↑ぜんさく↑
そういえば数年前にHumble bundleで貰ったことをすっかり忘れていた。ので龍が如く極2をプレイした。世間では7外伝で久しぶりに桐生一馬が主人公として出てくるぞと話題になっているが、前回の記事の日付から分かる通りもう0を終えてから極2にとりかかるまで3年かかっている。
そんな事をしている間にホロライブからは桐生ココが卒業し、とある配信者が生キャバ嬢オーディションに合格していた事をふと思い出し…プレイし始めたら3日間ぶっ通しで遊んでしまった。記事を書き始めた時点でのプレイ時間は20時間。サクっと終わったので記事も軽めにしようと思う。
めっちゃ東西大戦争煽るけど戦争しねえんだよなあ
結論から書くと非常に面白かった。面白かったんだが、書き出すと惜しい点ばかり挙がってしまうのは巷での評価と合致する所がある。近江連合が攻めてくるぞ!大戦争じゃあ!と思いきや店3つ救って終りだし、何より大群相手の大立ち回りは26年前の恨みで絶対殺します桐生サン軍と化したジングォン派ばかりであまり味がしない。0の渋澤を始めとした幹部連中との戦い(カチコミ)や、極のセレナから降りてきたらめちゃめちゃヤクザの皆さんが待ってるとか、遥に「やっつけて」と言われて無双する展開を期待しているとカタルシスに欠ける。
が、前作やゼロからの登場キャラを含めて様々な人を桐生一馬が頼り、その度に誰かが死に、裏切り、「誰がこの血塗られた絵を描いたのか」というミステリー仕立てのシナリオはガタガタではあるものの勢いで押し切り切ったのも確かだ。互いが互いを利用しあい、その果てに雪の中、塔の上で二人の龍がぶつかる。そのクライマックスを描けた時点で、それを目撃できた時点で「龍が如く極2、やってよかった…」という気持ちになってしまったのも確かだったのだから。
堂島の龍VS関西の龍
物語の作りでなく、クライマックスの話をしたい。
桐生一馬という男は1の劇中で育ての親も、義兄弟も、親友も、暖かな居場所も何もかもを失った。堅気となり残された遥と共に暮らしていたにも関わらず、過去と因縁がどこまでも追いかけてくる。極2で一息つけたのは、それこそ狭山薫との蒼天堀デートの一夜だけだった。あの夜だけは過去も因縁も関係なく、ただただ話をしながら酒を飲める夜だった。桐生自身がまさに「引き金を引かせてしまった」26年前のジングォン派との事件と、四代目会長を名乗るほど関わってきた極道の世界が今作の相手だった。
郷田龍司はどこまでも孤独だった。親と血が繋がっていない事を知り、極道の世界をただただ金と力で生きてきた男だった。ゼロの時代では親が極道であるが故に疎まれていた彼の、「不良に恐喝される同級生を助けるため年上に挑む」ような子供時代が描かれている。2の作中でも極道を罠に嵌め、堅気を襲い、かと思えば子供を人質に取るような幹部は切って捨てるし、「本当に倒したとは言えない」からと戦い続きの桐生をただただ待つと言って神室町ヒルズへ向かう。そんなどこか青さの残る男だ。
そんな二人の男が物語の終局、神室町ヒルズの頂上でぶつかり合う。風間の親っさんに命を救われた寺田が去り、全てを利用して戦争とその結果を手中に収めようとした高島が去り、近江連合の郷田会長が去り…残ったのは桐生一馬と郷田龍司、そして狭山薫だけだった。
狭山薫からすれば郷田龍司は「生き残った唯一の肉親」、そして桐生一馬は「女を捨てた自分に優しくしてくれた人」、そんな二人が何もかも終わった後に殴り合う必要など何処にもないと言うのに。それでも二人は戦おうとする。
ここで郷田龍司が「兄ちゃんの頼み聞いてくれへんか?」と口にするのが良い。女はすっこんでろだの、そういう台詞でなく「一生に一度のお願い」なのが本当にずるい。作中でさんざん描かれた極道としての男でなく、ごく僅かな間だけ居られた「兄妹」としてのやり取りがあまりにも染みる。
郷田龍司が「行くで」と言い、桐生一馬が「来い」と返して始まる最期の戦いで私はボロボロに泣いてしまった。作中で幾度となく、「死に向かう事」「終へ向かう事」を”運命”と様々なキャラが口にする。誰かに決められた事、そうなってしまう事だと諦念と後悔が龍が如く極2の全編を覆っている。だが、この最終局面だけは違う。誰も彼も居なくなった。盤上に二匹の龍だけが残った。この戦いだけは二人の男が、自ら「戦う」事を決めたものだったから。
雌雄を決し、爆弾による死までの数分間。遺された物も遺される者も関係なく、ただの男と女として狭山薫と口づけを交わし抱き合う桐生一馬。0や極1とはまた違う、渋くて粋な終幕だったと私は思った。
マップのチンピラの存在価値、それは腹を減らすため。
さて2000文字も「最終決戦良いよね」の話に使ったのでシステムの話に移る。
龍が如く極2で経験値を得る手段は複数ある。敵を倒す、クエストを進める、そして飯を食う。である。このうち敵を倒しても計60点ほどしか手に入らないが、食事は工夫すれば1000点ほど入手可能である。
これはどういう事か。メカニズムとしては「金を経験値に変換する」という言い方がおそらく一番正しい。水商売編で求人を始めとした運営でもプレイヤーの財布から金が出ていき、そして収益はプレイヤーの財布に入る。ゼロのように金を直接強化に使うと進行に合わせたり、各種アンロックの速度を遅くするのに難儀し必要リソースの曲線が一気に狂いかねない。なので「イベントや雑魚戦を通じて金を稼ぎ」「そして食事で一気に経験値に変換してレベルアップする」という、非常にユニークな成長システムが組まれている。
満腹度が設定されているので、一気に飯を食うことは出来ない。そして飯を食うために金で空腹にしようとすると5万円ほど薬代がかかる。食事代が3万円程度する事を考えると、一度の経験値獲得に8万円かかる計算だ。繰り返していると先に金が尽きてしまう。
では腹を減らすにはどうしたら良いか。答えは単純。身体を動かせば良い。
画像はオムツ履いたおっさん。
なんとオープンワールドやRPGの中でも類を見ない価値が雑魚に与えられている。龍が如く極2の中で「大した経験値にもならない雑魚戦」は、「腹を減らす為に非常に重要なもの」なのだ!身体を動かした後の飯が美味しいから人を殴り!殴った時の必殺技ゲージの伸びが加速するからサントリーモルツを飲む!そして腹が減ったから新宿から道頓堀まで出掛けてかに道楽で食う!龍が如く極2ならではの独特で、実に面白いサイクルがシステムによって組まれている。コンビニ弁当でなく金出してふぐ刺しを食えと言ってくるゲームが他にあるだろうか。いや、ない。
そして俺は真島編でもボロボロに泣いた
龍が如く極2は0の後に制作されただけあり、蒼天堀でたっぷりと0の要素が出てくる。元キャバ嬢のユキちゃんもそうなら、極2で明確な追加要素として入った「真島編」もそうだ。この真島編が「極2の前日譚」としても、「0の真のエピローグ」としても極めて良く出来ている。
まだ目が見えない時期しか顔を合わせていなかったマコトとの再会時のキャラクターの芝居がこれまた絶品で、背中の入れ墨は見せてもいいが「声は聞かせられない」し「眼帯も見せない」ようにする真島の兄さんがどこまでも可愛い。真島と言えば「桐↑生チャ~ン↓」の狂犬状態だが、0の頃は「人も殺せない殺し屋」としての落ち着いた素顔を見せていた。極2本編でもまあ狂犬な訳だが、マコトに「どこかでお会いした事ありましたか?」と聞かれてから!その!0の時の顔にスッと戻る!そして画像のキャプションにも付けた名台詞を告げて去っていくのだ!
0で真島はマコトが撃たれた時、「誰かこの娘を助けてやってくれ」と叫ぶことしか出来なかった。手術室の前で「復讐でも何でもお前の願いは俺が叶える」と言いながら、何も出来なかった。出来たことは命を守り通し、そして彼女が捨てたオルゴール時計をそっとカラの一坪に埋めるだけ。それだけでも本当に大したことだが、彼女を幸せにしてやる事だけは極道となったが故に出来なかった。
そんな彼女が結婚し、子供を授かり、当たり前の幸せの中にいる。それを知り、自分があの時マコトを助けた「人を殺せない殺し屋」だと名も告げぬまま去っていく。こんなイベント、0をやってたら泣かないわけが無いでしょうに!
だからこそ、蒼天堀を離れるマコトに真島がしてやったのが「同じデザインのベルトを贈る」だったのがまた素晴らしい。過去に命を救ってくれた真島の為に20年近く蒼天堀で暮らしたマコトが遠く離れた米国で新しく人生を仕切り直す。そんな時に出来る真島の精一杯の願いの叶え方が「人を殺せない殺し屋しか知らない筈の同じデザインのベルトを渡す」ことで、「あの時の殺し屋は自分だった。だから、お前は逢えたんだよ」と伝えるというのがもう、ボロボロ泣かずにはいられない。
極→0→極2とやれ。
自分は龍が如くシリーズに触れて来ないまま2020年代を迎えた。今回極→0→極2と遊んだわけだが、結果から言ってこの遊び方は大正解だったと断言する。
極は0後にリリースされたものの、基本である1に錦山パートを増補して「1の物語をより豊かに」描いたものなので入門編として非常に良く出来ている。その上で0をやると、0は「これが1や2に!!!つながるんだよ!!!」と桐生編と真島編のダブル主人公制で描いているのでいきなり0からやるよりも物語が圧倒的に良く染み込んでくる。そしてその後に極2をやると、上述のようにボロボロ泣くといった仕組みだ。
SEGAもそれをわかっているのか、龍が如く極、極2、0の3本パックを長いこと売っている。まだプレイしていないのであれば遊んでいるうちに私の文章などあっという間に忘れるぐらい夢中になれる事間違いないので、是非遊んでいただきたい。
ということで龍が如く極2の記事でした。次は何をするかと言うと
キムタクが如くやります。