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パシフィックリムのツッコミにまつわるエトセトラ。もしくは「そこまでやってくれたのならこれもやって欲しかった!」というワガママな少年ハートの話。

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見た?見たよね?パシフィックリム。もうさ、最高だったよね。欲しいもん全部入ってたしさ。なんかもう見終わった後「ありがとう」って言いたくなるもんな。元気もらったよ。元気。ありがとうギレルモ・デル・トロ監督!書いても書いても書き足りないからTwitterの方に書いたよ!

 

で、絶賛してたらどうにもうちの友人はいろいろと腑に落ちない点があったらしい。僕はまあまずまずのロボットアニメオタクで特撮は90年代のゴジラガメラしか見てない。彼はガチな特撮オタで、ロボットアニメもちゃんと見てるタイプのオタク。そんな二人が「パシフィックリムトーク」からどういう「物足りなさ」に至ったのか、の話を、忘れないうちに書いておきたい。

あ、本編に入る前に言っておきます。

パシフィックリム、最高!

※この記事では登場人物や怪獣の名前が非常に適当に使われています。正式名称を覚えることなくお互いに鑑賞を終え、そのノリで話した事をそのまま文章に起こしているので、見に行った人は何を言ってるかを想像しながらお読み下さい。

当然、ネタバレ満載です。酒の勢いで書いてるし読み直さないよ!

 


怪獣映画として見に行ったら……

怪獣映画として見に行ったら、出てきたのはクリーチャーだったのである。四つ足の。地味な。爬虫類タイプの。メインの戦場が夜なうえ、敵が基本黒くてわかりにくい。ビオランテやスペースゴジラモスラにギャオスやデストロイアのような強烈なのと違い、パッと見の印象が薄いわけだ。

ここは監督もインタビューで言っている通り「怪獣は保守的なデザインにした」ということで、マーケティングとか「アメリカ向け」なのが大きかったのかな‐と思う。いや、そりゃあ僕だってゼットンぐらいインパクトあるやつならよかったけど、出てきたのは頭が印象的なナイフヘッド、あとゴリラっぽいやつ、飛ぶまで印象に残らないギャオス、海底で真っ二つにされた動きの早いの。って感じかな。カテゴリ5なんか造形もよくわからんかった。

そして怪獣映画なら「人間がコテンパンにされる」のも足りない。例えば電車の屋根が開けられてギャオスに食われるとかなんだが、「逃げ惑う人々」だけじゃなく「実際に食われたりひどい目にあう人々」が足りない。日本でマコが逃げるシーンも、逃げる前にまず父母が殺されてこそと思ったりしてしまう。

また、音楽も「特撮!特撮!」と言っていたのに、「ここぞとかかるメインテーマ」の前の低音と不協和音によるタメが足りない。……との事。言わんとしていることはわかる。

予算の都合なのも尺の都合なのも十分承知なのだが、やっぱりその「タメ」があってこその「やっちまえ!ジプシー!」なわけで、そこがすんごくもったいなかったと思う。

 

そしてこれは「特撮のお約束」なのだが、まず昼間にヒーローは負けて、夜に決戦でリベンジというのがある。だがパシフィックリムは最初っから夜で、連続戦闘だったわけだ。あの香港防衛戦はそこがもったいなく……それ故、とても贅沢な時間だった。人間サイドの敗北はチェルノ・アルファとクリムゾン・タイフーンが担当し、それをジプシーがやっつける。言ってみればジプシー無双なわけで、そこを物足りなく感じるのも正当な欲求だと思う。

つまり、殺されるにしてもチェルノとクリムゾンにもっとかっちょいい死に様が欲しかったなーって!人間も殺されて、チェルノとクリムゾンを殺されて、だからこそ「やっちまえジプシー」ならもっとよかったなーって!


ロボット映画として見に行ったら……

やっぱさー!決めポーズ欲しかったよね!流れ星になって帰ってきた時に!

これだけで済んでしまいそうなのでもうちょっと書こう。パシフィックリムの怪獣とイェーガーの殴り合いは最高だ。海外の作品なのに斬鉄剣しちゃうのも、ギャオスをチェーンソードで叩き切るのも、劇場で見て涙流すぐらいサイコーだった。

さてそこにお決まりの「人型である理由」の話が入ってくる。「どうして人間になったか」は設定本で読んでいただくとして、要するに「グーで殴ったほうが強いから」「モビルトレースシステムだから」という説明だ。

そこにまた変なワガママを言いたくなるのがオタクで、要するに「富野っぽいオカルト」が欲しくなってしまうのだ。「イェーガーは作られた機械なんだ、道具なんだ、兵器なんだ」というところにもう一声、「人間が頭部に乗り込んで、人体の延長としてそのイェーガーを乗りこなす。人体の拡張なのだから人間の形をしているのは当たり前のことだろう。これは人間の進化の1つだ」みたいな、そういう極めて日本的な話をして欲しくなってしまった。

それの集約された一言が「歩く原子炉だ」というセリフであり、それ1つでもう納得してしまう訳だが……

 

そしてもう一つがAIである。折角応答するAIが乗ってるならAIとの掛け合いも欲しかったというもの……だがそれは「主人公の成長」すら「元エース」で済ませたパシフィックリムには、詰め込めなかったものだろうと思う。そして何より「イェーガーは二人乗り」というものなのに、更に話し相手を作ってしまうのは「二人乗り」とか「パートナー」の設定をブチ壊してしまうものなのでできなかったのだ。

じゃあ賢いAIじゃなく、ジャイアントロボのような……と言い出すとキリがない。パシフィックリムはアメリカの映画で、日本のような物に何かしらの愛着を持ったり、その結果物である何かに自我や自意識のようなものを見出したりはしない。「頑張ってくれジプシー!」などとお願いしたりはしない。パシフィックリムは見せかたこそすごく日本的なのに、そのガワの内側にはちゃんと「日本的でない物」が入っている。

「あんだけ日本だ特撮だロボットだと言っていたのに」と思う人が出ても、不思議ではないだろう。

 

それと、イェーガーの動きは巨大ロボにして「バトロイド」の動きだったというのもある。倒れることなく、流れるように次の動きへと繋げていくのはマクロスのそれだ。「怪獣映画」じゃなく「バルキリーvsゼントラーディ」っぽく見えた人には、巨大感が足りないとかあるかも知れん。

でも、手足がぶっ飛ぶってすんごく日本的だよね!
剣を杖に立ち上がるボロボロのイェーガー!最高!


多分僕らの思うことは一度監督が取捨選択したもの

「お前がギレルモ・デル・トロという男の何を知っているんだ」とか言われそうな章題をつけてしまった。だけども、僕にはあんなに素晴らしい日本の作品愛にあふれるものを作れる人間が、僕ら程度の人間が思いつくものを入れようとしなかった訳が無い。僕はそう思う。

ならばその「入らなかったもの」は……尺や、予算や、そして作られた国が作られた国だからこそ入れられなかった物なんだろうなあと思う。怪獣だって本当は色とりどりで、怖くて、どこか愛嬌のある奴らにしたかっただろうし、チェルノもクリムゾンもストライカーも暴れられただろうし、昼間に一度やられシーンが入っただろうし、わざわざGLADoS役の人を連れてきてAIに喋らせたんならそのままPortal2的なやりとりも出来ただろうし、入れようと思えば本当にいろいろなものが入れられたはずだ。

その中で、今回は上に挙げたようなものが入らなかった。それを惜しいと思ってしまった。

それは「この御飯とハンバーグめちゃくちゃうめえ!」と言っている中で「サラダの上にトマトとマヨネーズがのってない!」と注文をつけるぐらいの物言いだ。大前提として「このハンバーグめっちゃくちゃうめえ!」……つまり「パシフィックリム、サイコー!」なのには変わりがない。

 

パシフィックリムが何だか腑に落ちなかった人、また、腑に落ちなかった人が不思議でならない人の両名のもやもや解消にこの記事が役立ったら幸いだ。もし「いいや違う、俺はパシフィックリムに、ここをもっとこうして欲しかったぞ!」という意見があったら、それを是非ブログに書いて欲しい。

僕はそんなあなたと、パシフィックリムの話をしたい。