二段ジャンプパック、配信開始!!!
ダウンロードコンテンツ、略してDLC。
DLCはこの10年でPC、PS3、360、そして携帯機やスマートフォンなどなどに広まった。全ての作品は作品である前に商売だし、商売として成り立たねば次の作品を出すこともままならない。それは分かる。わかるがどうにも割り切れないことだってあるわけで。
今回の記事では私なりにこのDLCについて思う事を書いてみようと思う。
なお冒頭の画像はDLC地獄である今の業界を皮肉った傑作DLCクエストの画像である。
詳細はこちらのブログの紹介記事を読んでいただきたい。
毎日ムキムキ DLC Quest 特集
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1170.html
新マップパックリリース!……とは言いますが。
Gears of war, Call of Duty, Battlefield,HALO,シーズンパスを採用したゲームには切りが無い。これらのゲームは米ドルで60ドル、日本円で8000円ほど客から手に入れた後、最大5000円の追加投資を要求する。「多くの追加マップが出る!今支払えば安く買える!」と「まだ見ぬDLC」への期待と本編の出来を担保に金を要求する物だ。
このシーズンパスおよび、マルチプレイヤーのマップパック商法にはいくつかの欠陥がある。今回は二つだけそれについて取り上げたい。
一つはこのマップパックを利用できるかどうかは保障されていないという事である。マップパックというのは買った人間が、買った人間とでないと遊べない。マップパックを買っていない人間と遊ぶ場合は折角金を払ったマップパックを使う事が出来なかったり、「マップパックを持っていない人間」が強制的に排除されてのゲームが始まる事になる。
マルチプレイヤーの人口というものは時間が経つにつれ減っていくものなのでまず「プレイ可能な人口」から小さくなっていくわけだが、これに加えて「未だにこのタイトルをやっている人間かつDLCを買っている人間」という条件が付く。シーズンパスを購入したところでそのマップパックを楽しめる保障は無いのである。「対戦ゲームのDLCを買ったのに、遊び相手がいない」ほど悲しいことはない。
私はこれをBF1942の拡張パック、BF2の拡張パック、CoDのMWとMW2で思い知った。どれもこれも最終的には「マップパック入り」での対戦は困難となり、「マップパック無し」でのプレイを余儀なくされた。「マップパック持ちがマップパックを消してでも遊ぶようになる」ということは「別のマップパック持ちがマップパックで遊ぶ機会を奪う」に等しいわけで、一度過疎が勢いづけばあっという間に誰もかれもが「マップパック無し」に転身することになる。「追加料金を払ってまでゲームを遊ぼうとした」のに「快適に遊ぶためにコンテンツを削除する」わけで、これでは本末転倒だ。
「早期アクセス権」として売り出し、時間がある程度経った状態で無料DLCとしてリリースしてマルチプレイヤーにDLCの導入必須にしておけば「DLC有りが標準」となり、DLCを買ったものも買っていない者も幸せに遊べるのだが、まあEAやアクティビジョンがそんな事をするわけが無かった。
二つ目はマップパックやコンテンツの出来は保障されていないという事だ。直前にトレーラーで大体の内容こそ確認できても、1500円/1200MSP/15ドル支払って期待した内容が得られるかは分からない。買った所で不出来なマップだったとしても[※このアイテムは返金対応していません]と言われて終わりだ。正しく「売り逃げ」の様相である。
発売日同時DLCとシングルプレイヤーゲーム
発売日にダウンロードコンテンツがリリースされることもある。それは衣装だったり、追加ステージだったり、メールアドレスだったり、ゲーム内容の解除のショートカットだったりする。発売日のDLCに「追加ステージ」や「追加曲」や「追加キャラ」があるのを喜ばしく思うのは良いのだが……
ディスク内コンテンツへのアクセス権も、限定版ならば「エディションの違いか」と納得しようもあるのだが、発売日と同時に歌やクエストやステージなど明らかにゲームのボリュームに直結するような売り方は如何な物か。8000円でゲームを売りつけておきながら、その新品の時点では70パーセント程度しか楽しむことが出来ず、DLCに追加投資してやっと100パーセントになる売り方は、あまりにプレイヤーを舐めてはいないか。
確かに小銭を稼げるのではあろうが、やるならばフルプライスで100パーセントのものを売って、最初は特殊カラーリングやコスチュームなどの小物で稼ぎ、きちんと1000円とか2000円支払うに値する大型コンテンツをダウンロード販売してほしいものである。ストーリーの大事なゲームでシナリオの分割販売などもってのほかだ。
とは言え、この手の作品は買う事で不利になる相手はいない。Xbox360版のテイルズオブヴェスペリアの時に話題になったが、フルプライスで買ったゲームをつまらない理由で棚にしまうぐらいならゲーム内通貨(テイルズであれば『ガルド』)を販売しても問題ないと思う。任天堂も同じようなことをファイアーエムブレムでやっているし、真・女神転生Ⅳでも救済策が用意されている。「簡易な救済」であれば許されると思う。それがストーリー性を伴わない、本当にただの救済策であれば、だ。
フルプライスゲームである理由。
基本無料のゲームや、セール期間に「無料」に設定にして人間を釣り、繰り返し同じゲームを何度も遊ばせゲーム内通貨を溜めさせ、その「稼ぎに費やされる時間」を「リアルマネー」で買わせるやり方が横行している。余程の作品でない限り私は支払う気にならないが、腐るほどそれが転がっているのだからそのやり方は定着してしまったのだろう。
この手のゲームは、とかく友人との「ハイスコア」を競わせたがる。アーケードゲームの思想でそうやりたいのだろうが、その「ハイスコア」は、「ゲームを効率化するアイテム」を買って手に入れた者であって、そんなものは腕で叩き出したものじゃないだろう。というのが私の持論だ。
ゲーム内通貨制度だらけの世界で、今も「売りきりゲーム」が「売りきりゲーム」でいられるのは、何もかもがゲーム内で完結しているからこそ煩わしさが無く、思う存分遊べるから。思う存分安心して遊べるからこそ、稼ぎに時間を費やしたり、リアルマネーの絡まないハイスコア合戦を楽しむことができる。そこには1本で完結した物語があるから、本や映像作品と同じように味わう事が出来る。プレイヤーとゲームだけで完結した、完璧な世界だ。
だから、あまりプレイヤーを苛めるな。小金を稼ぐために、折角何千円も出してゲームを買った人々を、苛めてくれるな。メーカーよ。オタクは何だって金を使う訳じゃない。金を使っていいと信じた作品に金を使うんだ。あこぎなやり方をそう何度も続けられると、流石に発売日に、新品でなんか買いたいとは思わなくなるよ。