BattlefieldⅤに見るマップとシステムの機能不全、というかシステムに導かれてしまったプレイヤーのお話

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 AnthemやりたさにOrigin Access Premierに加入したわけだが、バトルフィールド5(以下BFV)も製品版にフルアクセス出来たので数日がっつり遊んでみた。

 私はBF1942のシークレット・ウェポン(拡張パック第二弾)の体験版を某画像投稿掲示板の人々とネット対戦し、そこからWWⅡアンソロジー(1942の全部入り版)を購入して以来のBFファンである。家庭版からのBFしか知らない人にざっくり説明すると、かつてのBFは移動できる戦艦に複数人乗り込んで島に艦砲射撃したり、潜水艦でその戦艦を攻撃したり、戦闘機をビュンビュン飛ばせる空母まで操縦出来たりと本当に何でもありのゲームだった。しまいにはジェットパックを背負って飛んだりするのだからたまらない。スプラトゥーンの10年以上前に、プレイヤーはジェットパックで飛んで対戦していたのである。

 さて、BFVの話に移ろう。

 BFVは相変わらずの分隊システムとアンロックまみれの装備で64人対戦をするゲームである。チームデスマッチや小型のコンクエスト(別ゲームではドミネーションや制圧と言われるルール)も遊べるが、大人数対戦であればコンクエストやブレイクスルーというルールが標準となる。

 このうちコンクエストはマップ上にある複数の地点を制圧数を競う。制圧数に応じてチケット(チームの体力ゲージ)の減少スピードが異なり、チケットが0になった方の負け。ブレイクスルーはバトルフィールドバッドカンパニー(BFBC)のラッシュルールをそのまま制圧に置き換えたようなもので、最初に設定された2地点を攻撃側が制圧すると戦局が変化し、更に奥側の2地点を制圧…という形で数フェイズの制圧戦となっている。

 が。

 

 マップの作りが全てをぐだぐだにする。

 概ね、防衛側には土嚢や固定機銃があり、突っ込むと死ぬ。いやまあ問題はそこではない。銃を撃つゲームで死ぬともう一度遊べるようになるまで時間がかかる。即復活されても困るので一度死ぬと十秒以上の待機時間が設定される。第一突っ込んでいって死ぬのは面白くない。じゃあ何するの。芋虫でしょ。なにせめちゃくちゃ射線通ってるし。

 そんな感じでBFVのマップは本来戦闘にあまり関わらない死に箇所まで非常に広く侵入可能になってしまっている。射線が通り過ぎる事も相まって、岩肌からスコープのキラキラが4つも5つもこちらを見ている事も珍しくない。仕方ないだろう、防衛側が強すぎるし復活して数秒で死ぬとか面白くないんだから。

 しかもコンクエストだと旗と旗の間隔が広く、また一部マップでは建物があることも相まって戦闘が散発的になりやすい。BF2のカルカンド、BF1のモンテグラッパの様に細長いわけでもなく、また拠点間の繋がりが無いためゲリラ戦に陥りやすい。全面戦争と言うよりはマップの複雑なコールオブデューティという味付けになってしまっている。BFっぽい戦いが出来たのはTWISTED STEELのB-E間の橋の上ぐらいじゃなかろうか。本当に。

 マップの限られた地点で戦うブレイクスルーはどうかと言うと更に悪くなり、攻め側に戦車の無いマップで攻め側が勝つことは数日のプレイ期間中ほぼゼロだったと言っていい。姿を晒して敵を発見し立った状態から狙うのと、待って既に狙っている状態ではどちらが有利かは明白であろう。浸透戦術を仕掛けようにも回り込む事すら困難であるからだ。攻め側に関わらず進軍せずスナイパーだらけになった事に飽きた防衛側が進入禁止ラインを無視して10秒走って芋虫を殺しにいっては自殺扱いになるのはよくある光景である。

 HAMADAとPANZERSTOMEと雪のマップ2つは本当に勘弁して欲しい。

 

 誰もが分かりきったプレイヤーではない戦場で。

 ではそんなに攻めが出来ないゲームかと言われると、そんなことはない。衛生兵(メディック)の発煙グレネードランチャーや斥候兵(リーコン)のスモークハンドグレネードで目潰しをし、援護兵(サポート)が絶え間なく彼らに弾薬を渡し、突撃兵(アサルト)が迫撃砲で切り崩してタイミングを合わせれば突撃は可能だ。

 そんな事ができるプレイヤー、一体1マッチに何人いる?

 広大なマップの中で見つけた敵もリーコンの偵察ガジェットや他のごく一部の手段でなければ味方に通達することも出来ない。そのリーコンのガジェットもサポートから弾薬を貰わなければ使用回数も有限である。「ダウン状態の味方のアイコン」からしか、そこに敵がいそうかどうかもわからない。前作までは誰もが敵の位置を報告出来たし、何より敵が発砲すればミニマップに敵位置が表示されていたのにだ。

 ところで、今作は各拠点に弾薬箱と医療キットが据え付けられており、防衛側はハチャメチャにガジェットを使い放題出来る。もちろん偵察ガジェットもだ。なんか敵がいそうだなと思ったらポンと撃ってしまえばよい。隠れるだとか索敵も必要ない。

 とかく、BFVは過去作に比べて非常に「分かりきったプレイ」が求められる。

 

 上でも書いた「死に箇所」まで含めた広すぎるマップ、スポットの廃止、連携の必須さがBFVを既存のBFとはガラリと変わった手触りにしている。まるで「分かりきっているプレイヤーだけで構成された分隊が各チーム32人ぎっしり埋まっている事前提」かのように。

 

 結果、そういう前提で組まれたマップとシステムは、マップとシステムの理解度の低い殆どのプレイヤーには届かなかったと言っていい。BFVは現状、街中でのゲリラ戦か、散発的な戦闘か、芋か、戦車のある側の圧勝ばかりだ。分かりきったプレイヤーは一握りであるし、その一握りの分隊を引けたチームがコンクエストで勝つ。だがその状況も、システムがプレイヤーに「そうしたほうがいいな」と思わせてしまったからに他ならない。

 一人の動きがガラっと戦局に影響を与えてしまっては64人いる意味がない。一人では変えられないのでスポットしても煙幕を張っても意味がない。BFVのプレイヤーを支配しているのは、そういう学習されてしまった「無気力」であるように感じた。

 

 

 

 正直な事を言ってしまえば、私はBFVのDeluxe Editionやパッケージ版を買わなくて良かったと思ってしまった。もしこれを発売日に10584円払ってPS4で買ってしまっていたら、と考えるとゾっとしてしまった。Origin Access Premierに感謝しながら、私はBFVをアンインストールした。

 私はまたあのミッドウェイで、YamatoとPoWがバカ試合をやるBFがやりたいだけなんだけどな。ねえEA、DICE。

 

 

 

バトルフィールド 1942 オリジナル

バトルフィールド 1942 オリジナル

 

↑まだ…!まだ国内でもFHSWで遊べるし北米サーバで遊べる…!

 

Anthemという名のBioWare製「地球防衛軍」体験版の所感。

 Originのスクショボタン分かんないままStronghold1回クリアまで進んでしまったのでAnthemの今回の記事はスクショ無いです。

 

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 さてAnthemですが、重厚なストーリー部分はおいといて中身は地球防衛軍です。

 

【PS4】地球防衛軍5

【PS4】地球防衛軍5

 

  地球防衛軍サンドロットの開発している「でっかい虫相手に戦うハクスラTPS」です。たくさんのミッションがあり、比較的コンパクトなマップでターゲットとなるデカい敵を倒したり、山ほどいるアリを倒したり、山ほどいるクモを倒したり、あっさり殺されるゲームです。

 繰り返し遊べば遊ぶほど体力が増えたり、ドチャクソ攻撃力の高い武器が手に入り、クッソ硬いアリもスコーンと倒せるようになって楽しい作品です。
※上記の5はマルチプレイヤー時に武器レベル制限があり、無双せず適度に苦しむことが出来ます。

 

 Anthemですが、端的にいうと地球防衛軍です。飛べます。

 

 Anthemのやる事は

  • まず飛ぶ
  • 話の経緯は置いといて敵のいる場所に到着する
  • とりあえず全員倒す
  • 話の経緯は置いといて次のイベントが起きるところまで移動
  • なんにせよ全員倒す
  • 飛んで移動
  • 話の経緯は置いといて倒しながらアイテム集めたりする
  • レアドロ抽選してクリア

 こんな感じのゲームです。

 「飛ぶ」というのは「なんか広大なマップで飛んで移動してるぞ!!」という要素ではありましたが、結局は「イベントを起動するために移動する」であり、言ってしまえばGTA5のドライブの時間とさほど変わりがありません。というかオーバーヒートが存在してしまう時点でドライブより少々面倒くさいかもしれないです。「カメラだけ方向を変える」というのが体験版では出来なかった為、風景を楽しむというフレーバー部分がないです。飛んでる時間長いし、というか移動が遅いんです。

 さてバトル部分ですが、HALOのファイアファイトやGears of WarのHordeを思い出して貰えばわかりやすい。もしくはBorderlands。敵をバーっと倒したり、特定の地点を守るために寄ってくる敵をバーっと倒したりする感じです。4人Coopなので適度に砲台狙ったり、適度にデカい敵を足止めしたり、適度にその隙を狙って大技をブチかます感じです。

 体験版で最初に使える「レンジャー」はスキルが地味であり、ゲージを溜めた後のマルチロックオンミサイルがド派手。あとはいつものシューターよろしく手榴弾とマシンガンで始まります。が、レベルが上がると氷やらなんやらぶっ放す「ストーム」やガチムチの「コロッサス」、爆速の「インターセプター」が解除され、のたのた旧いシューターの動きをしている「レンジャー」が過去になります。なった。コロッサス楽しい。

 スキルも武器もゲージ溜め必殺技もPark(CoD用語)も全部ドロップ方式であり、それらを組み合わせて戦うCoopゲー。ですがなかなか1ミッションが長く、モンスターハンターの様に「周回する」のはあんまり捗らなさそうな気がしました。カスタマイズは楽しそうではあるのですが。

 

 ところで「Borderlands」でなく「地球防衛軍」と書いたのは理由があり、「同じミッションを何度もやって最後のレアドロ払い出しで一喜一憂するゲーム」「さっくり一回こっきりCoop」という点、そして「めっちゃ虫倒して攻略して最後の固いの倒して終了」というのが地球防衛軍を彷彿とさせたからです。

 しかし地球防衛軍と違うのは「小さなミッションがいっぱい」でなく、倒しては飛び倒しては飛びのミッションを終えてやっと抽選が行われること。ボス戦を数回やればわかりますが、ザコ敵は「回復アイテムをドロップするので仕方なく倒さなきゃならない」ものというゲーム内の役割。このゲーム、弾の補給のためにしぶしぶザコ敵潰さなきゃなんないんです。

 また武器のダメージ格差もなかなかであり、現状体験版で入手できる超強いスナイパーライフルが敵に1発で1万ダメージを叩き出している中、数十~数百ダメージの弾をブリブリしたり200ダメージぐらいで殴るのはは正直あんまり面白くありません。全部あなたがレア武器持ってないのが悪い。そういう所含めても「地球防衛軍」です。ライサンダーZが無いからお前は苦労するって事です。

 

 EAはあくまで「体験版ビルド」であり、武器バランスやプレイフィール含めて変わるとアナウンスしていますが、「レアドロ求めて敵倒したりダラダラ飛んだりして何度もミッションやる」という骨はそんな変わらないでしょう。ここはかなり好みが分かれるところだと思います。だらだらとした移動含めてちょっと旧世代の手触りが過ぎるように思えるのです。ご丁寧にキツいエリアをクリアすると宝箱が出て来て、それを割ると中からワッとレアアイテム(未鑑定)が出てくる。全部ミッションクリア後に鑑定。というのは「自由度!!!!!!!!!」というより、用意されたマップの上をこうやって辿って倒してきてねという旧来の「オンラインゲーム」の作りそのものだからです。しかも、移動は飛行なので操縦する必要あり。目的は小さなビーコンで示されるのみで、狭くて暗い洞窟でもトラッカー表示は無しと来ていますから、簡単に迷うことが出来ます。

 長い時間をかけて少しずつアップデートして行くことも予想は出来ますが、このまま二週間後のOrigin Access Premierの先行プレイを迎えて、体験版とさして変わらない状態であった場合、「飛び入りで介護プレイしながらだらだらレア武器探し」の地球防衛軍にソフト代1万円ポンと出せるかと言われると微妙なラインじゃないかなあ。と体験版時点では思うばかりです。

 

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 月額1600円、もしくは年額1万円払うとAnthem本編やBFV本編含めてまるっと遊び放題のOrigin Access Premierに加入すれば、限定版も通常版も買う必要なくAnthemを「パッケージ版発売日」に先駆けて遊ぶことが出来ます。

 Anthemのオンラインサービス代だと思って、Access Premierに加入し2ヶ月ぐらい遊ぶのが今の所おすすめです。1600円払うだけでAnthemもBFVもBurnout ParadiseもTitanfall2も全部本編どころかDLC全部入りで遊ぶことができますので。

アサシンクリードシンジケートでお前はロンドンを救って女王陛下のアサシンとなれ。

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  さて、アサシンクリードシリーズは2014年の作品であるローグとユニティで叫び、のたうちまわり、そして一度死んだのは前に書いた記事のとおりです。

  

  今回はそのローグとユニティを経てリリースされた、アサシンクリードシンジケートについての記事です。

 

ロンドンを牛耳る悪いテンプル騎士団 VS 若き双子の鷹

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 今回舞台となるのは1868年のロンドン。産業革命の真っ只中。街はテンプル騎士団ロンドン支部支部長クロフォード・スターリックが裏から「産業」で牛耳っており、労働者階級の人々は奴隷同然の生活を強いられておりました。違法な児童労働が横行し、医療も福祉も全く行き届かず、栄華の裏には腐敗と抑圧が蔓延っていたのです。

 

f:id:crs2:20181216002052j:plain そこに現れたのは地方の守備に飽きたジェイコブ・フライとエヴィー・フライのアサシン姉弟。手始めに鉄工所を経営するテンプル騎士を叩きのめし、次はエデンの果実で何か悪いことをする研究者ももちろん叩きのめす。ユニティから相変わらず鈍重なアサシン教団の指令など待っていられない二人は、テンプル騎士の手からロンドンを救うために旅立つのでありました…というのが導入部です。この二人、見ていていちいち気持ちがいい。

 

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 ロンドンに辿り着いたフライ姉弟を待っていたのは、反撃の機会をずっと伺っていたインド人アサシンのヘンリー・グリーン。彼と、彼の今まで作り上げた人脈と、人たらしと腕っぷしに自慢ありのジェイコブ、そして理知的でエデンの果実調査に熱心なエヴィー、そして「アサシンのギャング集団」であるルークスによるロンドン解放作戦がスタートします。

 …が、ジェイコブは大物をぶっ倒した後の事は考えていませんし、エヴィーはエデンの果実を巡るテンプル騎士との戦いに夢中。この作戦、敵も味方も一筋縄ではいかないのでした。

 

 ところでこのヘンリーってアサシン、声が細谷和正さんで、肌が浅黒くて、下っ端に人殺しさせるし、何より奴隷同然の児童労働から子どもたちを開放して、ギャングを率いて戦うんですよね。街歩いてたらヒットマンが狙ってくるし。このゲーム。銃撃ってたら結構当たんじゃねえかって感じだし。

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 いつヘンリーが止まるのか楽しみでしたが別に止まりませんでした。

 

基本システム:抗争とギャングについて

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 アサシンクリードシンジケートは過去作品で最も「オープンワールド」として成功したアサクリだと言っても過言では無いでしょう。「何かしらのイベントを起動するために移動させられる場所が地続きなだけ」という旧いオープンワールドから、ついに「この街そのものと戦っていき、開放していく」というオープンワールドへ新しい一歩を踏み出しました。

 移動については「馬」が復活しました。というか、「馬車」です。街中に止めてある馬車に乗ったり、行き交う馬車を乗っ取ったり、敵対ギャングに喧嘩をふっかけて奪ったりして乗ることが出来ます。仲間に手綱を任せてガンアクションを演じたり、敵の馬車に飛び乗ってバトルしたり、馬車をぶつけて相手をぶっ飛ばすのも可能です。「窓からサブマシンガンやピストルを撃つ」というオープンワールドにありがちな銃撃戦に留まらない1868年のハイスピード馬車アクションは絶品の一言

 街には

  • 児童労働
    大きな工場に潜入し、子どもたちを全て開放してギャングを一掃する。警鐘を鳴らされるとボーナス獲得失敗のため、順序を考えて切り崩す必要がある。
  • テンプル騎士狩り
    ターゲットの人物を一人倒せばクリア。だが警備は厳重だ。指定されたシチュエーション(影から殺す、草むらから殺す、敵の一人を発狂させて同士討ちさせる)で暗殺するとボーナス獲得。真正面から挑むと結構手強い。
  • ギャングのアジト
    エリア内の敵を全員倒せばクリア。味方のギャングが拉致られているので一人も失わないでクリアしたり、見つからずにクリアしたりとボーナス条件がバリエーション豊か。
  • 賞金稼ぎ
    ターゲットの人物を拉致って指定の場所に運ぶか、死体にしてから指定の場所に運べばクリア。拉致だとちょっと面倒くさい上に、騒ぎを起こすと逃走するためミッション失敗になること多々あり。

 と、まずは大きな4つの抗争クエストが非常に多く設置されている。ミッションをクリアすれば経験値や金がどっさり手に入るので積極的に挑む気になるし、何より「悪いやつをやっつける」とストーリー側からきっちり理由が用意されているためダレにくい。テンプル騎士や賞金のかかった悪いやつについてのストーリーもゲーム内で結構がっつり目に提示されているのでアサシンとして存分に腕をふるいたい。

 加えて敵対しているギャングの船、列車、馬車等の強奪や爆破など小粒なミッションが散らばっており、所謂「稼ぎ」にも耐えうる作りとなってるんですね。

  

Saints Row 2 (セインツ・ロウ2) 【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

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  ここら辺、過去の「ギャング・マフィア物のオープンワールド作品」をかなり研究して作られているのが好感触。地域の拠点や幹部を一つ一つ潰して弱体化し、相手を弱らせていく感覚がよく出来ている。何より「この街で暴れることそのもの」が手段であり目的でもあるというのが素晴らしい。かかってきた悪いやつはぶっ潰す。悪いやつが悪いことをしていたらやはりぶっ潰す。悪い奴らの船を見つけたらダイナマイトで爆破する。フレーバー面でもシステム面でも暴れる理由が提供されるているわけです。

 上で挙げたゴッドファーザーは物凄く良く出来ているので是非遊んでください。

 

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 エリア制圧のラストはその名も「ギャングウォー」という大バトル。前作で群衆は飾りでしたが、今回は画面いっぱいの味方と敵が入り乱れての戦いとなります。

 この「自分の指揮するギャング」というのも良く出来ており、最初は貧弱ですぐ倒される味方も投資していけばレベルアップして銃を持つようになり、馬車を買い与えれば街中を味方の馬車が行き交うようになります。投資はギャングに限らず、街自体に投資を行うことで馬車が走り出してスラム街を活気を取り戻し、薬屋に投資すれば安価な薬が流通し回復アイテムも安くなって一石二鳥。更に撃ってロープを切れば敵が下敷きになって一撃死の「樽の山」やダイナマイトも街に彩りを添えてくれるのです。

 つまり、プレイヤーの行動がハッキリと「ロンドンを変える」わけです。ゲーム世界に影響を与える。ゲーム世界が変化する。コレは実に面白い。一番のお気に入りは「消防馬車が街を行き交うようになる」というレベルアップです。これは一見「なんかデカいポンプ馬車が走るようになった。治安が良くなったなあ」というだけの代物です。が、考えても見てください。巨大な装置を引いた馬2頭の馬車ですよ。これで敵に体当りしてみなさい!ネタに見えて最強なんですよ消防馬車!!!

 「投資」が単なる「不動産による定期収入」でなく、「街と仲間のレベルアップ」というのは地味に凄い。レベルアップで世界が変わるんです。自分だけでなく!

 

基本システム:いちいち小話を挟んでくれるクエスト達

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 アサシンクリードシンジケートのクエストは確かに「ストーリークエスト」と「そうでないクエスト」に分かれていますが、これはベセスダのFalloutシリーズやジ・エルダー・スクロールズシリーズの「ストーリー」と「そうでないクエスト」の関係そのものです。

 つまり「遊んだら確かに大筋は進むけど、そうでないクエストを脇道と言うにはあまりにもゴツ過ぎる」という感じ。ファイアアントや脱走奴隷の物語は大筋ではありませんがガッツリ骨太でしたよね?テンペニータワーの物語はサブクエストと言うには大きすぎましたよね?本当にそんな感じです。

 今回の「何でも発明する凄い仲間」枠はアレクサンダー・グラハム・ベルエジソンの伝記でよく「クソッ!ベルめ!!」ってキレられてるあのベルです。彼がロープランチャーを直したり、電気爆弾を作ってくれたり、アサシン教団を技術面で強力にサポートしてくれます。

 

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 ダーウィンは学者として麻薬のような成分の「万能シロップ」の流通を止めるのに一役買ってくれる。そんなテンプル騎士との戦いの中で知り合った彼らとの「物語」が抗争の間でちょいちょい進んでいくわけです。どの物語もシメにグッと来るので是非プチプチ遊んでいただきたいですね。

 このような形で、アサシンクリードシンジケートは大きく時間が作中で進まないことと引き換えに、小粒な物がギッシリ詰まったゲームとなっています。

 

 

一転して簡単になりすぎた感のあるアクション面の話

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 船の行き交うテムズ川、最高なんだよなあ…

 

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 さて、アクション面の話に移りましょう。今作はビューポイントから周囲にあるクエストや探索アイテムに直接マーカーをセット出来るようになったため、捜し物や移動先に苦労することが少なくなりました。

 

 

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 加えて「なんか高い所」ならビュンビュン飛べるロープランチャーがある為、もう高度を稼ぐためにえっちらおっちらする必要もありません。先に書いたとおりGTAで言う「車」のように「馬車」に乗り放題なので徒歩でドタドタし続けることも少なくなりました。

 ロープランチャーは非常に便利なのですが、敵は高い所にあんまり登ってこないので、敵に気付かれる前に逃げれば屋根伝いでサクサク出来てしまうし、例え敵に気付かれても屋根から屋根へ逃げれば簡単に敵は通常モードに戻ってしまいます。ここは賛否が分かれる所。「自分の手で登る達成感」みたいなのが大事で仕方ない人はちゃんと手でも登れますのでバッキンガム宮殿もビッグベンも自分の手で登ってください。

 ユニティのバトルが「トドメを刺している時も銃で撃たれるクソ」なのは前にも書きましたが、今回はカウンターがバシバシ決まる上にワンボタンで銃も見てから回避出来、しかも銃へのカウンターでヘッドショットするスキルで即死させる事も可能。連続攻撃を行えば行うほど敵がすぐグロッキーになるスキルも相まって正しく「無双」出来るアサクリに戻りました。戻りましたが、逆に緊張感が無さ過ぎるのも事実です。ガードを無視して銃を撃ってから連撃も可能ですし。これが顕著となるのが「拳闘クラブ」のミニゲームで、敵の方向に向かって攻撃ボタン押してるだけで勝てます。

 先制攻撃大ダメージスキルがあるので。投げナイフと銃の2つに「ヘッドショット」があるため、そもそもバトルに至らず即死させ放題なのも大きいように思えます。 

 更に拍車をかけるのが味方のギャングを連れて歩ける要素で、何故か味方のギャングが敵のエリアに殴り込んでも「警鐘を鳴らさない」ものだから工場に突撃させて数を減らした後に投げナイフであっさりクリアも珍しい話じゃないのが痛い。ボーナスを無視していいのなら、レベルを上げた味方を突撃するだけでミッションが終わってしまうのです。それを作る側も分かっていたのか、ストーリーの山場である潜入ミッションではギャングが入れないような窓から入って一人での暗殺が多々あります。

 ともあれ、ちょっと難易度を下げたのでボタン連打勢でも大いに楽しめるアサクリになったのは事実です。非常にオススメしやすい。

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 タカの目は敵の多さと相まって「ここヤベエわ」感の演出に大いに役立っています。一回見た敵が消えないし方向が地図に表示されるのもポイント。前作は流石にクソ過ぎたので、今回の強化は最高でしたね!

 

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 「ここは!俺達のものだッ!!!!!!!!!」 と高らかに叫びながらギャングもテンプル騎士もぶっ倒しましょう。とにかく今作のバトル面は最高です。

 

 さて、パルクール面もユニティから相当アップデートがされており、ルートの検索も賢くなったり余計なモーションの重さも無くなったりしてここもサクサク走れます。木の上を走る要領で鉄骨渡りもサックサクです。しかしながら「下方向」を右側のボタンに割り当てた歪みはついぞ直らず、ついにイーグルダイブが「前方向+トリガー+右ボタン」に成ってしまったのは非常に悲しかったです。

 また「上方向にジャンプするならA(✕)、下方向にジャンプするならB(◯)」という操作も限界に達しており、「とにかく前方向に大ジャンプしたい時」にAを連打しても一向に飛んでくれず、試しにBを押すとポンと飛ぶような事が少なくありません。「この足場からルート検索したらここはBを押さないと動けんやで」とシステムが言ってくる。というか、ここを飛ぶにはどっちを押したらシステムが飛ばせてくれるだろう?と考えながら移動することになるので、その違和感は最後までつきまといました。

 あいかわらず壁に向かって助走をつけて走らなければ上に行かないので、ちょくちょく出てくる「工場」内でのパルクールはちょっとひどいことに成っています。というか「柱を登りたい」という事にイラっとするアサクリは初めてじゃないでしょうか。いやまあ、「鉄骨」なんてシリーズでも初めてだから仕方ないかもしれませんけどもね。

 ここらへんの歪みが一気に現れるのが先に書いた「賞金稼ぎ」、拉致がメインのクエスト。騒ぎを起こしてしまうとターゲットが逃げるわけですが、誤って柵やら低い壁に登ったらおしまいです。「なん!で!降りられ!ああBか!クソッ!あいつ馬車に乗って逃げやがった!ああもう!」みたいな感じ。惜しい。本当に惜しい。

 

成長要素は初代Ysばりの駆け足。そして世界が価値を失うまで。

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 今作はお金とクエストクリアでどんどんもらえる皮や金属などの資源で自分も強化、武器も強化、ギャングも街も強化という形になっています。経験値を1000貯めるとスキルポイントが1貰え、規定の数のスキルを獲得するとプレイヤーレベルが上昇。プレイヤーレベルでキャップがかかっていた武器が装備出来て攻撃力も防御力もアップ。という感じ。なので序盤は武器も防具も弱いので多勢に無勢では一瞬でやられる。強くなってようやくあの時追い回された奴らを倒せる…という感じです。

 エリア毎に敵の強さがガッツリ決まっており、育成が間に合っていない場合完全ステルスで立ち回らないとほんと一瞬で死ねますから、そうやってスリリングに遊ぶのもまたいい感じ。経験値は1ミッションで300から700ぐらい貰えます。

 武器はお金と素材だけでは貰えず、街中のレア宝箱から設計図を見つけたり特定キャラクエストを走り切るとプレゼントで貰えたりするので「あのキャラのくれたダガー…!あのキャラのくれた銃…!一緒に戦おうぜ…!」とフレーバー面でも非常にいい感じになっています。

 が、真面目な話をすると「メインクエストと一緒にエリアをプチプチ潰していると中盤あたりでレベルがカンストしてしまう」のが最大の問題。いや、問題というわけじゃないんですが、プレイヤーの変化が終わってしまうとあとは極端なことを言うと「アシスト」に過ぎないギャングアップグレードしかやることもなくなるといいますか。コンプリート癖がないならお金も素材もどうでもよくなってしまうのです。

 お金も素材もどうでも良くなるということは、「フルシンクロ」のボーナス報酬も意味がなくなり、単なるフレーバーに落ちてしまうという事。行き着いたら惰性になってしまうのは世の常ですが、レベルも敵も15ぐらいまであってよかったんじゃないかなあ。

 

 遊んでも報酬がでない、その報酬に使いみちがない。となると世界は途端に色を変えてしまうもので、前述したこととは矛盾してしまいますが「クエストを起動する為に移動するだけ」のゲームに戻ってしまいます。ああ、もうちょっと、もうちょっとだけロンドンと戦いたかった!

 

 ここら辺、初代Ysを思い出す感じです。あっという間にレベルがカンストし、あとは装備と腕前だけ。それはそれで別に悪くないんですが、という感じ。

 

 なお前作同様に課金要素がありますが、その課金要素をクソ馬鹿にするように街中におびただしい宝箱と高効率の繰り返し遊べるクエスト、そして定期収入があるので前作のような惨めな思いをすることは絶対にありません。レベル制度があるので最初から超強い武器が渡されるということもないです。まったくユニティとは一体何だったのか。

ストーリー:若き双子の鷹、倫敦を救う。

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 「エデンの果実争奪戦」「テンプル騎士の支配からの開放」は過去のアサシンクリードシリーズでもやってきたことですが、今作は

  • 喧嘩っ早いジェイコブが街の支配開放の担当
  • 知的だがお硬いエヴィーが果実争奪戦担当

と分かれています。主人公が2人おり、1つの章の中でも「街のおかしな事に気付くジェイコブ」「エヴィーはエデンの果実の手がかりを得る」「ついにターゲットを見つけたジェイコブ!」「エデンの果実に一足先に辿り着いたテンプル騎士とエヴィは争奪戦となる!」と交互に面白い話が展開されていきます。

 特に良く出来ているのが「大物を遂に打倒したジェイコブ!」で1つの章が終わり、次の章では「新たなターゲットに挑むジェイコブ!」とやっている裏で「エヴィは大物を倒してしまった事で巻き起こる混沌を目の当たりにした!自由であってもカオスは良くない!新たな秩序をちゃんと築け、アサシン!!」と悪を倒して終わりなだけにしていない事。そして話がブツ切りのオムニバスでなく、つながっているように描き、なにより「アサシンがこの街に与えた影響」についての話をしていく事です。

 

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 今回のターゲットは聖骸布、傷を癒やすだけでなく死からも蘇らせられる秘宝です。4の主人公「エドワード・ケンウェイ」はイギリスに嫁さんを置いて海賊をしに来たという話でしたが、そのエドワードがロンドンを居所としていたのでケンウェイの残した手がかりから争奪戦が加速する…!という感じ。3から始まった物語はつながっていた…! そのケンウェイの隠しアジトが最高で、4のジャックドー号の模型や操舵輪が彼の記念の品として出てくるんです。ファンサービスありがとう…本当に…

 まあそのエドワードの息子のヘイザムがテンプル騎士になっていろいろやるから巡り巡ってロンドンはこのザマなんだけどね!

 とは言え、「支配」が目的でなく「より良くする」ことがテンプル騎士の目的なのも事実であり、労働者階級の抑圧と引き換えに産業革命に大成功し世界で最も先進的な都市にロンドンがなったのもテンプル騎士のお陰。単なる悪って訳でもないよなあとロープランチャーを撃つたびに思い出していただきたい。そんな感じ。

 そう、テンプル騎士。ジェイコブは信じたクライアントも実はテンプル騎士で内ゲバの片棒を担がされていただけだった。とか、タッグを組んだテンプル騎士とはやはり袂を分かつことになった。とか、従来のただやっつける相手で済まず相手も魅力的なのがシンジケートの凄いところです。お気に入りは乗り合い馬車会社の女社長ですね。是非あの知的なやりとりを見ていただきたい。 そして彼女を、あなたは。

 

 船のないアサシンクリードの最高傑作かも。

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 とにかくアサシンクリードシンジケートは最高でした。こんなふうに霧の街ロンドンを歩くのも、馬車でバトルするのも、何もかもが最高。2の吟遊詩人や起こった事件の話をするキャラのように、子供が新聞を売りながら(日本語で)事件の話をしてくれるのも良い。実在した偉人達が物語の脇をガチっと固めて物語が進むのもいいし、何よりラストにはアサシン達は女王陛下のアサシンとなるのだ!

 最終決戦のクロフォード戦ですれ違う姉弟が決めた一撃なんかもう、これまでのシリーズの集大成と言っても過言では無かったと思います。

 

 DLCで本編の20年後を舞台にした「切り裂きジャック」編もあったり、アサクリなのにDLCで大真面目にサスペンスとアドベンチャーやる「凶悪犯罪」編もあったりして、本編以外も実によく出来ている。是非、シンジケートはシーズンパス付きの完全版で遊び倒して欲しい!

 何?まだやったことが無いだって?そいつは良かった。

 

 さあ、倫敦を救ってくれ、アサシン!

ローグとユニティ、2014年のアサシンクリードを駆け抜けたので記事にする。ユニティ編。

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「1000円くれたらゲームの中で最強の剣を売ってやるよ。」

「最強の銃も1000円くれたら最初から使えるんだぞ。」

「1ミッションクリアで2500フラン、マルチプレイ大成功で7万フラン。
 武器や防具全部買おうとすると200万フランだ。」

「で、リアルマネー1万円突っ込まずにちまちまミッションやるって?へぇ…」

cr.hatenablog.com

 2014年のアサシンクリード記事、後編。アサシンクリードユニティ編だ。本作は3での大刷新同様、既存のシステムからの一新が図られている。インターネットを通してのマルチプレイに対応し、 所謂Co-opが楽しめるとのことだ。私は一個もやったこと無いが。

 ローグにあったのは、外伝ゆえの叫び。
 ユニティにあったのは、新世代機故に何かしなければならないという慟哭である。

 さて、前の記事に書いたとおり、ユニティにあったのは慟哭である。

 人々の衝突するガサガサとした音が響き渡るパリで。

f:id:crs2:20181126010645j:plain 最も人の表示数の多いであろうミッション中のスクリーンショット

 アサシンクリードユニティのビジュアル面での最も大きな刷新はこの「群衆」である。これら全てがきちんとアニメーションし、押しのけて通ることが出来る。確かにパッとした見た目には素晴らしい。

 が、全く同じ格好の人間が相当数いる。表示数が多いのにバリエーションに乏しいため、道を行くと全く同じ人間が肩を並べて歩いていることさえある。また描画距離が相当犠牲にされており、通りを走ると人が突然ボコボコと湧いてくる瞬間を目にすることとなる。遥か昔の真・三國無双では水色や灰色の霧の中=地形すら見えない状態から敵キャラを出すことによりある程度緩和していたが、ユニティは誤魔化さない道を選んだ結果、かえって見た目がしょぼくなってしまった。Xbox360の黎明期のタイトル「ナインティナインナイツ」も遠くのキャラが酷く粗い書き割りのキャラがガサゴソしながら移動し、突然3Dになる様で笑ったものだが。

 さて、描写されるNPCの数が圧倒的に増えた。しかもそのNPCは全員動く。その場でアニメーションするという意味だけでなく、歩き回る。AIがお粗末なので、頻繁にNPC同士でぶつかる。通りの真ん中で足を止めると、そこかしこからガサガサ、ドサドサとNPC同士が衝突する音がする。試しに通りの真ん中で銃を撃ってみると、周囲20メートル程のNPCが悲鳴を上げて一斉に走り出した。が、その「逃げる人々」との連鎖反応が起きない。20人ぐらいが50メートル走して、ピタっと足を止めたらもう通常状態に戻ってしまう。

 群衆に価値は無い。「動く壁紙」でしかない。開始30分でユニティへの目新しさは消え失せてしまった。

 3よりも無残なバトルシステムと報酬系の狂い

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Ubisoft、「アサシン クリード ユニティ」開発者インタビュー - GAME Watch

―― 今回いろいろな部分が一新されていますが、1番大きく変わったのはどこですか?

パンジャマン氏: やはりマルチプレイの部分ですね。今回は初めて4人で協力プレイができるのは大きいと思います。それに合わせてバトルシステムやステルスシステムも変えています。特に戦闘は難しくなっています。以前のシリーズでは1人で10人以上の敵を倒すことができたのですが、「ユニティ」ではできなくなっています。

 ローグや4と比べると半分以下になった消費アイテム、自動回復が無くなり回復薬の連打で回復するHP、アイテムの類に頼ることはできなくなった。まあそれは良いとしよう。今作は敵がやたら銃を取り出してくる。それも良いとしよう。ソレに対しての回避手段がやたら鈍いローリングしかない。「人間の盾」「ミートシールド」と呼ばれる敵を使った回避が無くなった。恐らくマルチプレイでの乱戦で銃を抜いた敵を他のプレイヤーが叩いてサポートするというシステムなのだろうが、お陰様でシングルプレイヤーでのバトルは苦痛の域に達している。

 これに拍車をかけるのが所謂「フィニッシュムーブ」と呼ばれる、トドメ演出である。敵の体力ゲージを削り切ると、少し通常攻撃より長めの格好いいアニメーションで主人公がトドメを刺す。ところで銃の攻撃はプレイヤーの硬直などお構いなしだ。つまり「敵をやっと倒したと思ったら長ったらしいアニメでとどめを刺したせいで銃で撃たれて死んだ」という状況が生じる。あまりにも馬鹿馬鹿しい。

 更に今作、所謂「ジャストガード」のような「受け流し」も本格的に取り入れられた。敵のゲージが金色に光ったところで受け流さないと情け容赦なく攻撃を食らう。敵もコンボを決めてくるので2秒で絶命できる。ところでさっき言ったとおり敵は銃を撃ってくるし硬直などお構いなしだ。受け流しは単に「受け流すだけ」なので複数人から連続攻撃を受けるとただただ防御しつづけるしか無いため、その最中に撃たれて死ぬという構図である。素晴らしい。

 

 アサシンクリードユニティにおいて、バトルとはステルスに失敗したプレイヤーに与えられる最悪の罰だ。

 

 加えて、報酬系の狂いも酷い。冒頭で書いたように1ミッションで3000フランの報酬であり、街中で開けられる宝箱からも1500とか3000フランしか手に入らない(もちろん収集アイテムなので有限だ)のに、無音で遠距離攻撃できる「ファントムブレード」は1つ200フラン。8発買うと1600フラン。3からお馴染みのバーサーク武器は「バーサークブレード」のみに絞られ、所持可能な数は初期だと2つのみ。そして価格は1つ250フランだ。いちいちショップに買いに行くのも煩雑で仕方ない。

 ローグまでのアサクリは、それでも敵をステルスキルしたり、街中でチャンバラすることで死体を漁ることで手に入れることができた。しかし今回は「マルチプレイで手に入る金に価値をもたせたい」ためか、ほとんど入手する事ができなくなってしまった。終盤になって安いアイテムを補給するエリアを展開できる(何を言ってるのか分からないが)スキルが手に入るものの、それでも所謂「無音武器」は補給できない。マルチプレイシューティングゲームにおける「ボム」のような存在なのだから当然だろう。敵を倒して死体を漁っても十数フランしか手に入らないため、漁ることすら億劫になるのも早かった。

 一応、サブクエストを進めれば放置ゲームよろしく定期収入がある。が、それをもってしても武器や装備となると10万フランとか15万フランとかするのでさっぱり届かない。

 武器や装備はもちろん身につけることでアバターめいた変化がある。これがまた問題で、アバターめいた変化があるからこそ気軽に装備が身につけられなくなる。頭にはテカテカした革製のフードをかぶり、上半身には金ピカの刺繍のナポレオン風のジャケットを着て、腰には粗末なベルトを巻き、かと思えば膝上まである真っ白な脛当てをつけたアサシンの爆誕である。一応それらを無視して全身セットで見た目を上書きできる「衣装」のシステムもあるが、それも過去作キャラのコスプレがメインなので逃げようがない。

 そしてこの装備が非常に高額なのに今までの「所持枠強化」まで担っているのが問題というか、私は仕様に呆れて中盤から装備に触るなんて全く気が起きなかった。おかげで最後までバーサークブレードは2個のままだ。

 デザインした人には大変申し訳無いことなのだが、私はアルタイルやエツィオ、コナーやエドワードやシェイ、ライバルであり相棒であるヘイザムの格好を思い描くことはできてもユニティの主人公である「アルノ」の格好を覚えることは出来なかった。 

 ルネサンス期のアサシンに劣るフランス革命時のアサシンの「スキル」

 また、今回はシナリオを進めることによって「スキルポイント」を獲得でき、それを消費して「スキル」を習得していくシステムとなった。なのでボタン長押しの強攻撃もピストルも無く収集アイテムの宝箱は解錠スキルが無いせいで見逃さざるを得ず2からのソーシャルステルスの一つであった椅子に座っての潜伏も最初から出来ない。

 エツィオが両手に付けたアサシンブレードで敵兵を一気に二人抜く光景はアサクリファンなら誰しも脳裏に焼き付いているものだが、それすらクエストを進めポイントを獲得しそれを消費せねば行うことすら出来ない。

 また、タカの眼(敵兵が赤く光り重要なアイテムが金色に光り、というアサクリ伝統の超能力)もマルチプレイ向けに極めて弱体化されており、範囲が狭く、また連続して使用が出来ない。バトル部分も弱いのにステルス面でも弱体化している。 特に「ダブルアサシン」が初期から使えないのはかなりの痛手で、これのせいで戦闘を避けられない部分まであるのは目も当てられない。

 

 これまでで最もひどい状態になったパルクール

 アサシンクリード2で生まれたその時のエツィオを操作するシーンを覚えているだろうか。この時、下のボタンが足、上のボタンが頭、左のボタンが利き手、右のボタンがもう片方の手と対応していた。従来のアサシンクリードではこれに右トリガーによる「強行動」が組み合わさり、直感的な操作を可能にしていた。加えて多少の段差であれば飛び越えたりしていたし、トリガーを押しながら壁にむかって走ればそれだけで駆け上がったりしていた。

 が、今回は飛ばない。小さな段差も窓も都度ボタンを入力しないと飛ばない。移動先のルート検索もアホで変な方向へ飛ぶかそもそもジャンプ移動へ移行しない。極めつけにどう考えても大ジャンプで乗り移れる壁面に飛び移らない。

 

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 こんな距離、エツィオならポンと飛び移って向かいの丸いところに手をひっかけられる。しかも今回、「上方向にパルクール」「下方向にパルクール」という奇っ怪な移動操作になっており、しかもそれをボタンで行う。足だった筈の下ボタンで上側に移動し、左手だったはずの右ボタンで下側に移動する。全く直感的でない。エツィオなら移動可能なルートであれば勝手に大ジャンプしていたのにそれすら出来ない。トリガーを押しっぱなしでスムーズに移動していたエドワードのような事もできない。

 また、マルチプレイの為か意図的に移動速度を落としている。走る速度もそうだがポールの上を連続で飛び越えるときもグッ、グッと溜めが入るためテンポも非常に悪い。お陰で今作のチェイス(追跡)ミッションや脱出などのアスレチック部分はシリーズで一番苦痛なものとなってしまった。

 マップも大きな通りでの建物間のロープの渡しが足らず、またローグで登場したワイヤー移動が無いためプレイヤーはのさのさと地面を歩いたり最悪の場合一度水に落ちてから登らなければならない箇所が出てくる。パリは三階建ての高い建物が多く、直線的な移動が困難だ。なので中を通れる民家がある。が、前述の通り窓も簡単に超えられない為入るのも出るのもストレスだ。

 

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 馬も無い(1からあったのに!)のでファストトラベルをしようとするが、まあ画像を見てほしい。ショップ、繰り返し遊べるミッション、宝箱、サブクエスト、マルチプレイ用ミッション、ギャングが守っている宝箱、何もかもが映っている為もはや全体マップを見ることすら億劫だ。ここからカーソルを動かして早送りマークの所に合わせて、長いロード時間を挟んでようやく目的地への移動が可能となる。

 が、所謂ビューポイント・シンクロ出来る場所の解除は前述のパルクールの劣化によりロケーションは最高(特にノートルダム大聖堂に登るのは最高)でも最早面倒くさいレベルに成り下がっており、しかもマップとロケーションの数が合っていないところがあるためファストトラベル後に目的地に行くのも面倒くさい。いや、実際のパリを再現したということなのでそこに歴史的建造物が無いのが問題なのだろうが、それなら地蔵とかアサシントンネルとか鳩小屋とかなんかやりようがあるだろう。そういうの置きなさいよ。

 なお、サブクエストはクソみたいな「お使い」の詰合せであるため割愛する。こういうのを潰すのが「やりごたえ」なら私は御免こうむる。

 

 歴史の裏にアサシンの姿があったのではなく、単に同時期の抗争の物語。

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 ユニティの物語の話に移ろう。主人公の「アルノ・ドリアン」は同日発売だった外伝「ローグ」のラストでアサシンである父シャルルに連れられヴェルサイユ宮殿に行き、そこでエリスという少女に出会う。「ここに居るんだぞ」と言いつけを守らずエリスと宮殿を探検していると、何やら人々が大騒ぎしている。その渦中には血まみれの父が。時計の針が天辺を指す頃には戻ってくると言っていたはずなのに。ショックで落とした懐中時計のガラスは砕けて壊れ、ムーブメントは動いていても針は二度と天辺を指すことはなくなった。その場に居合わせたエリスの父、フランソワ・デ・ラ・セールに引き取られたアルノは彼の家で育てられた。

 十数年後、アルノは留学に国外へ出ていたエリスが舞踏会に出席する事を知りパーティへ潜伏。エリスと恋仲にある彼は見事彼女との密会に成功するが、その直後フランソワ・デ・ラ・セールが何者かに暗殺される現場に出くわし、犯人として捕らえられてしまう。バスティーユ牢獄の監房で父シャルルを知るアサシン「ベレック」と出会ったアルノはアサシンとして目覚め、バスティーユ襲撃に乗じて脱獄した。父を喪ったエリスに逢いに行くも彼女はアルノを父の仇だと言う。アルノの父はアサシン、そしてエリスの父はテンプル騎士。ふたりが出会ったのは偶然ではなく、ローグのラストで描かれた「箱」の奪取のために追うものと追われるものの子であり必然であったからだと。

 しかして、テンプル騎士フランソワ・デ・ラ・セールは暗殺者であって殺人鬼ではない。目的は同じであっても道を違えただけのアサシン教団と停戦協定を結んでいたし、何よりアサシンの子であっても罪はない。だからこそ父をテンプル騎士に殺されたアサシンの子を、自らの元で立派に育て上げたのだから。

 実の父のアサシン、育ての親のテンプル騎士、二人を殺された若きアサシン「アルノ・ドリアン」の仇討ちの物語がアサシンクリードユニティである。

 

 物語の軸にあるのは王党派とジャコバン派…というよりはテンプル騎士とアサシン教団のハト派タカ派である。革命はその添え物でしか無い。

アサシン教団

  • マスター達(ハト派
    大義を重んじすぎた為、動きが非常に鈍い。
  • ベレック(タカ派
    テンプル騎士との同盟に反対しマスターの一人を暗殺する。一応アルノの師匠。アルノの父シャルルの友だった。

テンプル騎士団

  • フランソワ・デ・ラ・セール(ハト派
    タカ派に暗殺される。
  • ラフレニエール(ハト派
    フランソワの娘であるエリスをタカ派から守るために部隊を準備していた所、話を聞かないアルノに殺される。かわいそう。
  • 急進派の皆様(タカ派
    デ・ラ・セールを殺した為、片っ端からアルノに殺される。話を聞かないで殺しちゃった為度々次の手がかりが無くなる。

 こんな感じであり、それのおつまみ程度に歴史的な事件が進行する。テュイルリー宮殿が暴徒に取り囲まれたのでルイ16世と懇意にしてた証拠の手紙燃やしに行ったらナポレオンに会いましたとか、ナポレオン曰く監獄で大虐殺が起きそうだからちょっと止めてきてよ→以後ナポレオン出てこないとか、テンプル騎士に唆されて悪いことしたタカ派を片っ端から殺している間に、いつの間にやらルイ16世のギロチン処刑になっているとか。ロベスピエールも出てくるけど演説中に毒飲ませてラリったお話させて失脚させてついでに頬も撃ち抜いておきますかとか、そんな程度である。

 ちなみにルイ16世のところでチラっと出てきたナポレオンだが、アサクリ史では彼が「リンゴ」と呼ばれるエデンの果実、即ち1でも2でも出てきたあの輝く洗脳装置及び知恵の手に入るアレの所持者である事が既存シリーズ上で明らかになっている。なのでコソコソやっていたのは「リンゴ入手」であったことは間違いなかろう。他にもエジソンケネディヒトラーガンジー、ワシントン、エリザベス1世等がこのリンゴを用いて歴史を変えている。

 今回のラスボスは銀細工師ジェルマン。4でも出てきたアニムス無しで過去の記憶を得てしまう「賢者」である。「よろしくないもの」を一掃して素晴らしい世界を作ってやろうと理想に燃え、テンプル騎士内で抗争を繰り広げた末にアルノに倒されてしまうのだった。何もかもデ・ラ・セールさん殺したのが悪い。

 

 これ、フランス革命でやる必要、ある?

 何が良くないって、作中でアルノが「へぇ~革命っすか~、自由バンザイっすよね~」という通り、作品にとっての歴史や作中の出来事がその程度の扱いだという事である。もっと、こう、「父を失いテンプル騎士に育てられた青年貴族、その正体はマリー・アントワネットに仕える”王妃様のアサシン”だった!」とか「暴動を主導しているのは実はテンプル騎士だった!時代の流れを止めることは出来ないのか!」とか「レオナルド・ダ・ヴィンチポジションでシャルル=アンリ・サンソンが出て来て、ミッションで度々仲良くしてるんだけども、その彼がマリーを処刑してしまった…!」とか、本当にやりようは幾らでもあったというのに、やってることはテンプル騎士との抗争、およびテンプル騎士の内部抗争全部潰すマンなのだ。本当に題材がもったいない。

 

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 極めつけがクリア後に渡される「壊れたエデンの剣」と「アルノのマスターアサシンの装束」で、エツィオのサーガで描かれた「受け継がれるエデンの果実」のようなドラマも無く、切れ味の良い剣としてクリア後はアルノがぶんぶん振り回すだけ。「マスターアサシンの装束」というのもおかしいもので、アルノはルイ16世処刑の際にジェルマンを取り逃がした事や捜査の過程であんまりにアサシン教団を無視して動きすぎたため作中でクビになっているのである。クビになっているので教団での地位というのは無いし、今後も見込めない。なのに最高位である「マスターアサシン」の服がクリア後にポンと渡される。一体何なんだこれは。

 クリア後にアサシンのアジトに出向いても各マスターやかつての同胞たちは何の反応も示さず、ただの「動く壁紙」に成り果てていた。このゲームを象徴する光景として多くのプレイヤーが目にしただろう。

慟哭。

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 テンプル騎士とアサシン教団に別れた愛し合う二人、テンプル騎士とアサシンの抗争、テンプル騎士の内部抗争、フランス革命、パリ、用意しなければならない膨大なボリューム、採用が決まってしまったマイクロトランザクションマルチプレイ、それに価値を持たせるためのプレイヤーの弱体化…

 新世代機で大規模に刷新して、新しいことをしなければならない。今の時代に沿ったことをなんとかしなければならない。何かしなければならない。しょうがないんだ。限られた時間の中ではこうするしかないんだ。4年もかかったユニティのリリースだけはしなければならないんだ。そんな慟哭が聞こえてくるような作品だった。

 

 最後に、壊れたエデンの剣を振るってみた。

 レベル3の敵が1撃で死んだ。

 同じ威力の剣が、1000円で売られていた。

 つまりこれと同じ事は、1000円払えば出来てたって事か。

 

 私は何もかもが馬鹿らしい、空っぽのパリを後にした。ただただ、開発陣の慟哭が、遊んだ後に少しだけ胸の中でこだました。

 

 

PS4版はフレームレートが安定しない上にそもそもが低いので遊ばないほうが良いです。

 

ローグとユニティ、2014年のアサシンクリードを駆け抜けたので記事にする。ローグ編。

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 アサシンクリードシリーズの主要タイトルを追いかけている人は日本にどれぐらいいるのだろう?と考える事がある。3までは10万本売るタイトルだったが、どんどん失速して今は初週5万本程度のタイトルになってしまった。

 かくいう私も、2014年のアサシンクリードから触れていない。ローグとユニティ、2本のリリースによって「いよいよダメそうだな」なんて思ってしまったからだ。4という最高に面白かったタイトルでアサクリの思い出を綺麗なままにして、そのままにしたほうがいいんじゃないかなんて。

 

cr.hatenablog.com

  さて、今回は2014年に国内ではPS3専用タイトルとしてリリースされた「アサシンクリード ローグ」とPS4及びXboxOneタイトルとしてリリースされた「アサシンクリード ユニティ」の話をしていこうと思う。

 ローグにあったのは、外伝ゆえの叫び。
 ユニティにあったのは、新世代機故に何かしなければならないという慟哭である。

 

新天地アサシン教団vsテンプル騎士団物語、ここに完結。

 3からローグまでのアサシンクリードの話を整理していこう。

 3ではアメリカ独立戦争に身を投じ、「征服者」達全てと戦い、そして全てを失っていくインディアン出身の「コナー」の物語が描かれた。3はこのコナーが生まれるまでを父親であるテンプル騎士の「ヘイザム・ケンウェイ」を通して描き、そしてこの父をついに手にかける所までをやった。

 ※ここでコナーが父から取り戻したアミュレットが、3の現代編で遺跡を開放する鍵となる

 4はこのヘイザムの父「エドワード・ケンウェイ」がひょんな事からアサシンとなり、海賊達と共にカリブ海をかけめぐった。3から大きく時計の針を戻し、大航海時代を描く。「観測所」という世界の人々を映し出す―盗聴含め「監視」出来てしまうと表現したほうが正しいだろう―遺跡の争奪戦の果て、エドワードはその「観測所」を封印し、新大陸を去る。

 

 さて、ローグはこの4の時代と3の時代をつなぐ物語である。

 3ではアサシン教団の北米支部が消滅しかかっており、老アサシンの「アキレス」が残っているだけになっている。4では新天地でテンプル騎士とドンパチやっていたのに、見る影もなかった。ローグで描かれるのはこの3と4の間。大航海時代アメリカ独立戦争の間。七年戦争フレンチ・インディアン戦争)である。

 と言っても、2のように時の権力者ボルジア家を相手取っての大立ち回りのような事をするわけではない。3同様、質素な小屋の立ち並ぶ町を駆け抜け、ともすれば場違いとも言える豪華な洋風建築の豪邸に忍び込んでは人を殺し、そして4のように海戦でも戦っていく

 

 主人公はシェイ・パトリック・コーマック。アサシンであり、テンプル騎士である。

 

3からのアサシンクリードの総決算となったシステム面…だが。

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 ローグの舞台はリバーヴァレー(カリブ海より遥かに狭い、ニューヨーク郡あたりをごっちゃにしたマップ)と流氷だらけの北大西洋、そして3のようにボロボロになる前のピカピカのニューヨークの3つである。

 海戦、というか川の中での小競り合いのような雰囲気になっており、また空も海もカリブ海とは違った大変地味な状況である。砦の近くはガチムチの艦隊がいるのでバトルをする時はそれなりにド派手だ。主人公も海賊ではないのでヒャッハー感が若干薄れた。狩猟も残っている。残っているがⅢのように「野山を駆け巡れ~」感が無く、クエストだけやってると全く動物に出会うことすら無い。

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 ニューヨークは素晴らしい。1の時点で「エルサレム」「ダマスカス」「アッカ」と3つ都市を作り、3でいよいよ息切れを起こしていたがローグの大きな街はこのニューヨークだけだ。3のように寂れた町でなく非常に栄えており、密度が高く、登り甲斐のある高い建物ばかり。屋上の間にはスッと移動できるロープが渡してあり、高度を落とさずに非常にスムーズに移動ができる。

 ニューヨークにはアサシンの息のかかったギャングが拠点を築いており、そこをひとつひとつ潰して自分たちの手に取り戻して行くのも楽しい。また4にあった艦これミッションも「一つずつ入植地を開放していく」というフレーバー部分とマッチしており、どんどん船をゲットしては戦いに投入していくサイクルが出来ている。

 3で大ゴケし、4で見直した部分を更にブラザーフッドのように回帰させている。と言えば既存のプレイヤーには分かる感じだ。

 

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 それだけでなく、精一杯の「拡張」を行っている。回数をこなすと冗長になってく船上のバトルは船のへりに機関銃が付いたため敵をバカスカ撃ち倒す事ができ、チャンバラの手間を省くことが出来る。

 「燃える油」を船の後ろから落とせばそれを踏んだ船になかなかの勢いでダメージが入り、北大西洋では氷山を破壊して大波を起こすことで敵艦に大ダメージを与えることも可能だ。まるでシューティングゲームのような力の入れよう。

 通常のバトル部分でも3から続投の「吹き矢」に続くスーパーエアガン(本当です)(気になったら遊んでみてください)が登場しており、睡眠・発狂に加えて敵をひきつける爆竹弾で敵を思う存分欺くことが可能。

 加えて剣も二刀流となっており、アクションもかなり格好いい。DLCで「日本刀」も配信されており、しかも攻撃力がめちゃくちゃ高いのでこれでチャンバラも楽しく戦い抜ける。

 極めつけはグレネードランチャーの存在だ。
 本当にアサシンがグレネードランチャーを振り回して敵をぶっ飛ばす!まとめて敵を眠らせたり、集団を発狂させて地獄絵図を作り出す事ができる。「一体多で暴れまくる華麗なアサシン」だとか「要塞を手玉に取り皆殺しにしていくアサシン」のロールプレイの決定版だ!

 

 外伝ながら、ほんとうにうまくやっている。

 

 が、マンネリ感が否めないのは事実である。私は4から時間をおいて遊んだからいいのだが、これを4の一年後、楽しみにして定価8000円で買ったらけっこうガックリきてたんじゃないだろうか?

 「対テンプル騎士」で朽ちていくアサシン。そして発生する大災害。

 病魔に侵され、老い先は短く、足を引きずって歩いているような男を屠った。
 最早自ら戦えないほど、年老いた男を屠った。

 シェイは「遺跡の場所を示す箱」(携帯機やDL専用で展開されていたシリーズで争奪されていたもの)とその説明書である「ヴォイニッチ手稿」(4で登場を巡るテンプル騎士団との戦いの中で、そんなアサシンの行動に疑問を抱いていく。

 もともとアサシン教団は「抑圧されず、人々の自由意志に任せて人類を守護していこう」という存在であり、またテンプル騎士団も「エデンの果実を用いて、より良く人類を導いていこう」という存在。つまり別に殺戮や支配が目的ではなく、互いに「人類をより良くしていこう」という組織である。

 そんなアサシンが「殺さなくていい筈の人々まで手にかける」という行動を、テンプル騎士との対抗の為にやってしまっては、テンプル騎士にも劣っていくのではないだろうか。

 

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 シェイがアサシン教団と袂を分かつきっかけになるのは、その「箱」の示した座標の一つであるリスボンへ出向いて発見した「エデンの果実」の引き起こした大災害である。

 

リスボン地震 (1755年) - Wikipedia

 後の世にリスボン地震と呼ばれる大災害を引き起こしたのは、あろうことか人々を守護するアサシンであった。

 

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 エデンの果実の収められた遺跡の上にあった教会は崩れ、リスボンの町は瞬く間に瓦礫と化していく。この大災害の引き金を引いたのは主人公であるシェイ、そしてそれを操作しているプレイヤー自身である。この命からがら逃げ出すシークエンスが2からあるジェットコースターめいたアスレチック要素なのだが、今回は守るべき人々に手を差し伸べることすら叶わず逃げることしか出来ないステージとして非常に効果的に使われている。

 

 元より、4の時点で「人の手に負えるものではない」と観測所をアサシンは手放していた筈だった。それを何が起こるかもわからないまま「テンプル騎士に先んじる」「テンプル騎士には渡せない」という大義の為に起動した結果が、こうだ。

 当然、シェイは遺跡の探索を中断するように教団に申し出る。が、教団は頑としてそれを拒否。シェイは教団本部からヴォイニッチ手稿を強奪し、アサシンから遺跡を保護する強硬手段に出る。が、元より自分の師であるアサシン達からは逃げることが出来ず、背中から撃たれて海へ堕ち…

 

 ここからがローグのキモである「アサシンが教団を裏切りテンプル騎士となる」展開となる。プレイ時間でいうとだいたい10時間ぐらい。船の強化や各種バトルの追加要素が出揃うのもここまで時間がかかる。かなり、かなり頑張っているとは思うのだが、正直このリスボン地震までのローグは眠かった。

 上でザッと書いたシステムの追加要素は出揃い切ったものを書いたものだが、序盤は各種アップデートも封じされているため最初から砦に乗り込んだりデカい船と戦うのも億劫ということもあり、またアサシンがだいたい堅物でみてて面白くないためシステム面でもストーリー面でも眠かったからしょうがない。

 

そしてプレイヤーはアサシンと対峙する。

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 物陰にアサシンがいる。
 草むらにアサシンがいる。
 あの道行く人もアサシンかもしれない。
 道端で腰掛けている婦人すらアサシンかもしれない。

 テンプル騎士に加担してからのシェイの戦いは一変する。彼の命を狙ってアサシンが襲いかかってくるのだ。それも堂々と武器を構えて走ってくるわけがなく、一般市民に紛れたり、隠れる場所である藁山から飛び出してくるのだ。

 アサシンが近くにいる時は、彼らの囁きが聞こえる。タカの目を使って彼らを見つけ出し、騒ぎを起こして誘き出し、そして殺す。システム面とフレーバー面両方から強烈なスパイスが加わり、戦いは更にスリリングになった。

 

 アサシンハンターとして戦い、功績が認められ、正式にシェイはテンプル騎士のマスターの一人となる。そこで出会うのが4のエドワードの息子にして3のコナーの父、ヘイザム・ケンウェイだった。シェイは彼と組み、かつての仲間、そして自らの師すら手にかけて行く。

 ここの流れが非常に良い。4と3の間のミッシングリンクが次々と繋がっていく。人を殺めては逃げる側だったアサシンを追う側となりチェイスしたり、その際に毒ガスを撒いて無辜の人々を利用する様まで描かれる。また大海戦も用意されており、ジェームズ・クックと共に自慢の船で暴れられる。事前に「強化して挑んでね!」と警告が出るのも親切で、遊んでいてそんなにストレスが溜まらないシステムなのも好評価だ。

 

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 また、「シェイの記憶データの損傷が酷い」という事にして時代をぶつ切りにしているのも怪我の功名か、ちょくちょく「ローグ」の時間軸では一番新しいフランス編が挟まってダレる事を防いでいる。退屈で貧相なアメリカと違い、見どころ満載のパリを割れたガラスのようなエフェクトの中で走るのは今見ても新鮮な驚きがあって良い。

 ここで「じゃあシェイはどうしてパリに行き着いたの?」と謎にしておくことによりローグの物語を進めるモチベーションを保っているわけだ。

 

 

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 アサシン達の「暴走」は止まらず、北極に隠された遺跡が遂に突き止められてしまい、ヘイザムと共に「北極に隠された古代遺跡」に向かうクライマックスは絶品だ。洞窟の中、アサシン達を欺きながら皆殺しにし、ついに「エデンの果実」に辿り着いたがアサシンに起動されてしまい、崩壊する洞窟から抜け出すシーンは映画顔負けの迫力。結局エデンの果実は起動されてしまい、親友を手に掛け「ヴォイニッチ手稿」は取戻したものの、「箱」は行方不明に…

 

 ヘイザムから「一生かかってもいい、箱を見つけてくれ」と頼まれたシェイは、テンプル騎士の信条に則り承諾。ローグのクライマックスから20年後のベルサイユまで記憶は断絶します。そう、パリにシェイが居たのは遂に「箱」のありかを突き止めたから。その「箱」を持っているアサシン、シャルル・ドリアンを殺しにフランスへやってきた。

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 そして辿り着いたこの場所は、ユニティの主人公「アルノ・ドリアン」の父であるアサシン「シャルル・ドリアン」が暗殺された場所。
 アサシンクリード ローグの最終ミッションは、ユニティの主人公の父親を殺し、ユニティの物語を開始させるものである。
 

 

 アサシンクリード ローグは4から3までのミッシングリンクを描く物語だけでなく、ユニティの始まり「主人公の父親の暗殺」をプレイヤー自らが行う事により、ユニティまで過去編の物語を繋げるものだった。

 

 

 コンパクトな外伝であり、同日にメインシリーズが発売され、旧世代機向けについでで出されたローグ。しかしながらその中身は「ケンウェイ一族」のサーガをより一層深めるものでありながら、テンプル騎士とアサシン教団の戦いを再度ヨーロッパへ橋渡しする物語。そして精一杯の楽しみを詰め込んだ叫びのようなタイトルだ。

 

 

  日本では初週5000本に届かない、出たことも殆ど知られていないようなリマスターとなってしまったが、まだ遊んだことのない人は是非触れてみてほしい。ユニティしか知らなくても、ユニティへ繋がる前日譚が楽しめるし、4しか知らなくても4の後日談として楽しめる。この外伝を見逃さないでほしい。

store.ubi.com

 なんとUplay版にも日本語音声付き。今こそ遊ぶべきだ。私はそう思う。

 

 

 シェイ・パトリック・コーマック、アサシンでありテンプル騎士の戦いを見届けてほしい。それは人知れず世界を救うために戦う、2つの組織の物語だ。

 

 次回はユニティ編です。

さして〇〇欲がないせいでいろいろなゲームが楽しめなくて悔しい話

 皆さんは「みんなあれ熱中してるけど、どうしてもアレを面白いと思えなかった」という事ありますかね。私はゲームで度々そういう思いをすることがあります。今回は手短にそういうのの話をしていこうと思います。

さして無い〇〇欲その1
複数のキャラに色々な事(ロール)出来るようにする欲

 端的に言えばジョブ(職業)システムが該当します。ユニット自身のレベルだけでなく多彩なアビリティの獲得の為にレベル上げをしたり、ジョブポイントを上げてその先の上位職がどうこうというのが大変まどろっこしく感じます。

 魔法やスキルは特定のレベル到達でアンロックという形にし、たくさんいるそれらを編成して遊ぶタイプの方が好みです。魔法やスキル自体をキャラから切り離し、パーティ内で使いまわしが可能なマテリアシステムや魔法そのものが装備であるジャンクションシステム等も好きですね。

 1人のキャラの育成だけで良いのであれば問題はないようです。MMOも楽しくあそべますし。

さして無い〇〇欲その2
うちの子欲

  名前つけて容姿決めてパラメータ構成やジョブ決めて更にそれを複数人で編成させて、みたいなのがそんなに好きではないです。所謂「3DダンジョンRPG」がまるで合わない。「ネームドキャラクター」と言われる、固有ジョブでストーリー加入するような、役割を持っているキャラクターの編成なら好きなんですが。

 そしてうちの子欲、もっと言えば「キャラクターカスタマイズ」欲がさして無い。イベントシーンで見苦しくなければどうでもよかろうという感じ。強いていうとロボが使えるならロボキャラ(PSO2のキャストの事です)使いますし、出来ないならオールバックのおっさんキャラ。それかピアース・ブロスナンみたいな風貌にしはします。が、プリセットで済ませてしまうことの方が圧倒的に多い。

 既存キャラにアクセサリつけたりコスチューム着せたりは好きなんですけどね。

さして無い〇〇欲その3
ジオラマ欲・建築欲

 シムシティやシティーズ、シリーズに始まり、Fallout4の居住地、どうぶつの森の家具配置に至るまで「別に組みたくない」のです。ゲームの進行に応じてコロニーが勝手に出来上がったりするのは別なんですが、シナリオモードがあって「課題クリア」の為に遊ぶことはあっても自分の街とかこの建物がどうとかに魅力を感じません。

Sim Settlements at Fallout 4 Nexus - Mods and community

 なので上記のMODのように、自動で育って行ってくれればいいんじゃないかとすら思っています。ブレスオブファイアシリーズの「村」とか、そんな感じのが好きです。

さして無い〇〇欲その4
自由自在に相手を倒したい欲

 最大効率で攻撃をしたいのであって打ち上げた無抵抗の相手にザクザクやって攻撃を繋げたり武器を入れ替えたり飛んだり跳ねたりをしたいわけではないというのがあります。沢山アクションが設定されていると「暴発」のストレスのが勝ると言い換えても良いかもしれません。

 「ジャストガード」や「捌き」は大好きなんですが、豊富なアクション!豊富なコンボ!みたいな事を言われても別にというお話。結果的に格好いいアクションになるのか、いろいろ出来るというのが先にくるのかは違う気がしています。様々なスキルやガジェット類があっても、切り替えることすら手間に感じてしまう性分なので。

さして無い〇〇欲その5
スコアアタック・タイムアタック

 ゲームのクリア、つまり設定されている課題をこなせればそれでいいと思っているため「フルシンクロ」だとか「これを何秒以内にやれ」みたいな物を面白いと思っていません。それをやるのも「それをやらないとゲームが進行しない」とか「それをやらないせいで成長・取得が妨げられる」というかなり消極的な理由です。

 それがレースゲームならもちろん「競う」のが主眼ですから別にいいですしグランツーリスモのライセンス周りはむしろそれやるために買ってるような所がありますけども、アクションゲームで「はいお前攻撃食らったからC判定」とか「これ何秒以内にやらなかったからスキル強化出来ない」みたいなのは相当イラっとします。

 ベヨネッタはクライマックスモードもクリアしていますが、プラチナゲームズやインティクリエイツのゲームがいまいち私に合わないのはこういう所があるからだと思います。

 

さして無い〇〇欲その6
コンプリート欲

  収集アイテムだとかサブクエストだとか強化だとかを「やり切る」という欲が無いので、特に報酬がフレーバー止まり(コスチュームとかアクセサリ、BGM等)だと触れる気が出ません。強化についても、強化にかかる時間と得られる報酬を天秤にかけてやらないでゲームをクリアしてしまいます。

 先程の「アタック欲」と組み合わせると、「やらされる」に変わってしまった事はやらずに終わってしまうと言えるでしょうか。アサシンクリード ローグなんか船以外の強化ひとっつもせずにクリアしましたし、ユニティも剣とか買った覚えがないです。

 オブリビオンやFallout3のクエストのように、その物語自体が面白さに富んでいればいいのですが「お使い」止まりだとそのボリューム稼ぎにうんざりする事すらあります。

 

例を挙げると

  • ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドで馬に名前を付けることすら億劫
  • ドラクエ1、2の再プレイを経た後に3に挑んだ所面倒臭さに憤死
  • オブリビオンやスカイリムでは真っ先にアルゴニアンを選択*1
  • ヒロインの名前まで決めなければならない場合、とりあえずニーナ*2かハルカ*3にしていたが3人目4人目となると手が止まりゲーム開始すら滞る
  • デッドライジングはレベルが上がりきった時点で遊ぶことを止めてしまった*4
  • マインクラフトで他人の家に装置を付けたりトラップタワーを組んで便利にするのは好きだが、基本的にアドベンチャーモードで採掘する事自体が好きなのであって家つくりたいとか配置はどうという事はそんなに好きではない。

こんな感じだったりします。

 

 いつか楽しくなる日がくる事を願いながら、こんな事を書いてみました。

*1:顔がどうとか考えなくて済むため。次点はもちろんカジート。

*2:ブレスオブファイアに出てくる羽根っ娘に由来。2のが極めて好き

*3:太陽の勇者 ファイバードのヒロインに由来。筆者が幼少時に一番好きだった作品。

*4:アクションが解除されるのが面白かったのであって増えたアクションでどうこうする気が沸かなかったため

ファークライ3、5年目の再プレイ感想。エスパー馬鹿AIと噛み合わないシステムとメタ語り。

 

  気づいたらPC版に日本語が追加されていたので、発売年に一周サラっとやっただけの物を改めてプレイしなおしました。 

 

cr.hatenablog.com

  ここらへんの「過去作ぶっ通しで遊ぶ」のと同じノリです。

 

 ファークライ3は東南アジアで麻薬・人身売買シンジケートに支配された島についうっかり入り込んでしまった主人公、ジェイソン・ブロディ君が拐われた仲間を助けに行く過程でタトゥーまみれの現地レジスタンスと一緒にシンジケートをぶっ潰す話です。

 広大なオープンワールドを舞台に島の各地にあるシンジケートの基地をぶっ潰して開放し、装備は島の動物たちを狩猟してクラフトして強化。経験値の概念があり成長してスキルを獲得するRPG要素もあります。

 という紹介はもう死ぬほど溢れているので、いつもの記事にします。

 

報酬の欠如、報酬の偏り。

 このゲームはステルス要素があります。そしてステルスで倒すと敵の経験値が10倍に増えます。

 はい。10倍です。スーパーマーケットやドラッグストアのポイントカードかよ。1回のレベルアップに必要な経験値2000に対し敵一人倒して10。もうこの時点でアサルト(撃ち合い)は明確にゲーム側から罰せられていると言っても過言ではありません。

 基地の開放も同じ。アサルトで開放して500しか貰えないのに誰にも見つからずに敵を倒しければ1500貰える。撃ち合いは弾薬費がかかる上に成長もしない。オープンワールドですからフリーラン(非ミッション時)にも敵と出会いますがそんなのを相手しても、文字通り「身にならない」わけです。

 これは遭遇する野生動物も同じ。クラフト要素と上で書きましたが、要するに動物の皮を2枚なり3枚なり剥いで装備を作った後は鬱陶しいMobでしかなくなるわけです。皮に高値がつけばまだ相手する気にもなりますが、ロケットランチャーの弾1発100ドル分にも見合わないのだから仕方ありません。

 更に言うと敵の死体を漁っても宝箱を開けても、その報酬の無さは同様です。20ドルとか30ドルをどう積み重ねても3000ドルも4000ドルもする武器代には届きません。

 が、その武器も妙なもので、電波塔(アサシンクリードでのビューポイントに相当)を開放するとタダで貰えます。ただしアタッチメントは有料。つまりこのお金は言ってしまえば「弾薬」と「アタッチメント」にしか使いみちがそもそも存在しないのです。

 

cr.hatenablog.com

  お金にほぼ使いみちが無いが、そのお金すらロクに貰えない。そして敵を倒す事も動物を倒すことにも価値をゲーム内で持たせられなかった。ここら辺、アサシンクリード3と全く同じ間違いなんですね。

  

cr.hatenablog.com

  そしてそれはGTA5でも同じ。からっぽでハッタリのオープンワールドという点が共通しています。

エスパー馬鹿AI vs サイレンサー対物ライフル

 さて、ステルスの話に移りましょう。このゲームのステルスは「敵に姿を視認されなければいい」です。なのでグレネードを投げつけようがC4で施設を大爆発させようが、RPG-7で数人吹き飛ばそうが、ステルスです。人死にが出ても警報は鳴らしません。

 しかし敵も馬鹿ではありません。このゲームの敵は300m先から減音器を付けたスナイパーライフルで狙撃しようが確実に射撃地点に走ってきます。どんなに遠くてもルートが繋がっているなら走ってきます。背後から火炎瓶を投げて燃やしても投擲した地点に走ってきます。エスパーです。しかし警報は鳴らしません。

 一回見つかればアサルトであっさり殺されますが、ステルスならガバガバ。しかし敵の勘だけは異常に鋭く、一度見つければ300m先だろうが確実に撃ち抜いてくるエスパー馬鹿AI。彼らに対するこのゲームの最適解はこうです。

  • すぐに隠れられる離れた高台、かつ敵のAIがルートを探せないような位置から
  • 減音器付きの狙撃銃やRPG-7グレネードランチャーを用い
  • 一方的に皆殺しにする

以上です。基地に潜入してエスパーAIが瞬時に発見してくるようなリスクを侵すより、アウトレンジからちびちび削って兵を倒し切るほうが圧倒的に簡単であり、手短です。

 これに拍車をかけるのが対物ライフルの存在です。先に紹介した通り電波塔で武器が無料になるわけですが、全ての電波塔を開放すると対物ライフルが手に入ります。これは最終スキルを獲得しないと倒すこともままならないヘビーアーマー(CoDのジャガノートみたいなもんです)も即死させることが可能。そも最終スキルが無いと近づいて爆発物でやっつけなければならなくなるヘビーアーマーの存在がステルスと相反しているわけですが、それを対物ライフルがその上から潰します。即死です。

 なのでこのゲームはジャングルがどうこう、潜入してルートがどうこうではありません。遠くから撃ち殺して終了です。これが面白いかどうかは人それぞれですが、私は「今回はどこに陣取るかな」と考えるのは少し面白かったです。エスパー馬鹿AIとの撃ち合いや潜入ステルスは微塵も面白くないですが。

 

基地なき世界に価値なし

 その基地ですが、ゲーム内に40も無く、全て潰し終わるとフリーランの状態でほぼ敵兵は出てこなくなり、ストーリーの展開にそぐわない平和な島となります。しかしここで出てくるのが先程の「基地開放による経験値」であり、何をどう倒そうがクエスト報酬の経験値が圧倒的である時点で「成長する手段が無くなる」にも等しいのです。

 しかし基地はファストトラベル(ワープ機能、ドラクエのルーラの事)の移動先に指定出来るだけあって、電波塔を開放しある程度武器を手に入れマガジン拡張用のポーチを動物狩りで手に入れたら次は移動を快適にするための基地つぶしになるのは当然。

 一応、非常に小規模な戦闘(だいたい4人倒したら終わり)のサブクエストや荷物運びのクエストの数だけはありますが、それで得られる経験値はヘビーアーマーを正面から倒した時の更に半分程度であるため、本当に微々たるものと言えるでしょう。

 つまり、世界にも、自分にも訪れる変化はあっという間に終わります。このオープンワールドには価値がなくなってしまうのです。景色もずっとただのジャングル。収集アイテムで物凄く強い武器が買えるようになろうが、それを振るう相手は既にいません。プレイヤーが倒してしまいましたから。そして、武器を手に入れようがサイレンサー対物ライフルや弓が最強なので使い道もないのです。

 とは言え、そのサイレンサー対物ライフルを買うにはゲームを中盤まで進める必要があります。そこまでは変化が保証されている、という言い方も出来るでしょうか。

 

物語までエスパーとガンギマリに支配されていく。

 あくまで現代を舞台にし、魔法だの何だのというのがない作品で「あ!タトゥーの女に変なもの飲まされて見た幻覚で出会ったことのある男!お前幻覚の中で出会ったことのある男じゃん!」だのと言い出して「は?」ってならない人がいるでしょうか。

ファークライ3はこうやってCIAのエージェントを見つけます。嘘だろ。

 そんな感じで、麻薬シンジケートを切り崩していく話かと思いきや現地のタトゥー教の話がちょいちょい邪魔してきますし、かと思えば友人を拐ってレイプしている壮年の殺し屋から命じられ旧日本軍の潜水艦ドックや大昔の中国人が作った地下遺跡の探検をやらされたりします。

 あ、この壮年の殺し屋は男性ですし、拐われてレイプされてるのも男性です。

 その壮年の殺し屋もクエストの出口にワープして待ち構えていますし、それで手に入れさせられるナイフもそんなにメインストーリーには絡んできません。かなりとっちらかった印象を受けます。 

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 とっちらかった、と言えば本来バラバラで進行も自由な形にするはずだった物を無理やり一本のメインストーリーにした結果、話のつながりがグチャグチャになってしまったバイオショックインフィニット、アレに近いものを感じました。

 兄貴の仇であるバースの屋敷に乗り込むところで部屋中のモニターがバースの顔になる演出は非常に良かったのですが、バースとの決着は幻覚の中でつきますし、何よりそのバースの死体を見ることなくなあなあで次の場面に進む。確かにRPG的なスキルの説明にはなってこそいるものの、タトゥー教団の美人の教祖とヤったら更に使えるスキルが増える。そのヤるイベントもメインストーリー内で幻覚を見ながらの展開。

 プレイヤーに人間はここまでなれるのかという狂気を突きつけたいのか、それとも「フォトリアリスティックな絵は飽きたよね!じゃあ面白い絵をみせてあげる!」という話なのかがよくわからないまま、兄貴の仇であり最後の生き残りである弟を捉えているシンジケートの親玉との対決に話は移っていきます。

 いままでのメインストーリー中でも戦いに順応し、あくまで一般人を貫く「仲間たち」に一端の戦士としてテキパキと指示を出したり敵を殺す事にヒャッハーしていく主人公と、それをかなり引いた目でみている「仲間たち」の対比をする事はあったのですが、主人公の吹っ切れっぷりを象徴するのが「実の弟に尋問をするシーン」です。

 敵の組織に入り込むために、やっと再会した弟を殴り銃創を指で抉る…というのをプレイヤー自身にQTEでやらせるのは非常に良かった。しかしその敵の親玉との対決は、ポーカー勝負で指を切られた後に幻覚の中でついてしまうのです。

 幻覚イベント後、その場にいた全員を皆殺しにした事に気付く、という形で。

 弟とヘリで脱出するイベントでは大音量でワルキューレの騎行がかかり、やれやれと機銃で敵を一掃すると仲間がタトゥー教団に何故か捕まっているではありませんか。と、ここでまたタトゥー教祖によって幻覚を見せられます。

 

 あまりにも下手くそな「メタ」のお話

 ファークライ3はメインストーリーを進めるたびに「不思議の国のアリス」の一節が表示されます。不思議の国のアリスは「異なる文明・異なる文化に主人公が触れ、様々な人達に出会っていくお話」であり、そして何よりクライマックスでいわゆる「夢オチ」になってしまう話。続きの「鏡の国のアリス」はあべこべの世界で「いつのまにやら王になっていた自分が、起きてしまった馬鹿騒ぎを止めるために赤の王をとっちめようとしたところで目覚め、夢をみたのは自分なのか赤の女王なのか。自分こそ夢に見られてしまった存在なのか」と物語に問われて終わる話です。

 その構造を持ち込んでファークライ3が語ったのは「現実サイド・仲間たち」「不思議の国サイド・タトゥー教団たち」というもの。現実ではパッとしない主人公が南の島でタトゥーと武器で大暴れ。しかしそれに仲間たちはドン引き。主人公は南の島で「やるべき事」を見つけ熱中し更に人殺しを続け、タトゥー教団でも地位を獲得する。

 物語の最終節でファークライ3が迫るのは「仲間たちを皆殺しにして島に残るか」「タトゥー教団を後にし現実に戻るか」という二択です。しかし、その語り方が直接的過ぎる上に、下手くそだと思います。

 そもそも暴力の支配する国で暴力に飲まれるという話でなく、「今が一番生きてる感じがする!」という充実感が主人公が語る主な話であり、行動理由も「仲間を取り戻す」「兄貴と弟の仇」という復讐譚だったはずです。まあ弟生きてるんですけど。あくまでタトゥー教団は主人公がつぶやく通り「なんか面倒くさいけど力を借りる」程度の存在であり、別に主軸にはいませんでした。

 その物語の最終節で見せる幻覚は「お前はナイフで人を殺したんだ。何をタトゥーなんか入れて。馬鹿じゃないの。私がタトゥーなんて消してあげるわ。あなたは空想の世界に浸っているだけ。」という仲間たちの声と、「この島も私(美人教祖)も全部手に入るわよ。人々が跪くわよ」というタトゥー教団の声です。

 

 現実サイドである仲間たちの声は

  • ゲームで人殺しなんかして
  • ゲーム世界で着飾りなんかして
  • ゲームで英雄扱いされてさぞいい気分でしょう
  • ゲームなんて空想でしかないのに

 という事を、唐突かつ非常に直接的に言ってきます。もともと主人公も旅行に行きまくりレジャーしまくりの金持ちのボンボンなわけで、そんな男がワーっと戦って祀り上げられる話をみせておいて、これです。

 これ以前にもバースという中ボスが「異常の定義を知ってるか?違う結果が出ることを期待して同じことを繰り返すことだ。でも俺は気づいたんだよ。どこを見ても馬鹿どもが同じことを何度も何度も何度も何度もやってやがる。異常なのは世界のほうだろ」という事を言っているわけで、こっち路線で行くかと思ったら面食らう話でもあります。

 

 仲間たちを救えば「大丈夫…日常に戻れる…怒りと力に支配はされれてない…はず…」みたいな事を主人公が呟いて島を脱出エンドです。さよならゲーム世界。

 では現実を切り捨て、仲間たちを皆殺しにし、タトゥー教団のトップの座を選んだ場合はどうなるでしょう。これはYoutubeで幾らでも見られるので見ていただきたいのですが、仲間たちを殺した後に暗転を挟んで美人教祖とのセックスのシーンが入ります。果てて仰向けになる主人公に美人教祖はナイフを突き立て、「究極の戦士を孕んだからお前は死んでください」というような事を言ってきます。はい、デッドエンド。砂浜に刺さるナイフを映しながらスタッフロール。

 非現実での肉欲に溺れる主人公は、現実に帰らずゲームの享楽に耽るプレイヤーの事です。もっと大きく言えばフィクションを読み耽る人々とも言えるでしょう。そんな人々は「次」の糧として消費され、必要が無くなれば消されてしまう、とも読み取れます。現実を捨てたからと言って空想に居場所があるとは限らない。そんなデッドエンドです。

 

 全くスッキリしない話ですが、先の「不思議の国のアリス」はフッと醒める夢の話。「鏡の国のアリス」はアリスも巨大なチェス盤の中のひとりの齣であり、自由意志に基づいてやっていた筈が実は誰かの思惑どおりに動いているという話の作りをしています。

 

 

cr.hatenablog.com

 

 これはバイオショックでも描かれたことですが、自由意志に基づいて進んでいるはずが「やらされていた」ことであるし、Spec Ops: The Lineでは自分の意志で引いた引き金が多大な被害を及ぼし、もうラスボスを倒してどうにかするしかないとエレベーターに乗り込んだところで「まだ英雄気取りか?ともうひとりの自分が問いかけてくる描写がありました。

 前にも後にも優れた語り方をする作品がある以上、やりたい事はわかるがやり方が下手くそだぞファークライ3。そう言わざるを得ません。

 この「プレイヤーそのものの話をする」という話をすると、どうしてもUndertaleにも言及しなければなりませんが、個人的にはUndertaleのGルートのラストも同じものを感じます。というのも「システムが許してるからやることをやってみてる」「それにSansも気付いている」という所までは良いとして、最後にはCharaが「あなた」、つまり「プレイヤー」がおかしいと直接的に語りかけてくるのです。

 私はこういうメタな話をするなら、あくまで登場人物間で片付けておいてほしいですし、直接プレイヤーに説教しないで欲しいと思っています。「ロール」を「プレイ」しているのであって、場を用意したのは制作なわけですし、なによりカメラに突然向き直すのは反則だと思うのです。

 

 

鏡の国のアリス (岩波少年文庫)

鏡の国のアリス (岩波少年文庫)

 

  ところで、「鏡の国のアリス」は『たしかに、ため息のなごりのようなものがお話をそっと震わせていくこともあるかもしれない。だって 「あのしあわせな夏の日々」は遠くすぎさり真夏のかがやきは消え失せてしまったのだから。でもそれがこのひとときの心楽しいおとぎ話に悲しみの息を吹きかけることだけは断じてさせはしない』(岩波少年文庫 訳 脇明子)という詩に始まり、『あなたはどちらだと思う?』(夢を見たのか、夢に見られたのか)という胡蝶の夢のような問を投げかけて終わるわけですが、「おとぎ話や夢」という話をするにしても引用するにはファークライ3には不適当な気がするんですが、どうでしょうかね?

 

ファークライ3、15時間と6500文字の旅となりました。
次遊ぶとしたらファークライの5ですが、それはまあ、安くなった時に。