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アサシンクリード3レビュー。

Game Xbox360

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アサシンクリード3を一周し終えた。
アサシンクリードシリーズがこの世に生を受けて5年。今作は「デズモンド編」と銘打たれた物語の最終作品である。と、アナウンスされている。

最初に言っておく。1からアサシンクリードシリーズを追いかけて来た私が見たのは、膨張し続けたシリーズの悲しい末路だった。当然のようにネタバレ満載なので注意してほしい。

 

cr.hatenablog.com

 このレビューを読む前に、プレイ初期の雑感を読むと良い。

インディオ戦士 コナーの物語

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コナーはテンプルナイトインディオを両親に持つ複雑な出自の持ち主だが、思想も行動は一貫している。「規律と支配と嘘」はおかしい、「真実と自由」があるべきだ。そして「村を守りたい」という思いだ。

なので、彼は実の所アメリカの独立という物にそこまで興味はない。「イギリスが支配してぐいぐい植民地を拡大してインディオも殺すって言うから、それなら独立してもらった方がいいや」といった具合である。今作ではイギリスの政府の上の方にテンプルナイツが食い込んでおり、アメリカサイドにもナンバー2にテンプルナイツの息のかかった者がいる始末。アサシンギルドは没落しており、実際にアサシンのローブに袖を通すのは、今作だとコナーただ一人である。まさに孤軍奮闘、と言った具合だ。

ここが「第三のアサシン」「英雄」として観ると、非常に弱い。アサシン教団をアル・ムアリムの手から救った英雄アルタイルや、アサシン教団を再構成しヨーロッパやアジア全土にアサシンのギルドを創設したマスターアサシンのエツィオに比べると、彼の行動は余りに青臭すぎるのである。それに拍車をかけるのが、コナーの父、ヘイザムの存在だ。

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ヘイザムは非常に現実的なものの観方をする男であり、テンプルナイツの理想である「規律による支配」に生涯を捧げている。「自由」を求めていながらやる事は子供のように暴れ回る事だけの衆愚に嫌気がさし、その衆愚の自由を守ろうとするアサシンの教えを捨てた男である。

言っている事を聞けば、ヘイザムの方がよっぽど筋が通っている。人々は賢い支配層の言うままに従っていれば、少なくとも不幸を最小にして暮らせるはずだ。先住民の土地を手に入れようとしたのだって、別に先住民を殺してその土地を私利私欲の為に利用したかったわけではない。やりたかったのは「白人からの保護」だった。

それを白人からの侵略だと認識して、暴れ回ったのがコナーである。独立派と一緒にボストン茶会事件を起こしたのだって、「紅茶の輸入で儲けることが無ければ金を用意できないので買収は出来ないはず」といった単純な理由であり、別にイギリス政府に対立していたわけでも何でもない。独立に加担したように見えて、やっていたことは「大商人の商売を引っ掻き回した」だけなのである。

アサクリ3は全体的にこの「何とも腑に落ちない感じ」が付きまとう。アメリカ海軍の提督になるために自作自演を企てた男の暗殺だってそうだし、無能過ぎてモホーク族の集落の殲滅を命じてしまうジョージ・ワシントンだってそうだ。「イギリスの保護があればモホーク族は生きていける」と逸った親友でさえ、コナーは手にかけてしまう。独立派との衝突を避けるためとはいえ、「コナーも辛いんですよ」というお涙ちょうだいイベントにしか見えなかった。

1の「テンプル騎士団 vs アサシン教団」 2~BHの「ローマ教皇 vs アサシン教団」という分かりやすい図式に比べると、コナー編には明確な敵が設定されていないのがそもそもの失敗だったと思う。今作の大ボスはヘイザムの弟子のチャールズ=リー。彼は「テンプル騎士団の力に溺れた者」として暴走を始めたためにアサシンとテンプル騎士両方に追われる事になる。どころか、このリーを倒すためにアサシンであるコナーとテンプルナイトのヘイザムが共闘する。モホークの集落を焼いたのがリーだったのだからコナーからは追われて当然だが、ヘイザムにとっては身内のアホ退治なわけでどうにも話が盛り上がらない。

ヘイザムと、その弟子であったテンプルナイトのチャールズ=リーの死をもってコナーの物語は一応の区切りをみる。村を守るために多くのイギリス人と、大陸軍の少々と、親友と、父親まで手にかけたコナーは、果たして何を手に入れられたのだろうか。何の答えも無いまま、自分の師匠であった老アサシンの墓に、父ヘイザムの形見のアミュレットを埋めてコナーの物語は幕を閉じる。

現代のアサシン デズモンド編

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さて、そうしてデズモンドがコナーの記憶から得たのは、ウロボロスの紋章のアミュレットの埋められた場所である。このアミュレットを使い、先史文明の遺跡のゲートを開こうという作戦だ。忘れがちだが、アサシンクリードシリーズは寝ている間の「英雄たちのドラマ」がメインではなく、彼らがどこかに隠したPiece of Eden(PoE:エデンの果実)と呼ばれる先史文明の遺産の位置を明かすのが目的である。

今作デズモンド君はよく戦ってくれている。ニューヨークの摩天楼をスパイダーマンしたり、アブスターゴの本社に乗り込んでの大立ち回りも披露した。1では「俺はバーテンだ、バーテンダー」などと言っていたデズモンドはナイフを持ち、アサシンブレードだって使いこなして闘うのだ。非常に格好いい。長年のわだかまりの溜まっていた父親を助けた時に「何のつもりだ?父親でも助けに来たつもりか?」「そのつもりだ!」と答えたのには痺れた。

アブスターゴの本社も、マルチプレイヤーの開始時に披検体が並べられていたフロアや1でデズモンドの暮らしたあの部屋まで登場していよいよシリーズも佳境かと盛り上げてくれる。正直、私はコナー編の焦点の定まらなさよりもこっちの方が面白かった。

ただし、それも「テンプル騎士団vsアサシン教団」という関係が面白かったからであって、先史文明の話には全く興味が持てなかった。2の終盤に唐突に現れた第一文明人……彼らは「かつて人類を奴隷として扱った支配者」であり「7万年前に太陽フレアで滅んだ種族」である。彼らと人類の混血がアサシンであり、彼らの遺産であるPoEを利用して人類を支配しようとするのがテンプル騎士団だ。

元々、テンプル騎士団人工衛星にPoEを乗せて打ち上げて全世界を洗脳するのを阻止しようという話だったのに、今作ではいつの間にやら2012年のマヤ暦の伝説から太陽フレアで世界が滅亡するので、第一文明人の遺跡のパワーで止めて貰おうという話になっていたのには驚いたというか呆れたというか。その第一文明人も「前々から警告してたのにお前ら人間同士で殺し合うから時間なくなったじゃん」とか言い出す始末だ。

今作のエンドは

1.太陽フレアに飲まれるが、人々は極僅かだけ生き残る。
デズモンドは英雄から神にまで人々の間で祀り上げられるが、結局人々は争いを止めない

2.第一文明人が復活して太陽フレアを防ぐ。人々は今まで通りの生活を送る。
但しデズモンドは死ぬ

という二択を突き付けられた結果、デズモンドは②を選んでデズモンドが死んでしまう。しかも復活した第一文明人は「私のやる事をやらねばな」と言って立ち去り、そこでスタッフロールだ。未プレイでこのレビューを読んだ人はご愁傷様としか言えない。今作も投げっぱなしの予告エンドだ。

HALOもそうなのだが、誰が作ったのかは分からんがオーパーツがそこにあって、それを今生きる奴らが争奪戦するから面白いのであって、大昔の連中に出てきてああしろこうしろと言われてもなんだかゲンナリしかしないのは私だけだろうか。

 

多チームによる並行開発の弊害か。

全く洗練されないどころか退化したシステム。

 

1.戦闘システム

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戦闘は基本としてBHの連続チャンバラシステムの延長だ。だが、武器投げや長物の強攻撃が無くなった結果酷く味気ないものになってしまった。敵をカウンターで叩いては転ばせてトドメ、といった具合。雑魚でなく隊長クラスだとカウンターにさらにカウンターを重ねてくるので、おちおち殴るのも敵わない。アサシンブレードだけで戦うなんてのは難しくなった。

銃も毒矢もアサシンブレードに仕込めなくなったので、非常にダルい。銃はフリントロック式のマスケットなので、もたもたとリロードすることになる。戦闘中にリロードは無理だと思ってまず間違いないだろう。以前なら一撃で殺すために銃や毒をよく使っていたのだが、今作ではそんなことは無理になってしまった。「早業」のパークを装備しておいてほしいものだ。

只でさえテンポの悪い戦闘を更に長引かせるのが「一斉射撃」の存在だ。チャンバラに加わっていない敵はある程度放置すると横一列に並んで射撃を行うので、その度に人間の盾を使わなくてはいけない。その人間の盾も真正面で戦っている人間はなかなか捕まえられないので、フリーランで無防備なものを探さなきゃいけない。殺し合いに集中させておいてほしい物だ。

ただ、敵が2人いる時にカウンターを発動させると持っている武器に応じて格好よく2人同時に殺せるカウンターキルが発動するのは良いと思った。今作はモーションというかキャラクターのアニメーションが妙に凝っているので、攻撃ボタンを連打しているだけで格好いい戦闘になると思う。……敵のガードが固くてなかなか刺さらないけども。

武器の入れ替えは何故かRB長押しで「別画面を開いて」行うことになった。現在の画面にオーバーレイされて出てくるのと違って一呼吸時間があるので良くない。剣を出したまま別の武器を拾うと失くしてしまい、屋敷に戻らないともう一度使えないのはバグなのか仕様なのか分からないが、せめてファストトラベルした時点で復活していてほしかった。

ロープの先に短刀の付いた「ロープダート」という武器で敵を刺して引っ張ったり転ばせたりするのはなかなか面白かった。敵の攻撃をはじき返してからのロープダートで転ばせて、そいつの頭に剣を刺してシメるのが私のお気に入りだ。

2.悲惨極まりない移動と解錠システム

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地下トンネルを探索して、出口をアンロックしないとファストトラベルを使えないようにしたのは頭がおかしいとしか思えない。
トンネル探索には何の面白みも、アイテム収穫も無い。時々行き止まりがあってプレイヤーの時間を無駄にしてくれる。この出口が1マップにつき10個ほどあるんだからやってられない。そんな探索の時間を過ごすぐらいなら、ガムでも噛みながら馬に乗っていた方がましだ。

ファストトラベルに「トンネル」の名称を付けたせいで、トンネルの存在しない開拓地の屋敷やモホークの集落にデカデカと「トンネル」と書いてあるマップは冗談だとしても笑えなかった。金輪際やめてほしい。そんな用意された「やりこみ」はまったく遊びたくならない。

トンネル探索をして辿り着いた出口には、必ず鍵がかけてある。左スティックと右スティックでスイートスポットを探し、合致した状態で右トリガーを連打するミニゲームだ。さっぱり面白くない。この解錠ミニゲームは街中にある宝箱相手にも行わなくてはいけない。ベセスダRPGの影響を受けたディレクターが仕込んだんだろうが、どうせ影響を受けるなら解錠の面白さまで真似てほしい物だ。スティックを固定したまま右トリガーをカタカタするのは苦痛ですらあった。

リベレーションに出てきたフックやロングジャンプも、ブラザーフッドに出てきたコーナーを曲がるためのオブジェクトも出てこないので移動が2並みに単調だ。一応、昇降機もあることはあるのだが設置個所が少ない。移動も単調で戦闘も単調、というのはオープンワールドの作品においては致命的だろう。

新要素の「木のぼり」だが、始点となる木を探して登るのがまず一苦労だ。一度登れば枝をひょいひょいわたっていけるからいいのだが、その枝も「上には乗れないがぶら下がれる枝」があったりして見分けがつきにくい。また、枝もスティック入力で登るだけでなくAボタンを押して登るコマンドを実行しないと登れないところがあったり、トリガーを引きながらのスティック入力で勝手に降りてしまったりしてあまり練られていないと感じた。登れる枝に対して向き合った状態でAを押すと専用モーションで上にタタタッと登ってくれるのは良いのだが、そんな事をするぐらいならトリガーを引きながらのスティック入力で登っておいてほしい。

改善点としては移動速度のさらなる高速化と、網のようなオブジェクトにも登れるようになった所。不自然に窪んだ岩でなくてもロッククライミングが出来るようになった所、そして斜めや縦方向のヒビでも足場として登れるようになったところである。木のうろや縦に割れた岩や壁を登れるのはなかなか良かった。

しかし今作はビューポイントがちゃんとした足場でなく何故か風見鶏なので、判定の雑さも相まって非常に上りにくい。フックのカツンカツンとした感触も無いので登っていて気持ちよくないのが本当の所である。

3.形骸化した弟子システム

今作で雇えるのは弟子6人までである。それもボストンで全地区を解放して3人、ニューヨークで全地区を解放して3人だ。地区の解放のためには1地区で8ミッションぐらいこなさなきゃいけないので、弟子全員を揃えるまでに相当時間がかかる。というかその頃にはマップの全ビューポイントシンクロが終わっててもおかしくない。

しかもこの弟子、6人から増えない。弓矢による一斉攻撃も使えない。こちゃこちゃとアビリティはあるが結局使うのは暗殺での共闘ぐらいで、他の物を使う理由が無い。明らかに「前作までにあったので付けました」といった感じだ。町中で勧誘しながらすぐにコントラクトに送り出していたブラザーフッドやリベレーションとは大違いである。コントラクトをこなそうが、呼び出そうが、入手される経験値はとても少ないのでレベル上げは遅々として進まない。

もちろんマスターアサシン認定式もないし、武器設定も無い。本当にこれは2012年に出た最新のアサシンクリードなのだろうか?

4.収集アイテムとその褒美

以前のゲームであれば最強の防具や武器、それを入手するための地図なんかが手に入ったりしたのだが、今作では衣装ばかりである。羽根を全部集めればモホーク族の衣装が手に入り、キャプテンキッドの宝を集めればキッドの衣装が、といった感じだ。フワフワと逃げ回る収集アイテムの「年鑑のページ」は後述するアイテムクラフトのレシピである。実際のゲームプレイには何の関係も無い。それと、同じように宝箱も町中にあるが、これも金と同時にアイテムクラフトのレシピが手に入る。

交易システムは大失敗

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今作は「復興ミッション」がなく、その代わりに「開拓地」が追加された。

ボストンの近くの開拓地の一角「ダヴェンポート・ホームステッド」にアサシン教団のアジトがあり、密猟者やテンプル騎士やイギリス派に追われた人々をその土地に住まわせて働いてもらおう、という設定である。どいつもこいつも誰かに襲われたり殺されそうになっている所をアサシンが通りかかって助けるのだが、それに突っ込むのは野暮というものだろう。問題はその人々に物を作ってもらうクラフティングと、実際に輸出する交易のシステムがどちらもも酷い出来だという事だ。順番に観て行こう。

クラフティングは職人のレベル素材レシピの三つの要素があり、どれが欠けてもそれを作る事は出来ない。職人のレベルはミッションをこなさないと上がらない。職人のレベルを上げるためには野山を走り回り、職人のミッションを探し回る必要がある。ミッションはメインストーリーを進めないとアンロックされないので、レシピだけ入手しても歯がゆい思いをすることになる。

素材は自分で野山で取ってきたり、職人から買ったり、別の街から買ったりして集める。その他にも「製品」になる前のパーツも自分で作る必要がある。ベルトのバックルを作ったり、瓶を作ったり、糸を作ったりといった具合だ。パーツそのものを買ってくる事も出来るが、結局そうやって組み合わせて最後の製品までコチャコチャと組み合わせていくことに変わりはない。

レシピは先に書いた通り、宝箱や年鑑のページなどの「収集アイテム」から入手する。今作は宝箱の地図などを買わなくても近くを通りかかればマップに表示されるのでいいのだが、どちらにせよ「マップを走らされている」感触はぬぐえない。

これら三つの要素が揃って初めてクラフティングが出来るわけだが、あのパーツを作ってああやってこうやってと操作し、大量の素材を消費してやっと製品が1つ出来ると言った具合で非常に面倒くさい。しかも手間賃を取られる。クラフティングはアジトかマップに何故か表示されないよろず屋じゃないと出来ないのもこれまた面倒くさい。

しかもこのクラフティングを使わないと今作は装備のアップグレードが出来ないようになっており、快適に進めるためには否が応でも素材・レシピ集めに走り回る事になる。金があればさっさと進められた従来の作品とは大違いだ。矢筒の大型化は言うに及ばず、沢山の銃や武器もこのクラフティングで作る事になる。

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そして出来上がった製品は交易で輸出することになるわけだが、この交易も出来上がったアイテムを1つ1つ選んでスロットに収め、行先を選んで、ボタンを押して現実時間で10分以上待つという仕組みでやはり面倒くさい。危険度なるパラメータも設定されており、最悪の場合輸送隊が襲われてオジャンになる可能性もある。勘弁してほしい物だ。

輸送隊や輸送船団もクラフティングで強化することになる。木材を渡せば村の職人があっという間に船一隻作ってくれるのでそれはいいのだが、どちらにせよ同じ製品であろうと1つ1つ選んで15個も選択させられるのは面倒だ。

交易には税がかかる。それが嫌ならば弟子を派遣して輸出先のアサシン教団を潰す事だ。が、前述のとおり弟子関係のシステムが腐っているのでやってられない。

ここまで長々と書いてきた交易とクラフティングだが、実は売却の価格に使う素材の金額や手間が見合っていない。長々とクラフティングして1900ポンドの服を作るぐらいなら自分で獲ったり職人から買ったビーバーの毛皮やクマの毛皮を1500ポンドで売った方が圧倒的に効率がいいのはどういうことだ。

金を稼ぐ手段がこれしかないので、コナー君は金策の為に文字通り「走る」事になる。ルネサンス期の貴族アサシンは不動産であんなに儲けていたし、金で強化アイテムを買っていたというのに。悲しい話だ。

 

歴史の浅い国に見所無し。

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植民地時代のアメリカが舞台だけあって、今回は観光する所が何もない。

とだけ書いて終わらせるのも何なので解説しておくと、ボストンもニューヨークもどこか辛気臭くて観るところが全くないのである。歴史的な建造物もないし、戦闘も向かい合ってマスケットをバスバス撃つだけで華が無い。これは街並みもそうだし、歩いている人々もそうだ。くすんだ色合いの街で、あばら屋の上をトコトコと走りまわるだけなので、歩いていても面白くない。ビューポイントも寂れた教会で、荘厳なファサードだったフィレンツェのそれとは大違いだ。

歴史トンデモミステリー要素も無い。「あの建築物も実はアサシンが関わっていたんだよ!」というのも無い。今作のアスレチックステージは「キャプテン・キッド関連の遺跡や洞窟探索」だとか、メインストーリーの燃え落ちる要塞からの脱出だとかに費やされていて、観光しながらの謎解きが無いのは寂しい。かといって2やブラザーフッドの様な「あの歴史もこの歴史もアサシンとテンプル騎士団なんだよ!」も無い。とことんコナー編はデズモンド編を終わらせるための作業としか思えなかった。

フィレンツェヴェネツィア、ローマ及びヴァチカン、そしてコンスタンティノープルをやった後にこれは割と辛いものがある。先駆者としてレッド・デッド・リデンプションのような大物がいたのも大きいだろう。アレも「在りし日のアメリカ」という意味では変わらないし、あちらの方がよっぽど馬で走り回っていて楽しめた。

 

シリーズ最大のボリュームの正体は。

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確かにアホほど巨大な野山があるし、そこを駆け回って収集アイテムを集めたり、動物を狩ったり、各地に点在している盗賊ミッションやハンターミッションをクリアしてもいいだろう。弟子は6人しか居ないが少なくともコントラクトをこなすのに数十時間はかかって「遊べる」だろうし、全部のアイテムをクラフティングするのだって「遊べる」だろう。弟子の勧誘だって開始から5秒で終わるスリミッションを入れてまで道のりを長くしてあるし、街の地下のトンネルは10個も11個も出口があるのだから地下の探索だけで相当時間がかかる。

また、フルシンクロを目指すためには「このミッション中人にぶつかるな」だとか「炎でダメージを受けるな」だとか「敵から50メートル以上離れるな」だとか面白さに何の関係もないサブクエストがわらわらと出てくるが、きっとこれも「コンプリート」するには時間がかかる事だろう。これをこなさない限りアルタイルの衣装は手に入らない。

ミニゲームだってたくさんある。当時流行していたボードゲームが酒場に置いてあり、これを極めるだけでも一苦労だ。

だけど一言だけ言わせて欲しい。
UBIモントリオールよ、君たちが作りたかったのはアサシンクリードファイナルファンタジーか。

唯一の良心、海戦ミッション

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アサシンクリード3で最も面白かったのが、この海戦ミッションだ。船の強化にアホほど(交易品を売るだけでも待ち時間が数時間必要)金がかかるが、それを差し引いてもこのミッションは面白い。

帆を張ったり巻き上げるだけで副長も船員もキビキビと動いてくれて指揮している感じが味わえるし、敵の船をギリギリまで引き付けてから大砲で穴だらけにして沈めてやった時など心が躍る。風向きや敵艦との位置関係を考えながら、如何に相手を沈めるか考えて操舵するのは新鮮な感覚だ。このモード単品でも十分に勝負できる出来なので、UBIはこれだけのゲームを作ってみてはどうか。ほら、港と交易と海戦が舞台だから「大航海時代」とか「ポートロイヤル」みたいな名前で。

ただ、コナー率いるアキーラ号が一隻で多数の船をやっつけるシチュエーションが多かったので、今度は様々なシチュエーションを用意してほしい所である。

お疲れ様、デズモンド君。

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急遽リベレーションでデズモンドのキャラクターを深めた割には、3でむちゃくちゃ格好よくデズモンドが活躍してくれて良かった。やっと好きになってきたのに、今作で退場とは誠に残念である。

あまりにお粗末なデズモンド編の幕引きであったが、どうやらまだまだUBIはアサシンクリードの話を引きずるみたいなので、今後も生暖かい目で見守っていこうと思う。

本編について残された謎と設定とクリア後

アサシンクリード2の時点で、ワシントンがPoEを使っていたことが明らかになっている。ワシントンはフリーメーソンのメンバーで、歴代大統領にPoEを渡してきた。フリーメーソンは「テンプル騎士団をルーツに持つ者」という陰謀論が良く知られているが、それをアサクリ世界でも真とするならば、「イギリスがアメリカを植民地支配しようが、アメリカが独立しようが、ワシントンが暗殺されようがされまいが、全てはテンプル騎士団の手の内」という事になる。一体コナー編とは何だったのか?折角守った村は、独立派によって立ち退かされてしまい、何のための戦いだったのかと言った感じだ。この救いの無さは何が目的なのだろう。

クリア後に続くエピローグでは、ニューヨークの港からイギリスの船を見送ったりこれが見納めかと罵声を浴びせに来た人をコナーは観ることになる。人々の怒りが原動力だった革命は、100年と経たず南北戦争へと繋がるのだ。それを暗示するように、足場の上に黒人奴隷が乗せられたのをにらみつけるコナーのアップで、メインストーリーは終了する。もしかすると次は南北戦争なのかもしれない。カウボーイアサシンぐらい出してほしい物だ。

この後アメリカはエジソン、フォードと言ったPoE悪用者による「発明」「技術革新」による大国となり、PoEによって連合国対枢軸国の世界大戦へと突き進んでいく。そこらへんの話もやってみてほしい所だが、流石に自動小銃のある世界でアサシンと言われても、スプリンターセルとさほど変わりの出来ないゲームになりそうだ。

作りが雑なのかは分からないが、クリア後はアメリカが独立したにもかかわらず「貴族のせいだ」「良いぞやっちまえ」という民衆が出てくる。もう独立しているので、貧しいのも自分たちでどうにかしなきゃいけないはずだ。

余談:UIの謎とグラフィックス

さて、今作はコントラクトといい交易メニューと言い武器の交換ホイールといい、どうにも荒い作りが目立つ。LBやRBの長押しで別画面に遷移して物を選ぶのはどうにもおかしいだろう。これはwiiUのGamepadでワンタップで呼び出したり、Gamepad側で本来は全部変更できるのでシームレスに出来たのを従来のハード用に落とし込んだからこうなっていると推測できるのだが、どうにも手元にwiiUが無いので検証できないのが歯がゆい。何にせよ、Xbox360で操作する時にはイマイチ快適さが足りないなあと思ったのは確かだ。

グラフィックは家庭用機だとHALO4に勝るとも劣らない領域にあると思う。高解像度テクスチャやリッチなシェーダが使えるようになっただけあって、人物がアップになった時の目や肌の質感と服の編み方まではっきり見えるのには感動すら覚えた。ただし影が相当低解像度に設定されているらしく、顔に影が落ちるとザラザラとノイズが走ったようになるのが残念だ。また、遠景のビジュアルを思いっきり犠牲にしているのももったいない。黄緑色ののっぺりした草原と茶色い道が見えた時には溜息しか出なかった。これが今世代機の限界だろう。草や枝葉も低解像度テクスチャの被害をモロに食らっており、妙にバキバキした質感だ。

また、フレームレートが野山だろうが街中だろうがガクガクで快適には走り回れない。正直、快適に遊ぶならロードも含めPCで遊んだ方がいいと思う。それも、ごっついグラフィックボードを入れたハイエンドPCでだ。