今更Call of Duty MW2のVeteranをクリアした。

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CoD4に続き、MW2のシングルプレイヤーをVeteranでクリアした。

CoD4の出来があんまりにあんまりだったので期待していなかったのだが、蓋を開けてみれば良い意味で「金のかかったゲーム」を楽しめたので満足である。が、手放しでほめられるかと言われたらそうでもないわけで。

「動く壁紙」と「殺人びっくり箱」の間

自分が干渉出来なくても戦車が走り回っていたり、ヘリが沢山飛んでいたり、対空砲が空に砲弾で軌跡を描いていると。情報量が増えて見て楽しい聴いて楽しいと言った「そこにいる楽しさ」というのが演出される。MW2は金がかかっているだけあって、いやにそこらへんのアニメーションが細かい。

モノローグやブリーフィングで説明せず、まず見せる聴かせるというのは重要だ。ヒロインに「何て酷い有様なの」と言わせるぐらいなら、ロシア軍にボコボコにされて逃げ込んだシェルターの中で、必死に心臓マッサージを行う衛生兵や、ズラリと並んだ遺体収容袋を見せてやればいい。

次回作のBOでは遂に諦められてしまったのだが、MW2では徹底した「一人称」の追及が行われている。敵に倒されたからといってカメラが俯瞰になることもなければ、ミニガンを担いでTPSになる事も無く、乗り物に乗ったからといってカメラが後方に行くことが無い。それを貫いたからこそ、今回の臨場感に繋がったと思う。

丘を越えて覗き込むと眼下に敵の基地が広がるというのもそうだし、ホワイトハウスの上から「俺達はまだ戦える」とフレアを焚くシーンの夜空もそれの恩恵だろう。普通のアクションゲームなら、ポイントに到達した時点でカメラは離れて周囲をぐるりと映していた所だ。だが、プレイヤーは自分の意志でそれを観る。そして見渡す。めろめろと燃える炎や、「戦いの意思有り」を示す緑のフレアを発見して、自分を奮い立たせる。そういう細かい演出が良く出来ていた。

が、それはプレイヤーに害を及ぼさない「動く壁紙」で居てくれる間だけの話だ。「殺人びっくり箱」となると話は違う。驚かせた結果プレイヤーが死んでまたそのギミックを動かしに行くんではストレスしか溜まらない。

 

「殺人びっくり箱」と、捨てきれない「広い戦場」

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ブラジルの貧民街を走り回るステージがある。
前編が逃げる敵を追跡、後編が貧民街からの脱出となっている。とにかく入り組んでいる上に、敵はどんどん増援を呼ぶ。しかも窓を開け放っての奇襲を仕掛けてきたり、後ろから増援を寄越してと面倒くさいことこの上ない。

特に窓からの攻撃は開け放つ→射撃で即死。角待ちの奇襲はショットガン(銃の下部に備え付けたものも含む)だと即死でよくない。このミッション、何せ「一緒に敵を倒していたはずの味方が全滅する」のである。AIの動きが「死んでも構わないNPCの相手前提」で組まれているが故に、おっかなびっくり進まなければならない。

その他の所では特殊部隊らしく駆け抜けたりしているのに、追跡劇や脱出劇にも関わらずとろとろと歩かなければならないのである。アンブッシュもどきりとさせられたり、トリガーを引き忘れると死ぬぐらいなら良いのだが、細い坂道を駆け上がって真上の窓から撃たれた時は「勘弁してくれ」と思わず声に出してしまった。もちろんえっちらおっちら進んでいる間、ずっと無線では「急げ逃げられるぞ早く早く」と味方が叫んでいるわけで、非常に興醒めであった。

ドアを爆破して乗り込む一瞬で敵を一層するイベントが結構な数あるのだが、まず一回では成功しない。敵の位置を確認して、爆弾が無いか確認して、優先順位を決めて、それでやっとスローモーションで皆殺しにすることができるのである。一人でも残せばスローモーションの時間が終わった瞬間に即死だ。爆破!→死亡→やりなおし爆破!→死亡 のコンボはなかなかに堪える。

驚かせたり緊迫感を持たせたいのだろうが、何度も「殺人びっくり箱」を見せられても困ると言うのが正直なところである。今作はCoD4のような「難所」が無く、この手のイベントで難易度調整を行っている節があるのでそこが気になった。

また、道なりに進んで行ったり建物の中を攻略するステージはいいのだが、ジャンクヤードや山などの見通しのいい戦場では前作同様やたら命中精度の高いライフルで相手が撃ってくるので面白みに欠ける。今作では嫌らしい無限湧きはないものの、相変わらず後ろから撃たれて即死は健在である。

ロシア軍とファストフード店の巨大な駐車場で戦うステージはただでさえ広いのに、UAVのリモコンやスティンガーミサイルを拾うためにあっちこっちと歩かされるのも良くなかった。どこにも「盛り上がり」が無かったのである。

トリガーを引くという事

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国内版ではショーでしかなかったノー・ロシアンも海外版だったので存分に撃つことが出来た。ノー・ロシアンというミッションは単に民間人を殺すというだけではない。自ら銃の引き金を引くという事は自ら戦争の引き金を引くという事である。逃げ惑う一般市民を軽機関銃で撃つのは、GTAなんかよりも格段に後味の悪い体験であった。

CoD4で酷評されたであろう「射撃感覚」は大幅に見直された。音も迫力のあるものに差し替えられ、サプレッサーを付けた時の発砲音も重みのある風に仕上がっている。また、激しすぎるマズルフラッシュは廃止され、ブレも抑えられた。というかこのゲーム、シングルプレイヤーの銃はどれもこれもそのままマルチプレイヤーには出せないほど「高性能」なのだ。

このシングルプレイヤーの武器性能の割り切りに加え、セミオートライフルの入手頻度も増えた上に、「敵の落とす武器」も光学サイトや榴弾の付いたものばかりなので、いろいろな意味で「不自由しない」し、装備の面で不快な思いをしなくて済むというのは大きかった。とはいえ、ACRの弾薬が1200発も持てたのは流石においおいとは思ったが。

プレイヤーも加担して起こした戦争ではあるが、ロシア軍は無差別に一般住宅へ砲撃を加えたりナショナルモールをずたずたにし、ホワイトハウスまで占拠しての大暴れである。これで「ロシア軍への怒り」を覚えないはずがない。対物ライフルでロシア兵を撃った時に肉片が散ったのを確認した時は心が躍ったし、UAVからのミサイルで大打撃を与えた時は笑みを浮かべていたと思う。ヘリに乗った時、誰に言われるまでも無くミニガンをぶっ放した。

なりきるための銃に、なりきるためのシチュエーション。MW2は前作の失敗経験をもとに様々な改良を施し、「ロールプレイングゲーム」の傑作として見事な出来になったと言えるだろう。これなら相当数売れるのも頷けるというものだ。

金のかかったショーとしてのCoD

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現行機のローンチからハードウェア性能を生かした表現で2012年現在まで突っ走ってきているCoDは、様々な問題を孕みながらも毎年のリリースを続けている。そのどれもがきちんと高い水準で纏まっているのをみるに、「金のかかったショー」としてのゲームとして据え置き機のゲームが生き残っていくのも一つの道だなあと思う。

つまらない仕様や、明らかに「最新のゲーム」を遊んでいない人々によって作られた「洗練されていないゲーム」が時折日本ゲーム業界には現れる。また、「金のかかった大作!」と言われても、出るまでが長すぎる上に悪性腫瘍のように膨らんだ「複雑なシステム」「反応速度を要求するアクション」が快適なプレイを阻害するのもしょっちゅうなわけで、そういう物を観た後だとアサシンクリードCoDのような作品は「金がかかってるだけあって気持ちよく遊べていいなあ」と感じるのが正直なところだ。

さて、次はMW3かBO2のベテランをやろうと考えている。偶然にも、今日はBO2の海外版の発売日だ。