iOS版ダンガンロンパに絶望した。

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ダンガンロンパー。

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という訳で買ってみた。これで逆転裁判ダンガンロンパもおさわり探偵もこの手の内である。

が、遊んでみるとこれが中々難しい。基本はテキストADVと探偵パートなのに、操作が難しい。
最適化されていないというか、作った側から様々な妥協が透けてみえるのだ。

という訳で、2011年にでたPSP版と、2012年に出たiOS版の欠点みたいなものをごった煮にして、絶望していこうと思う。いや、話は面白いんだよ。話は。

画質と音質に絶望

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iPhone版なのだが上下に黒帯が出てしまっている。これは元のPSP版がそうだからしょうがないとは思うのだが、iPhone5及び最新のiPod touchでもない限り16:9端末ではないのだから最適化しておくべきだろう。わたしが未だにiPhone4Sなんか使っているからだという批判も最もだが、ダンガンロンパが出たのは2012年の夏頃だ。その時点でiOS端末に16:9の物は存在していない。android版の並行開発が難しかったのも分かるが、せめておしゃれなフレームを置くなりなんなり出来なかったのだろうか。
※なお四角めのandroidで動かすとさらに黒枠が拡大する模様。完全に16:9ならば黒帯はでない。

2013-02-18 21.23.20Retina対応」を謳うiOSダンガンロンパは、確かに原作のPSP版より綺麗になっているであろう箇所が多々見られる。キャラの立ち絵、背景の3D部分、一枚絵等々は高解像度の画像が使われているし、その高解像度な画像をを用いた学級裁判のパートは圧巻だ。

 

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が、比べてほしい。一枚絵が高解像度でクッキリしていればいるほど。文字のにじみが目立つ。これは20時間ばかし文字を読むゲームとしては致命的だろう。恐らくPSP版のフォントをそのまま流用していると思われる。これがだんだん読んでいると疲れてくるのだから困りものだ。なおこの文字が潰れているのはiPad上で動作させた場合でも同様であり、10インチの画面に映したこのフォントはなかなかの悲惨なものだと付け加えておく。

これ以外にも学級裁判パートのウィンドウに埋め込まれたキャラ絵、流れてくる文字、クライマックス推理のマンガなど潰れている箇所は幾らでもある。ADVというのは確かに絵も重要だが、それと同じぐらい文字も重要だ。バージョンアップで何とかしてほしい。こんな埋め込みフォントを使うぐらいなら、クロノトリガーのようにシステムフォントで表示してくれた方がマシだ。

このiOSダンガンロンパPSP版が1.8GBとUMDをフルに使い切っていたのと比べると、700MBと少ない。iOSのAppが最大2GBであることを考えればこんな不自然に小さい必要はない(現にメモリーズオフは2GBびっちり使っている)し、これもandroid版への配慮だろう。その為かBGMの音質から音声に至るまで非常に音質が悪い。iPhone付属のイヤホンでも潰れているのが分かるぐらいだ。AMラジオ程度の音の悪さ(32kbps)というのは言い過ぎだとは思うが、イヤホンで気になる音の悪さも改善してほしい所。

タッチに最適化されない操作に絶望:選択肢

PSP版ではもちろん、項目を十字キーで選び○×で決定している。
それを「タッチのみ」のスマートフォンに移植した結果……

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最初はニューゲームにカーソルが合わさってるのでロードに合わせてからタップしなきゃいけなかったり

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つるつる滑るデータ選択画面でタップしてから右下のOKを押さなきゃいけなかったり

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かと思えばこんなに細い項目をタップしてからOKを押さなきゃいけなかったり

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右下のボタンが消えていきなりはい/いいえが中央になったり

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ここのはい/いいえはタップすると即決定になったりする。まったく統一感が無い。指をあっちこっちと動かさなきゃいけないし、こんな細い項目じゃ誤爆しても仕方ない。どれもこれもPSPで方向キーで選択して決定していたものをそのまんま移植したせいだ。

この選択肢がまた学級裁判中にも出てくる。三つのうちから正しい選択肢を時間内に選ばなければならないのだが、誤爆した場合ペナルティを受けてしまう。何と理不尽な。

タッチ操作に最適化されない絶望:読み進め


s※画像は加工している。赤枠はメッセージ送り判定のある範囲

このゲームではテキストを読み進める際、画面の下側のウィンドウをタップしないといけない。iPhoneを片手持ちしていた場合、親指は中央~上部になるわけで、下側はタップしにくい。どこをタップしても良いようにしたほうがストレスが少ない。

そしれ問題なのがRe:アクションというシステムだ。
これは会話中に出てくる紫色の単語をタップすることで、その単語について更に詳しい話を聞くことが出来るシステムである。この単語タップが面倒くさい。というのも、まず単語自体のあたり判定が小さくタップしにくいことと、タップしそこなった場合読み進めてしまいもう一度話しかける必要が出てくるからだ。

本来十字キーか何かで項目を設定して読み進めていたのだろうが、どうせやるならスマートフォン版は画面の左右から選択肢のように単語を浮かばせた方がいいと思う。

そしてこれを言っては元も子もないのだが、Re:アクションは「気になる単語をタップして詳しい話を聞いてみよう!」というシステムの割に全部話を聞かないとゲームが進行しないのでやらされてる感満載で、これはやめた方がいいと思った。勝手にべらべらしゃべっててくれた方がいい。

文章のスキップは「画面に触り続ける」事で行う。こんなに画面の領域があるんだから、スキップボタンでオン/オフできるようにすべきだろう。オートモードもメニューの奥にしまってあるし、オートモードでの表示オプションの類もさっぱりなので読みにくくて仕方ない。

5pb.を始め他社が良作のADV移植をやっている中、このやり方はいただけない。UIはPSPから移植せずに新造すべきだった。

タッチ操作に最適化されない絶望:探索編

このゲームは基本3Dで、その中に2Dのキャラ達が立っている。というセンス満載の作りをしている。その3Dもオサレ満載のフシギ空間で、なんかもうその点についてはサイコーとしか言いようがない。

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が、その部屋の探索となると別だ。画像に出ているのは「バーチャルパッド」と呼ばれるタッチ向けゲーム特有のUIで、「最初にタッチした場所から指をずらすことでその方向に入力し続ける」というものだ。アクションゲームでは良く使われるUIである。……お世辞にも使いやすいとは言えないが。

それがこのダンガンロンパにも搭載されている。だがちょっと待ってほしい。ダンガンロンパの探索というのは、言ってしまえば脱出ゲームやWebブラウズみたいなもので、指でしゅっしゅとスクロールしたり、ピンチイン・ピンチアウトで拡大縮小で来て然るべきではないのか?

このバーチャルパッド、恐らくPSPのアナログスティックのエミュレートを行っているのだろうが非常に操作しにくい。Infinity bladeのような作品をやった後ならなおさらだ。

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この画面に表示されているキャラ、全員にあたり判定があり、全員に台詞が用意されている。

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このように角度を変えることはできても、拡大は出来ないので非常にタップしにくい。

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タップする場所はこのように、観察ボタンを押す事で表示されるのでそこまで苦にはならないのだが…やはりやりにくいことに変わりはない。バーチャルパッドでの視点変更でなく、地図アプリのようなするするとした操作をお願いしたい。あと拡大縮小。

 

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そして最悪なのがこの「廊下パート」だ。
廊下パートでは「画面の左を触ると移動」「画面の右を触ると視点変更」というFPSも裸足で逃げ出すダブルバーチャルパッドモードで操作することになる。勘弁してくれ。

また、ドアや人物はタップでは反応せず、真ん中のカーソルを合わせてからタップしなければならない。何のためのタッチパネルだ。

例えば
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ドアを開けたいときは、画面の右側を触って指を左にずらして…

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行き過ぎてしまった

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この状態にしてようやくドアを開くことが出来る。

 

例えば誰かに話しかけたいときは

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この状態で女の子をタッチしても反応が無く

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しっかりカーソルを合わせないと話しかける事すら出来ない。

もうとにかく操作していてストレスしか溜まらないのだが、基本的に廊下パート探索モードはキャラクターに話しかけて好感度を上げる時にしか使わない。実際に事件が起きてからは皆どこかしらの部屋に入っていて、その部屋を訪れることになる。無理に学園内を歩かせても時間ばっかりかかるのだから、これは逆転裁判や他のアドベンチャー作品のように行先指定でジャンプで良かったのではないだろうか。

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折角このようにマップ画面もあるのに、部屋にカーソルを合わせてもジャンプすることはできない。

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ジャンプできるのは黄色い四角のジャンプポイントだけだ。ナンデ?

廊下パート自体が余計でしょうがないし、用がある人間には廊下・部屋問わずどんどんジャンプさせるべきだろう。しかもこのマップはスマートフォンのWebブラウザよろしく、指ですいすいスクロールさせることが出来て快適だ。こんなところからも移植チームのやり方の妥協が見える。こういう作り直しが出来るなら他もやればいいのに。

タッチに最適化されない絶望:システム編

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ダンガンロンパはシステムをこの右の三角を左に引っ張る事で

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手帳メニューとSYSTEMヘルプを開くことが出来る。
なおSYSTEMと書いてあるが中身はヘルプであり軽く詐欺だ。

手帳メニューは

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マップを開いてジャンプしたり、現在の状態を確認することが出来る。セーブなんかもここから行う。

ここの項目も細くて非常に選択しにくいのもそうだが、頻繁に使うマップからのジャンプやセーブ/ロードが奥まったところにあるのがやりにくい。

  1. 右側の三角を開く
  2. 手帳メニューボタンを押す
  3. ロード時間を挟む
  4. マップを開く

これはマップ機能を使うのが億劫になるぐらいのストレスを感じる。画面の隅にでもマップジャンプボタンを置いてくれればこんな思いはせずに済んだはずだ。

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システムメニューの中にバックログ機能が入っているのも酷い。バックログ機能はPSP版だと1ボタンで呼び出せるのに、スマートフォン版じゃこんなに奥まったところのものを使わなきゃいけない。

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第一、手帳メニューを呼び出すこの一つ目の段階で「マップ」「セーブ・ロード」「バックログ」ぐらい出ていて当たり前だろう。スカスカ過ぎて涙が出てくる。まるでADSL時代の個人ホームページのエンター画面をみているようだ 。

なおこの「手帳メニュー呼び出しメニュー」だが、クライマックス推理という裁判中のパートの「マンガを左右にスクロールする」という操作と見事に被っていて、何度も誤爆しメニューを開いてしまった。勘弁してほしい。

妥協を重ね「他社のやり方」を見ない日本らしい絶望的なゲーム

こんな移植をしてしまうなんて、スマートフォン向けゲームを一度も作った事が無いばかりか一度も遊んだことが無いのではないか?と本気で心配する程度に頭の悪い移植だ。少しでも脱出ゲームでもアドベンチャーゲームでも、何でも触ってみればこの操作じゃダメなことぐらい分かるはずなのに。

また、廊下パートの「移動が左、視点が右」というのはアップデート後のオプションで追加されたもので、本来は「視点が左、移動が右」だった。一度でも最近のFPSやTPSでも遊んでいれば、こんな操作がおかしいことぐらいわかったはずなのに。

というかスマートフォン向けゲームなのだから、両手の親指でグリグリさせるな。ずっと押させるな。指一本で解決させろ。2000円なんてファイナルファンタジーですら取らない金額のアプリだぞ。ゲームアプリとしては単品で最高ランクの価格のゲームだぞ。2011年の作品で2012年の移植なんだろ。なんでこんな09年の移植みたいなもので遊ばなきゃいけないんだ。

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キャラは可愛いし、話も面白いし、何より学級裁判の盛り上げ方は一線を画しているのでなんとか遊べてはいるが、他人に勧める際にこの絶望的なシステムのせいでイマイチ踏み切れない。どうにかしてくださいよ、モノクマさん。ねえ。

クリアしてからの記事はこちら

 

cr.hatenablog.com