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Fallout New Vegasの戦闘に見る「どうしても使いたかったシステム」の末路

Game Xbox360

NV

Fallout:New Vegasをプレイ中だ。現在二周目。
Fallout3と比べてしまうとどうにも不満が出てくるのだが、その中でも大きいのが「戦闘の面白く無さ」である。という訳で今回はFONVの戦闘についてねちっこく書いていく。

一言で述べると、実弾系銃火器が死んでる。

参考URL
Fallout: New Vegas combat - The Fallout wiki - Fallout: New Vegas and more
http://fallout.wikia.com/wiki/Fallout:_New_Vegas_combat

FONVの基礎 その1:武器ダメージ


fallout-new-vegas-wallpaper-2
FONVの武器ダメージは以下の要素に左右される。

  1. 使用武器スキルの数値
    Energy Weapons, Explosives, Guns, Melee Weapons,の4つ
  2. 武器状態(CND)
    最低が0%で、最高威力を発揮するためには75%以上のCNDの必要がある
  3. 使用弾薬
    通常弾、AP弾(徹甲弾)、HP弾(ホローポイント弾)の三つがある。

スキルの数値が0の場合、威力は50%しか発揮できない。100だと100%発揮できる。
CNDも同じで、0の場合はは威力が50%。75%で100%のダメージが出る。

「スキル数値0」で「壊れる寸前の武器」を使うと、本来の25%しかダメージが出ない。
「スキル数値50」で「CNDが満タンの武器」を使っても、本来の75%しかダメージが出ない。

FONVの攻撃力は基本的に引き算でなり立っているのが分かるだろう。

10mmピストルの最大威力は22。
これをGunsが80、CND最大で使うと 22*0.9*1=19.8となる。
弾薬については後で説明する。

FONVの基礎 その2:防具による軽減

fallout-new-vegas-20100610104556564
さて、見事に攻撃を命中させたとしよう。
先ほどのダメージから、防具による軽減がある。防具の防御力はゲーム中の表記だとDTだ。

与えるダメージ= 武器ダメージ - DT

うむ。とても分かりやすい。ここでも引き算だ。

例えば、先ほどの10mmピストルを、DT12のメタルアーマーを着た敵に撃つと
与えるダメージ= 19.8 - 12 = 7.8となるわけだ。

ここでAP弾を使ってみよう。10mmピストルにAP弾は無いので、代わりにハンティングライフルに登場してもらう。ハンディングライフルで使える.308口径のAP弾の能力はDTを15ポイントまで無視し、その代りダメージが通常弾の95%しかでないというものだ

ハンティングライフルの武器ダメージの最大が52。これをGuns80の状態で撃つと46.8。
DTが12のメタルアーマーを着た敵に撃つと

与えるダメージ= 46.8 - (DT12 - AP弾の能力でDTを15ポイントまで無視)
                    = 46.8 - 0 = 52*AP弾の能力で95% = 44.46 

随分と大きな差が出た。
10mmピストルの通常弾が7.8
ハンティングライフルの通常弾だと34.8
ハンティングライフルのAP弾だと44.46
なので、ハンティングライフルはピストルの6倍ほどのダメージが出ることになる。

もし武器ダメージがDTを下回った場合、ダメージは武器ダメージの20%しか通らない。ダメージが2とか3では体力が150もある相手にどれだけ手数が必要かは想像に任せる。

このDTのほかに「ちょっと固い敵」を演出する為にDR率というのも別途設定されており、「ちょっと固い敵」の攻撃には、DTでの引き算の前に武器ダメージを3割引きされたりする。ナイトキンやNCRレンジャーなんかがそうだ。

先のハンティングライフルをNCRベテランレンジャーに撃ってみよう。
武器ダメージ=46.8
使用弾薬=AP弾(DTを15ポイント無視。威力95%)
NCRレンジャーのDT=20
NCRレンジャーのDR=30%

武器ダメージがまずDRで減衰。 46.8*0.7 =32.76
減衰された武器ダメージからDTを引き算。 32.76 - (20 -15) = 32.76 ? 5 = 27.76
DTを引かれた武器ダメージから弾薬のダメージボーナスを計算 27.76 * 0.95 = 26.37

これでGuns100なんだからレンジャー相手は骨が折れる。

 

本題:刷新された戦闘と弾薬システム。及び、その犠牲者

url
さてここで弾薬一覧を見て来てもらいたい。

ヌカづけ◎Xbox360PS3日本語版「Falloutwiki - 弾薬(NV)
http://www27.atwiki.jp/fallout3/pages/217.html

殆どの弾薬は食らった相手のDTを2倍3倍に増やす効果がある。言い換えてみれば防具を纏った人間相手には全く意味の無い弾薬だらけだ。このゲームはDTの数値が武器ダメージを上回った場合、与えるダメージはほぼゼロになる。手元にAP弾が無い場合、敵の胴体へ命中させても全く意味がないという事も起こる。特に序盤はGunsスキルが20~30なのが当たり前で、その時は武器のCNDを100%にしたところで威力が60%しか出ない。もちろんその際もダメージは通らない。つまり、システム面で意図的に歯が立たない状況が作り出されている。

これに拍車をかけるのが、3で有用だったVATSの劣化である。
ヘルメットのDTはせいぜい4か5と言った所なので撃ち抜けばいいと思う事だろうが、少しでも離れているとハンドガンだろうがライフルだろうが命中率が15%とか20%とかいう数字になるのでそもそも当たらない。こちらの攻撃の当たる距離は敵の攻撃の当たる距離でもあるので、ダメージ覚悟である。

ヘッドショットのダメージは2倍なので、これで行けると思いきやこの2倍ボーナスは武器ダメージからDTを引いた最後の数字にかかる。なので大したダメージは期待できない。

で、前作の場合はVATSを使うとダメージが95%カットされ、こちらのダメージを考えずに、確実にダメージを与えて倒すことが出来るRPGの主人公はいつも先手」という文法が再現されていたわけだが、今作のVATSは違う。今回のVATSはダメージが25%カットされるだけ。こちらの攻撃が当たらないのだから懐に飛び込んでVATSを使っても、敵の攻撃を食らってVATS中に死亡なんてのも、よくある話だ。

劣化したVATSの代わりに、リアルタイム戦闘のサポートとしてFPSモードでのアイアンサイト覗き込みが実装されたのだが、お世辞にも使い勝手がいいとは言えず狙いにくいだけだ。第一、fallout3の時点で200年前の武器なのだから狙った時点で飛んで行かないというシステムだったわけで、「リアルタイム戦闘の強化を図ったのでVATSを弱体化します」となってはいけないはずだ。

VATSは「効率的な攻撃」と「攻撃時に身を晒す事の防御」の攻防一体のシステムであり、これが弱体化したことにより「序盤でも、弱くても何とかなる」というfallout3自体の味を潰してしまった感じは否めない。

「弾薬を使い分けろ!」という事は、「通常弾はゴミである」ということに他ならないし、「VATSが弱い」という事は「遠くから武器構えてまっすぐ飛ばない弾をペチペチ撃ってろ」という事である。どうにもこのあたり、「3から変わった!これがNVの売り!」と言う事で組み込みたくてしょうがなかったのが透けて見える。だが実際はゲームとしてみても面白くないし、何よりfallout3の後に「fallout3の続編」として出た作品としては致命的な間違いだと思う。「今回は薬物で弾丸をまっすぐ飛ぶように出来る」とか「武器の改造パーツでまっすぐ飛ぶようになる」と言われても、そこに行くまでがまず大変だ。

一応、救済もある。「リロードベンチ」という設備で、弾を分解して新たに徹甲系の強化弾頭を作ればいい。が、それにはそれ用のパークもスキルポイントも必要だし、素材だって必要だ。武器を扱うためのスキルポイントだって要る。「いいからAP弾使えよ」と言われているようで気に食わない。じゃあAP弾の無い武器で戦いたい時はどうすればいいのだ。序盤はどうしろというのだ。

このVATSの弱体化と新ダメージ計算の犠牲者がショットガンである。ショットガンは「1トリガーで48ダメージ」という風に見えるが、実際は「6ダメージの弾が8つ飛ぶ」という計算をしており、1粒1粒が計算されて弾かれるので「接近してVATSでショットガンを叩きこんでも敵は知らん顔」という事態が起きる。コンバットショットガンの勢いは最早ない。

そしてもう一つが「マシンガン」である。マシンガンと言ってもアサルトライフルじゃあない。「小威力」で「大量」の弾薬を消費する「サブマシンガン」や「ミニガン」の類である。9mmマシンガンの最大武器ダメージは14、10mmマシンガンの最大威力は19だ。多くの武器とスキルポイントを費やして辿り着くのがこの数値である。DT15以上の敵なんて相手に出来るわけがない。もっとひどいのが「ミニガン」と「レーザーガトリング」で、ミニガンアサルトライフルと同じ弾を使うにもかかわらず、最大威力が驚きの12。ガトリングレーザーに至っては10である。10mmピストルの最大威力が22でヒィヒィ言っているという話をした後にコレなのだから、貫通出来るわけが無いと聡明な読者の皆様なら分かるはずだ。

なおミニガンにはアサルトカービンと同じ弾が、ガトリングレーザーにはテスラキャノンと同じ弾が入るので高い弾丸を使えばいいだろうとなるだろうが、それなら喜んでアサルトカービンにAP弾を詰めて撃つし、テスラキャノンを構えるよという話になる。その癖DPS(1秒辺りの攻撃力)は300を超えるよ!などという顔をしてPip-boyの中で並んでいるのだから気に食わない。どれもこれもAP弾を撃たせたくて仕方ない開発のせいだ。

なおスーパーミュータント・マスターやデスクロー、そしてロボ系の敵には人間ばりのDTが設定されており、どいつもこいつも通常弾じゃ撃ち抜けない事も併記しておく。何を撃てってんだ。ミニガンで。

本題:fallout無双。

POWERFIST

さて、上の項でDT制のダメージ計算やAP弾の話を長々と書いたが、早い話が「DT無視・軽減」の装備を使うか、DTを差っ引いても強力な武器を使えばいいということになる。という訳で近接だ。

近接武器はまず弾薬が不要なのでDTがどうとか気にする必要が無い。攻撃力も安価なリーバーグラブやスーパースレッジで40とか70を叩き出すので固い相手でも問題なし。何より近接武器はVATS攻撃が全て通常攻撃の二倍の威力になるので確実に仕留めることが出来る。当たりもしない鉄砲で貴重なAP弾を撃っているのが馬鹿らしくなってくるぐらいだ。惜しむらくはVATS中の無敵時間が消滅したお陰で殴ってる最中に死ぬ事だが、そこら辺は敵をどう引き付けるかでカバーしていただきたい。デスクローやカサドレスやナイトストーカーの相手は潔く諦めよう。

また爆発物も非常に強い。範囲内の敵に100ダメージを確実に食らわせることが出来る。エネルギー武器も強化弾頭が全てDTをある程度無視する効果を持つので扱いやすい。その強化弾頭も分解などの工程が必要なく、既存の弾丸を圧縮するだけでいいので手間もかからない。殴るか、爆殺するか、光線銃で撃ち抜くか、がモハビ・ウェイストランドを生き延びるカギだ。どれもこれもAP弾を使わせたくてしょうがない開発が悪い

また、アサルトカービン用の5mm弾だけやたら貫通力が高い。他の武器が-2だとか-4だとか-10だとか-15だという話をしているのに、5mm弾だけDTが-25である。いよいよ「AP弾詰めたアサルトカービンとミニガン以外は敵の頭だけ撃ってろ」となるわけだが、武器の精度やVATSの精度がそうさせないのだから困ったものだ。

AP弾は「DT無視の出来る弾丸」という役割だけじゃあない。威力がほんの少し落ちるだけの「万能弾」としてこのゲームで機能している。この「万能弾」の撃てない武器は、システム上死んでいるに等しい。困った話だ。

今作もデスクローは凶悪なわけだが、体力が500もある上にDTが15もある。頭部も15なので最早ほとんどの武器が通用しない。「AP弾を込めた対物ライフルでスニークキル」か「地雷及びヌカランチャーによる爆殺」ぐらいしか殺す方法が無いのだから非常に不味い。四肢破壊すら普通の武器ではままならいのだから。

という感じで、はっきり言ってNVはバランスがあまりよろしくない。これがFONVの評価があまり芳しくない要因の一つだと思う。正確には「システムを使う事を強要される」上に「そのシステムに乗っかるまで時間がかかる」と言った所か。十字キー上で弾種変更がシームレスに出来るのは良いのだが。あの微妙なUIでの弾薬作りは、なかなかに堪える。

補足

敵を殴ると爆弾を埋め込める「爆殺フィスト」のユニーク武器で「ツーステップ・グッバイ」という武器があるのだが、この武器は埋め込んだ爆弾の爆発ダメージがプレイヤーにも返ってくる。VATS中が無敵なら爆発ダメージも食らわずに次々と敵を殴れるのだが、どうにもVATSの弱体化と一部の武器がかみ合っていないように感じる。

また、DT軽減・無視弾薬の入手方法が少なかったことを開発も認識していたのかGun Runners' ArsenalというDLCで大幅に弾の種類を追加している。ショットガンの弾に至っては種類が二倍に増えた。この手の救済策が他のDLCでも散見される辺り、リリース直後にシステムのかみ合わなさを相当数指摘されたのではなかろうか。

ショットガンもDT無視できないと使い物にならないからか、「ショットガンを使っている限り相手のDTを10無視できる」というパークがある。とは言えそれもGunsが45も必要だし、レベルアップ2回につき1回しか取得できないパークをショットガンの正常化に使うのもなんだか癪である。

大元が間違っているので枝葉で修正しようとしているのは分からなくもないのだが、これらの修正を受けられなかった「発売日買い」の人達からの評判が「大絶賛ばかりでない」のもうなずける作品だ。

 

いやまあ、既に三周目に何するかまで考える程にはハマってはいるのだが。