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HOTLINE MIAMI もう二度と戻らない日々へのラブソング。

HOTLINE MIAMI Game

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HOTLINE MIAMIという怪作がリリースされたのは2012年の10月の事である。1989年のマイアミを舞台に、ロシアンマフィアをぶち殺す見下ろしシューターだ。8bitテイスト……に見えて意外と表現がリッチなので、これは同じ89年に北米でリリースされたメガドライブ風と言ってしまっても構わないだろう。自分や敵の動きは滑らかで、吹っ飛んだ時の回転度合も含めると「1989年風メガドライブFlashゲーム風見おろしシューティングサイコスリラー」ぐらいのゲームになると思う。サイコスリラーだって?まあそのまま読み進めてほしい。

 

cr.hatenablog.com

 

 世界よ、これが”暴力的な表現”だ

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このゲームは敵も自分も一撃死である。そしてリスタートに1秒とかからない。文字も背景もぐわんぐわんした世界でやることは一つ、殺しだ。バットやゴルフクラブで頭をカチ割るもよし。ナイフやマチェットで首をぶった切るもよし。何をしても一撃死で、やられアニメーションやグラフィックは豊富に用意されている。ショットガンで撃てば腕ももげるし、日本刀で切ればロシア人の上半身は下半身とお別れすることになる。

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グレネードなんて便利なものも無ければ、マガジンを拾うなんてことも出来ない。なのでプレイヤーは「銃を持っている敵を殺しては武器を入れ替え」「時にSPASを投げつけてひるませてから顔面に蹴りをぶちこむ」など目まぐるしく変わる戦況に対応していく必要がある。何も考えずに突撃すれば身体に穴をあけられてお陀仏だ。殺されても先に書いた通りリスタートに1秒とかからないので安心して死ねる。死んだことはそこまでストレスにはならない。

攻撃にはパンチを含む近接と、銃火器の二種類があり、銃火器では要らぬ敵を呼び寄せてしまう。弾薬も多くて24発(マシンガン)しかないし、なにより弾は貫通しない。状況を把握し、どこで戦うかも考える必要がある。死にゲー、ランボゲーの上にステルス要素まであるといっていいだろう。。上のスクリーンショットはあるステージの開始直後で、勢いよくドアを開けてマフィア共を弾き飛ばして殺しまくったところの画像だ。

何度でも殺され、何度でもリトライして、何度でも殺す。このゲームにはそれをするに足るゲーム性と、中毒性がある。ゲームとしてもっとも原始的な快楽である「敵を倒すのが楽しい」作品を遊びたいなら、本作を選ばない理由はない。

何度でも殺す、という物語

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ステージの合間に挟まれるのは日常シーンである。店に出向いておつまみを貰ったり、バーで酒を飲んだり、ピザを取ったりとやることは人殺しでも何ら変わらない。店の前にデロリアンを停めて、買い物をして出てきたら視界の端でチンピラが血だるまになって死んでいたとしても、それはマイアミの日常なのである。

ゲームの冒頭で主人公はマフィアに囚われた女性を助け出し、同棲することになる。ステージが進むほど汚かった家は彼女により片づけられ、少しずつ少しずつ整頓されていく。なかなか芸が細かい。

……ちょっと待てよ、さっきガールフレンドは死んだと言っていなかったか?

その疑問は正しい。ゲームは中盤から少しずつ、確実に狂気に飲まれていく。店には死体が転がり、アゴの吹き飛んだ男が話しかけてくる。画面にはジジジとノイズが走り、これが現実なのか非現実なのか分からないまま、主人公は復讐を進めていく。

「これは有り得ちゃいけない事なんだ」「これは無かったはずの事なんだ」と喚く人々を尻目に、家に帰るとそこには鼠のマスクを被った男とガールフレンドの死体。「暗殺依頼の電話を入れているのは誰なのか」「他人を傷つけることが好きなんじゃないのか」と話しかけてくるのはもう一人の自分。惨めな復讐を止めようとする自分すら無視して、主人公は殺し続ける。

Bioshock並みに「明かしてしまっては勿体ないネタ」なので、これ以上はプレイして楽しんでほしい。ただ一つ言えるのは、「何度でもやり直す」というゲームシステムを見事に物語に組み込んだものだった、という事だ。

マスクを被った殺し屋

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殺し屋たちはマスクを被り、素性を隠して行動している。このマスクはステージでハイスコアを獲得したり、シークレット要素を見つけると新しいものを手に入れることが可能だ。素手攻撃で敵を殺したり、コンボを繋げやすくしたり、犬が襲ってこなくなって攻略が楽になったりと多彩なプレイスタイルを提供している。スコアアタックの御褒美、というわけだ。

3時間程度で一周できてしまうし、人によってはそれで終えてしまうだろうと思う。ゲームのボリューム自体は10ドル相応だし、難易度だってそれなりに高い。だけども、だからこそ「ゲームの進化」とやらを追う人には遊んでほしい。極彩色の暴力空間で、80年代テクノを聞きながらマフィアの頭をカチ割ってはSPASで脳天をぶち抜かれるマイアミ体験は、唯一無二のゲームとしての面白さを提供してくれるはずだ。

HOTLINE MIAMI
http://store.steampowered.com/app/219150

なお、画面がゆらゆら揺れるのも、変にチラつくのも、演出ですのでご了承ください。
Xbox360コントローラ対応です。