ブラよろコラ「ソーシャルゲーム課金」 あとがき。

 

9
あとがき。

まず、これを言っておきます。
他人が可処分所得を何に突っ込もうが、僕の知ったことではありません。もしこれを読んでいるあなたがソーシャルゲーム重課金兵だったとしても、私はあなたの事をどうこう言うつもりは無い、という事を頭においておいてください。自分で稼いだ金なのだから他人が口出しをするものではないでしょう。何より他人に口出ししたところで僕の財布が膨らむわけでも、口座の預金がモリモリ増えるわけでもないからです。

ただ、招待ボーナスやフレンドボーナスといった「他人を誘えば自分がゲームで有利になる特典」欲しさに、厚かましい態度で「無料だから始めろ」「アカウント作るだけでいいから」と頼まれた事が一度や二度でない事。スマートフォンでWebブラウズしている時に画面下端にべっとりとソーシャルゲームの広告が張り付く事。テレビCMが鬱陶しい事。「携帯ゲーム機や据え置きゲーム機なんて古いよな、ソーシャルゲームこそが最新でイケてるゲームなんだよ」と我がもの顔をしている事。「あのゲームの最新作が遂に登場!」と喜び勇んで記事を確認してみればソーシャルゲームだった事。そのソーシャルゲームが半年と経たずに看板を下ろした事。などなど、ソーシャルゲーム自体に良い印象を持っているといえば、嘘になります。

確かにカード収集も育成も楽しいですし、誰かと取引をするのは大人数ネットゲームだからこその相場の流れを読む楽しさもあるでしょう。イベントというのは今まで積み重ねてきたことの結果が出て、周囲のプレイヤーとの雌雄を決する場であり、その瞬間の楽しさは「Civilization」の戦争による勝利以上のものであると思います。何より昔懐かしいタイトルやマンガやアニメの最新ゲームがでて、みんな遊んでいて、みんなとその話が出来る。はっきり言いましょう。ソーシャルゲームは楽しい物なんです。

ただ、ソーシャルゲーム僕にとって「ゲーム」では無かったんです。

僕にとってのゲームは、100円を投入して「開発者」ひいては「自分」そして「相手」に挑戦するものです。ハイスコアを塗り替えたり、高難易度の譜面をクリアしたりするのが好きです。機体を選んでチームワークで勝利するのも大好きです。そこには、金をつぎ込んだ量での優劣はありません。

確かにプレイ回数で称号が付いたり解禁される曲があったりするのも分かります。ゲームセンターにも「連続プレイを前提とした強化」の波は押し寄せてきました。カードタイプのゲームだってありますし、車を強くするゲームだってあります。それでも、「ビデオゲーム」という物は「金を積んで、積み上げてきた資産」による戦いでは無かったはずです。

にとってのゲームは、一度買った後は何にも煩わしいことが無く、ディスクやカードの中のコンテンツ全てに隅々までアクセスして「作品の世界」を堪能し、体験するものです。ベースとなる本体のゲーム体験が面白ければ面白いほど、追加のコンテンツを買おうかなという気になります。追加のアイテムやマップやクエストやステージで更に繰り返し遊べるのなら、その為に本体と同じぐらいの金を支払うのもやぶさかではありません。……無論、後から「全部入り」のパッケージを買う方が好きですが。

もし経験値稼ぎが煩わしいようであれば、それの短縮の為にゲーム内通貨を激安で売るのであればありだと思います。例えそれがゲームバランスを崩壊させるものでも、序盤で詰まって6000円で買ったゲームをクリア出来ないのは開発者にもプレイヤーにも悲劇でしかありません。なによりその課金では、不利になる相手は居ませんから。

僕にとってのゲームは、例えアンロックの制度があったとしてもそれがゲームの中だけで簡単に完結するものです。そしてアンロックしたからと言って、決して有利になる事はなく、どれもクセの強いものであれば猶の事良いと思います。だからレベルが上がらないと対空兵器が使えなかったり、ドットサイトを銃につけられなかったり、偵察機に見つかったり、そもそも軽機関銃を持てなかったりする作品はあまり好きではありません。そういう作品であれば、500円程度の追加料金で全アンロックがあっても良いとすら思っています。ここで一時的に優劣が出てしまうかもしれません。そうなればそれはその作品の欠点であり、汚点だと思います。

 

だけども、ソーシャルゲームは金を支払うか膨大な時間を注ぎこむ前提のゲームバランス。
隙あらば金を払えと囁いてくる、コンプリートに幾らかかるかも分からない集金装置。

 

だから、僕にとってソーシャルゲームは「ゲーム」では無かったんです。