アサシンクリードミラージュは全然原点回帰じゃない。

どうでもいいけどこれで1以前の時代4作目です。マジで?

 世間が引き続きうるさいのでアサシンクリードミラージュをクリアした。UBIへ5月末に「ヴァルハラだけ何故かCD Keyが要求されてDL出来ない。WebからもランチャーからもDL出来ない。マジでなんとかしろ」とサポートに問い合わせて、2度返信が来てお待ち下さい状態になってもう半月が経過している。経過したせいでオデッセイとミラージュが終わってしまった。私はとても悲しい。UBI…お前アブスターゴだったのか…?

 というわけで今日はアサシンクリードミラージュの記事です。

別に全然原点回帰じゃないです。

一回UBISOFT PRESENTSって出てからタイトルまで20分ぐらいあって笑う

 巷でやたらめったら「原点回帰」という言葉が使われているが、別にそんな事は無いんじゃないかな。というのがまず終えてみての感想だ。まず暗殺一つとってもカメラがぐぅっと近づいて剣がギャリンギャリン言うカウンターじゃなく、パリィボタン押して弾ける攻撃が来た時に弾き。パリィ不可の赤攻撃は無敵の回避入力、アビリティ取ったら回り込んで背中に2コンボ。舞うような戦い方は非常に良いが言うて原点にそんなのがあったかと言われると、ない。というか連続暗殺(コンボキル)が無い。

 では本作何があるかと言うと、敵にテイクダウンした後マジで良くわからない方向にフォーカスが働いて時間内にボタンを押すと確殺のナイフが飛ぶ。あとフォーカスという暗殺ゲージを溜めると、時間停止→殺したい相手にカーソル合わせてボタン押す→瞬間移動して全員を一瞬のうちに刺し殺す超必殺技が実装された。

 これオデッセイにあったよね~

www.ubisoft.co.jp

 

 ではない。元々スプリンターセルシリーズの「コンヴィクション」で搭載された「マーク&アクション」というシステムが元ネタだ。割と表現としては劣化していて、格好良く走ってバッサバッサと連続暗殺(イメージとしては龍が如くの武器ヒート演出)するかと思ったら重低音を響かせながら瞬間移動してしっとりとサクッ…サクッ…と刺していく。残念ながら2以降のダブルアサシンもコンボも無いままなのでこれは頻繁に使うことになる。

 加えて極めて強力な武器としてバーサーク吹き矢がある。撃たれた相手は錯乱して市民や味方に襲いかかり、しかもその後死亡する。これ一つで相手の陣形や注目を崩し、難易度を一気に低下させる武器なのだがこれは2でブレードポイズンとして出てきた後、更に後の作品でポイズン/バーサークダートとして出てきたものだ。

 かと思えば便利グッズ類に物語、特にダヴィンチ(2)やベル(シンジケート)のような物も無い。ゲーム進行で手に入るポイントを使って支部の発明家に話しかけてサークルを開放するだけ。ここは逆に淡白。未来の要素や他ゲー要素を取り込んで置いて、かと思えばその時に付随していた広がりが無い。

 街の皆さんの力を借りて…戦う!というような依頼こなしましょうねアピールがゲーム内であるものの、やることは基本的にスリで片っ端から通行人の財布盗んで質屋で換金してそれで歯車を買って前述のナイフと吹き矢を強化すればだいたい終わりである。せっかくアサシンと支部が復活したが仲間のアサシンを呼び出す(BH)のようなものも無く、手配度については手配書を剥がせばすぐ下がるのでコインの使用用途としては微妙。メインクエストを金や特殊コインでスキップするのはどちらかと言えば原点たる1の話でなく、元貴族であるエツィオの振る舞いだし、元ストリートチルドレンの主人公がやる事じゃ無い絵面なのも「原点回帰」と言うには盛大に引っかかる。

所で1では「尋問」つってボコボコにして聞き出していた。尾行は別作品。

 ところで立ち話している人達の中に混ざって不可視扱いとする「ソーシャルステルス」についても2からの導入で、それはあまり効果的に機能していないように見えた。路地が狭く番兵は多く、そして立ち話している人は少なく全力で走っていると人は驚いて群衆判定が解けてしまう。結局屋根伝いに移動してどこかしらの東屋に入るほうが速いのだ。

 と、書き出すとミラージュはかなり「シリーズの原点」とやらとは別のゲームに見える。調査してターゲットを絞り込む中で更に人殺しを重ねるのは別に回帰しなくてもずっとシリーズを通してやってきた事だし、「場所が中東のバグダッド」「支部と本部からの指示でやる」の感覚ぐらいしか別に原点と共通してないのではなかろうか?

そこは別に原点回帰しなくていいです。

3から割とどこでも登れるようになったのに。

 さて、それでは原点回帰してないのか?と言われるとまあ実際は原点回帰している。どのあたりがと言うと「全然ドアが開かないし、全然登れない」のだ。3でどこでも登れるようになり、シンジケートのロープランチャーで一気に屋上に登れるようになり、ついにオデッセイではまるで掴むところのなさそうな銅像や石像にまでスタスタ登れるようになったアサシンクリード。それは自由なルート構築を可能にしたが、逆に「見つかるとものすごい数に袋叩き」以外の難度設定を難しいものにしていた。

 それをミラージュではサッパリ登れなくした。壁に登るようの出っ張りや輪が無い限り、潜入する系のエリアでは登れない。タカで見渡しタカの目で見渡し、ロックのかかったドアから逆算してどこから入れるかを推理する必要がある。窓も綿密に閉まっており、中からかんぬきを破壊するほか無い。

 実際、それは「暗殺対象の居る拠点攻略」では非常によく機能している。オープンワールドでありシームレスでありながら警鐘の鳴らない限り敵が寄ってくるのは声の届く範囲で、もし見つかってしまったとしても4~6人を相手にするだけで済む。鍵を手に入れ先に進みまた次の手を…と考えていく感覚はこれまた前述のスプリンターセルであり、そしてパブリックイメージとしてのシンジケートまでのアサシンクリードの再現に成功している。

 が、問題はビューポイントの間隔やシンクロまでの道のりだ。馬を呼び出しても高速移動できず入り組んだ道やジグザグに屋根の上を歩かねばならない事が多々あるのにビューポイントの数が密度に対して少なく200mから500mの移動が連続する。加えてビューポイントに登るのもやはり一筋縄で行かなくなっており、どうやって登るかをスクリーンショットにある通り考えねばならない。開放しても億劫、開放するまでが億劫となっているのは残念である。

猫は毎秒撫でさせろ。

 拠点攻めの中で投げナイフで敵を即死させ、それを見つけて寄ってきた敵兵にバーサーク矢を当てて錯乱させ、混乱が生じた所を暗殺し、更に投げナイフでコンボ。ゲージが溜まったら先の瞬間移動で一気に殲滅。原点回帰というよりは存分に後世のエッセンス入り。戦い方はほぼサム・フィッシャー。アサシンクリードミラージュはそういうゲームだ。

「ヘビ」路線は継続しており標的の名前がバハムートとか出てくる。かっこいい。

 さて肝心のストーリーラインについてだが、「標的の事を知る」「そのうえで殺す」という所についてもやはり原点回帰してしまった。シンジケートであれだけ標的の「社会に及ぼしている良い影響」の話もやっていたのに、どれだけ悪徳かの話しかしてくれない。その上主人公のお悔やみタイムも概ね侮蔑とジーニーへの恐怖で埋まってしまっているため、しんみりする感じもない。せっかく長い調査過程があるのだからここだけは本当にしっかりして欲しかった。

 別にシンジケートに限らずで、オリジンズの『スカラベ』ことタハルカの二面性や暗殺を子供に目撃されてしまう流れや、子を失った母親である『ハイエナ』のような話がついてこなかったのが残念でしかたない。そこは原点回帰しないで欲しかった。

 というわけでアサシンクリードミラージュの話は以上だ。クライマックスでは何故この物語の名前に「ミラージュ」と付けられたかしっかりやっているし、その結末も「ヴァルハラ」の前日譚として非常に良くできている。特に最後のワシからの一撃が印象的だった。

 

 

 出来ればUbisoft+でちゃんとヴァルハラをシーズンパス込みでやりたいのだが、放置されるようであれば次は何かしらのゲームをやろうと思います。それでは。