作で描かれるだろう。

また、今回コヴナントはダイダクトが居なくなった後もレクイエムに駐留を続けている。本編の六か月後を描くスパルタンオプスでは、またもフォアランナーの遺産を巡ってコヴナントと一悶着あるようだ。もしかするとHALO5までそのまま繋がる話が見れるのかもしれない。

Halo-4-_-Legendary-Mission-8---Midnight-Walkthrough.mp4_snapshot_38.19_[2012.11.23_18.04.26]
エンドロールでの343のメッセージが、次回作で嘘にならないことを祈る。