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iOS版ダンガンロンパレビュー

Game

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ダンガンロンパーっ

iTunes App Store で見つかるダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
https://itunes.apple.com/jp/app/danganronpa-xi-wangno-xue/id532986408?alreadyRedirected=1&ls=1&mt=8 配信終了

という訳で一周した。超高校級に面白かったが、希望と絶望は表裏一体と作中で連呼するだけあって、ダンガンロンパは希望だけのゲームではないのが分かった。アニメもある事だし、と今からダンガンロンパを遊んでみようとする皆さん。これだけは聞いておけ。

スマホ版は買うな。

PSP『ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生』プロモーションムービー.mp4_snapshot_03.36_[2013.03.30_18.29.37]

逆転裁判チックな推理ADVとして、ダンガンロンパは見せ方自体はかなり出来のいい部類に入る。犯人に目星の付かないまま学級裁判で一つ一つの謎を潰し、最後にクロ(殺人犯)と対峙する展開はなかなかに斬新だ。クライマックス推理の後にシルエットだったクロにキャラの像が浮かび上がってくる演出が大のお気に入り。

今作は探偵役が3人であり、その他は基本的に賑やかしに過ぎない。その探偵役の一人が主人公である苗木クン(=プレイヤー)なわけだが、苗木クンに対して残りの探偵役である十神クンと霧切さんがこれでもかとヒントを出して、そのヒントを踏まえた上でプレイヤーがわざわざ答えさせられる場面もあり、難度を極力下げようというのが見て取れた。

そもそも裁判パートで延々と悩むタイプの作品ではないのだ。ノンストップ議論と証拠提示と選択肢により、「裁判によってプレイヤーが介在しストーリーをどんどん進めていく」というゲームならではの読み物なのである。「推理を披露してどんどん論破していく探偵を見る」タイプの推理物と言えば分かりやすいだろうか。

天才を集めて行われるデスゲーム。
死体発見から間をおかず開かれる学級裁判。
裁判で明らかになる真実。
そしてクロへの凄惨なおしおき。

こういう単語から何かを受信するようなら、手に取って損はない。多くを書きたいのだが、何を書いてもネタバレになってしまうし、未読のプレイヤーにはそれを知らぬままプレイしてほしいのだ。なので一旦褒め言葉でなくシステムへのツッコミをおこなう。ネタバレが死ぬほど嫌な潔癖症の皆様は早急にタブを閉じていただきたい。


PSP『ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生』プロモーションムービー.mp4_snapshot_03.37_[2013.03.30_18.29.55]

ダンガンロンパは「演出付き読み物」からはみ出た部分が、悉く良くない。
つまり「インタラクティブノベル」でなく「ゲーム」になろうとした要素が、余計なのだ。

 

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学園探索は最初こそ「歩き回れる」という事に新鮮さを感じたものの、あっというまに移動は手間でしかなくなった。日常だろうが捜査だろうが、用があるのは「部屋」であって「廊下」ではないのだ。結局これなら部屋をマップから指示しての直接ジャンプで問題なかったように思える。またiPhone4Sでプレイしているとこの学園探索パートで凄まじい処理落ちとゲームスピード低下が発生するのでここも不快極まりない。PSP版にはこの処理落ちは無いようだ。

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殺人事件が起きるまでは日常パートであり、キャラ同士の掛け合いによるメインストーリーを見た後に自由行動が行える。このメインストーリーを見るためにまず部屋から出て食堂に向かうのが億劫なのだが、自由行動が更に面倒くさい。

自由行動は「好きなキャラクターに逢いに行く。会話の選択肢で好感度アップ。好感度によって特殊会話発生」という、ギャルゲーの共通ルートやサモンナイト夜会話のようなシステムになっている。ならば「話しかけたい相手」を選んで、そのまま「廊下を歩いているとだれそれさんを見かけた」というイベントに移行してくれればいいのだがそうはいかない。学園探索モードでえっちらおっちら歩いて人間を探さなければいけないのだ。例えこのキャラ毎の小話に興味が無くても、二回連続で、である。

自由行動中に教室を捜索すると「モノクマコイン」が時折手に入り、そのモノクマコインを使って購買部でガチャポンを引くことが出来る。このガチャポンから出たアイテムで好感度アップも出来るのだが、何せ総数が100種類近くあるのに1回ずつ回さなきゃいけないし回す度にいらん演出が入るのでストレスしか溜まらない。お得意の「10連ガチャ」のような機能はこういう所にフィードバックすればいいのに。

そしてこのアイテムを選んで渡したり会話での選択肢を選んだりして、好感度が最高ランクの「仲間」に達しない限り入手できない「スキル」というものがある。スキルの存在は抜きにしても、私はこの「会話数で引き出せない会話がある」というのがどうにも気に食わなかった。

というのも、このゲームはデスゲームでありとにかく人が死ぬのである。なので折角会話していた人間に死なれると、今までにあげたアイテムと行動数が全部無駄になるのだ。どんどん人が減っていくダンガンロンパと好感度制はかみ合わない。ここは好感度だのなんだのやるより、大人しくバハムートラグーンファーレンハイト内の会話のように物語の進捗状況に応じて話す内容が変わるだけにしておいた方がいいように思えた。

そもそもこういう「収集要素」「周回要素」というのはパーティーメンバーを入れ替えられるRPGで採用するならわかるが、一度読み解いてしまえば後はメッセージ送りの塊でしかなくなるノベルゲームとは相反するなわけで、そこに開発は気付かなかったのだろうか?それともこれを「やり込み」と本気で称するつもりなんだろうか?

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ただただメッセージ送りをさせるだけでは忍びなかったのか、Re:アクションというシステムが採用されている。これは一見「主人公から話しかけた」というゲーム要素にみえるのだが、その実「Re:アクション対象の単語を選ばないと話が進まない」「間違って読み飛ばすとまた話しかけなきゃいけない」という、プレイヤーの手間を一つ増やしただけの代物だった。

チュートリアルで「フラグ的な物もあるので積極的に話しかけて」などとプレイヤーに呼びかけるぐらいなら、これは廃止してボタン連打でさっさと話が進むようにしておくべきだったと感じる。

また、ダンガンロンパはADVのエンジン自体の出来が余り良くない。画面が明滅するエフェクトは明滅し終わるのを待たなきゃいけないし、立ち絵が切り替わる場合はロード時間が入る。カメラが動くだけでも待ち時間が入る。スキップも手放しで出来ればいいのに画面をタップしっぱなしじゃなきゃいけないのは酷く苦痛だった。ここらへん、本職であるエロゲ屋からたっぷり学んでほしい。2010年代にもなってこの読みにくさは恥ずかしいレベルだ。

演出過多な部分も見受けられる。この作品は何かに気付いたり、思い返したり、衝撃を受けるたびに画面がピッカピカ光るのだ。正直非常に目が痛い。スキップして文字だけ読み進めたいときにもビッカビカ光るのだからたまらない。

このゲームは学級裁判パート以外はキャラクターの声が数十通りのパターンで再生される。「あっ」「ひっ」「それは」「うわーっ」などなど、短いボイスが流れるのだが、例外がいる。二重人格で「超高校級の殺人鬼」の「ジェノサイダー翔」というキャラなのだが、一人だけ「あらららららァ~~!?」「あっはぁぁぁぁぁぁぁ!?」などと甲高い声で叫ぶのだから耳が痛い。ほんの少しだけ喋るならそれに統一してほしい。

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スマホダンガンロンパはハッキリ言ってユーザーインターフェイスが糞の極みだ。詳細はこちらの記事を一読していただきたい。

 

cr.hatenablog.com

テストプレイはスタイラスか爪楊枝で行ったに違いない。
せっかくの面白い物語も、システムがこうでは台無しだ。


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さて、物語の話に戻ろう。

最初の殺人が苗木を犯人に貶めようとした殺人だったのもそうだが、殺人犯が「超高校級の野球選手」というダンガンロンパならではのトリックを使ったのが非常に良かった。頭がいいだけじゃなく皆が何かしらのスキルを持っている、というのが他にはないこの作品の魅力だ。

と、思ったのだが次の殺人からはその手の「スキルを使った殺人」が殆どなくなったのが残念である。スイマー、格闘家なんかは身体能力で一本出来そうなのだが、すっかり殺人事件自体は大人しくなってしまった。二章は「死体を使っての探偵役のあぶり出し試験」の解決が主になったし、三章は「狂言」とダンガンロンパの持つ「天才」という設定がうまく機能していなかったように思える。

キャラクター同士の関係を描くのは非常にうまく行っており、日常シーンも非日常シーンもキャラクターは生き生きと「お前がやったんだ!」「何で○○が殺されなきゃいけないんだ!」とドラマを演じてくれる。学級裁判でも「お前は日頃からあいつを疎ましく思っていた!」などとやってくれるのだからたまらない。僕は4話を最も気に入っている。誰にも真意を話すことなく死んでいったさくらの自殺。これを学級裁判で解き明かしていくときの「そうとしか考えられないんだ」という切ない流れが良い。

その自殺についての裁判が良かったからこそ、5章からの「クロ不在裁判」からの舵取りについては賛否両論ではなかろうか。霧切の矛盾を暴いてからの「夢オチ」にも無理やり感が漂う。これだけ「死んだら終わりだ」「現実を見ろ」とやってきたゲームなのに、そこを捻じ曲げるのはいいのだろうか?

敢えて「記憶喪失の方法」や「人類史上最大最悪の絶望的事件」を描かず、目の前の絶望と対峙する希望の話に終始したのは良いのだが、流石に最終章の裁判で明らかになる双子入れ替わりネタはどうなんだろう。ノックスの十戒の一つ「双子は予め読者に知らされていなければならない」に抵触するし、何より黒幕の江ノ島(本物)はポッと出にも程がある。かといってスパロボZのジ・エーデル・ベルナルほどの狂気も説得力も無い。

最初から小説のリリースが決定していてそちらでカバーする予定だったのかもしれないが、だとしたら典型的な「外伝で補完するから本編で分からなくてもいいよ」というメディアミックスでの失敗を犯している事になる。勿体ない話だ。


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学級裁判は逆転裁判の「全部ゆする所から始まる面倒くささ」を見事に払拭しており、手放しで褒めたいところなのだがそうもいかない。

マシンガントークバトルは数パターンの音声がバラバラに再生されてるだけで「言い合ってる感じ」も「言い負かす感じ」も無いのだ。発生個所は決まっているのだから、やるなら裁判の内容に沿った台詞を苗木及びバトル対象にきっちり用意して、交互または同時に喋らせるべきだったろう。

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アナグラムは出来の悪いガンシューティングでしかなかった。

ひらめきアナグラムもマシンガントークバトルも、どちらも一度議論の流れを中断して別モードに移行してこうなるので折角のノンストップ議論のテンポを殺いでいるのが非常にもったいなかった。そのままの勢いでマシンガントークしてくれればよかったし、トークに怯えたり口出ししようとして怒られるクラスメートなんかもいればもっとよかった。アナグラムは流石に選択肢で良いだろと言わざるを得ない。

また「他人の発言を弾丸として使う」というのがどうにも上手く出来ず、緑色のサークルが表示されるもキャプチャー出来ないことが何度もあった。早送り機能があるからいいものの、それでも受付時間を長くしたりキャプチャーの所要時間を半分にしたりすることでもっと使いやすくなるはずだ。これも最後に「希望」で「絶望」を論破する最も盛り上がるシーンで気になってしまった。スマホ版は本当にお勧めできない。

私は2を未プレイなので、これらの問題が解決されていることを祈りながらスーパーダンガンロンパ2iOS版配信を待つことにしたい。


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タッチパネルでの操作に全く最適化されていないため、要らぬストレスを感じながら遊ぶ羽目になってしまった。もし原作未プレイの読者がいるなら、是非PSP版で遊んでいただきたい。物語自体は非常によく出来ているし、キャラクターも魅力的だ。5年に1本の傑作であることに、疑いの余地はないだろう。システムのかみ合わなさが気にならないと言えばウソになるが、それでも全体を見れば評価点を食いつぶすほどではない。

逆転裁判に続く新たな『希望』に、まずは拍手を送ろう。
『希望』は伝染し、『希望』は前へと進むものなんだ。

アニメ版楽しみです。本当に。