ジャッジアイズと龍が如く7とロストジャッジメントと龍が如く7外伝やった短評と総評。

作中でやたら「生っぽい」と言われる7外伝のキャバクラ。

 既に極、0、極2の記事についてはおのおのの単独記事で書いてきた。そして2023年8月よりぶっ続けでジャッジアイズ、龍が如く7、ロストジャッジメント龍が如く7外伝をプレイし、ようやく昨日7外伝を終えた所だ。間にバットマンアーカム・ナイトやサイバーパンク2077も挟んでいるため、しばらくオープンワールド物は良いかなと飽きを感じ始めている。まあそれも含め一気に同スタジオの4作を遊んだ事の記録として書いておく。

そしてお前はキムタクになる。

ジャッジアイズ:死神の遺言

 元弁護士にして神室町の探偵である八神を主人公にしたキムタクが如くことジャッジメントシリーズ1作目。往年の月9ドラマ「HERO」のような軽い所は軽くシメる所はギッチギチに締めてくるストーリーが素晴らしい。八神という人間のオリジンをストーリー進行と絡め見事に描ききっており、章末での引きも完璧なので遊ぶ手が止まらない。「死んでも世間的に大して困らない人間を犠牲にし、多くの人間を救い得る最大幸福を目指す」をラスボスとして、悪の組織だのスーパーヒーローだのを持ち出さずに現代日本を舞台にやり切れたのは偉業ですらある。

 また、Z指定直前のD指定である為人死にはバンバン出るし、死体描写もある。そして暴力描写は情け容赦無くキムタク演ずる八神にも襲いかかる。指パッチンして死ぬ間際のロバート・ダウニー・Jrぐらい演ずる人物への容赦がない。その代わり八神も三角コーンで人の頭を何度も殴打し、アスファルトや壁に叩きつける。そういう甘く無さが没入感を深めてくれる。カットシーンでも、バトルでも振るわれる暴力の質が同じだからこそ「また操作できない劇が始まった」とプレイヤーの興を削ぐことがない。

 結果、ジャッジアイズの物語は大成功を収めた。惜しむらくは物語が非常にリニアだからこそ、物語内での外伝であるサブクエスト、通常の探偵業への導線がどうしても弱くなってしまったという所だろうか。結局サブクエスト部分については龍が如く外伝7まで解決しきれなかったように思えた。

カスが一番取る下剋上

龍が如く7:光と闇の行方

 6をやっていないので知らないのだが、どうやら桐生一馬は姿を消したらしい。そう言えばレジェンドレジェンドとは言うが冴島大河とは何者なんだろうか?とにかく声の良い丸坊主小山力也な事だけは知っている。

 ともあれ新主人公、春日一番の物語は本当に素晴らしかった。龍が如くシリーズの主人公と言っても良いであろう「神室町の人々」を親として育った気風の良い若者は、ひょんな事から刑期18年。やっとシャバに出てきたと思ったら街も人もすっかり変わっていて…という所からあます事無くオリジンとして描けていた。そうなるしかなかった実直なガキが大人になってもう一度青春をやり直す春日一番個人の話と事件の進展が見事に交わり、最高のクライマックスへと至っていく。

あとから見ると「お前は浄龍じゃないんかい」と思う

 そして良くも悪くも「東西2大極道解散」は作中の1イベントでしか無く、過去キャラクターの顔もここで見納めというのがシリーズ物なのにカラっとしているというのも非常に良い。匙加減を間違えればここで過去キャラクターをプレイアブルにしてしまったり、長々と春日一番自体には実はあまり関係のない祭りをやってしまっていただろう。そこから今一度春日一番の過去、現役都知事の過去、そして「二人のひとりぼっち」のどちらが光で、どちらが闇であったのか…という盛り上がりに繋がっていく。物語は文句なしに絶品だ。

根が本当に小学生のまっすぐなガキなので彼は「ぼうけん」の最中に居る。

 問題はRPGとしての出来の悪さで、令和2年に出たゲームにも関わらず平成時代初頭の「キャラゲーってアクションとRPGと格ゲーだったよね」の雰囲気を強烈に引きずった物なのが本当に良くなかった。元からアクションかつ乱闘のゲームであった為に単純に交互に殴り合うのはゲームスピードの著しい低下であったし、かといって自分も敵も動き回るので範囲攻撃はひどく使いにくい。ジョブシステムを活かす為に各種属性攻撃は散らばって配置されており、その属性も出来の悪い時のアトラス作品のような使い方に成ってしまっている。既にプレイ済みの人には「天堂戦マジで酷かった」と言えばそれだけで分かるだろう。報酬系も軒並み破壊されており、所謂「最強装備」の入手も一筋縄でいかない状態だ。キャラ数×ジョブ数で成長ツリーの数は膨大になっており、やりこみ要素というか「やんないと全然伸びない要素」となっている。いずれも8で改善されていると思いたい。

 結果として「桐生一馬は遥に後押しされて、天下一通りで敵をばったばったとなぎ倒したのに、春日一番一行はやたら硬いヤクザを集団で殴っている」図にストーリー上でもなってしまうのが、本当に惜しいゲームだ。

キムタクVSメフィラス。

ロストジャッジメント:裁かれざる記憶

 キムタクが如く2。ジャッジアイズの物語が大成功な事には幾つか重要な要素があるが、何より刑事でも弁護士でも検察でもなく「真実を明らかにする者」である探偵である事が何より大事な点だ。今作ではそれを更に深め、「真実を明らかにしたなら、その先どうするのか」の物語となっている。

 山本耕史演ずる桑名を一見探偵と同業である「何でも屋」とし、真実を明らかにし依頼人を守る探偵とまた対になるダークヒーローとして描いた。コントロールされた暴力装置である半グレ軍団、国からも追われるダークヒーロー、そして誰もが加害者にもなり得る「いじめ」をテーマに暗く重いストーリーが描かれていく。

 人生という物語は否応なく続いていく。それをもう終わらせたい。明日などこないで欲しいと願うが故の自殺。遺された人々の無念を晴らすための断罪者としての役目を桑名が負う。「真実を明らかにするんだ!」と叫んだとて、光が差しても最早どうにもならない…というほろ苦さ。事件が進展していくのでなく「既にもう終わってしまった人々」の続きに介入していく切り口は見事だ。かつてのいじめ加害者の自宅、子供用の遊具が置かれているリビングで人が殴り合うという体験はなかなか見られない。

 しかしこれもリーガルサスペンス・リーガルスリラーの常なのだが、物語の規模をデカくするとどうしても最後に「国の要職の…汚職!!!」となってしまう。今回は話の規模の広がりと話の都合に過ぎる植物状態からの目覚めが物語の瑕となってしまっている。全てに決着がつくまで死なれては困る!という盛り上げが素晴らしいからこそケチがついたのは勿体なかった。

 今作のサブクエスト要素は探偵業務と共に物語で訪れる高校の各々の生徒との青春ドラマ部分が担当しているのだが、なにせ作中でクラスの担任の先生が殺される→その死んだ先生のためにも全てを明らかにしないといけないと非常に強いプレイ動機づけがされている為プレイ中に遊んでいる余裕がなかった。今まで遊んできた龍が如くと派生作の中で一番他のことやってる時間が無かったと思う。

 バトル部分は一対多のアクションとして極まりきっており、特に全ての攻撃を受け流せるスタイルが気に入った。敵の数もパワーアップしており何十人と一画面に現れてそれを仲間とのコンビネーションでばったばったと倒していくのは爽快の一言。油断するとちゃんとすぐ死ぬのも素晴らしい。これにゲーム中本当に何処にいてもタクシーで移動できるファストトラベルと移動高速化のスケボーも加わり、「煩わしさから解放された龍が如く系列のアクションゲーム」としてロストジャッジメントは完成したと言っていいだろう。

経緯は知らないのだが桐生一馬ジャナイデスヨおじさんと化してしまった

龍が如く7外伝:名を消した男

 そして龍が如く7外伝。今回は「東西2大極道解散」の日に至るまでの桐生一馬の話だ。今作の舞台は蒼天堀。のみ。0の真嶋編ぐらいずっと蒼天堀。これが存外に心地よく、またゲーム内で明確に「時間つぶしにこれやってこい」という指示と「待ちの時間だしな」と桐生一馬が言うためサブクエストを遊ぶことに何の躊躇も生まれない。どころかメインクエストの進行にサブクエスト消化が必須となっている。リニアな物語と桐生一馬に周囲が求める役割から解放された龍が如くは、楽しく大阪の半グレとヤクザをブン殴ったりミニ四駆したりカラオケしたりダーツしたり将棋したり麻雀したりゴルフしたりセガの懐かしのゲームしたり出来るゲームになった。

 これは明確な褒め言葉として聞いて欲しい。「いろんな事がある」が「物語はプレイヤーを待っている」とすると、様々な取りこぼしが生まれ、それは微かな後ろめたさを含んでしまう。結果としていっぱいあるけどやれなかったな…と満足度すら下げ得る。やらないことを選んだのはプレイヤーだから実に身勝手な話だが、そういうものなのだ。それを今回、明確な休息時間をゲーム内で設けることでちゃんと向き合って遊べるようになった。

 だからこそ本当に惜しいのは「キャバクラ」が所謂プレイヤーズゲームになってしまった事だろう。容量をふんだんに使い4K60fpsかつノイズレスで流れるキャバ嬢との会話は良いのだが、主観視点となってしまっているが故に桐生一馬のリアクションも見えず、また酒を飲むタイミングや相手を酔わせる等のインタラクティブなゲームがすでにあるにも関わらず「動画が再生されるのを見て、適宜選び、また動画を見る」と非常に没入感を削ぐものになってしまっていた。ところでkson本当におめでとう。

 というのも龍が如く0のキャバクラがリソース管理ゲームとして非常に良くできており、また今回の育成システムが金で行うことから「稼ぐ」「育てる」がミニゲーム内外に影響し得たからだ。今回この「育てる」は闘技場での乱闘に連れていくキャラに割り当てられており、DLCもそれ向けに出ている。金の入手もそれを注ぎ込んでのバトルも全て闘技場に集約されている為コンパクトと言えばコンパクトなのだが、やはりキャバつくはやらせてほしかった。結局攻撃力強化もしきらず9時間で終わるのだから良いんだけどね。

 めっちゃ面白いのでまだやってない人是非やってください。

 

で。完走した感想。


 ロストジャッジメントとそれを経た7外伝で「バトル」「移動」「サブクエスト」それぞれついに完成を見た。1対20のバトルも4対100のバトルも出来て、タイマンも面白く、移動はタクシー移動が便利で、更にスケボーでも動ける。作中に明確な休息期間を設ければサブクエストも楽しく出来る。これ以上バトルで人を増やせばいよいよ超能力ありありの無双にしなきゃいけないし、かといってバトルで固くしすぎるとソウルの方向になってしまう。「ステゴロ」の限界はここだろう。ダイナマイト刑事シェンムーの系譜は2023年にやっと完成した。そしてここからの広がりは本当に難しい。

 イベントを起動するべく街を歩く。しかしそのイベントのビーコンは本当に街を埋め尽くす程に用意してあり、だいたいの物語には一捻りした展開とオチが待っている。またプレイスポットの報酬やサブクエストの報酬はバトル部分にちゃんと還ってくるように作ってあり、やろうと思えば1タイトルで100時間遊び倒せるだろう。バトル部分も基本攻撃が2ボタンかつジャンプ無しながら打撃、崩し、避け、投げ、カウンターが完備されており、それも作品を追うごとに派手なバトルが敵の体力の適度な少なさと相まって爽快に楽しめる。物語も非常に良い。特に0、極、7、ジャッジアイズは是非楽しんでいただきたい。

 しかし、龍が如く8はやっとアクションが完成したのにRPGに戻ってしまう。7のもったいない点として「4対1で袋叩きにする」こともあるのだが、何より大勢の敵は出せても8人までで、しかも相手が8回殴ってきてこっちが4回動けるものだから相当苦痛なバトルになってしまっていた。これはターン制である限りどうにも解決しようがない。売りとしてコマンド入力後に特定のボタン押下で威力アップもあるから飛ばせない。これは7外伝に入っている8体験版でも変わらなかった。

 建物やその敷地内を突っ走って立ちはだかる敵をブン殴ったりオブジェクト使ってなぎ倒してスピーディに戦う。スウェーからキビキビ殴り時に虎落としでブッ飛ばす。プレイヤーを待たせる=主導権を奪うのはダイアログとカットシーンだけ…というのがアクションゲームとしての龍が如くの良い所なので、兎にも角にも龍が如く7序盤の「キャラにこうアクションするようボタンで指示する」ような感触のサクサク感で行ってもらわないと8は相当眠いことになる気がする。本当にそれだけが懸念事項だ。

 龍が如くは0も極も極2も7も7外伝も面白いし、ジャッジメントシリーズもきっちり面白いのでここまで読んだ人は是非やってください。よろしくお願いします。

 

 流石にフィールド歩くゲーム半年でこれだけやるとつかれたので、塊を転がすか敵ACを蹴飛ばすゲームをしばらくやろうと思います。