ガイくんタウニーちゃんは借金を返せ//或いはオープンワールドシナリオならではの「制約」のお話

これはあまりにもお口もっちゃりが可愛すぎるサムネ用クチート

 ポケモンLEGENDS Z-A(以下Z-A)をお前は既にクリアしていると思う。していないなら今すぐ買え。言い訳は良いから買え。Switch2なくてもまず1版買って2手に入ったらアップグレードしろ。この俺が全力でオススメするなんて珍しい事なんだからはよやれ。

 はい、買ってクリアして咽び泣いたと同時に一つとあるキャラに反感を抱いたり好きになりきれない所があったかと思います。

お前は借金を返せ。

ガイ/タウニーは借金を返せと。

 

今回はその話をしにきました。
Z-Aのシナリオの作りやオープンワールドならではの制約の視点で見に行きましょう。

 

何故ガイ/タウニーは借金を返せと言われるのか

 まず何故ガイ/タウニーが借金するに至ったか。それはホテルZの広告動画作成の為でした(ゲーム冒頭)結局全然ウケずにZランク編からDランク編、レベル80でゲーム内敵レベルがほぼ終わるゲームでレベル50ちょいまで放置です。Fランクの「カナリィ編」、Eランクの「ジャスティスの会編」の後、Dランクの「サビ組編」でようやくこの話が出てくる。そのサビ組編もガイ/タウニーが出てくるのは暴走メガシンカパートだけ。サビ組編ではプレイヤーがサビ組の小間使いをさせられている間もガイ/タウニーはおらず、何故いないかと言えば「街中に野生ポケモン用ゾーンが割り当てられ、カフェは飲み込まれ、タクシーも通行は出来ず、徐々にポケモンに街が侵食されていく事に耐えられない人々に街の開発公社の社長が襲われそうだからボディーガードしてた」という話でした。

 オチとしてはプレイヤー及びガイ/タウニーの心意気に惚れたカラスバが利子も借金もチャラにしてくれた…というものですが冷静に考えて見れば暴走メガシンカポケモンをシバいたのはプレイヤー。カラスバをシバいたのはプレイヤー。そして暴徒をぶっ倒したのもプレイヤーです。ガイ/タウニーは何をやってたんだ!?というモヤモヤを残してDランク、サビ組編は終了。いやガイ/タウニーは借金を返せよと。

 さてここまでは一般的なプレイヤーの感想やら配信者のリアクションではほぼそんな感じ、では何故そんな受け取られ方をするに至ったのかと書いてある事だけやってることだけを抜き出して整理してみよう。

ガイ/タウニーってそんなズボラな人だっけ。

だがこいつのFからAランクまでの激闘をプレイヤーはちっっとも知らない。

 ガイ/タウニーは出会った時点で人助けから始まっており、なんなら御三家を一匹預けてくれる。ミアレへやってきたエトランゼであるプレイヤーにミアレを紹介し、お金を貸してくれる人が居たのでミアレの善性を疑わず借りて宣伝動画を制作。ホテルに下宿しているのもMZ団(メガシンカホテルZ団)をやっているのも人とポケモンを助けるためだ。街の開発公社の人間とも綿密に連携し、夜にはZAロワイヤルを戦い抜きと大忙し。そしてプレイヤーが来て数日、更に高まる街の緊張の中暴走メガシンカポケモンが現れたと聞いてホテルに戻ってくれば何やら借金の話が。ゴメン!街中で暴動が起きそうなんだ!!ポケモンの兵器利用も辞さない人らがクェーサー社に!

 さてここまで読んでみて「言われてみればそうだけど…」という感じが拭えないと思う。実は私もそうだった。何故ならここまでの部分で既に30時間はプレイしており、その間のタウニーの登場シーンを振り返ってもこれぐらいにしかならないからだ。

このわざとらしい待機時間。

 ここで重要になるのは「数日で膨れ上がった利子」や「人助けで居なくなったと思ったら」の部分である。30時間というのは1日2時間ペースで二週間だ。そしてサビ組編も非常にガチャガチャしている。サビ組に行く→待つ(ここで借金把握)→メガシンカ3連戦→戻って来る→ゲンガー→MSBC→暴動鎮圧だ。

 うちMSBCは明らかにCランクの「ユカリトーナメント編」の布石なのだが、別にサビ組編には何も関係がない。そしてメガシンカ編にも関係がない。更にはこのクエスト中にサブクエストが10以上追加され、移動技であるロトムグライド解禁後という事もあり尚の事アスレチックが気になる。メガシンカ編でもし詰まったらそもそもまた捕獲と育成があり、いやサブクエストも進めたいし…とやっていくと

ストーリーの進行はがっつり途切れるのである

コイキング捕まえるとかね。



リニアなストーリー進行 VS オープンワールド VS ダークライ

Z-Aの物語が一度明確に破綻したのがユカリトーナメント編。

 ここでまだゲームについて一つ概念を紹介しよう。「リニア」というものだ。リニアは原義だけ考えれば「直線的」という意味だが、ゲームで「リニア」と言うときは「連続性、途切れぬもの、一本道な、離脱を許さぬ」のようなニュアンスを含む。「リニアなストーリー」と言うと「買い物とかサブクエストとかやってるともはや場違いな気すらしてくるほどドラマが連続している物語」ぐらいの意味になる。

 そしてZ-Aのメインストーリーは間違いなくリニアだ。しっかりシリアスだ。

 ところでZ-Aはオープンワールドゲームだ。オープンワールドというのは色んなところに行って戦ったりリソースを稼いだりサブクエストが出来たりするやつだ。つまり「ノンリニア」の概念そのものみたいなものだ。だからメガクチートが暴走しそうになっていようが離脱してニンフィアが人々の憎悪を受信してヤベエんだと言い出すマダムに付き合ってなんかいろいろ話しまわる事ができる。

 この「いつでも抜け出せる」という事は暴走メガシンカスタンバってる人は出せないし、シナリオ上退場する人もまだ出ていない人も出せないことを意味する。自由度の象徴でありながらサブクエストにはなんとMZ団を出せないのである。

 そして最大の問題。それは「暴走メガシンカポケモン対応」が実は全ッ然人間側の話に関わってこない事である。マップに被害も出せないし、被害にあった人を出せば被害回復編もやらないといけない。「心配していた人」こそちょっとだけ出せたが、それらもサブクエストで浚えただけだ。メインの話には組み込めない。サビ組の自警団対応+サビ組が引くにもメンツってものがあるんでバトりましょっかでサビ組も深まったし、ユカリは市民集めてバトらせて”おハイソに遊んでるだけ”でメガシンカ対応をしない交わらなさ、それこそFがイラっとした要因の一つだという話こそやれどリニアなストーリー進行を止める要因にしかなっていない。これが計16回ある。

 という事が複合すると「ガイ/タウニーはマスカットから電話受けてシナリオ進行を止めてくる奴」「ユカリトーナメントでカラスバにサクっと負けてるやつ」「サブクエストにも出てこないやつ」になる。なんなら「カナリィ編」でピチピチしていたピュールだけ特別と言って良く、デウロも同じような扱いだ。結果としてMZ団自体にも愛着は正直そんなに湧きにくい。 

所でこの体格差最高ですよね。最高と言いなさい。マチエールさんの尻が凄い。そのためだけにSwitch2買ったって良い。カナリィの胸のジッパー凄いっすよね。俺もメガストーンになりてえ…

 だからってその後のデウロやガイ/タウニーも上がる話をやってるとこれはこれで「プレイヤーの成り上がりの話」が止まる。「ジャスティスの会編」のムク探しがたらい回しと足踏みで出来ていたのと同じように。

 

勝っても負けてもいい最強決定戦とかけ違い

 そして物語が佳境に突入し、プリズムタワーが大変な事になった時、プレイヤーはガイ/タウニーと「ZAロワイヤル編」と「暴走メガシンカ編」のうち前者の最終決戦をやるわけだが、ここが上記までの理由で上滑りを起こしてしまうわけだ。

  • ガイ/タウニーはクェーサー社やAZから託されたものの為に戦うMZ団のヘッドであり、そして自身がそれをやらねばと思っている。
  • あくまでプレイヤーはMZ団の戦術兵器であり、つきあわされただけである。MZ団の頭領はガイ/タウニーである。故に死地に赴くべきは自分であると考えている。
  • だが、プレイヤーから見た場合それは数十時間の中で細切れに伝えられたことであり、こいつは借金返せよつってるのに数時間後に開発公社の社長守ってるところを発見されただけである。借金を返せ。
  • ガイ/タウニーにはグリ・グリーズを下したりユカリを倒すような物語がさっぱり見えない。グリが灰色の青春を燃やし尽くさんと挑んできたのと同じような熱があるようには見えない。借金を返せ。

 勝利後に死地に赴くのは「フラエッテを奪った」だのなんだのでなく、「だから私が死んだときはお前が頼んだ。”最強のメガシンカ使い”…!」なのだが不満が頂点に達した人からすれば「なァんだてめェー!」しかならないのである。借金を返せ。

借金を返せ。とならぬためにはどうしたらよかったのか?

下手するとこの人の方が理解深まったと思う。

 というわけでガイ/タウニー自身の名誉を考えながら書いてきたわけだが、ではどうしたら良かったのかを考えてみる。

  1. 大前提として暴走メガシンカ編をZ-Aロワイヤル本編から切り離す。
    ランクアップ後の祝賀会直後にしておく。マスカットに物語を中断させない。
    トーナメントも中断させるな。
  2. サブクエストにMZ団の面々をもっと出す。
    ピュール君とDG4のバトルもっと見たかった…
  3. ゲンガーを助けた直後にもうミアレを守る会の話に移るべきだった。
    MSBCや地下水道編なんて挟むからガイ/タウニーが居なくなった事ばっかり印象に残る。
  4. カットシーンからZ-Aロワイヤル中のライバルとしてMZ団の面々をちょいちょいポケモントレーナーとして出しまくって置くべきだった
    XYってストーリー進行でマップ上にちょろちょろでますよね。友達。

 こんなところだろう。四半世紀ぶりのポケモンであったが、RPGとして見た時にどうしても拙さというか、荒削りと言うか、「こういう縛りがあるからァ!」というのが非常にヒシヒシと感じられるゲームなのもまた、Z-Aについての真実である。

 

 でも最後にこれだけは言っておこう。

ガイくんタウニーちゃんは借金を返せ!!