みんな大好きHotline miamiの2です。
※本記事はSteamに投稿したレビューに、更に加筆修正したものです
前宣伝や前評判との差異
Hotline miamiは部屋を一つ一つ潰していくステルスアクションゲーム的側面を持つゲームでしたが、2は如何にしてデブ(格闘の効かない敵)とマッチョ(格闘しか効かない敵)を捌くかを考えつつ、画面外からのスナイプに怯えながら山のような敵を撃ち殺すトップビューのシューティングゲームになってしまいました。
主な死因は3つ。
- 銃声を聞かれた為、デブ含む敵が殺到した為死亡
- ガラス越し、もしくは遠距離からの超反応射撃で死亡
- デブに気づかれて死亡
今作で多用するのは銃声と姿をチラりとみせての「誘き寄せ」です。どこでどう誘き寄せて敵を叩きつぶすかを考えるゲームとなっています。広く、射線の通り過ぎるマップで集中砲火を受けて死なないように、ちびちびと戦います。前作の「雑居ビルの部屋に入って華麗にコンボをキメて殺す」というスタイルでは無くなってしまいました。それゆえ1回のプレイがしんどく、RESTARTも重くなってきます。これアレですね。確か※Trialsも同じような路線辿ってましたよね。そこがちょっとつらいところです。
※Trials:モトクロスバイクで障害物や山あり谷ありのコースを駆け抜けるゲーム。最高難度のコースはまず初見ではミス無しに通ることなど出来ない。チェックポイントは小刻みに用意してあるので、非常に高速なリトライ機能も相まって「取りあえずクリアだけする」ならばハードルはそこまで高くない。が、タイムアタックのゲームであるが故、最終的にはそのコースを走り抜ける数分間を一度のミスなしに通り抜けなければならないゲーム。
それと、マスクチェンジして遊べる機会はそんなに多くありません。事前の情報では「4キャラを駆使して戦う!」かのような感じに宣伝されていましたが、ふたを開ければそれは「Jacketをリスペクトする5人組編」だけの話でした。今作はオムニバス形式が採用されており、主人公が幾度となく入れ替わります。マスクチェンジ出来る他の人ももちろん居るのですが、映画編や刑事編ではマスクチェンジは出来ません。つまりそのステージではマスクチェンジによるちょっとした難易度の調整も出来ないという事です。(1のドア無双等が懐かしい人もいるでしょう)
またオムニバス形式の悪いところで、「銃の使えない記者」だとか「武器の拾えないメガネ兵士」だとかを使わなくちゃいけないステージもあります。前作のRider編みたいなものです。ぶっちゃけ面白く無いです。Hotline miamiって言ってんだからmiamiでやれ。hawaiiに行くな。
前作の警察署ステージ張りにハナっから殺しにかかるので、ヌルさについては心配ご無用。寧ろ前作をやり込んでいればいるほど、また別の筋肉を使う事を必要とされるので少なくとも一周はガッツリ楽しめる事でしょう。前作が「どうとでもクリアしてみろ」ならば今作は「殺す。生き延びてみろ」と言った感じ。全てのシステムを使い倒して殺しましょう。でもメガネ編は本当に勘弁な!
ノーマル一周すると上下反転して敵の配置を組み替え、弾が減ったハードモードも遊べます。銃を撃って敵をおびき寄せ一網打尽にし、「誰からおびき寄せて血祭りにあげてやろうか」と悩む”マイアミ2 流スタイル”で、どんどん他人を傷つけて行きましょう。しかしベヨネッタもそうなのですが、プレイヤーに有利なシステムを潰して「はい、難度上げた」って止めてくれませんかね。Hotline miami2 ではロックオン機能がハードモードで殺されます。これ前提のスナイパーライフル(メガネ編で装備可能)とか死にます。
ハッキリ言ってしまえば、今作は「1をクリアしたプレイヤーへの挑戦状」というステージデザインであり、前作のデザインを知っていればいるほど「この局面、どうクリアすればいいんだよ!」と悩む事になる作りです。それはつまり1の「小部屋を制圧し、マスクによって出来る出来ないを考え、流れるように近接武器コンボを繋げ、やろうと思えば1分もかからずフロアを制圧できる」という作りでは無くなったことを意味します。
■BEEP■
ハードモードまでたどり着いた人向けにメッセージが一件あります。
本作は「即死ゲー」ではあれど「激ムズゲー」では無かった前作と比べると、「激ムズゲー」の側面が非常に強くなっています。
遊ぶ側としてはVVVVVVやSuper Meat Boyが欲しかったのに、作る側が作りたかったのはTrialsのEXTREMEコースに挑むようなゲームだった、と言うのがそもそもの原因だと言えるでしょう。
そのTrialsだって「完走」だけが目的ならば事前のチェックポイントからやり直せばよかった訳で、今作の「R TO RESTART」は「コースを初めからやり直す」と同等の重みになってしまいました。気軽にRESTARTなどできません。マップは広く、殺す敵は多く、殺すまでの手順は長くなってしまったということは、巻き戻される時間が1に比べて何倍も増加しているのです。
一言で言えばマーケティング不足ではありますが、しかし「作りたいものを作る」というインディーズゲームの観点から言えば、これほどインディーズゲームらしい「すれ違い」も他に類を見ないのではないでしょうか。
ハッキリ言えば「作る側」と「遊ぶ側」で、Hotline miamiに描く「2」のビジョンが相当異なっていたのです。ハードモードでその「激ムズゲー」の傾向は顕著になります。エリアチェンジ直後から襲い掛かる近接、どう考えても一度には相手に出来ないデブの数、うようよ配置された犬。
それがハッキリするのが、ハードモードの刑事が船に乗り込むステージです。エリアチェンジ後、遮蔽物の無い開けた場所でマシンガン2人から撃たれ、それと同時に複数の人の鈍器持ちが追いかけてくるのを見て私は確信しました。
「制作者の作りたかったのはこの激ムズゲーで、私が遊びたかったのは油断すると死ぬ即死ゲーだったんだ。何と悲しい間違い電話なんだろう」、と。
■CLICK■
それでも他人を傷つけるあなたへ。
ドアを盾にする。敵に武器を投げつけて転ばせてすかさずその鈍器を奪う。走ってくる高速タイプの敵に歯ブラシを刺して殺す。Hotline miamiでは使わなかった様々なアクションが、2では必要となります。1の様に「どうやって殺しても良い」から2の「どうにかして生き延びてみろ」という作りは、確かに窮屈かもしれません。
しかし、そこに在るのは確かにあの見下ろし型の殺人ゲームであり、1の警察署からBiker編までのあの作りを更に延長したような、プレイヤーへの挑戦状たちです。ハードモードは流石にアクションパズル過ぎる感が否めません。現に私は「Hotline miamiでやりたいのはこれじゃない」と攻略を断念しました。遊んでいても面白いと感じなかったからです。
Fallout3ファンがFalloutNVを遊んだ時の「コレジャナイ」感がそっくりそのまま1プレイヤーに襲い掛かってくる本作ですが、リヒター編に突入した辺りである種の割り切りが出来るかどうかに懸かっています。前作の様に「小部屋を流れるように殲滅する」のではなく、フロア全体をどう殲滅するか。前作でスコアラーだけが要求された「速攻」が通常クリアにも要求され、それを拒否した場合「ちまちまとおびき出しては殺す」しか残らなくなると言う具合です。
ここで今一度、公式トレーラーを見てみましょう。ほぼ立ち止まってないですね?つまりこの動きが2に於ける「模範」の動きであり、ああやって蹴散らすのが「模範解答」という事になるわけです。それについてリヒター編の「どう考えても速攻で倒さないとクリア出来ないステージ」で直面した時、理解と割り切りが出来るか。割り切れずに「ゴリ押しだ」「強制だ」「雑だ」と言ってしまうか。それがHotline miami 2の評価に直結すると断言していいでしょう。
ストーリーについては、後日語る事としましょう。
結びに、今作で得られる「暴力的な体験」についてのお話をして終わりにします。
貴方は簡単に殺せると知っていても、キャラクターは必死に殺した相手を生き返らせようとします。貴方はもう殺したと知っていても、キャラクターは執拗に相手を殺し続けます。誰もがあの頃のあなたの様に引き金を引ける人ではありません。それでもよければマイアミへようこそ。そして、おかえりなさい。
DO YOU LIKE HURTING OTHER PEOPLE AGAIN?