Holine miami 2:Wrong Numberの「間違い電話」についての幾つかの説

2015-03-11_00001

「Wrong Number」とは何を指すのか?というお話です

 


1.SonからFansへの電話説

DEASH WISHの冒頭、何者かがThe Fansの電話にかけてきます。これはAct2の最後にThe Sonの部下が落としたものを拾っておいた物です。この通話から場所を知ったFansはSonの本拠地に乗り込み、そして全員見事にくたばってしまいます。

この電話、誰がかけたものかと言うとAPOCALYPSEの冒頭で明かされた通りThe Sonその人です。電話が誰の手にあるか分からないまま番号にかけてしまった、という事を考えると直接的にはこれが「間違い電話」であったと言えるでしょう。この場合間違えたのはThe Sonその人です。

Act3で謎の電話に導かれて起きたFansの戦いと死、それがAct6を終えた後のAPOCALYPSEで判明するHotline miami 2のストーリーを象徴する言葉と言えるのかもしれません。

2.50の祝福からの電話以外で起きた殺人説

今作は前作と違い、The Fansの自警団活動、刑事の気晴らしも兼ねた捜査活動、マフィア間抗争等等様々な殺人が描かれます。が、対象はコロンビアンマフィアからただのゴロツキまで様々ながら「ロシアンマフィア」を殺しに行った人物はいません。映画ですらそこを履き違えています。強いて言うなら突撃取材で人殺しを行ったEvanでしょうか。

これに対し1991年から見た過去編の人々が相手するのはロシア人ばかりです。ヒゲメガネも、Jacketも、Bikerも、Jakeも、Richterも、殺したのはロシア人です。そしてヒゲメガネは直接の命令で、それ以外の人々はみな50の祝福の電話で動いて人殺しを行っています。

「間違った場所へ通じてしまった」という事を考えれば、1991年の人々すべてが「間違い電話」なのかもしれません。そう考えると「間違い電話中の間違い電話」であったSonからFansへの電話が、彼らをJacket同様本物のマスク殺人にしたのですからこれはこれでピッタリと言えます。

3.前作のJacketの行動そのもの説

前作、警察署で50の祝福の潜伏先のクラブの場所を突き止めたJacketですが、彼はあと一歩…開けるドアを間違えさえしなければ、黒幕に辿り着けていました。黒幕に辿り着いていればロシアンマフィアは壊滅することなく、Jacketは捕まることも無く、それに影響された人々や、SonからFansへの電話も存在しませんでした。

つまりWrong Numberとは2そのもの、前作でのJacketの選択が引き起こしてしまった「間違い電話」な未来そのものをあらわす言葉なのかもしれません。間違った未来だからこそBikerのいた坂場にはプレイヤーキャラが集い、ABYSSのような事が起こり、そして核ミサイルで何もかもが吹き飛んでしまった。間違っているからこそEvanは真実にはギリギリでたどり着けなかった……という説です。


巻き戻される世界と辿り着いた世界

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前作のBiker編への移行でも出てきた巻き戻し表現ですが、「平行世界もの」「分岐もの」「プレイヤーが干渉して未来を変えるような作品」というメタなものとしてみた場合、このゲームはプレイヤー遊んで干渉すればするほど変化し、そして間違い続ける事になります。

「人を傷つける楽しさ」にプレイヤーが飲まれ、プレイヤーが操作していたキャラすらプレイヤーが殺し、最後にプレイヤーが行った事はいったい何だったでしょう?「虹の橋」の向こう側には何もありませんでした。「人を殺すこと」と向き合わされたプレイヤーは、楽しい楽しいレインボーの世界で最後には「自殺」したのです。

そして人殺しを止め、ハワイで母親と暮らすRichterにもその死は襲い掛かります。こうなってしまったゲームの世界は、今更誰にも変えられませんでした。「愛国心」故に、「こうすれば良くなる」と信じて戦ってきた人々のアメリカは核の炎に焼かれてしまうのです。

 

……という事を書いてみたものの、結局何だお前それ核爆弾っていう規模のデカい爆発オチじゃねえか。という感が拭えないHotline miami 2。次回があればまた何か書きます。50の祝福の話とか。多分。