スプラトゥーンとかいうイカしたシューターの再発明の話をしたい

f:id:crs2:20170716220432j:plainイカだ。 イカである。 世界を塗り替える時が来たのである。

というわけで今日はスプラトゥーンのご紹介です。

イカに至るまでの悲しいお話

CoD4以降、あのバトルフィールドですらCoD化から逃げられず、ギアーズオブウォーはヘタレてTDMなどというルールをメインに据え、HALOはインフィニティスレイヤーなんてものを作って自ら不評を買いに行きました。

チームデスマッチルールがお遊びとして成立するためには、狭く細長い数本の通路の押し合いが必要でした。それを考えずにチームデスマッチルールでだだっ広いマップを遊ばせたところ、悲しい悲しいかくれんぼと押し込みのゲームが出来上がってしまいました。

嫌が応にも敵と遭遇する。索敵すら必要ない。だからこそあのゲームのチームデスマッチはそこそこ面白かったのです。そこを真似られなかったゲームは、どこまでも悲しい対戦を生み出していきました。

地点を奪い合う。旗を奪い合う。爆弾を設置する。

さて広いマップに、目的地が、奪うべき場所が、守るべき場所が生まれました。そうなると、プレイヤーはどう動かねばならなくなるでしょう?この場所を守るならこの道を押さえたい。この道を抑えるにはこのオブジェクトが重要だ。あの場所を奪うにはその前にあの地点を奪って敵を叩きやすくしなければならない。「マップの攻略」と「その時々の戦術」が求められるようになります。

これはチームデスマッチと全く別の筋肉を必要とします。殺すだけでは勝てません。

だからこそ深みが生まれ、だからこそヒリつくほど面白くなるのですが、それ故に味方との連携や、現状の把握能力が必要とされます。一言で言えばチームデスマッチと比べ、オブジェクティブ(目標のあるルール)は難しいのです。

オブジェクティブには単純化が必要でした。

四角いマップをぐるぐると回るのは難しい。だから一本道にしたほうが楽です。バトルフィールドシリーズの傑作「バッドカンパニー」の「ラッシュ」ルールは「デモリション(爆破)」という旧くからあるルールの素晴らしいアレンジルールでした。両サイドから試合を開始し、2つある箱が破壊されれば事態が進行して仕切り直し。誰でも行くべき場所が分かりやすく、誰もが嬉々として殺し殺されました。

一本道を突き進む爆弾に付き添い、それを巡る戦いを繰り広げるのが「チームフォートレス2」の大人気ルール「ペイロード」です。これも素人目に見ても「どこに行かなければならないのか」「何をやったら相手が嫌がりそうか」が一目でわかる作りでした。互いのサイドからじゃないと最短アクセス出来ない一方通行が「抑えるべきポイント」を強く意識させ、そこを打開する事が状況の変化に繋がると遊んでいるだけで自然にわかるのです。

しかし、新作の「タイタンフォール」ですらオブジェクティブをメインに据える事ができませんでした。タイタンフォールを遊ぶプレイヤーたちの多くは未だチームデスマッチから抜け出せず、オブジェクティブのために作られたマップを巨大なジャングルジムとして駆け回るだけのゲームを選びました。

今一度、オブジェクティブには革命が必要でした。 それをやり遂げたのが、スプラトゥーンであったと言えます。

あ、ここまで前置きです。

世界を「塗り替える」という事

スプラトゥーンの勝負は「塗った面積」で決まります。まずこれにより、チケット制度やスコア制度のような「消化試合」感が無くなり、最後まで緊張感を持って望む事が出来ます。特に地点制圧ルール及び爆破ルールで問題であった「完遂出来なかった時の徒労感」が無いのはモチベーションの維持に大いに貢献していると言えるでしょう。そしてもう一つ。スプラトゥーンのマップの床面積は思ったよりも広くありません。「狭いマップ」で争うから当然なのですが、それによって「競る」ことが簡単になっています。

「塗った面積」ということは、従来の「目標」以外もマップが意味を持ち始めます。なにせ「広間」を押さえていても「通路」が塗られていては最終的な勝利もそうですし、イカ移動によるアクセスの速度も変わります。ですから、プレイヤーは「どの通路を押さえておくとどうなるのか」をじっと通路を見ながら学ぶことになります。

「相手に塗られた場所」を歩くと動きが遅くなり、ダメージを受けます。なので原則として飛び飛びに塗られることはなく、厳密には「裏取り」というのが実は存在しません。従来のシューターの嫌われ者の「サプレッサー使い」の動きがシステム側から殺されているのです。塗るという行為は「塗り面積を増やす」だけでなく、目的とする場所へ移動するためにも行われます。そうするとマップで「何者かがここを塗り始めた」というのが一発で分かりますから、UAVやspotのようなものがなくても誰かがそこにいることがプレイヤーにも伝わるのです。

ジャンプもイカしています。緊急脱出からリスポン直後の戦線復帰まで使えるのでどんでん返しが起きやすいのです。「膠着状態」というのは拮抗しているのではなく「攻めあぐねている側が一方的にやられている状態」でありますから、それが起きないようにシステム側からのサポートがされています。ビーコンによるジャンプ地点追加も使いこなせば、「塗り替え」は難しいことではないでしょう。

「塗る」というシステムは、実によくできています。 だからと言って、スプラトゥーンが全く新しく、また殺しが重要でないかと言われれば違う所があると思います。

縄張り争いの末に、殺す。

スプラトゥーンの偉いところは「一方通行の道がマップ中央まで伸びている」という所です。この手のゲームは一旦押し込まれると巻き返しが難しくなるのですが、少なくともこの「一方通行」があるおかげで攻められすぎないように、また巻き返しが起きやすいように作ってあります。ここら辺は過去のゲームの研究がかなり成されているとみてまず間違いないでしょう。

塗り続けるためには何が重要でしょうか。塗るためにそこに居続けることです。そこに居続けるということは、生き残り続けるということです。生き残るということはどういうことでしょうか。

殺しにくる奴らを殺さねばならないということです。殺せば思う存分塗ることが出来ます。

殺されてしまえばマップ端まで戻され、また待ち時間が発生します。その間にマップの勢力図は文字通り「塗り替えられ」てしまうのです。またこのゲーム、塗れば塗るほどゲージが溜まって必殺技のようなものが使えるので、それを使うためにもやはり死ぬわけには行きません。

そのためには、相手のイカ野郎をゲソ揚げにする必要が有ります。

スプラトゥーンの直接の勝敗は「塗った面積」で決まります。ですがそれを決めるのは「どれだけ人手が足りていたか」であり、それは殺し合いで決まってしまうものです。なのでスプラトゥーンが「殺さなくていいゲームか」と聞かれれば、答えは否です。ナワバリバトルは殺しが全てではありませんが、より「塗り替える」ためには鉄火場でイカを蜂の巣にし、ローラーでイカせんべいにし、チャージャーで的確にイカリングにしていく必要が有ります。

相手のインクの上ではダメージを受け、移動が遅くなり、しかも潜伏=リロードも隠れるのも不可能。しかもこのゲームのリロードは一瞬ではありませんから、生き残り続けるのは簡単ではありません。殺される時は一瞬で殺されてしまうのです。

はっきり言って、上級者同士のガチバトルは墨を墨で洗う仁義なきバトルになるでしょう。

ですが、スプラトゥーンはそこに至るまでの間口の広さが半端ないです。まず誰がやってもそれなりに楽しめるオブジェクティブのゲームだなんて、久しぶりではないでしょうか。とりあえず初心者はわかばで撃ち殺すかローラーで轢き殺すかやってりゃいいと思います。

イカは過去に学ぶ

いくらマップがあろうがクソだらけじゃ話になりません。そんなことはコールオブデューティバトルフィールドが長いシリーズの歴史の中の様々な悲劇で証明しています。システムとルールがよくできてるなら、マップってそんなに数は必要ありません。むしろたった一つのマップをキャラと装備の組み合わせでやり続けるのだってありでしょう。それで一億人のプレイヤーを獲得したゲームだってありますよ。

武器とギア(衣類)のアンロック及びカスタマイズは既存のシューターまんまです。自由に付け替えるのではなく、ある程度かっちり固まってる中から選ぶというのもいいのではないでしょうか。プレイヤーに選択肢を与えすぎると、時に魔物が生まれてしまうことがありますから、与える選択肢をあらかじめ少なくしておくのも開発側のお仕事です。

そしてスプラトゥーンは「撃っても不利にならない」「当てなくても支援になる」のが新しいのです。既存のゲームで強かったのは「殺す時以外、撃たない」立ち回りであり、どういう攻撃をしても「当たらなければどうという事は無い」というのは三倍速い赤い人の言う通りでした。しかしスプラトゥーンは「自軍の色じゃない所」だと足が鈍り、ダメージを受けます。なので敵を見かけたらとりあえず撃っても良いのです。潜れないという事はリロードも出来ない訳ですから、このゲームは根本的に「殺す時以外も撃ちまくって良い」「当たらなかった弾も塗られるから割と影響でかい」という、イカれたトリガーハッピーの為のゲームなのです。

プレイヤーの一撃が、世界を「塗り替え」て行きます。自分の行動でゲーム世界が変わっていく、それが楽しくないわけがないのです。

スプラトゥーンは今までにない全く新しいゲームでも、人殺しをしなくていいゲームというわけではありません。過去の偉大な傑作や迷作たちを研究し、スパッと遊んでスプラっと塗れるように作られた「最新」のゲームです。

この素晴らしい「再発明」を、今食べないのはもったいないでしょう。揚げ物は揚げたてが一番美味しいですし、何より後から来たって「揚げたて」の味は味わえないんですからね!

Splatoon (スプラトゥーン) [Wii U]

Splatoon (スプラトゥーン) [Wii U]

百見は1プレイにしかず。あるいは「他人の物語で物を語るな」というだけの話。

ハロー、親愛なるゲーマー諸君。一か月ぶりだね。ジョン・ヘンリーR-Gray大統領だ。少し話をしたい。

arrow1953.hatenablog.com

最近、とあるゲーム記事……正確には、他人のプレイ実況動画とwikipediaを貼って「こんな風にトンデモらしいっすよ」と書いただけの記事がなかなか注目を集めております。ここで問題とされるのは「遊んでいない事」。即ち「エアプレイ」で何か語ってしまった事です。

ゲームとは創作物を食べる娯楽の中でも特殊なもので、「インタラクション」すなわち相互作用により成り立っています。映画や読書に音楽と違い、ゲームはプログラム及びそれを通じた他人との相互に作用しあう事によって展開していきます。つまりプレイヤーはただの「受け手」ではなく、正に"play-er"なのです。

yarukimedesu.hatenablog.com

「プレイしていない」ことが、着火の原因説。私は、ゲームのレビュー記事は書かないので、味知の領域ですが、「プレイしてない」というのは、禁忌なのかも知れない。 最近は、実況動画とか、プレイ動画とか増えているから、プレイしないでレビュー書くこともできそうだけど、どうなんじゃろうか…。

プレイしないでレビューを書くなどというのはあり得ません。 何故ならば、プレイ動画というのは何処まで行っても他人のプレイでしか無いからです。自身の経験に基づかないレビューは「○○さんはこう難しいと思ったらしい」「○○って人はここが楽しかったらしい」と只の伝聞の塊になります。直接ゲームに触れず、コントローラを握らなかった者にゲームそのものを語る権利はありません。

他のものに例えると簡単に飲み込めるかも知れません。「見てない映画について他人の感想を元にクソ映画だと言い切った」「行ってもいないレストランを他人の食べログ感想を元にゲロマズな店だぞと言って回った」だとか、プレイもせずに書いたレビューというのはそういうのと同等の行いになります。もう一度言いますが、「プレイしないでゲームのレビューを書く」というのは、あり得ません。

togetter.com

そういう事を嬉々としてやってる人々や、そういうゲームのスキャンダル情報を取り上げて煽るブログが存在するのも事実です。ですがそれは何処まで行っても、何を言っても「遊んだ事のない人の意見」でしかありません。だってあなた、遊んでないじゃないですか。ゲーム。「つまらなさそう」「酷そう」「ダメそう」だとしても、「つまらなかったのだろう」「ここが酷かったに違いない」「こんな所が駄目だったと思われる」と言い出すと知ったかぶりとなります。

「そのゲームの話をするな」という訳ではありません。話題にするのは問題では無いのです。しかし「語る」となると話は変わります。「誰が買うんだこんなゲーム」と、他人のプレイ動画を引っ張ってきて、遊んでもいないのに語ってしまったのです。シメに「欲しくなってきた」と言おうが、何処まで行っても遊んでいない人の文章でしかありません。

そもそも知名度だマイナーだというのは「ゲームそのもの」の事を語るならば、「プレイヤーである自分とゲーム」という一対一の関係に入る余地が全くなく、必要ありません。しかも「誰が買うんだこんなゲーム」という言葉は、ゲームと共に実際に買って遊んだ人間すら馬鹿にしている非常に強い言葉ですから、燃えるべくして燃えたとしか言いようがないでしょう。本人にその意図があろうがなかろうが、言葉を選べなかった時点で情熱もクソもへったくれもありません。という訳でこの言葉を贈らせてもらいます。

エアプ乙です。

追記:

fujipon.hatenablog.com

遊んだ人の記事です。

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版

Amazonで現在中古2120円です。どうでもいいですがADVで6万本は売ったって事は昨今の基準からするとうたプリとかダンガンロンパ2の初週売上ぐらい売ってる訳で、更にCESA GAME AWARDS(現:日本ゲーム大賞)で優秀賞を受賞したゲーム相手にマイナーだの誰が買うんだだの言う事でもないような気もしています。

9th CESA GAME AWARDS | 受賞作品

みたまま記法のボタンが足りないのでMarkdownで書くことにした

Markdown - Wikipedia

空行開けておけば自動で<P>で括って貰えますし、これならばリンクを貼るのもらくちん。そして<HR>のボタンが無い事に苦しむ事もありません。ああ、素晴らしいぞMarkdown記法!

そもそも、HTMLタグ手打ち+FFFTPでアップロードしていた時代を体験しているのにWYSIWYGにこだわる必要ないじゃないですか。しかもこれなら一々タグを書く必要も無いのです。

と、ここまで書いて気づきましたが何だかこの感触、大学時代に使ったTeXの記法に似てますね。


過去記事の引用機能や埋め込みについてはやはりはてなの純正エディタの力を借りた方が楽なので、今後はMarkdownで書いてからコピペしてWeb上で整形という形になりそうです。

書きかたばかり勉強して、肝心の書きたいものが今の所パッと思い浮かばないのですが、今回は「書きかたについて書きたかった」という事で一つご容赦を。

ひとまずeditoy Writerに落ち着いた(落ち着いてない)

はてなブログのエディタだとHRが入力できず、またScribeFireでは見出し入力が出来ないので当面はChromeのアドオンであるeditoy Writerに落ち着いた。Web画像もURLを貼るだけでいいし、何より自動保存もしてくれている。これで書くだけ書いて、はてなブログのエディタで整形すれば何とかなりそうだ。
という事を考えても、やはりBloggerとWLMの組み合わせは最強だったのだなと思う。ただただ日記を書いているだけならあそこほど安心できるところもないだろう。


と、思ったらこのエディタはエンターでの改行が<p>で括られない。いかん。作りが雑だ。本当にただの日記用途向けだ。Shift+エンターで<br>ならまだしもこれじゃ常用に値しない。困った。何とかならないものか。

Hotline Miami 2を読み解くいくつかの鍵

HLsd2

既に海外ではナゾ解明!が済んでいるのだが、国内で日本語にて発信されている記事ではHotline miami 2についての考察記事が無いです。が、私も私でちゃんと向かい合って書く時間がどうしても取れないので、いくつか「鍵」としてばら撒いておくことにしました。

//ピーッ。新しいメッセージは1件です??「衝撃の問題作『ホットライン マイアミ』の1作目と2作目がセットになって日本上陸! 『ホットライン マイアミ Collected Edition』が6月25日発売決定!!!!」【先出し週刊ファミ通】 - ファミ通.com
http://www.famitsu.com/news/201503/17074091.html

テラリアという良くも悪くも偉大な前例を作った、作りやがったスパチュンが国内ローカライズを行うという事もあり、今まで宗教上の理由でプレイできなかった人にもマイアミに是非訪れて欲しいですね。あとドバイも。

というわけでHotline miami 2についてのいくつかの「鍵」になるお話です

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