パッチ6.3と共にFF14を始めて78日間でアーテリスを救ってわかった話。

画像は私とライバルキャラ。

 昨年から長いこと更新が止まっていた。

 その間何をしていたかというと、新型コロナウイルス感染症で倒れ未だに後遺症を引きずったり、私事ではあるが職場が変わったりと、まあ様々なことがあった。様々な事がありすぎて、それがまた様々な事を誘発し…気付けば2023年の盆も過ぎてしまった。

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 ところで、ファイナルファンタジー14というゲームをご存知だろうか。
今回お送りするのは、今年10周年を迎える本作を今更になって遊んでわかった事。そして「みんな遊んでるけどFF14って何をするゲームなの?」という話をしていこうと思う。

※既存プレイヤー向け:あくまで6.3から6.45の間をプレイした人間からみたものであること。また最大限MMOというものをやった事のない人にも伝わるように噛み砕いてゲーム内用語を敢えて使わないで書いているため、昔はどうだとかいやこれはこの要素で、という話をするのは遠慮していただきたい。

最新のファイナルファンタジーとして

 まず、FF14は「MMO」の前に「独立した”ファイナルファンタジー14”というロールプレイングゲーム」であるという話をしたい。

 

 FF14は2023年現在、5つのパートに分かれた物語を描いている。

 各々のあらすじについては省くが、各々のパートに凡そプレイ時間にして50時間分の物語が入っている。近しい所で言うなら「ゼノブレイド」や「Fate/Grand Order」のような形でまず強く「ストーリー」が入っており、ストーリーの合間にバトルパートであるダンジョンやボス戦がある。フィールドもあるにはあるが、シンボルエンカウントの敵と戦うことにあまり意味は無く、もっぱら次のクエストマーカーまでの移動や「冒険してる感」の演出に使われている。
 事実、ストーリークリア後にはアイテム交換目的の為に各都市に移動する必要があるぐらいで、このゲームではフィールドでコツコツ戦うという事はあまりしない。移動しては小さなイベント戦闘を行い、キャラクター達の会話やカットシーンを見て、また物語が進行したので別のところに向かう。
 ダンジョンを攻略だ!となってもストーリー上での旅の仲間である「暁の血盟」のメンバーがAIによる操作で同行してくれる。各々のダンジョンでは仲間たちがストーリーやダンジョンの作りに沿った台詞をボス戦の最中でさえ話してくれる為、プレイヤーによっては「初見のダンジョンは他人とでなくAIと行け」とまで言うほどだ。

ゴルベーザ。2023年夏現在シナリオ上の最新ボス。

 また、ボス戦についても序盤は「人間に虐げられた亜人種達がついに召喚してしまった召喚獣」との戦い。中盤以降は演出やシナリオ上で巨大化した「シナリオ上の悪役キャラ」との戦いとなっている。ボス戦だけは8人で他のプレイヤーを募って遊ばねばならず、また「ボス戦」であるため敵の攻撃を見切って回避しなければだいたい3~4回の被弾でプレイヤーは戦闘不能となる。ボス戦は単品で挑むことが出来、ここの感覚は「モンスターハンター」シリーズの狩猟クエストに近しい。速攻で倒すことは出来ず、5分程度かけて相手の体力を削ると前半が終了してボスが必殺技を繰り出してくる。その必殺技を防御技で耐え、回復で凌ぎ、乗り切って後半へ突入し、攻撃を続けてようやく倒すことが出来る。全体で10分~15分程度の「イベント戦闘」であり「ボス戦」となっている。

  • フィールドを歩き回って物語を進め
  • ダンジョン攻略となれば仲間たちと挑み
  • ボス戦は全8人のプレイヤーで15分程度の総力戦を行い
  • また更に物語が続いていく

 ざっくり書くとFF14は上記の構成を進めていくロールプレイングゲームである。また、この手のダンジョンやボス戦は物語を進めることでコンテンツ開放されるので「とにかく友達がやってるっていうから遊びたい!」というプレイヤーであっても区別なく「まず物語を読め」としてくるゲームだ。何よりもまず物語があり、その過程で挑むべきダンジョンとボスがいる。他人の存在がどうしても必要なのはそのうちボス戦しかない。何度もしつこく言うが、FF14は「MMORPG」である前に「RPG」であった。

 そして、最高に面白い「ファイナルファンタジー」であった。

過去作のモチーフはあれど、FF14の中で確立していくもの達

 今更こんな記事でネタバレを気にする読者も居ないだろうから固有名詞は伏せない。

蒼天のイシュガルド編の外伝クエストラスボス。アレキサンダー

 一例として新生エオルゼア編のメインストーリーのラスボスを務めるのはFF6から登場し、FF7ではストーリー上でも戦い主人公クラウドの最強武器をドロップしてくるアルテマウェポン蒼天のイシュガルド編のメインストーリーのラスボスを務めるのはFF7の隠し召喚獣であるナイツオブラウンドだ。蒼天のイシュガルド編の追加ストーリー、紅蓮のリベレーター直前の最終イベントはFF5の隠しボスである神竜とオメガの戦いで幕を閉じる。

 これだけ聞くと「さんざん歩き回らされて、戦うボスは過去のゲームで出た奴?ソシャゲのコラボイベントか何か?」となるだろうが、劇中における扱いはそんなものでは全く無い。寧ろメインストーリーの目玉であり、それぞれのボスはそれぞれのパートで出会った人々、人々の生きている世界、プレイヤーが訪れる迄の過去、訪れてから紡いできた物語と因縁が全て結びついて決着するものとなっている。

 例えばアルテマウェポンは「シナリオ上敵対している帝国が運用する古代兵器であり、次々と亜人種の召喚した召喚獣を取り込み強化されていく。ラストダンジョンはプレイヤーの属している大陸連合軍によるアルテマウェポン破壊作戦の一環である帝国基地攻略戦であり、敵基地の最深部でついに対峙する事になる」といった建付けだ。デザインモチーフとなったFF7の「星の守護者」の要素などは無い。また、「古代兵器アルテマウェポンの後継機として現代に開発された兵器」としてルビーウェポン・ダイヤウェポン・エメラルドウェポン等が登場する。これらはFF7の完全版であるインターナショナルで戦う事になるボスがモチーフではあるが、モチーフでしかないのでFF7を知っている必要は全く無い。

 そのような「あくまでモチーフは過去作にあるが、これはFF14のキャラであり、技であり、ジョブであり、ボスである」というものでFF14は満ちている。誤解と批判を恐れずに言うなら「めちゃくちゃ面白い時のスパロボの作品内設定」と同じことをしている。それも「ファイナルファンタジー」というIPの中だけで、だ。ゲーム内できっちり完結出来る程重厚に描き、後から「アレに元ネタあったの!?」と知ることができればそれで良い。そういう作り込みによってゲーム内で存在が確立されている。だから、FF14ファイナルファンタジー14」という単独作品であり、たくさんのプレイヤーで「過去作に出てきたらしいの倒そうぜ!とやるゲーム」では全く無い

 

そして光の戦士達がどこからかやってくる。

cr.hatenablog.com

もうそろそろ9年経つが、そういえばPSO2でも似たようなインプレッションの記事を書いている。懐かしい。

 さて、ここまで散々「1本のRPGとしてFF14は良く出来ているし、ボス戦以外一人で遊ぶもの」と書いてきたわけだが、ではFF14はどうやってプレイヤー同士を一緒に遊ばせようとしているかの話をしよう。

「コンテンツファインダー」はFF14の極めて優秀なマッチングシステムだ


 FF14で「他人と遊ぶコンテンツ」は沢山ある。4人用ダンジョンはレベル15用からレベル90用まで50を超える数があり、8人で遊ぶボス戦も同様だ。8人パーティを3つ結成し24人で遊ぶ大規模ダンジョン攻略の数も2023年夏時点で14種ある。FF14はレベル制を取っているので適正レベルにて解放後でないとそのコンテンツには挑めない。個人個人が「これやりたい」とパーティを募集したり、部屋で待っていてもすぐには始められない。

 なのでFF14には「コンテンツルーレット」というものがある。これはいわゆる「デイリークエスト」のようなもので、どんなコンテンツに当たるか分からないものを遊ぶことでゲーム内通貨とアイテム交換・強化用トークン、そしてメインクエストに関わるダンジョンであるなら膨大な経験値が手に入るといったもの。

 ロールについても説明するが「殴られ役」「回復」「攻撃」の3タイプがこのゲームには存在する。そして一番人手が足りていないのが「殴られ役」タイプだ。コンテンツを始めるにはこの3タイプが綺麗に揃っている必要があるわけだが、募集中パーティで人手が足りていないロールで参加すると報酬が増額される。もちろんパーティ成立待ちの時間も圧倒的に短い。プレイヤーの遊びを高回転にさせる仕組みがマッチングシステムとして提供されている。

 そしてまた素晴らしい事にそのダンジョンやボス戦が初見の人がいると、やはり報酬が増額される。初見の人が居ることは開始時点でシステムが通知メッセージを出してくるので、ゲーム内チャットで呼びかけるも良し、実際の行動で誘導してあげるも良しだ。

 このコンテンツルーレットはルーレット参加者同士のマッチングでなく、「今まさに誰かが冒険の途中でこのダンジョンに、ボスに挑もうとしている」のであれば、どこからともなく「光の戦士達」が駆けつけてくれるように出来ている。FF14はそうやって、まだ見ぬ誰か達を積極的につなげる仕組みとなっている。

 余談だが、何時間おきに発生するイベント戦というのはFF14には無い。モンスターハンターシリーズで言うところの参加要請を長々と書いたが、「参加要請に応じること」への報酬の用意があり、ロール制故のスタートまでのハードルをシステムが精一杯下げている事がすごいという話だ。

重ね着欲が人々を駆り立てる

対プレイヤーコンテンツ(PVP)獲得衣装で白狐を意識したコーデ。

 さてこのゲームだが、正直「キャラクターと装備の成長」にはそんなに重きは置かれていない。激ムズコンテンツである高難度ボス戦をクリアしてようやく手に入る武器の性能自体は、前述のアイテム交換トークンで手に入るものと大きくは異ならないし、その性能自体も数ヶ月で陳腐化する。何よりこのゲームには装備の性能制限というのが各コンテンツにあり、高性能の装備を持ってきてもそのコンテンツの適正性能まで強制的に下げられてのスタートとなる。なので強い武器を持っていたとて、その力を存分に振るえるのはド最新コンテンツだけと言っていい。

日本や中国をモチーフとした装備で固めたもの(左)

 ではやることが無いのかと言われれば、正直膨大な数がある。そのうち一つを挙げるなら「重ね着用装備の入手」だろう。FF14はほぼ全てのダンジョンとボス戦や、コンテンツ遊ぶことで得るトークンで入手可能な、男女でデザインが可変の、各ジョブ別で全く個別のデザインを持った、極めて多彩な装備がある。チョコボ装備や乗り物まである。頭、胴、腕部、脚部、靴、首飾り、耳飾り、腕輪、指輪、武器。その全てがダンジョン毎、ボス毎、装備可能なジョブ毎に個別デザインだ。これに加えてどんなレベル・どんなジョブでも装備できる見た目専用装備も存在する。

 そしてこれが重要で、性別専用装備、特定のジョブ指定装備でない限り…装備可能性別、装備可能ジョブであるのならありとあらゆる装備の重ね着が可能だ。これがどういう事か。レベル90でストーリーが終わった筈のプレイヤーは喜んで、レベル70向け24人ダンジョンやレベル80向けダンジョンに出撃するのである。可愛いケープ付きチュニックの為。格好いいシルバーをあしらったローブの為。とっきんとっきんしたデザインのヘルメットの為。なんか光る武器の為。プレイヤーは喜んで最新ではないコンテンツへ飛び込む。装備したいが為に育てていないジョブを育成する。そして、誰かと遊ぶ事になる。

 

重ね着で特定作品をモチーフにした表現をする人も多い。
これはFateシリーズのモードレッドモチーフ。

 そして重ね着用装備を入手するのは何も自分の為ではない。
 このゲームには「プレイヤー間経済」があるのだから。

バトル外で人々をつなぐ試み

「マーケットボード」が確かにプレイヤーを繋げている

 さて、FF14だがNPCから装備や消費アイテムを買う機会はあんまりない。装備は高額だし、何よりプレイヤーが作ったものの方が高性能だからだ。

 FF14ではフィールドで素材を採取するジョブが3つ。物を作るジョブが9つある。採取した素材が何個あればあっという間に物ができる…という訳ではなく、例えば料理一つとっても牛乳を5個集めて加工してチーズにして、そのチーズと小麦を5個集めて加工した小麦粉にしたものと、トマトと…のような組み合わせが揃い、かつ製作可能な装備を整えてやっと作れる。原料や加工素材を一人で集めて作ると一苦労だが、そこをFF14「マーケットボード」で解決している。

 「マーケットボード出品禁止」となっていないアイテムなら何でも買える。最新コンテンツを遊ぶための装備から持ち家に使うための階段、寿司、ポーション、見た目装備のパジャマまで何でも買える。

 何でも買えるということは、何でも売れるという事である。高品質な防具。拾ったワイシャツ。ボスからドロップした光る弓。甲冑用のインゴット。服の色を変える染料。自宅で流す音楽用の楽譜。その全てが売れる。高品質なアイテムを製作し納品して得たトークンで交換できる貴重な素材も、釣った魚も、何もかもが売れる。

 もちろんアイテムによっては需要の有り無しがある。需要があって出品者の少ないものは当然高価になる。だからこそ入手する手間と手持ちのゲーム内通貨、そして値段を考えながらプレイヤーは悩む。買うべきか。拾いに行くべきか。売るべきか。自分で使うべきか。おおっと格安でどこそこのプレイヤーが売ってくれるだと!?

 そしてFF14内経済の素晴らしい点は、「中古品の流通を絶対に許さない」という所にある。一度でも装備して戦ったり、重ね着に使ってしまったものは二度と出品出来ない。これにより流通量が制限され、常に新鮮な物を誰かが作らない事には、誰かが取りに行かない事にはアイテムが出てこなくなる。商機がそこかしこに転がっている。

常に誰かが立ち止まり、ボードを覗いている。

 つまりこのゲームは、ゲーム内アイテムの焼却炉をプレイヤーそのものが務めている。そしてその焼却は「システムに設定されたので渋々燃やす」のでなく、プレイヤーに確かなリターンを与える。遊んで、稼いで、使って、手に入れる。ずっと遊んでいられるサイクルがFF14には存在していたのだ。

 

10年続く、最新のファイナルファンタジー

イイ!

 いろいろ紹介したが、これでもまだFF14については1割も語れていない。特にバトル面については敢えて触れていない。バトルの仕組みを文字てカチャカチャと書くのも何か違うと思うし、何よりそんな事は動画サイトの解説に譲りたい。

 それよりも最新のファイナルファンタジーとしてしっかりとした物語と、他のプレイヤーと柔らかく繋がりながら遊べるプレイフィールと、マーケットボードでゲーム内通貨で買えるからこそマーケットボードで売れるゲーム内経済の話をまずは伝えたかった。あまりにも楽しくて78日間で8年分のメインクエストを数百時間かけて踏破して、1400時間遊んだ今もゲームに飽きたという感覚は無かった。

 是非、未プレイなら「スクウェアエニックスの面白いRPG5本分」の遊びが待ち受けているFF14を遊んでほしい。合う合わないはあるだろうが、合ったらその後ずっと楽しい事を約束する。

 そしていつか聞かせてほしい。あなたの光の戦士としての物語を。

www.finalfantasyxiv.com

 

 それでは、エオルゼアでお会いしましょう。